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33 説明を省略


 ゴブさんとライムさんは、あっという間にサンドイッチを平らげてくれました。

 美味しかったようで良かったです。

 食後に、私にもお茶を出してくれたので、一緒にまったりと飲んで……。

 はっ! 危ない所でした。

 質問を再開しなければ!


 さて、何を聞くか悩みましたが、まずはアイテムのことを聞いていくとしますか。


「魔物を倒した後に手に入る『スライムの核』『魔物の肉』『魔物の骨』『魔物の皮』について聞いてもいいですか?」

「…………」

「……」


 あれ?

 なんだかゴブさんの目が泳ぎ、ライムさんが不安定に揺れています。


「どうしたのですか?」

「な、何でもないだー。聞くといいだー」

「ポ、ポヨー」


 ……動揺していますね。

 何か聞かれたくないことでもあるのでしょうか?

 でも、ここで聞かないという選択肢はありえません!


「ではまず『魔物の肉』についてですが、なぜピッグの肉なのでしょうか?」


 おお、ゴブさんとライムさんが冷や汗をかいているように見えるのですが……。


「なぜ、そう思うだー?」

「ポヨー?」

「肉屋さんが、ピッグの肉だと教えてくれましたよ? それに『スライムの核』と『魔物の骨』が石で、『魔物の皮』がドラゴンの脱皮した皮ですよね?」


 私の言葉に観念したかのように、ゴブさんが肩を落としています。

 ライムさんは……とろーんとゴブさんの頭上で広がっていますね。まるでゴブさんがヘルメットを被っているかのように。

 うう、少し申し訳ない気持ちになってきました。


「ばれたら仕方がないだー。何が知りたいだー?」

「ポヨヨー?」


 ……なんだかすみませぬ。


「アイテム本の説明では『魔物の肉の一部分』と書かれているのですが、なぜですか?」

「最初はちゃんと書いてただー」

「ポヨー」


 最初?


「途中で変わったのですか?」

「本を作る最終段階で変わっただー」

「ポヨー」


 本を作る最終段階?

 また気になる言葉が出てきました。

 う~ん、今はまだこれを聞き出すことは無理なような気がするので、今回はやめておきます。


「なぜ変わったのですか?」

「ボスの中のボスがだー、文をもっと短くしろと言っただー」

「ポヨポヨー」


 え? 文章を短くしろと言われて変えたと?


「ダンジョンのアイテムらしくしろとも言われただー」

「ポヨー」


 ボスの中のボスさん……。

 知れば知るほど、とても気になる存在ですね。


「では、始めはどんな説明文だったのですか?」

「ちょっと待つだー。持って来るだー」

「ポヨー」


 ゴブさんが奥の部屋から一枚の紙を持って、戻って来られました。

 気に入ってしまったのか、ライムさんがヘルメット状態のままなんですが……。


 ゴブさんはすぐに、持って来た紙を私に渡してくれました。

 どうやらこの紙に、始めに作った文章が書かれているようです。

 紙には、アイテムNo.22からNo.25までのアイテム名と説明が書かれていました。


『アイテムNo.22


○改訂前

「スライムの核のような石」

 ゴツゴツした青い石を、まるでスライムの体内にある核と見まがうかのように、丁寧に磨き上げた一品です。

 これを使えばすぐに何か装備品が作れるかもしれません。

 イヤリングなんかどうでしょうか。


○改訂後

「スライムの核」

 スライムの体内にある核。何か装備品が作れるかも。』


『アイテムNo.23


○改訂前

「魔物が飼育しているピッグの肉」

 魔物が食用に飼育しているピッグの肉の一部分です。

 血抜きに失敗してしまい、とても臭くて人間には食べられない状態になってしまいましたが、一部の魔物になら餌として利用できそうです。

 きっと何か、魔物をおびき寄せる罠などに使えるはずです。


○改訂後

「魔物の肉」

 魔物の肉の一部分。とても臭くて食べられないが、きっと何かに使えるはず。』


『アイテムNo.24


○改訂前

「魔物の骨のような石」

 ゴツゴツした白い石を、まるでスケルトンという魔物の骨の一部分と見まがうかのように、丁寧に磨き上げた一品です。

 これを使えばすぐに何か装備品が作れるかもしれません。

 ブレスレットなんかどうでしょうか。


○改訂後

「魔物の骨」

 魔物の骨の一部分。何か装備品が作れるかも。』


『アイテムNo.25


○改訂前

「ドラゴンという魔物の脱皮した皮」

 ドラゴンという魔物の脱皮した皮です。

 どうやら脱皮するのが苦手なようで、いつも皮がボロボロになっています。

 これは利用できそうな所を切り出した皮の一部分です。

 何か小さいサイズの装備品が作れるかもしれません。

 手袋なんかどうでしょうか。


○改訂後

「魔物の皮」

 魔物の皮の一部分。何か装備品が作れるかも。』


 ボスの中のボスさん……。

 私はあなたに言いたい!


 省略しすぎ!!

 意味がいろいろ変わっちゃってるから!!


「どうしただー?」

「ポヨー?」


 思わず手に力が入ってプルプルしていたら、紙に少しシワができてしまいました。

 すみませぬ。


「あ、ありがとうございました。これ、私に見せてもよかったのですか?」


 冷静になってくると、少し不安になってきました。

 これ、かなり重要な書類の一部のような気が……。


「初級ダンジョンのアイテムは大丈夫だー。たぶんバレた後だから心配要らないだー」

「ポヨー」


 たぶん?

 ゴブさん……かえって不安なのですが。


「特権ということだー」

「ポヨー」

「アイテム本を持つ者だけは、知ることができるということですか……」


 無理矢理こじつけたような気もしますが。

 まあ、おそらく大丈夫かな?


 それにしても、このような書類が残っているとは……。

 魔物達が集まって、会議でもしていたのでしょうか?




読んで頂きありがとうございます。

ブクマして下さった方ありがとうございます。

今後、更新予定や報告等、活動報告にいろいろと書いていくつもりです。

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