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『莉凜ちゃん、生徒会の副会長やってよ』
思えば清歌先輩に突然かけられたこの言葉が、私となっちゃんの出会いに大きな意味を持たせたのだろう。
……なんだか先輩の、もっと感謝してくれたっていいんだよ! っていうドヤ顔が思い浮かんでくるから癪なんだけど、私の隣ですやすやと可愛らしい寝顔で眠っている後輩の顔を見ると、まあいいやって気もしてくる。
何も身につけないで布団に包まっているせいで身体が冷えたのか、軽く身をよじるなっちゃん。
更に身体を冷やす努力を無意識のうちにしてしまっているのも見てられないから、布団を肩まで引き上げて私の身体をなっちゃんの身体に密着させる。
お互いに何も着ないでいるから、直に伝わる私より少し冷たい体温。
腕を回して更に体同士を密着させると、なっちゃんのひんやり気持ちいい体温が私の一部として感じられる。
そして体温高めの私の温もりを受け取ったのか、次第に力が抜けていくなっちゃんの身体。
チラリとスマホの時計を確かめて、そして壁紙になっている絵をじっと見つめる。
いけない、今はなっちゃんと一緒にいるんだ。
今日はじめて繋がれた訳だけれど、ここまでくるのに数ヶ月もの長い時間とたくさんのデートや喧嘩を繰り返す事になった。
今でこそ大好きで大切な彼女であるけれど、出会ったばかりの頃はそんな想像なんてわたしの頭の隅にもないくらいの関係。
なっちゃんから見た私というのは良くわからないけど、よくもまあこんな私と付き合いたいだなんて思うようになったな〜と思うくらい、正直長続きするとは思ってなかった。普通の仲のいい後輩くらいにしか思ってなかったからね。
でも今、人生で初めて経験するこの胸の内で感情が爆発しそうなくらい激しい想いが渦巻いているのは、なっちゃんに染められたと言う事なのだろう。
私自身とても酷いことをしていた自覚はあるけど、それ込みで受け入れてくれたなっちゃんには感謝しかない。
すっかり目が覚めてしまった事だし、少し昔のことを思い出してみようかな。