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35 防具屋のご主人に相談


 思っていたより話し込んでいたようで、帰るとギリギリの時間でした。

 急いでお店を開けると、すぐにリケットさんが来られました。


「おはよう、朝から何処か行っていたのかい?」

「おはようございます。ちょっと用事があり初級ダンジョンに行っていました。もしかして、お待たせしてしまいましたか?」


「いや、それは大丈夫なのだけど、まだ開店して間もないから無理しないで欲しいなと思ってね」


 何気ない一言に心が癒やされます。


「ありがとうございます。疲れたらリケットさんの店の料理で元気を出すので大丈夫ですよ!」

「はは、嬉しいこと言ってくれるね。サラサちゃんならいつでも大歓迎だよ!」


 楽しく話をしながら、薬草を二十個渡します。

 今日から薬草の数が倍になり、有難いことです。


「明後日は店が休みなので、明日はどうされますか?」

「そうだね、朝一番に薬草四十個欲しいけど大丈夫かな?」


 薬草はたくさんあるので、明日は二日分の四十個を渡すことになりました。


「ありがとう、じゃあ明日またよろしくね」


 そう言うと、リケットさんは帰っていかれました。


 その後、午前中はそこそこお客さんが来られました。

 でもそれらのお客さんの目当ては、ダンジョン産の食べ物類です。

 武器や防具は売れません。


 そこでふと、ゴブさん達と話したことを思い出しました。

 確か、ダンジョン産の武器は壊れないようなこと言っていましたよね?

 ダンジョンの中だと、壊れたアイテムと入れ替えられることがありますが、ダンジョンの外だったらどうでしょう?


 ひょっとしてこれって凄いことなのでは?

 ……これは実験してみる必要があるかもしれません。

 もし壊れないなら、村の常備品等にできるかもしれません。

 初級ダンジョンの武器や防具なら、誰でも身につけられるはずですから。


 ……とりあえず、カインさんが来られた時に相談してみよう。

 考え事をしていると、いつの間にかお昼になっていました。

 昼食を食べたら、防具屋に行かねばなりません。



◇◇◇



 防具屋さんにやって来ました。

 そういえば、昼食後に行くことを防具屋さんに事前に伝えるのを忘れていました……。

 朝伝えておくつもりだったのですが、ゴブさん達から衝撃の事実の数々を聞いたことで、すっかり忘れていました。

 ……大丈夫かな? とりあえず声を掛けてみよう!


「こんにちは。ご主人はおられますか?」


 店に入ると防具屋の奥さんがおられたので、尋ねてみました。

 大丈夫なようです。

 午後からの仕事を始められる前だったようです。

 よかったぁ~。これで相談ができます。


「どうした?」

「少し相談事がありまして……」


 ウエストポーチから『大きな鍋のフタ』を取り出し、説明することにします。


「これなのですが、ファイヤー系統の魔法を跳ね返してくれるのですが、持ち手が熱をもち火傷してしまうので、『魔物の皮』を貼り付けたらどうかと思いまして。それとも『魔物の皮』で手袋を作った方が良いでしょうか?」

「……いやいや、ちょっとまて。まずなんだこれは? 鍋のフタじゃないのか?」


 そうでした。

 もう私の中ではすっかり当たり前のことになっていましたが、普通は違いますよね。


「いきなりすみません。説明不足でした」


 まず『大きな鍋のフタ』の説明からしていくことにします。


「この『大きな鍋のフタ』は中級ダンジョンで手に入り、盾として使用することができます」

「これがか? まあ……盾にできるといえばできるか?」


 防具屋のご主人が驚きながら、『大きな鍋のフタ』を調べておられます。


「で、これでファイヤー系統の魔法を跳ね返せると……。鍋のフタだからか?」

「まあ、おそらくそういうことだと思います」


「普通に鍋のフタとしても使えそうだな……っていうか、本来はそっちか。鍋の下の部分はどうした?」


 鍋の下の部分ですか?

 それは私も知りたい……。


「まだ見つかっていません……という言い方もおかしいと思いますが。私は今のところフタの部分しか見たことがありません」

「そうか……」


「……というこで、盾として使えるようにしたいのです」


 危うく会話が終わるところでした。

 本題に入らねば。


「このままだと火傷をするので、どうにかならないでしょうか?」

「そうだな……」


 ご主人は『魔物の皮』を取り出して、何やら考え込んでおられます。


「普段、腕や手に何を装備しているかで変わると思うが……。両方しておくか?」

「両方ですか?」


 私が尋ねると、ご主人が説明してくれました。


「騎士団の連中を見たら分かると思うが、すでに手に防具を着けていると、さらにそこに手袋を付けるのは無理だ。皮のサイズの問題もあるしな。フタの持ち手付近を加工した方がいい。だが、初級ダンジョンに行っている連中の装備なら手袋の方が安全だ」


 なるほど。そういうことですか。

 どうしよう……。

 実は、ちょっと思いついたことがあります。


 この『大きな鍋のフタ』は、初級ダンジョンのボスと戦うにはとてもいいアイテムなのですが、買うと8,000Gします。

 しかも、普段持ち歩くには恥ずかしいアイテムです。

 おそらく、皆さんは必要なときだけ欲しいと思うはずです。


 ということで、いっそのことレンタルにしたらどうかと思った訳です。

 自分が使うだけなら手袋でいいのですが、レンタルにするなら両方対応出来た方がいいですよね。


「両方お願いしてもいいですか? いろんな方が使用できるようにしておきたいので」

「分かった。この程度ならそんなに時間は掛からないだろう。明日の午後に取りに来るか?」


「できればあと二つありますので、それらもお願いできますか? 手袋は女性用と男性用と用意して頂けると有難いのですが」


 残りの二つも持ってきていたので、ウエストポーチから出して渡しておきます。


 ダンジョンのアイテムは、自動でサイズが変わる魔法が付与されていますが、普通はそんなものはありません。

 そういうことで、男女でサイズの違う物も用意しなければなりません。


「大丈夫だ。なら明日の夕方までには仕上げておく。取りに来られるか?」


 夕方か~。ダンジョン帰りの方々が来られると、出られないかも。

 あ、でもそれならシェイラとジンに頼めるかな?

 二人が来るのが遅くなったとしても、女の子四人組にお使いを頼む依頼をするという手もあるか。


「夕方は出られないかもしれませんので、その時は誰かに頼んで取りに行ってもらいます」

「そうか、なら息子に届けさせる」


 あらら、あっさりと問題解決です。


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 これで問題が一つ片付きました。


 ただ、こうなってくると、本格的に『大きな鍋のフタ』が売れるようになるのはまだ先になりそうです。

 大きな鍋の下の部分よ! いったいどこにあるのだ!



読んで頂きありがとうございます。ブクマして下さった方ありがとうございます。

1月もまだ忙しいのですが、先月のようなことにはならない予定です。

更新するときは活動報告で予告できたらと思っております。

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