表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第9章 ドラゴニア問題検討委員会
82/293

会議の席次

「うぉ~い、どうしたんだ、ウェルシー伯、会議が始まっちまうぞ!」

 会議室の中から、機嫌よさそうに腕をグルグルと回しているツンドラ侯の声が聞こえた。

 ニューバーグ男爵は、疲れたように「ふぅ」と息をはき出し、大会議室に入っていく。わたしも男爵の後に続いた。


 大会議室には、机が長方形に組まれ、椅子が何十脚か並べられていた。机には、出席者の名前が記載された(木製であろう)ネームプレートが並べられている。ということは、この会議は、座席指定なのだろう。

 ちなみに、正面(長方形の短辺に当たる部分)の主宰者側の席には、帝国宰相、ツンドラ侯、パーシュ=カーニス評議員の名前が書かれたものを含め、7、8個のネームプレートが置かれている。なお、細かいことを言えば、ニューバーグ男爵の席は用意されていない。男爵は、ツンドラ侯の付き人あるいは説明補助要員といった位置付けのようだ。

 また、主宰者側以外の委員席の中で、帝国宰相やツンドラ侯など主宰者側に近い席には、三匹のぶたさん(つまり、ウェストゲート公、アート公及びサムストック公)の名前が書かれたネームプレートが置かれている。おそらく、主宰者側の席との距離が短いほど、いわゆる「上座」に相当するということなのだろう。

 席は、今のところ、半分くらい埋まっている。わたしの席は、長方形に組まれた机の一辺(長辺に当たる部分)の中間辺りにあった。伯爵という身分から考えれば、事務的には妥当な配置ということだろう。


「よしっ! この俺様が来たからには、会議は順調、絶好調だ!!」

 正面の主宰者側席では、ツンドラ侯が、有り体に言えば、はた迷惑な大声をあげている。元来「単細胞」で非常に血の気が多い人だから、合戦や戦闘を想像し、感情の抑制が利かなっている状態だろうか。

 その隣では、「ドラゴニア問題検討委員会」の招集者でもある帝国宰相が今日は早くも着席して、行儀の悪い子供を見るような苦々しい表情で、ツンドラ侯を見上げている。少し前に聞いたパターソンの情報によれば、帝国宰相は、自分の息のかかった人物を新たなドラゴニア侯に据えようとしているとのこと。その情報にプラスして、先ほどニューバーグ男爵から聞いた、ドラゴニアに対する諸侯有志連合軍の派遣が既に決まっているという話を総合すれば、帝国宰相の狙いは、恐らく(誰でも分かるだろうが)、場合によっては実力行使を伴ってでも、息のかかった人物をドラゴニア侯に任命することであり、「ドラゴニア問題検討委員会」なる会議において、そのための合意を取り付けようということだと推測できる。


 なお、帝国宰相の隣(かつ、ツンドラ侯の反対側)には、どこかで見たような、非常に背が低くてポッチャリとして、いかにもお坊ちゃんのような……

「マスター、見て。あのネームプレート!」

 プチドラは、不意に、そのお坊ちゃんみたいな人物の前に置かれたネームプレートを指さした。そのネームプレートには、言うまでもないだろうが、ローレンス・ダン・ランドル・グローリアスという名が書かれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ