41 中級ダンジョンに到着
おはようございます。
今日は中級ダンジョンへ行く日です。
今日までになんとか初級ダンジョンのボスを倒すことができました。
シェイラとジンには本当に感謝しています。
シェイラとジンは、まだ今日は中級ダンジョンへはいかないようです。私が地図を作ってから行くそうです。
確かに効率を考えると、それが一番いいと思います。
まあ、中級ダンジョンへ挑戦している人達を見ていたら、慎重にもなりますね。
シェイラとジンは、初級ダンジョンのボスに二人で挑戦するようです。
ということなので、『大きな鍋のフタ』はまだ二人に貸し出し中です。
カインさんとベイルさんとは、中級ダンジョンの門の前で待ち合わせをしています。
そろそろ出掛けた方がいいですね。
忘れ物が無いかを確認して、いざ、中級ダンジョンへ!
◇◇◇
「すみません、お待たせしてしまいましたか?」
私が中級ダンジョンの門の前に行くと、すでにお二人が待っておられました。
「いや、別の用事もあって早めに来ただけだから、気にしないでくれ」
カインさんが爽やかにそう言われました。
どうやら、カインさんとベイルさんの間にあった何かの問題は解決したようですね。
「ホットケーキ美味しかったよ! ありがとう!」
カインさんがお礼を言って下さり、ベイルさんも何ともいえない顔で頭を下げてお礼を言って下さいました。
「どういたしまして」
よく分かりませんが、あの激甘ホットケーキが役に立ったようでよかったです。
「武器の方はまだ調べている最中だが、今のところ、壊れる様子は見られないといった感じかな」
カインさんが、私がお願いしている強度チェックのことも教えてくれました。
まだ時間はかかりそうですが、今のところ、私の予想通りの結果になりそうな感じですね。
ベイルさんが何か思い出したのか、疲れた顔になっています。
……いったいどんなチェックをしているのでしょうか?
ついでに、忘れないうちに伝えておこう。
「初級ダンジョンの地下十階の地図ができたので、何時でも差し替えできますよ」
「ああ、今あるなら貰っておこう」
ベイルさんがそう言われるので、100Gと引き替えで、持って来ていた地図を渡しました。
完成してない方の地図は、また時間がある時に持って来て下さるみたいです。
さて、これでもう確認することはないかな?
今日はカインさんもベイルさんも背負い袋を持ってきておられます。
アイテムバックでなくて大丈夫かな?
まあ、とりあえずこのまま行くとしますか。
◇◇◇
中級ダンジョンの入口へとやってきました。
中級ダンジョンの中へ入ると、初級ダンジョンと同じように小部屋があり、すぐに地下一階へ下りる階段があります。
ただ、初級ダンジョンと違い、小部屋の左右に、別の小部屋があります。
その左右の小部屋には、オーブがありました。
「地下十階までいくと、これと同じようなオーブがあって、そこと行き来ができるようになるんだ」
カインさんの説明によると、中級ダンジョンは地下十六階まであり、一階の広さが初級ダンジョンの倍ほどあるらしいです。
普通に行くと、ダンジョンの中で何泊かしないといけなくなりますが、ありがたいことに、地下十階までたどり着ければ、地上と地下十階を行き来できるようになります。
親切なダンジョンです。
カインさんとベイルさんは、地下十階に行けるそうです。
しかし、一緒に行くメンバーに一人でも行ったことのない人がいると、オーブが反応してくれないそうです。
ズルはできないようになっているのですね。
説明して貰ったついでに、私の転移魔法のことも伝えておきました。
「ダンジョン探索のためにあるような魔法だな……」
ベイルさんが小さな声でボソッと言われました。
確かに我ながら不思議な魔法です。
これ、地上では利用価値が無いのでしょうか?
……いつか調べてみよう。
調べるといえば、さっそく転移魔法のレベル2で、中級ダンジョンの地下五階へ行けるかを確かめました。
結果、やはり行ったことがある場所でないと行けないようでした。
「帰る事を心配しなくていいのは助かるな。今後もずっと一緒だと助かる……」
「おい、プロポーズする気か?」
カインさんの言葉に、ベイルさんが余計なツッコミを入れてしまったようです。
「おまえは! いつも一言余計なんだよ!」
カインさんの耳が真っ赤で可愛いです。
大丈夫ですよ。
真に受けたりしないので、安心して下さい。
「では行きましょう」
ベイルさんはそう言うと、捕まえようとするカインさんの手をすり抜けて階段の方へと行ってしまいました。
慌てて追いかけるカインさんを、私も慌てて追いかけていきました。
ドタバタしながら地下一階へとやってきました。
見た感じ、初級ダンジョンの地下一階を広くしたといった感じです。
「ここは道が三つに分かれているが、左右は行き止まりになっている。まずはそこから確認するか?」
……いやいや、お二人とも目の前の不自然なモノに気付かないのでしょうか?
「あの、そこにある岩……気になりませんか?」
私がそう言ったのですが、二人は私が何を言いたいのか、すぐには分からないようでした。
「何か問題が?」
ベイルさんが本当に不思議そうに聞いてこられます。
私の方が問題なのかと不安になってきます。
いや、でもよく見て下さい。
初級ダンジョンの時には感じなかった違和感があるのですが……。
左右の道側ではなく、階段を下りて正面の真っ直ぐな道の左脇に、作り物のような岩が一つあるのですが……。
背負い袋くらいの大きさの岩ですね。
「あの岩を詳しく調べたいのですが」
私がそう言うと、二人とも何も言わずに従ってくれました。
岩に近づいて触ってみて、これは本物の岩では無いと確信しました。
少し岩を叩いてみると、どうやら中が空洞のような気がします。
「これは、どうやら偽物の岩のようですね……」
カインさんもやっと理解できたようです。
「そんなばかな……」
ベイルさんはどこかまだ信じたくないような感じですね。
調べていると、岩が少しずれたような気がします。
これはひょっとして……。
思い切って持ち上げてみようかな?
「えいっ!」
岩を持ち上げてみると、なんとそこにはアイテムが!
二人とも絶句していますね。
それにしても……軽く持ち上げられました!
ずっと持っておくのも大変なので、邪魔にならない所へ置いておきます。
「……これは『回復薬』だな」
カインさんがアイテムを持ち上げて眺めておられます。
一通り眺め終わったら、私に渡してくれました。
小さな瓶に緑色の液体の入ったアイテムは『回復薬』だそうです。
詳しいことは、帰ってから調べることにします。
「なんでこんな所にアイテムが……」
ベイルさんが思わず口にするのも分かります。
私は魔物さん達に言いたい……。
こんな隠し方しちゃダメでしょ!
アイテム持って帰って欲しいんだよね?
これじゃあ普通は見つけられないよ!
まだ中級ダンジョン入ってすぐなのに……先が思いやられる。
読んで頂きありがとうございます。
ブクマして頂きありがとうございます。
第二章が始まりました!
内容とまったく関係ありませんが……
今日の活動報告に「シルエット画像で遊ぼう!初級」というお遊び画像を載せています。
アイテムNo.2と3のシルエット画像で遊んだモノです。
興味のある方はどうぞ。