表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
第11章 苦悩するアース騎士団長
105/293

廊下を走る騎士

 わたしは「よいしょ」と立ち上がり、プチドラを抱き、

「じゃ、アンジェラ、城内の散策に行きましょう」

「はい、お姉様」

 わたしは「右松の間」の扉を開け、アンジェラを伴って、廊下に出た。ドラゴニアン・ハート城内は、さっきのがさつな三人組を除けば、廊下を歩く耳の音が耳につくくらい、今はひっそりと静まり返っている。

 わたしは「はて」と首をかしげ、ふと……

「でも、なんだか、やっぱり、ちょっぴり、変」

「どうしたの、マスター? 『変』って、何が?」

 プチドラはそう言って、わたしを見上げた。

「少しおかしいと思わない? あのやかましい三人組を除いて、今日は朝からドラゴニアの騎士を見ていないのよ。アンジェラは、起きてから騎士団長に会ったみたいだけど」

「まあ、おかしいと言われれば、そうかもね。でも、みんな忙しくて出払ってるということも、往々にして、あると思うよ」

「忙しいとしても、お客がいる時に…… まあ、いいか」


 こうして、城内の廊下を更に進んでいくと、後方からドタバタ……ではなく、ガシャガシャと大きな金属音を立て、甲冑を身にまとった数人の男たちが駆けてきた。

 アンジェラは、さっと体を壁際に寄せ、

「あの人たちは…… ドラゴニアの騎士さんでよろしいのでしょうか?」

「多分、そうじゃない? 一応、城内には、三匹のぶたさんの騎士団もいるみたいだけど、見た感じでは、あの人たち、それほど太ってないわ」

 と、わたしも、プチドラを抱いたまま体を壁際に寄せた。なお、三匹のぶたさん(アート公、ウェストゲート公、サムストック公)が太っているからといって、配下の騎士たちも太っているという科学的根拠は、一切存在しない。ともあれ、城内にわたしたち(及び、あのがさつな三人組)のほかに誰もいないわけではないということが分かって、わたし的には、なんとなくホッとしたような気分。


 騎士たちは程なくして、わたしたちのすぐ横を駆け抜けていった。何をそう慌てているのか知らないが、御苦労なことだ。

 アンジェラは、その騎士たちの背中を目で追いながら、

「お姉様、なんだか…… お姉様は、気になりませんか?」

「……って、何が? あの騎士たちが慌ててた理由??」

「騎士さんたちについて行ってみれば、もしかしたら、何か興味深いことが……」

「興味深いことって……、どんなことかしら? ついて行ってもお金儲けの話が転がっているとは思えないけど、アンジェラがそう言うのなら……」

 正直なところ、あまり気は進まないが、アンジェラが興味を示したのなら、付き合ってみるのも、悪いとは言えないだろう(つまり、消極的な理由)ということで……

 わたしはプチドラを抱き、アンジェラとともに、遠ざかっていく騎士たちの後を小走りに追った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ