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ザ☆旅行記ⅩⅠ ドラゴニア戦記  作者: 小宮登志子
序章 ドラゴニアへの招待
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世はなべて事もなし

「ふわぁ~~……、眠い……」

 ここは帝都の一等地、わたしの屋敷。

 本当に、例によって、いつものことだけど、わたしは寝室のベッドの中で暖かさに包まれながら猫のように丸くなり、早い話が朝寝坊。傍らでは、プチドラが手持ち無沙汰を紛らわせるように、「よいしょ、よいしょ」と、何か考えがあるのか、筋力トレーニングめいたことを始めている。

 先般の唯一神教をめぐる騒動は、武装盗賊団、ツンドラ侯、魔法アカデミーなど多くの人々を巻き込み、最終的には唯一神教の壊滅という形で幕を閉じた。予定されていた行事「大盤振る舞い」は、予算等の関係もあり、無期限延期という形で事実上中止。帝都の政界では帝国宰相の権勢が更に強まったものの、三匹のぶたさん(ウェストゲート公、アート公及びサムストック公)が失脚したわけでもない。「世はなべて事もなし」とは、このような状況を言うのだろう。なお、唯一神教の教祖様であったクレアは、神がかり業者とともに基地外演説にいそしんでいるようだ。


 ちなみに、屋敷の応接室では、

「アンジェラさん、わたしはこれから、おつかいに行ってきます。何もしないで居候しているわけにはいきませんからね。え~っと、これは、つまり、働かざる者、なんとか……、え~っと、なんでしたっけ?」

「その続きは、確か、『食うべからず』ですよ」

「そうそう、それです。いや~、さすが、アンジェラさん。え~と、これからは、唯一神の教えに加え、やっぱり、学問も必要ですよね~」

 わたしの「お世話係」の腐れ縁により屋敷に居着いたアメリアは、アンジェラとともに、日夜、天然ボケ・ツッコミの漫才あるいはコントを繰り広げている。

「アメリアさん、おつかいに行くのなら気をつけてください。このごろは少し物騒になり、人さらいが流行しているようですから。捕まると、どこかに連れていかれ、帰ってくることはできないそうです」

「分かりました。歩きながら、いつも周囲を見回して、油断せずに行きます」

 でも、そんなことをしていると、余計に目立つのではないか。どうでもいいけど……


 昼前になって、(前回、教団に潜入する際に使用した)メイド服に着替え、プチドラを抱いて応接室に行ってみると、帝都の駐在武官のリーダー、パターソンが、朝食兼昼食を用意して待っていた。

 パターソンは苦笑しながら、

「おはようございます。いつもながらですが……」

 わたしは寝ぼけ眼をこすり、まだハッキリとしない意識のまま、

「おはよう、パターソン…… あなたも、アメリアも、アンジェラも……、みんな朝が早いわね。どうしたら、そんなに早く起きられるの?」

「早いというわけではありませんが、まあ、一般的・標準的には、こんなものかと……」

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