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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第17章 重武装人造人型兵器
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馬車にも金箔コテコテ

 後ろを振り向いてみると、数名の兵士が「アワワワワ」と蒼い顔をして立ちすくんでいた。その兵士は、プロトタイプ1号機がボコボコにしたのと同じような格好……ということは、彼らも、マーチャント商会の手の者だろう。

 のみならず、兵士たちの後方には数台の馬車が連なり、うち1台には一面に金箔がコテコテに貼られている。どうやら、この車列も、わたしたちと同様に、マーチャント商会本社に向かうところなのだろう。しかも、キンキラキンの馬車ということは、多分、マーチャント商会にとって非常に重要な人物を乗せて……


 兵士たちは顔を見合わせ、何やらボソボソと話し合っている。でも、いくら話し合ったところで、この場で何が起こったのか想像できないだろう。

 やがて、兵士のひとりが意を決したように話の輪を離れ、わたしの馬車に近づき、

「すいませ~ん、そこの馬車の人、無事ですか? 無事でしたら、ちょっと、お尋ねしたいのですが……」

 パターソンは、(そのトンチンカンな呼びかけに)苦笑しつつ、馬車の窓から顔を出し、

「一応、無事ですが、あなたたちは?」

「我々ですか。我々は、マーチャント商会会長を護衛しながら、これから本社に入ろうとしていたのですが、本社の前まで来たところで、この有様なのです。一体、何があったのか……」

 なんとまあ…… 聞いてもいないのに、アッサリと正体を自白してくれるとは、しかも、マーチャント商会会長が自らわたしの前に出向いてきてくれるなんて、今日の御都合主義の神様は(理由もなく)絶好調のようだ。

 わたしはニヤリとして窓から顔を出し、プロトタイプ1号機に向かって、

「とりあえず、この兵士を始末しなさい! 正当防衛だから、思い切り派手に!!」

 と、言ってみたものの、正当防衛が成立することは、常識的には有り得ないだろう。しかし、この兵士もマーチャント商会の構成員であるとすれば、先刻からの公道の不法占拠という急迫不正の侵害は今現在も持続していると見て……、いや、とにかく、そういうことにしておこう。早い話、さっきの続きということで……

 プロトタイプ1号機は、ガチャガチャと音を立てて何度かうなずくと、今度は「ウガガッ!」と短めの雄叫びを上げ、兵士に向かって進んでいった。兵士は、突然動き出した身長2メートルの巨漢に驚き、「ひぃっ!」と悲鳴を上げた。しかし、次の瞬間には、プロトタイプ1号機によって抱え上げられ、頭から垂直に地面に叩きつけられ、実にアッサリと絶命していた。他の兵士たちは、仲間が簡単に殺害されたのを見て、「次はお前が戦え」、「いや、おまえがやれ」、「ここは若い者から」など、非常にリラクタントな様子。職務上は戦わなければならないが、命は惜しいらしい。


 そうこうしているうちに、突如、キンキラキンの馬車のドアが開き、

「一体、何事だ? 騒々しいぞ」

 と、どことなくメカニックな声が響き、割と美形(耽美系)の男が街路に降り立った。

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