4 斡旋所に到着
8月15日レイアウトの変更。内容は変わりません。
南広場の北にある斡旋所へとやってきました。
入口を入ると、左右にカウンターがあり、どちらにも斡旋所の職員の方が二人座っておられます。
案内板を見たところ、私のような依頼に対応してくれるのは、右手のカウンターのようです。
「こんにちは。今から初級ダンジョンに一緒に行ける方を、紹介して欲しいのですが」
用向きを伝えると、綺麗なお姉さんが笑顔で対応してくれます。
「では、まずこちらに必要事項を記入してください」
紙を渡されたので、質問事項に答えて記入し、書き終えたらお姉さんに渡します。
「それでは確認します。お名前はサラサさん。レベル5で、魔法が使えるということですね」
「はい」
「希望条件は、人数三人以内、各人レベル5以上、今からすぐに初級ダンジョンへいける、全入手アイテムの買い取り、以上でよろしいですか?」
「はい」
「では、少々お待ちください」
そう言うと、受付のお姉さんは、受付カウンターの後ろにある四角い箱の上に紙を置きました。
すると、箱が一瞬光り、箱の底近くにある横に細長い穴から、紙が一枚出てきました。
「お待たせしました。現在、希望条件にかなうのは一組です。カウンター左にある青いドアより部屋にお入りください。待合室より呼んでまいりますので、部屋でお互い最終確認の後、こちらのカウンターに報告してください」
「はい、分かりました。ありがとうございます」
言われた通りに部屋へ行くことにします。
どんな人が来るのか分かりませんので、ちょっと緊張します。
しばらくすると、二人の男女がやってきました。二人とも剣士のような格好です。
まずはお互い自己紹介からです。
「初めまして。名前はサラサです。主に魔法で戦っています」
「初めまして! 私がシェイラで、こっちがジン。二人とも剣で戦ってるよ!」
元気のいい女性がシェイラさんで、おとなしい男性がジンさんというらしい。思った通り二人とも剣を扱うようだ。
「よし、じゃあさっそく行こう!」
「ちょっと待て!」
さっそく飛び出して行こうとするシェイラさんを、残り二人で慌てて引き止めます。
名前以外、まだ何も確認できていませんから!
気を取り直して、話を再開です。
「申し訳ない。改めてよろしくお願いします」
どうやら今度はジンさんが話を進めるらしい。
私もその方が安心です。
シェイラさんも反省したのか、しおらしくジンさんの横で一緒に頭を下げています。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
いきなりのことで驚きはしましたが、悪い感じの人達ではないので、このまま話を詰めていくことにします。
「私達は幼なじみで、成人したのをきっかけに、冒険者になることにしたのです。二人ともレベル5です。しばらくはこの町のダンジョンでレベルを上げようと思っています。初級ダンジョンのアイテムは、特に必要としていませんので、あとは値段だけ決めておけば大丈夫です」
なるほど。ではこちらも事情を説明しましょうか。
「私は、明日からこの町でお店を開く予定です。そのお店で売るアイテムを、現在必要としています。レベルは同じく5なので、出来れば地下五階まで行けたらありがたいです。時間は夕食前までで。値段についての取り決めですが、そちらからの希望は何かありますか?」
「そうですね……。出来れば、手に入ってから一つ一つ値段を決めての買い取りでは無く、まとめていくらと、事前に決まった値段付けだとありがたいのですが、いかがですか?」
そうか、ジンさんしっかりしてるなぁ。
アイテムは何が手に入るか分からないし、こちらが必要とする物によっては、まったくお金にならないかもしれないからね。
親から開店資金はしっかり貰っていますので、ここはジンさんの希望をかなえましょう。今はとにかくアイテムが欲しいのですから。
「では、この町の平均的な宿の宿泊費、一泊二食を二人分ということでどうでしょうか? その代わりに、斡旋所でアイテムバックをそれぞれレンタルしてください。レンタル代は私が払いますので。あと、回復は薬草のみの使用でお願いします」
アイテムバックは、私のウエストポーチ程入りませんが、背負い袋二つ分くらいなら余裕で入ります。
「いいんですか! それはありがたいです。私達はまだ魔法を使えないので、薬草だけで十分です。……ということで、二人分で9000Gくらいですか?」
「そうですね。基本はそれで。もしいい物が多く手に入れば、料金追加しますので」
二人ともとても喜んでくれて、なんだか私も嬉しいです。
話が済んだので、カウンターへ行きます。
受付のお姉さんに紙を渡されたので、それに報告を書き込みました。
「それでは確認します。時間は、今から夕食前頃まで。場所は、初級ダンジョン。入手アイテムについては、サラサさんが9000Gで全て買い取る。その他、アイテムバックを二つレンタル。レンタル代は合計200Gです。以上でよろしいですか?」
三人ともそれで大丈夫だと伝えると、アイテムバックを二つ出されました。
私は200G支払い、受け取って二人に渡しました。
「アイテムバックは、今日中にこのカウンターまで返却しに来てください。この報告用紙はしばらく保管されますので、何か契約上のトラブルがありましたら、またお越しください」
アイテムバックを返却し忘れると、追加料金をとられます。破損や紛失させると、新品を買うのと同じ金額を支払うはめになるそうです。気をつけねば。
準備も整いましたので、これで出発できます。
◇◇◇
三人だと、戦闘がとっても楽です。
あっという間に地下三階までやって来ました。
これから、地下四階へと下りるところです。
私達は同い年ということもあり、すっかり打ち解け、お互い名前は呼び捨てです。
いい人達と出会えました。
「ねえ、サラサに聞きたいことがあるんだけど~」
シェイラがちょっと思案顔で近寄ってきます。
「な~に? どしたの?」
シェイラはジンと顔を見合わせた後、おもむろに質問してきました。
「今朝、ダンジョンのゴミを両手に持って歩いてると噂になってたの、サラサじゃない?」
なんですと! そんな恥ずかしい噂が……。
「うっ……。確かにゴミは持ってたけど……」
「やっぱり! 地下一階で、ゴミをポーチにしまってたから、ずっと気になってたんだ~」
そうですか、そうですよね。普通、気になりますよね。
「何か、利用価値でもあるのですか?」
ジンよ、できることなら私もそれを知りたいです!
まあ、そう言う訳にもいかないので、適当にそれらしく答えておくことにします。
「私の店は、この町にある三つのダンジョンで手に入るアイテムを取り扱う専門店にする予定なの。自分には利用価値のない物でも、ひょっとしたら必要とする人がいるかもしれないじゃない!」
アイテム本のことを話す訳にもいかないし、今言えるのはこの程度かな。
「そうなんだ! ということは、何でも買い取ってくれるの? ゴミでも?」
シェイラが驚いたように聞いてきます。
「ま、まあね。でも、ゴミはさすがに1Gかな~」
私の言葉にジンも驚いて聞いてきます。
「1Gでも、値段をつけるだけですごいですよ。1Gを笑う者は1Gで泣くと言いますし。ゴミも売るのですか?」
「……まあ、欲しい人には売るよ」
二人ともいやにゴミの話に持っていきますが、他のアイテムも扱いますから!
「そういう訳なんで、二人ともぜひお店に来てね!」
もう、この話は強引に終わらせます。まだまだ聞きたいことがあるようですが、このままでは、いつまでたっても次の階へ行けませんから!
◇◇◇―――◇◇◇
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シェイラ レベル5
体力 80
魔力 5
物理攻撃 14
魔法攻撃 5
物理防御 15
魔法防御 5
速さ 11
魔法
ジン レベル5
体力 90
魔力 5
物理攻撃 15
魔法攻撃 5
物理防御 14
魔法防御 5
速さ 10
魔法