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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第12章 「ご隠居様の城」であった城にて
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一応、用は済んだ?

 ともあれ、ご隠居様の城で開かれた宴会(題して「プチドラ監修の懇親会」)は、プチドラ(すなわち子犬サイズの隻眼の黒龍)の火炎放射等による数名の重傷者等を出しつつも、翌朝、日が昇る頃になって、どうにかお開きとなった(らしい。というのは、ニコラスが「飲み直そう」と、わたしから離れて以降、わたしとアンジェラは大広間に隣接する小部屋に布団を持ち込んで、仮眠を取っていたので、以下の描写は、プチドラ、ニコラス及び他の若い騎士たちからの伝聞である)。

 宴会のクライマックスでは、プチドラは、意味不明な聞き取ることのできない言葉で何やらわめきながら、柔道あるいは相撲で用いそうな技を使って若い騎士たちを次々と投げ飛ばし、若い騎士たちもまた、お互いにレスリングともプロレスともつかない投げ技を繰り出すなど、大広間では、収拾がつかないカオスなバトルロイヤルが繰り広げられていたという。

 そして、昼前後だろう、日が高く昇ってから目を覚ましたわたしとアンジェラが、恐る恐る大広間をのぞいてみると、大広間では、まるで死屍累々、若い騎士たちが酔いつぶれて折り重なって倒れていた。その山の上では、

「マスタ~、久しぶりにぃ~! 堪能できましたじょ~!!」

 と、プチドラが腕を振り上げたりジャンプしたり腕をグルグル回したり、不思議な体操のように体を動かしていた。なんだか分からないが、「アルコール大王」を名乗るだけのことはあると言うべきだろうか。


 のみならず、次の日以降もまた……、やはりと言おうか、お約束と言おうか、大広間に樽入りワインを持ち込んでの狂乱の宴は続いた。もっとも、わたしとアンジェラは、宴の冒頭に顔を見せた後には早々に、食事をお盆に載せ、最初にあてがわれた部屋まで退散していたので、その狂乱度合いについての詳細は分からない。でも、ぶっちゃけた話、「ロクなものではない」ことは想像できよう。


 そういう(わたしやアンジェラの視点で)バカげた飲み会を数日間繰り返した後、

「ふにゅ~…… 今回はとっても楽しい旅だったじょ……」

 隻眼の黒龍が巨大なコウモリの翼を広げ、大きな頭をグラリと揺らして言った。連日の宴会の影響からか、まだアルコールが抜けていないように見える。ちなみに、わたしたちは、今まさに、ご隠居様の城を発ちドラゴニアン・ハート城に向かおうというところ。つまり、宴会以外にすることがないなら、ここにいる意味もないだろうということ。

 他方、見送りに出たニコラスを始め、若い騎士たちは、明らかに二日酔いでフラフラ、立っているのも辛そうな様子で、

「いえ、こちらこそ、あまりおもてなしもできず…… オエッ!」

 わたしは、隻眼の黒龍の背中の上で、アンジェラを前に乗せて苦笑しつつ、

「ニコラス、無理しなくていいわよ。じゃあ、またね」

 隻眼の黒龍は、わたしの合図を受けると、巨大なコウモリの翼を更に大きく広げ、ゆっくりと(より精確に言えばヨタヨタと危なっかしく)大空に舞い上がるのだった。

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