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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第9章 ドラゴニア問題検討委員会
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アメリアの行方と突然の呼出し

 その後も、アメリアの捜索は鋭意続けられた。しかし、その行方はサッパリ分からず、依然として、手がかりさえつかめない。仮に、アメリアが帝都で頻発しているという誘拐事件の被害者に加えらたとしたら……

 また、アンジェラの情緒不安定は、それほど重病というわけではないが、突然ため息をついたり、急に無口になったり、不意にポロリと涙を落としたりで、そのまま何もしないでおくわけにはいかないという状況。

 プチドラは、わたしの腕の中で小さな(自分の)腕を組み、わたしを見上げ、

「マスター、どうしよう。なんと言うか…… このごろ、あまり雰囲気はよくないね」

「そうね。どんよりと梅雨空のような感じかしら。アメリアが見つかれば、アンジェラも元気になるんだろうけど、実際問題、どうだか……」

 希望的観測としては、今日にもアメリアがヒョッコリと戻ってきて、「え~っと、唯一神の呪いにより、二次元と四次元の境目をさまよい歩いていました」みたいな、意味不明なオチでの事件解決が理想。でも、冷静に考えれてみれば、御都合主義の神様か、あるいは神がかり行者が何かの手違いで「アレレ?」みたいな、マンガの世界でも有り得ないような奇跡でも起こらない限り、アメリアの生存は望めないと思う。


 そんな、気分的にどんより雲の日々が続いたある日、例によって寝ぼけ眼をこすりながら、あまりハッキリとしない意識の中で、いつもの朝昼兼用食を食べていると、

「カトリーナ様、またまた面倒な……恐らく面倒なことと思いますが、とにかく、結論を言えば、帝国宰相からの呼出しがありました!」

 パターソンがバタバタと慌ただしく応接室の扉を開けて言った。

「帝国宰相から呼出し? 大して驚きはしないけど、面倒って、何が??」

「たった今、帝国宰相の使者が、『この度のドラゴニアを巡る諸課題について議論するので、一応、呼び出しておく』と、この書面……つまり、巻物を置いていきました」

 と、パターソンは巻物を広げ、わたしに示した。

 巻物には、「ドラゴニア問題検討委員会」という表題とともに、議題や式次第等が分かりやすく記載され、珍しいことに、このわたしでも内容は理解できた。その巻物の意味するところは、すなわち、「マーチャント商会との債務をめぐる紛争を抱えるドラゴニアにおいては、ドラゴニア騎士団と、ウェストゲート公、アート公及びサムストック公の騎士団の間での軋轢も発生しているところであるが、現ドラゴニア侯には、その問題を解決する意欲も能力も見られないので、帝国政府が仕方なく仲裁に乗り出すこととなった。ついては、現ドラゴニア侯の親戚筋、ドラゴニアに少なからず利害関係を有する諸侯、有力諸侯等を交え、その方策を協議したいので、指名を受けた諸侯は宮殿まで参集されたし」というもの。

「なお、使者が最後にひとつ付言するところによりますと、『来たくなければ来なくてもいいから、そこのところは特に伝えてほしい』とのことです」

 パターソンは苦笑している。「来なくていい」と言われても、ドラゴニアのワイン産地に権益を有するわたしとしては、行かないわけにいかないだろう。

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