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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第10章 再びドラゴニアに
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座敷牢と地下牢の違い

 こうして、アース騎士団長に導かれ、ドラゴニアン・ハート城内の廊下を進むこと十数分(その間、廊下を右や左に曲がったり階段を降りたりして)、わたしたちの行く先に、頑丈そうな鉄の扉が見えた。

 アース騎士団長は、おもむろに「ゴホン」と咳払いをして、

「え~…… この扉の先が、わが君を収容している地下牢です」

「地下牢ですか? こだわるところではないと思うのですが、今までわたしが耳にした話では、御曹司は『座敷牢』にいるとのことなのですが……」

 ちなみに、座敷牢とは、一般的に(辞書的意味としては)、監獄のような犯罪者収容施設ではなく、大きな屋敷の一角、離れ、土蔵などを厳重に仕切り、施錠し、収容者が外へ出る自由を奪い、外部との関係を遮断させる仕組みのこと。「地下牢」とは、若干、ニュアンスが違うような気もするが……

 すると、アース騎士団長は「ふぅ~」と、やや長く息を吐き出し、

「こだわるところではないのですが、一応、説明しますと、主君を押し込める場所が『地下牢』では、やはり、対世間的にいかがなものか……、つまり、名称だけでも、もう少しマシなものにならないかと、そのようなことです」

「なるほど…… あまり変わらないような気もしないではないですが、微妙ですね」

 わたしは(思わず)苦笑するよりなかった。なんだか分からないところがあるが、ここは、深く考えるところではないのだろう。


 アース騎士団長が扉を開けると、その先の廊下の両側には、まさに絵に描いたような地下牢(つまり、廊下側に鉄格子がはめ込まれた小部屋)が幾つか並んでいた。扉を開けて入ったところ(廊下)には、椅子が一つ置かれ、監視等の役割を担っているのであろう、甲冑で身を固めた男が(騎士だろうか)足を組んで座っている。

 男は、アース騎士団長の姿を認めると、すぐに立ち上がり、

「騎士団長、今のところ、健康状態など異常ありません」

「御苦労。引き続き、頼むぞ」

 アース騎士団長は、短い挨拶のような報告を受け、同様に短く言葉を返すと、次いで、わたしに顔を向け、

「わが君は、こちらから三つ目、向かって右側の牢に収容されています。今のところ、わが君以外に、牢に収容されている者はいません。私はここで待ちますので、お話など、なんなりと」

「ありがとう。それじゃ、遠慮なく」

 わたしはニンマリとして、プチドラを抱いて前に……進もうとした、その時、

「お姉様、わたしは、ちょっと……」

 と、背後から、これはアンジェラの声がした。あまり気が進まないのだろう。見たくないというのなら、当然のことながら、無理に見せることはない。

 わたしは後方に向き直り、アンジェラの顔を見てニッコリと、

「アンジェラ、あなたはアース騎士団長とここで待っていればいいわ。すぐ終わるから」

 すると、アンジェラはホッとしたように笑みを浮かべた。

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