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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第9章 ドラゴニア問題検討委員会
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「ドラゴニア問題検討委員会」会合

 2、3日が過ぎ、今日は、「ドラゴニア問題検討委員会」会合の当日。ちなみに、帝国宰相の分かりやすい書状を受け取った後に、宰相の使者から事務的に伝えられたところによれば、会合の場所は、宮殿の隣、いつぞや対策会議が開かれた魔法アカデミー大会議室とのこと。

 わたしは宮殿用のきらびやかな衣装をまとい、プチドラを抱き、玄関先で、

「それじゃ、行ってくるわ。気が進まないことはないけど、なんだか微妙ね」

「お気をつけて。特に危険と言うほどのことはないと思いますが、なんといっても、帝国宰相からの呼出しですから、一応、御用心を」

 パターソンは、わたしの耳元でささやいた。ただ、今回に限っては、いつになく静かと言うか、玄関先に見送りに出たのは、パターソンただひとり。アメリアは依然として行方不明で、アンジェラも今日は部屋にこもっているようだ。このところ、熱血応援団のようなアメリアの「フレー、フレー」が恒例となっていたせいか、これだけ物音ひとつしないと、どことなく調子が狂うような気もするが……

 ともあれ、ドラゴニア問題検討委員会の会議の進み方によっては、油断していると思わぬ損害を被る可能性もあるわけで、ここは少し気合いを入れていこう。


 御者が鞭を当てると、わたし(及びプチドラ)を乗せた馬車は、静かに動き出した。行き先は魔法アカデミーだけど、宮殿の隣の建物だから、いつもとほぼ同じ道を通り、ほぼ同じ時間をかけて……

 ところが、そういうことには、残念ながら、ならなかった。

「なんなの、これ…… といっても、これが馬車の行列ということくらい、分かるわ。どうして、こんなにたくさんの馬車が、順番待ちしてるみたいに?」

 魔法アカデミーへと続く道には、何十台かの馬車が数珠つなぎに行列を作っている。

 プチドラは、窓から顔を出して前方を眺めながら、

「意外とすごい行列だね~。これだけの馬車がいるということは、常識的に考えれば、ドラゴニア問題検討委員会のメンバーもそれなりに多数に上るということだろうね」

「最初からこれじゃ…… 今日はハッピーな一日になりそうにないわ」

 わたしは「ふぅ~」と、馬車の中で大きなため息をついた。


 そして……、結構な時間はかかったものの、馬車は、どうにか魔法アカデミーの正面玄関に到着した。この時点で、わたし的には相当な疲労度。わたしはプチドラを抱いて馬車を降りると、「ふぅ~~」と、今度は馬車の中よりも更に長いため息をついた。

 正面玄関では、魔法アカデミーの係員であろうか(ローブのような、いかにも魔法使いといった格好をしていない。おそらく、事務職員だろう)、数名の男たちが満面に愛想笑いを浮かべつつ、(わたしも含め)馬車から降りてきた会議参加者(と思しき人)を捕まえては、「どうぞ、こちらです」と、先導している。係員が会議会場まで案内してくれるなら、今回は、今までのような迷子の話にはならないだろう。

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