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自業自得

「ゴルドくん! 元気出して! 皆気にしていないから!」

「……ミルダ……違います、単なる魔力不足です」


 何が起こったかというと、船の旗を燃やした後、その炎が帆に移り、すごい燃えてしまいました。


『……あんたがやったんだから、消化よろしくね』


 そう言ってシャルドネは苦笑いを浮かべながら捉えた船員を牢屋に移す作業へ向かっていました。

 だからその余裕はどうして出せるのでしょうか。

 その後、火を出した時と同様に今度は水を出して消火活動をし、魔力を使いすぎて動けない状態になりました。


「ゴルドー。生きてるかしら?」

「シャルドネちゃん! ゴルドくんは落ち込んでいるんだから、あまり刺激しないの!」

「えー、でも、あの帆があれば今頃到着していたかもしれないのよ?」

「そうだけど!」

「ふふ、冗談よ。それよりもミルダ。ずいぶん話すようになったわね」

「え! えっと、その……近い年代のお友達は初めてだから……」

「ふふ、良いわよ。元気は力よ。それよりもゴルドは大丈夫?」

「……」

「大丈夫ね」

「どこからそう思ったのですか……」


 シャルドネは容赦が無いです。


「冗談よ。それよりも目的地が見えたわ。さっきミルダのお母さんに話をして、少しの間休ませてくれるようにお願いをしたから、少しだけ歩くの我慢して頂戴」

「了解です」


 というと、雪の地とやらが見えたのでしょう。ようやく休めます。本来精霊に休みというのは必要ないと思ったのですが、この世界に顕現してからは休みたいという感情が芽生えました。


「あと、約束は守ってよね」

「……何の事でしょう?」

「雪の地は寒いから、その対策。何か魔術を使ってくれるのでしょう?」

「……あ」


 すっかり忘れていました。



 雪の地と呼ばれる場所は、その名の通り雪が降っていて、北に行けば行くほど雪が強いとか。

 人間の言い伝えでは雪の精霊が居るという話がちらほら。神々が住まう世界以外の精霊というのは興味があります。だって同職ですし。


 幸いにも船が進む先に港らしき建造物があり、そこへ向かっていると、港の建設物から人が数十名出てきて、こちらを警戒していました。


「当然よね。旗も帆も無い船なんて、怪しいもの」

「……」

「シャルドネちゃん!」

「いや、今のは別に攻めている訳では無いのよ。でも、どうしたものかしら」

 

 少し反省していますが、そもそもこの船は人さらいに使われていた船です。旗もそれを示していたとなると、どちらが正解かは分からないです。


「任せてください」


 ミルダの母親がボク達に話しかけてきました。


「ここが私の生まれた土地です。話は私がします」

「それは幸運ね。じゃあお願いしようかしら」

「はい」


 船を陸に隣接させ、港の人たちが警戒する中、ミルダの母親が声を上げます。


「私はゲイルドです。ここで生まれました。私を知る人は居ませんか?」


 そういえば初めて名前を聞きました。

 人には名前をつけるのに、土地には名前が無いのには少し違和感を感じます。

 だからこそ、この世界は不安定で中途半端なのでしょう。


「ワシは知っとる! ゲイルドか! ゲイルドなのか!」

「お爺様! お元気でしたか!」

「ああ! まさか、まさか生きてくれていたのか!」


 港にいた人たちの警戒心は解け、船は無事に雪の地に到着。ボク達もようやく地面に足をつくことができました。


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