三匹のブタさんの騎士団の本性
ニコラスは、気を取り直すように大きく息をすると、
「では、ヤツらのドラゴニアでの悪辣非道ぶりを、漏らさずお話しします」
と、何やら気合いのようなものを込めて、話し始めた。
彼の説明によれば、アート公、ウェストゲート公、サムストック公の騎士団は、ドラゴニアに到着した当初は、そもそも土地勘もないところでもあり、「基本的にドラゴニア騎士団の指揮命令に服する」という約束で共同戦線を張っていたものの、その後、マーチャント商会側の攻撃もなく、持ち場についても何もすることがないという時間が長くなるにつれ、(ニコラスの表現によれば)徐々にその「本性を現し始めた」とのこと。
わたしとしては、ニコラスの話には特段の興味はないが、あからさまに無関心な態度をとるのも少々気が引けるので、
「ふーん。で、その『本性』って、なんなの?」
すると、ニコラスは、応接室の机をドンとたたき、
「よくぞ聞いて下さいました! ヤツらは、本当にクズです、カスです!! どんなに罵倒しても、それで足りるということは、絶対にありません!!!」
派手なアクションを交えながら、彼が言うところによると、アート公、ウェストゲート公、サムストック公の騎士団は、次第に、ドラゴニア騎士団の指示に従わず勝手なことをするようになり、持ち場の近くの農家や商家に勝手に出向いては、略奪ではなく(さすがに略奪は違法行為なので、自制しているらしい)、「郷土を守るため、よその国からわざわざ出向いてくれた立派な騎士たちに対する心付け」を公然と要請(「要求」ではなく)するようになったという。
わたしは「ふぅ」と小さく息をはき出すと、
「『けしからん』ことではあるけど、実際問題、起こり得る話よね。特に、あの三匹のブタさんの騎士団だから、余計、食い意地が張ってたりするかもね」
「それだけではないのです!」
ニコラスは、もう一度、応接室の机をドンとたたいた(わたしとしては、「机が壊れるのでやめてくれ」と言いたいところではあるが……)
彼の話によれば、アート公、ウェストゲート公、サムストック公の騎士団は「心付け」を断られると(ちなみに、ドラゴニアはマーチャント商会への債務を支払うための大増税等々により疲弊しており、農家や商家は、「心付け」を渡す余裕もないという状況にある)、物品での要請を取り下げる代わりに、農家や商家の美しい娘たちによる労務奉仕を「お願い」するようになった。「労務奉仕」の内容は、非常に言いにくい話だけど、その美しい娘たちが騎士団の宴会の場に出席し、酌をするのはほんの序の口で、騎士たちの(事実上無制限の)求めに応じ、あんなことやこんなことを……具体的な行為については、ニコラス曰く「お察し下さい」とのことのようだ。
わたしは、「ふぅ~」と、今度は大きく息をはき出した。実際問題、起こり得ることとはいえ、こういう話は遠慮したいのが正直なところ。




