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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第19章 例によってゲテモン屋
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「クソチビ」がどれだけカスか

 ツンドラ侯は、「ふぅ~」と大きく息を吐き出し、

「ゲテモン屋に着くまで、ただ馬車に座ってるだけというのもヒマだな。そうだ、いいことがある。ここは一つ、あのクソチビがどれだけカスか、教えてやろう」

 わたしとしては、そんな話、聞きたいと思わないが……

「あのクソチビ、名前はなんだっけ? いや、なんでもいいや、どんな名前でもカスはカスだからな」

 ツンドラ侯は、こちらから頼んでもいないのに……、むしろ、どちらかと言えば迷惑だけど、そんなことには構わず、「クソチビ」つまりローレンス・ダン・ランドル・グローリアスについて、語り始めた。


 ところが…… ツンドラ侯の語る話は、ハッキリ言ってしまえば、意味不明。わたしもプチドラも、(マンガ的慣用表現として)目を点にして、顔を見合わせた。

「つまり、だから! 要するに、クソチビのくせに、うざいんだよ!! それに、クソチビの分際で、何が総大将だ、笑わせるんじゃない!!!」

 と、ツンドラ侯の力説するところを総合すれば……、いや、総合するほど複雑な話ではない。とにかく、ツンドラ侯の言いたいことは、クソチビ(言い換えれば、グローリアス)が「うざい」・「むかつく」・「許せない」という、この一点(又は三点、あるいは三位一体?)に尽きる。そこで、「なぜそう思うのか」を尋ねてみても、「とにかく、『うざい』・『むかつく』・『許せない』のが理由だ」という、循環論法か堂々巡りのようなサッパリ要領を得ない答えしか返ってこない。

 ちなみに、ニューバーグ男爵がこっそりとわたしに耳打ちするところによれば、「前のドラゴニア戦役において、諸侯有志連合軍の総大将の地位をグローリアスに持っていかれたのが、余程腹に据えかねているようです」とのこと。でも、わたし的に感想を言うと、その程度のことで、どうしてそこまで他人を悪しざまに罵倒できるのだろう?

 ともあれ、俺様主義で何事につけても自分が中心に回らないと気が済まないツンドラ侯だから、常人であるわたしにはサッパリ理解できないが、「そこは、そういうもの」として納得する以外にはないのだろう。


 そんな間に、馬車は、帝都の一等地から離れ、市街地へと進んでいった。そして、大通りや商店街を抜け、いつもの公園の前に差しかかる。ただ、時間的には晩餐会の帰りで辺りもすっかり暗くなっていたことから、例によっての神がかり行者(及び元唯一神教教祖様のクレア)の姿は、残念ながら、なかった。今現在のような場合、いつもなら迷惑極まりない彼の基地外演説も、多少の気の紛れにはなるだろうに……


 馬車は、公園の前を横切り、町外れに向けてゆっくりと進んだ。馬車がスラム街の手前まで来ると、ツンドラ侯とわたしは馬車を降り、徒歩でゴミの散乱した細い道を抜け……

 やがて、見えてきたのは、「ゲテモン屋」のおどろおどろしい看板だった。

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