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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第9章 ドラゴニア問題検討委員会
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あっけなく勝負はついて

 ツンドラ侯が「決定」を宣言したところで、帝国宰相は、間を置かず、(役柄を殊更に意識してか)非常に重々しい表情して立ち上がり、

「本日、皆には御多用の折り、ドラゴニア問題検討委員会に参集されたことにつき、感謝申し上げる。ただ今、ツンドラ侯より、ドラゴニアに対する内政不行き届きを理由とする懲罰の議題が提出され、異議なく全会一致で可決されたと認められるゆえ……」

 すると、それを聞いた三匹のぶたさん(つまり、ウェストゲート公、アート公及びサムストック公)は、重々しさにおいて帝国宰相に対抗する意図があるのか、いかにも引力に抵抗することが大儀だというように立ち上がり、

「ちょっと待っていただきたい……」

 と、異議か、あるいは反論か、何かを言おうとした。

 ところが、ツンドラ侯は、やにわに机をバシンとたたいて立ち上がり、

「なにぃ! 今更何を言う!! 決まったことは決まってるんだ!!!」

 すると、三匹のぶたさんは、雷鳴の轟くようなツンドラ侯の怒鳴り声に恐れをなしたか、「ひぃ」と小さく悲鳴を上げ、すぐに着席してしまった。


「なんだか、あっけなく勝負がついたね」

 プチドラは、手のひらを上に向け、やれやれという顔をして言った。

「あれで『勝負』と言えるかどうか知らないけど……、ただ、それはともかく……、どうでもいいことだけど、この場にパーシュ=カーニス評議員がいたら、笑いをこらえるのに苦労するでしょうね」

 と、わたしは、特に意味があるわけではないが、小さくため息。ちなみに、パーシュ=カーニス評議員は会議に出席しておらず(「主催者」の一人ではあっても、「関係者」ではないのだろう)、机の上にはネームプレートだけが寂しげにたたずんでいる。


 帝国宰相は、「ふぅ」と小さく息を吐き出し、

「そういうことじゃから、皆には御理解を願いたい。そこで、一つ提案したい。懲罰の具体的な方法については、技術的な論点が多数に上るため、主催者側に御一任いただくことで、本日の会合は終了としたいが、よろしいか」

「異議なしだよな。あるわけがないだろう! そんなことは、俺様が認めない!!」

 ツンドラ侯は、言ってる意味が分かってるかどうかは知らないが、大声でまくし立てた。2メートル30センチを超える巨体がにらみを利かせているだけあって、会議の場の空気はピンと張りつめ、誰も発言しようとしない。

 一方、帝国宰相は、ツンドラ侯の傍らでニヤリと、まさに「してやったり」の表情。事前に帝国宰相とツンドラ侯の間で打ち合わせみたいなものがあったかどうか知らないが(ツンドラ侯に複雑な筋書きが理解できるはずがないから、ハイテンションなツンドラ侯が突っ走るという自然な流れにより、こういう結果となったと考えるのが妥当だろう)、ともかくも、今日の会議は帝国宰相の目論見どおりに進んだものと考えてよさそうだ。

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