39 ボス戦後の宝箱
いろいろと課題の多い戦いが終わると、宝箱が出現しました。
ちなみに、課題があるのはドラゴンさんの方ですからね!
「立派な宝箱だねー。開けていい?」
シェイラはそう言うと、返事も待たずに開けてしまいました。
初級ダンジョンの宝箱には罠のようなものは無いらしいです。
シェイラもそれが分かっていたので、待ちきれずに思わず開けてしまったようです。
「これは……」
宝箱の中を見て、ジンが言葉を失っていますね。
私も同じ気持ちです。
情報としては知っていたのですが……。
初級ダンジョンの「武器&防具セット」とでも言えばいいのでしょうか。
「この宝箱を持ち帰りたい~!」
シェイラが言うように、アイテムの入っている宝箱は、持ち帰りたい程の素晴らしい箱なのです。
しかし「絶対に持って帰らせないぞ」という意思を感じるほど、地面に貼りついています。
「とりあえず、中身を出して確認するか」
ジンの言葉で、ようやく中身の確認作業へと取りかかります。
ジンが取り出したモノを、私が確認していきます。
「どれどれ、『鉄のナイフ』『鉄の剣』『木の杖』『布の服』『皮の胸当て』『皮のブーツ』『皮のコテ』『白いブレスレット』……」
アイテムは各種一個のようです。
『白いブレスレット』は五個あるので、おそらく全部違う種類のはずです。
「あ、お金も入ってるー」
シェイラがお金を取り出して渡してくれたので数えてみると、1,000Gありました。
……なんとも言えない金額です。
まだ宝箱の中にはアイテムがあるようです。
「あと二個あるの? どれ……」
ジンがそっとアイテムを手渡してくれました。
……これは『木の棒』と『魔物の皮』ですね。
まあ、確かに『木の棒』でも戦えます。
『魔物の皮』もドラゴンの脱皮した皮です。
入っていても不思議ではありませんが、最後にこれを見ると残念感が……。
箱にアイテムを入れる順番を、もう少し考えてほしいものです。
「ああ~宝箱が~」
シェイラが悲しそうな声をあげるので見てみると、宝箱が消えていきました。
残念ですが、仕方ありませんね。
「この後どうする?」
あまりにもあっけなく戦いが終わってしまったので、相談しなければなりません。
「まずはステータスの確認をしてみるか」
「そうだね~」
ジンの言葉に従い、お互いのステータスを確認してみると、全員レベルが上がっていました。
サラサ レベル11
体力 115
魔力 65
物理攻撃 21
魔法攻撃 24
物理防御 21
魔法防御 24
速さ 22
魔法 ファイヤー レベル4
コールド レベル3
ヒール レベル1
転移 レベル1
シェイラ レベル12
体力 170
魔力 14
物理攻撃 30
魔法攻撃 12
物理防御 31
魔法防御 14
速さ 25
魔法 ヒール レベル1
ジン レベル12
体力 180
魔力 12
物理攻撃 31
魔法攻撃 14
物理防御 30
魔法防御 14
速さ 24
魔法 風の刃 レベル1
物攻アップ レベル1
数字はすべて、武器と防具の補正を省いたものです。
ダンジョンの中でレベルが上がると、魔力は回復するようなので助かります。
「新しくヒールの魔法が使えるようになったよ!」
私がそう伝えると、ジンも新たに使えるようになった魔法を教えてくれました。
「物理攻撃を一時的に上昇させられるみたいだな」
「今回は何もなかった~」
シェイラの魔法に変化はないようです。
私は、使用できる魔法の四種類全てが早々に分かりました。
攻撃魔法二つ、そして回復魔法と特種魔法ということで、魔法をメインで戦う万能型のようです。
ジンはまだ二つしか魔法が分かりませんが、どうも剣で戦うことをメインにした攻撃型のような気がします。
「これなら、さっきより楽に戦えそうだな」
「そうだね~。サラサの魔法が使えるだけ使ってから帰る?」
シェイラの言葉にジンと共に賛成し、ボス戦を何度かしてから帰ることになりました。
ボス戦か……。
笑わないように頑張ると、腹筋が鍛えられそうですね。
◇◇◇
魔力にはまだ余裕があったのですが、ボス戦を七回したあたりで帰ることにしました。
戦いには余裕があったので、いろいろ試してみました。
そして分かった事があります。
それは、コールド魔法のレベル3が使えたから、楽に戦えていたということです。
レベル11までの段階でレベル3以上の魔法が使える人が、そもそも少ないのでしょう。
レベルといえば、私のレベルも12になりました!
シェイラとジンはそのままです。もう一回ボス戦をしたら上がりそうではありましたが。
おそらく、自分のレベルより下の魔物だと、レベルを上げるのが難しいということなのでしょう。
私のレベルが上がっての変化といえば、特種魔法のレベルが2になったことでしょうか。
調べてみると、ダンジョンの入口から五の倍数階へ行けるようになりました。
おそらく、行ったことのある場所だけなのだと思います。明日にでも中級ダンジョンで試してみようと思います。
魔法で初級ダンジョンの五階に行くと、階段を下りた場所へ出現するようです。
特種魔法なので、魔力の消費がすごいですね。
一回使用するのに魔力を20も必要とします。
あ、もう一つ大切なことがありました。
『大きな鍋のフタ』の存在です。
これがあると、まったく怪我をしませんでした。
結局、ヒールは一度も使用することが無く、シェイラも途中から攻撃に加わっていました。
これから『大きな鍋のフタ』について宣伝していく予定だったのですが……これって問題があるような気もします。
いやでも、私も商売しないといけませんし、どうしたものか……。
まあ私が悩んでも仕方がない事でもありますし、魔物さん達から苦情が出たときにでも考えましょう。
そう、魔物さんといえば……。
ドラゴンさんと何度も戦ったわけですが、最後に倒れる度に、どこかをぶつけてしまうようです。
横に倒れたら鼻を打ち、前に倒れたらアゴを打ち、また横に倒れたと思えば肩を打ち……。
本当に、早急に、せめて倒れ方だけでも教えてあげてほしいです。
◇◇◇―――◇◇◇
◇◇◇―――◇◇◇
サラサ レベル12
体力 130
魔力 75
物理攻撃 24
魔法攻撃 27
物理防御 24
魔法防御 27
速さ 25
魔法 ファイヤー レベル4
コールド レベル3
ヒール レベル1
転移 レベル2
読んで頂きありがとうございます。
評価とブクマをありがとうございます。
お知らせを一つ。
自分の描いた絵を整理するために、「挿絵の置き場所」というのを連載形式で載せています。
主に、この小説で使用した挿絵についてを載せていく予定です。(たまに違うのも入りますが)
そちらでは圧縮してない画像を載せています。
興味のある方はどうぞご覧下さい。