表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/46

7 あのアイテムをついに販売

8月15日レイアウトの変更。内容は変わりません。

 おはようございます!

 お店を開く日がやってきました!

 興奮のあまり、昨日はあまり眠れませんでした……いや、嘘です。ダンジョンに行った疲れで、ぐっすり眠れました。


 朝食を食べたら、開店のための最終チェックです。

 目玉商品は、道行く人の目に留まりやすいので、アイテムの説明をつけておきます。


『苦くない薬草です。体力を回復できます。

 本日は開店記念により、薬草は20G値引き!』


『とても美味しい蜂蜜です。魔力を回復できます。

 本日は開店記念により、蜂蜜は30G値引き!』


『素朴な味わいの美味しいクッキーです。体力を回復できます。

 本日は開店記念により、クッキーは20G値引き!』


 こんな感じでいいかな?

 あとは気がついた時に、その都度対応することにします。


 そろそろ開店しようと、立て看板を外に置いていると、シェイラとジンがやって来ました。


「やっほー!サラサ、来たよー」

「おはようございます。少し来るのが早かったでしょうか?」


 対照的な二人の挨拶を受けながら、私も挨拶して二人を店に招き入れた。


「おはよう! 今、店を開けた所だから、丁度良かったよ」


 どうやら、シェイラが待ちきれずに、まだ早いというジンを引っ張って来たようだ。


「おぉー! お店らしくなったねー」


 シェイラは店内に入るなり、そう言って商品を見て回っていた。

 ジンも口には出さないが、昨晩とは違った雰囲気を楽しんでいるようだった。


「まあ、二人にとっては、よく見慣れたアイテムばかりだけどねー」


 私がそう言うと、二人はそんなことないという風に首を振り、ジンが右の棚を指差し言った。


「いや、この右の棚は、ある意味凄いですよ!」


 ……そう言われると確かに、こんな物を売る店は何処にもないだろうから、見慣れてはないのかな?


「あ、忘れないうちに渡さなきゃ!」


 私がそう言ってカウンターの方へ行くと、二人とも私の所に来てくれたので、ジンにお金の入った袋を手渡した。


「これ、昨日のアイテム買取の追加分。はい、どうぞ。6727Gあるはずだから確認してね」

「え! ありがとうございます!」

「やったー!」


 二人は早速確認し、お金を分け始めた。

 どうやら二人は、お金を別々に扱っているようだ。今回のように割り切れない金額の時は、ジャンケンになるみたい。


「お金も手に入ったし、開店祝いに、何か買ってくよ!」


 シェイラが気前よく言ってきたので、お言葉に甘えます。


「ありがとう、じゃあねえ、これかこれはどうかな」


 私は『鉄のナイフ』と『折れた棒』を薦めてみた。


「ええ! なんで!?」


 なんで薦められたのか分からないようです。私も、アイテム本の詳細説明を見ていなければ、気付かなかったかもしれません。


「まず『鉄のナイフ』は、普段使いもできるよ。そして『折れた棒』は薪になるから、宿に持って行けば食事を値引きしてくれるんじゃないかな」


 シェイラは、私の話に驚いたのか、ポカンと口を開けている。


「サラサ、よく知っていますね。確かに、薪を持って行けば、20Gくらいは値引きしてくれますので、『折れた棒』を買っても10G得する計算ですね」


 ジンが感心したようにうなずいている。


「まあ、あとは純粋に、美味しいから『蜂蜜』もお薦めかな」


 ジンも何か買う気になったようで、二人して何を買おうか悩んでいる。


 結局、シェイラは『蜂蜜』と『クッキー』と『折れた棒』をそれぞれ一個ずつ買い、ジンは『鉄のナイフ』と『折れた棒』をそれぞれ一個ずつ買って帰った。


 二人なら、ダンジョンに行けば自分で手に入れられますが、そこまで手間をかけるつもりもないようです。狙ったアイテムを探して持ち帰るのは、時間も手間もかかり大変ですから。

 とは言うものの、追加料金を渡した分、気を遣わせてしまったのかな?


 それにしても幸先いいです。『折れた棒』が売れたのですから!

 この調子で、右の棚をどうにかしていきたいです。


 二人が帰ってしばらくすると、今度は近所の肉屋のおばさんがやって来ました。


「いらっしゃいませ! ステラさん」

「サラサちゃん、開店おめでとう! 調子はどう?」

「ありがとうございます! おかげさまで、何とかやっていけそうです」


 さっそくアイテムがいくつか売れたこともあり、元気よく答えます。


「へえ、ダンジョンではこういう物が手に入るんだねえ」


 ステラさんは物珍しそうに、店内のアイテムを見ておられます。


「まあ、まだ初級ダンジョンの地下五階までのアイテムしかないですけどね」

「そうなのかい? そうだとしても、見たことない物があるね。こっちにあるのは何だい?」


 ステラさんは、右の棚にある木箱を指差し、尋ねてきた。


「あ……それは、ダンジョンで手に入った肉です。ちょっと臭うので、フタを閉めたままにしているんです。」


 少し動揺しながらも、ステラさんの質問に答えます。魔物の肉とは言い辛い……。


「そうなのかい。うちも肉屋だから気になるねえ。ちょっと見せて貰ってもいいかい?」


 そう言われるので、臭いますよと注意しつつ、中身をお見せします。


「おや? これって……ピッグの肉? ダンジョンにはピッグがいるのかい? それにしても……ああ、きちんと血抜きしてないから、こんなに臭うんだねえ。これじゃあ人間様は臭くて食べれないよ」


 何やら衝撃的な言葉を聞いたような気が……。


「……あの、ピッグの肉なんですか?」

「何言ってんだい、肉屋が肉を見間違えたら、商売にならないよ。この国で一般的によく食べられてる肉じゃないかい」


 なんという事でしょう……。魔物を倒すと、ピッグの肉が手に入るようです。でも、アイテム名には『魔物の肉』とあったはず……。

 どういうことなのでしょう? 『魔物が持っていたピッグの肉』を略して『魔物の肉』なんてね。……そんなわけないか。


 それにしても、なぜ今まで誰も気付かなかったのか?

 ……そうか、誰もダンジョンから持ち帰らないのか。


「ダンジョンで、ピッグを見たことはまだありませんが、魔物を倒すと、この肉が手に入ることがあるんです」

「そうなのかい。初めて知ったよ」


 いや、私も初めて知りましたよ。


「これ、一個10Gかい? これなら、ひょっとしたら、猟師のゲンが欲しがるかもね」

「ふぇ? 何に使うんですか?」


 驚いて、へんな声を出してしまった。


「ああ、ピッグを飼育している村があるんだけどね、それを狙ってくる獣がいるんだよ。その獣をゲンが退治しててね。その退治するときの罠に使うんだよ」


 なるほど! いいことを聞きました。


「そのままでは持てないので、入れる物が無い場合、別途入れ物のお金がかかりますよ。入れ物持ってきたら、かかるのは10Gだけです」

「そうかい。じゃあ、とりあえず今は『蜂蜜』を一つおくれ。あとで入れ物持って来るから、試しに一つ買って、ゲンにあげてみようかねえ」


 そう言うと、ステラさんは『蜂蜜』を一つ買い、家に一旦帰っていきました。そしてすぐに、もう一度入れ物……というか大きな木の葉を持ってやって来て、『魔物の肉』を一つ買って葉に包んで帰られました。


 いや、まさか『魔物の肉』が売れるとは思いませんでした。

 そして、まさかの事実も判明し、ダンジョンの謎は深まるばかりです。


 その後は、目玉商品を見た人が何人か入ってきて、目玉商品の三種類をいくつか買って帰られました。


 お昼になりましたので、休憩がてら昼食にします。一旦、入口に休憩中の札をかけ、台所に移動です。

 午前中、それなりにアイテムが売れたので、一安心です。

 まだ、ニコラさんと騎士の方が来てないので、午後は来てくれるかな?







読んで下さった方へ厚く御礼。

ここから不定期更新の予定。

時間は今後も22時前後の予定。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ