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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第8章 ドラゴニア情勢は複雑怪奇
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事件発生

 パターソンを送り出した後、わたしは特に何をするともなしに、応接室で寝そべっていた。そうしているうちに、日は西に傾き、そして……、グ~、グ~……

 わたしとしたことが、つい、うたた寝していたらしい。


 やがて、うっすらと目を開けたわたしは、寝ぼけ眼をこすりながら、

「あら、もう、こんな時間だったの……」

 と、起き上がり、腕と腰の筋肉を伸ばした。見ると、プチドラも丸くなって、ソファの上で静かな寝息を立てている。

 わたしはプチドラの尻尾をグイと持ち上げ(逆さ吊りにして)、

「起きなさい。いつまで寝てるの?」

「あい~? 世界の銘酒付き480時間耐久法廷闘争模擬大戦に出場してるんじょ……」

 どうやら、プチドラはまだ夢の続きらしい。わたしはプチドラを逆さに持ち上げた姿勢のまま、プチドラのほっぺたを軽くつねり、

「しっかりしなさい。いつまでも寝ていると、晩御飯にありつけなくなるわよ」

 すると、プチドラは「えっ」と驚いて、隻眼をむき、

「それは困るよ。おなかの虫が大暴れしては、この帝都が危ない!」

 帝都が危ないくらいのおなかの虫って…… 一体、どんな虫???

 ともあれ、プチドラは(意識がハッキリしてきたのか)、頭を下にした体勢のまま、クルクル回転して器用に周囲を見回し、

「う~ん、マスター、なんだか、いつになく屋敷が静かな気がするんだけど……」

「そう? まあ、言われてみれば、そうかも」

 確かに、プチドラの言うように、アメリアとアンジェラが天然ボケ・ツッコミの漫才あるいはコントを繰り広げている気配はなく、屋敷内はひっそり静まりかえっている。のみならず、いつのパターンなら、わたしが目を覚ました時には、パターソンがソツなく(しかも都合よく)、「お目覚めですか」と姿を見せるはずだけど、彼の姿もない。

「どうしたのかしら?」

 わたしは、独り言のように言った。アメリアとクレアは、慌ただしくお使いに出かけたはずで、パターソンは、とにかくくさいスヴォールのところに赴き、研究の進み具合を確認しているはず。ただ、出かけた時間を考えると、常識的には、夕方のこの時間になれば、三人とも屋敷に戻っているはずだ。


 わたしはプチドラを膝の上に乗せ、薄暗くなった応接室でアメリアとクレアとパターソンを待った。しかし、いつまで待っても……完全に日が暮れても、まったく、なんの便りもなかった。わたしのおなかの虫がグゥ~と機嫌の悪そうな声を上げている。一体、どうなっているのだろう。

 その時、不意に、廊下からドタバタと大人数が行ったり来たりする足音が聞こえた。同時に、蒼い顔をしたパターソンが、応接室に駆け込み、

「カトリーナ様、事件です。アメリアが、いなくなってしまいました!」

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