表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第20章 運命の日
199/293

毒食わば皿まで

 わたしは「ふぅ~」と大きく息を吐き出し、

「しょうがないわね。じゃあ、とりあえずは、この死体をわたしの屋敷に運びましょう。いくらなんでも、死体をほったらかして逃げるわけにはいかないでしょう」

 すると、ニューバーグ男爵は、うるうると目を潤ませ、

「おお、ウェルシー伯、力になってくれるのですか!? これは、なんとかたじけない。まさに地獄に仏です」

 ところが、他方のツンドラ侯は、「よしっ!」と拳を握りしめ、

「そうか、ということは、今日はウェルシー伯の屋敷というわけだ。であれば、丁度いい。隻眼の黒龍と久しぶりの勝負だ!」

 これには、わたしのみならず、ニューバーグ男爵はもとより、パーシュ=カーニス評議員も、マンガ的に目が点。ツンドラ侯の精神構造も、本当にまったく意味不明……

 でも、とにかく今は、無駄に費やす時間はない。宮殿方面のガヤガヤは、先ほどより少し音が大きくなっているような気配。まごまごしていたら、誰かに発見されるのは時間の問題だろう。

 わたしは、パーシュ=カーニス評議員を見上げ、

「評議員は、この場にできるだけ人を近づけないようにして、もし、宮殿方面から誰か人が来たら、適当にごまかしておいてください」

「ええ、それは当然です。任せてください」

「学識豊かな評議員のことだから説明するまでもないと思いますが、今日のこの不祥事がもし明るみに出たら、あるいは、帝国宰相の知るところとなったら……」

「分かっています。魔法アカデミーにとっても、始まって以来の不祥事ですからな。『あの小さい人は、大地の精霊の怒りに触れて地中深くに引きずり込まれた』と言っておきます。なあに、大丈夫。証拠がなければ、なんとでも言えますよ。こんな場合、とりあえずは隠蔽ですよね」

 パーシュ=カーニス評議員は、ホッとしたような顔でニッコリと笑った。


 そして……

 わたし(及びプチドラ)とツンドラ侯とニューバーグ男爵は、ツンドラ侯の馬車に乗り、わたしの屋敷への途を急いでいた。グローリアスの死体は、馬車に積まれていた大きな袋に無造作(かつ無理矢理)に詰め込まれ、床に転がされている。

 ツンドラ侯は、こんな時でも、自分の馬車に(死体であっても)グローリアスがいるのが気に入らないらしく、

「なんで、こんなクソチビが、この俺様の馬車に……」

 と、ブツブツと文句を言うことしきり。でも、窓からポイと死体を投げ捨てるわけにもいかないだろう。発見されて騒ぎになると、困るのはわたしたちだから。

 プチドラは「う~ん」と難しい顔をして、わたしを見上げ、

「マスター、行きがかり上だと思うけど、さすがに今日のはまずいかも……」

「分かっているわ。でも、ここまきたら、乗りかかった船か、毒食わば皿までよ」

 わたしは「ふぅ~」と大きなため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ