マルサ, 元女騎士 (23) ①
私の名はマルサ、23歳。
職業は風俗嬢。
現在はごくふつうのデリヘル嬢だ。
本番禁止店ゆえ腰を振ることはないが、一糸纏わぬ姿を晒すこと多々ある。
過去の職歴としてホテヘル、ソープ、キャバクラ、エステ、コスプレ喫茶、など、様々な「サービス」業で勤めてきたが、どこも長続きはしなかった。
最も長く続いた職業は騎士だ。
11の頃に叙任してから10年、21歳まで務めた。
今ではこんなだが、昔は鬼神と恐れられていたものだった。
大刀のひと振りで7人を一気になぎ倒し、どんな重厚な戦車よりも猛々しく敵の前線を突破した。
しかし腕っ節で千人斬りしていた乙女時代は、口淫で千人斬りする大人時代に変わってしまった。
戦争が終わったためだ。
かつての大戦で私は大いに勝利に貢献したにもかかわらず、軍縮やらなんやらで、騎士を解任されたのだ。
退職ではない、クビだ。
今でも国から僅かな補償金をいただいているが、いつ打ち切られるかわからない。
どちらにせよ食っていくにはあまりにも少ないから働かざるを得ないわけだが、過去の罪と知名度のせいで行く先々つまずく。
雇い主が「鬼神マルサ」を恐れるのもあるが、それ以上に、かつて私が殺した者の遺族や友人、かつての敵、かつての同僚に出くわすとどういうわけかひと悶着が起こってしまう。
そのたびに追い出される。
戦争の爪痕は恐ろしい。
戦争によって苦しむ者がいる一方で、平和によって苦しむ者も出てくるのだ。私は後者だろう。
しかし私はこの状況を甘んじて受け入れよう。
戦を生業とする者がいる世界に平和はたしかに訪れない。
平和の犠牲者は世のために堪えるしかない。
決心したのだ。
以前のような気高さやプライドを捨て、成すがままに生きると。
「こ、これが鬼神様のおっぱい……」
「くっ」
「こんな大きいもん揺らしながら部下をコキ使ってたもんな!」
ペシンッ
「なあ、見ろよ。お尻の弾力パネエぜ」
「すげえ、超波打ってる」
誇りも精神も全て捨てて……
ボロン
「なあ隊長。俺の剣を磨いてくれよ」
「俺のもお願いしますよ、たいちょお」
ボロリン
「……くっ、ころせ!」




