森のち離島
「これが船んじぇ」
「ありがとうございます。お世話になりました」
ノームの集落から東へ進み、海へ到着しました。そこにはノームが所持する今は使われていない船がありました。
「本当に貰っても良いのかしら?」
「んじぇ。あの鉄と銀の代わりがこれだったら、むしろこっちが申し訳ないんじぇ」
そう言って、食料も一緒に船へ入れてくれる土の精霊。こういう出会いも悪くはありませんね。
「ゴルド様。船の状態も良いです。一日あれば離島に到着すると思いますよ」
「わかりました。ではノーム。ありがとうございます」
「んじぇ。気をつけてんじぇ」
☆
ノームの集落で作った『音叉』から聞こえた声からは、とにかく離島に来て、ボクの『自称子供』ととにかく会えとのこと。
仮にもボクの子供を名乗るならもう少しお行儀良くーとか言いそうになりましたが、ふと考えました。
ボクにそんな事を思うことがそもそも『神々の住む世界』で無かったのに、どうしてそう思い始めたのでしょうと。
「わー! ゴルド様! 今魚が飛び跳ねました!」
「こらフーリエ。落ちたら危ないでしょ」
「わ、ちょ、脇を掴まないでくださいシャルドネ様!」
こういう場面を見ると不思議と笑ってしまいます。今まで人間について興味が無かったのに、これほど見ていて微笑ましいと思ったことはありません。
今までの生活よりも、断然今の方が楽しいと感じているのでしょう。
だからこそ、ボクは『頂点の神』に勝たなければいけません。
神術の書物を開くと、これまた難しい文字が並んでいて読むのに一苦労です。魔術を使って解読なども試しています。
「ゴルド様。一つお願いを聞いても良いですか?」
「ん? 何ですか?」
トコトコと近くに来るフーリエと、その後ろにシャルドネがいます。
「『ねくろのみこん』を貸して欲しいのです」
「フーリエがですか?」
「はい。闇の魔術を研究している一環として、悪魔に近い今の状況。そしてそれを可能にした『ねくろのみこん』は闇の魔術に少し関係があるのかなと思いまして」
まあ、読めるかはわかりませんが、船の上は暇でしょう。貸すくらいなら良いでしょう。
「海に落とさないで下さいね。これは神に抗う手段の一つですから」
「ありがとうございます! それと、『どっぺるげんがー』の頁はどこですか?」
「ん? 確かここですが」
そう言って頁を開きます。禍々しい文字が書かれている頁で、とても読みにくいです。
「うわ……ゴルド、よくこれを読んでレイジに使わせたわね」
「読めませんよ。レイジが頭で考えたんです。今なら多少読めますが、それでも完璧とは言いがたいですね」
「そうなんですか?」
「確か闇の魔術に通常の魔術を組み込んだ特殊な分類でしたね。呪文内容も〇〇〇〇ー〇〇とかで、この世界の文字にはないものでした」
「……難しいのですね」
フーリエが少し眉をひそめました。
ん? 一瞬『ネクロノミコン』が光った気がしますが海からの光の反射でしょうか。
「それよりも次は一周して離島ね。そこで私とゴルドが出会ったのよね」
「そうですね。あの時はどうなるかと思いましたが、最初に出会えた人がシャルドネで良かったです」
「あら、良いこと言ってくれるじゃない」
「むー、何かゴルド様とシャルドネ様はズルいです。ワタチもその輪に入れて欲しいです!」
「良いわよ。ふふ、この旅が終わったら私も傭兵の試験でも受けようかしら?」
「お待ちしています!」
そんな賑やかな会話をしながら船は進み、あっという間に離島が見えてきました。
「ただいまというべきでしょうか」
「さて、ゴルドの子供に会いに行くわよ」
まずは説教からですね。もしも本当に身に覚えの無い子供だったら、砂壁の刑です。
次回から最終章となります!
ここまで御覧頂いた方々、本当にありがとうございます。最期まで毎日更新を目標に、今後も楽しく書ければと思います!




