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42 ダンジョンのポスターを考案?(画像あり)


 中級ダンジョンの地下一階に下りて直ぐに、思わぬ場所からアイテムを手に入れました。


「では、左の道から行きましょう!」


 私の言葉で気を取り直した様子のお二人は、さっと、私を守りながら進める位置に移動されました。

 さすが騎士団の方ですね。安定の安心感です。


 先頭はベイルさんが様子を見ながら行き、その後ろを私が進み、私の後ろをカインさんが守ってくれています。


 突き当たりまでくると、また岩がありました。


「岩を意識して見てみると、土壁の色や材質の違いが分かりますね」


 私がそう言うと、二人とも感心しておられます。


「確かに。なんで今まで誰も気付かなかったのか……」

「地下一階ではアイテムが手に入らないというのが、今までの常識だったんだが……」


 ベイルさんが言われるように、中級ダンジョンの地下一階には宝箱がないらしく、今まではただ通り過ぎるだけだったようです。


 ベイルさんは、騎士団でも斥候担当だったのでしょうか? 

 ベイルさんの動きはとても滑らかです。すっと前に進み、岩を確かめてから持ち上げ、アイテムを手に入れました。


「今度も『回復薬』だ。さっきのと比べてみてくれ」


 ベイルさんは『回復薬』をカインさんに渡すと、来た道の方の様子を見ておられます。


「比べるのですか?」


 ベイルさんの言葉に私が質問すると、先程手に入れた『回復薬』を私から受け取ったカインさんが説明してくれました。


「こうして『回復薬』を比べてみると、少し色が違うのが分かるかい?」

「あ、今手に入れた方が、少し色が薄いですね」


「そうだ。色が濃い方が『体力回復薬』で、薄い方が『魔力回復薬』だ」


 どちらも緑色の液体ですが、比べることで色の違いが分かるようになりました。

 なるほど、普段はこうやってアイテムの確認をしているわけですね。良い勉強になりました。


 来た道を戻り、もう一つの行き止まりの道へと進んでいる最中に、赤いスライムとの戦闘がありました。

 地下一階の魔物はレベルが12なので、私も問題なく倒せると思いますが、私が気付いた時には、すでにベイルさんが倒した後でした。


 スライムは色違いのライムさんといった感じです。

 大きさは初級ダンジョンのスライムの倍はあり、魔物さん達の本来の大きさであるような気がします。


 そのすぐ後に、後ろからゴブリンの攻撃があったようでしたが、振り向いたときには、カインさんが一刀両断した後でした。

 ゴブリンの身長も、私やゴブさんと同じくらいで、ゴブリン本来の大きさのようでした。


 それにしても、カインさんとベイルさんは強いですね。

 戦闘において、私の出る幕はなさそうです。


「お二人のレベルを聞いてもいいですか?」


 そういえば、まだ知らなかったので聞いてみました。


「ああ、どちらもレベルは26だ」

「ええ! それなら、もう中級ダンジョンのボスとも戦ったのですか?」


 カインさんの言葉に驚いたので、ついでに聞いてしまいました!

 中級ダンジョンのボスを倒し、上級ダンジョンへと挑戦するようになると、町の北へ移動になります。

 そして今までのように、気軽にお願いするようなことはできなくなります。


「ここのボスはレベル27だから、まだ戦ってないな」

「だから、案内できるのは地下十五階までだ。地下十六階に下りるとすぐにボスの部屋への扉があるからな」


 カインさんがボスのレベルを教えてくれ、ベイルさんが補足説明をしてくれました。

 まだボスとの戦いは考えていないそうなので、少し安心しました。


 それにしても……。


「ひょっとして、ボスの部屋への扉に、ボスのレベルと注意事項が書いていたりするのでしょうか?」

「ああ、よく分かったな。どうやら今度は空を飛んで、ファイヤーレベル6相当のブレス攻撃があるようだ」


 私の質問にカインさんが答えてくれたのですが……とても親切な説明ですね。

 普通はここまで教えてもらえないと思いますよ。


 話をしながら歩いていると、私達が向かっている道の先、行き止まりが見えてきたのですが……。


「あれはひょっとして……」

「ああ、初級ダンジョンのボスの石像だな」


 ベイルさんがサラッと答えてくれましたが、明らかに怪しいですよね?


「……」


 どうやら、カインさんは察してくれたようです。


「まずは私が調べてみますね」


 私が調べ始めると、ベイルさんも察してくれたようです。


「まさか……」


 ドラゴンさんの石像は、同じ石で作られた台座の上に乗っています。

 石像は、ドラゴンさんが登場して目の前に来て立ち上がった時のポーズになっています。


 石像は特に何もなかったので、台座の方が怪しいですね。

 台座の中が空洞のような気がします。

 台座の後ろ側に、少し色が違う部分を見つけたので、そこを触ってみると……。


「あ、開いた!」


 台座の一部が内側に開き、なんとそこからアイテムが!


「……」

「……」


 二人とも言葉を失っておられます。

 ……その気持ちはよく分かります。


「これは、『ナイフ』かな?」


 私が台座の中から『ナイフ』を取り出すと、カインさんが『鋼のナイフ』だと教えてくれました。


「中級ダンジョンに入ってすぐに『体力回復薬』『魔力回復薬』『鋼のナイフ』と、三個もアイテムが手に入りましたね!」


 私は喜んでいたのですが……。


「なぜ、今までこれに気付けなかったのか……」

「……」


 カインさんは何やら反省しておられ、ベイルさんは黙って台座を調べておられます。


 本当に、なぜ皆さんが気付いていなかったのか不思議です。

 こうなってくると、私の方が異常なのかと不安になってきます。

 私の何が他の人と違っていたのか……。


 ……そうか。


 私は、ダンジョンを運営? している魔物さん達の本当の姿を見ています。

 魔物さん達がやらかしそうなことが、想像できているということなのかな?


 ダンジョンは親切にできています。

 まあ、まだ初級ダンジョンと中級ダンジョンの地下一階程度しか知りませんが。

 この事実を皆が知れば、ダンジョンでの探索方法が自然に変化していくのではないでしょうか?


 う~ん。

 例えばこんなイメージのポスターを初級ダンジョンに貼ってみたらどうでしょう。





挿絵(By みてみん)


【初級ダンジョンは、魔物達の真心でできています】

 ドラゴンさんの絵がいいね!


 …………。


 いや、これは確実に魔物さん達に嫌がられそうですね……。

 残念ですが、やめておきましょう。




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