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29 防具屋のご主人が来店


 昼前になると、シェイラとジンがやって来ました。

 いつものように前日の買い取り金を渡すと、シェイラが話かけてきました。


「今日は目玉商品の所に『白いブレスレット』を置いてるんだね~」

「何の『白いブレスレット』かが分かれば、少しは売れるかと思ってね」


 ……あれ?

 シェイラの何気ない言葉に答えて、不意に自分の勘違いに気付きました。『白いブレスレット:攻』以外の『白いブレスレット』が手に入ったとき、アイテム本を見ないと分からないと思い込んでいましたが、よく考えてみると、アイテムを身につけてステータスを見れば効果だけなら分かります。


 アイテム本があることで、アイテムの正式名称と詳細説明の確認に意識を持っていかれてました! 効果が分かればよかっただけの時もあったのに。

 まあ、二人もアイテムのことなら私に聞けば詳しいことが分かると思っていたから、自分達で調べなかったのでしょう。

 私がアイテム本に依存していた部分があったということです。今後は気を付けねば。


「初級ダンジョンで最初に手に入る『白いブレスレット:攻』は、皆初めてだから確かめるだろうけど、それ以降に手に入った物は見た目が同じだから確かめて無いかと思ってね。シェイラみたいになにか違うと感じれば別だけど」

「確かに」


 ジンも納得してくれたようです。

 『白いブレスレット』を見たら、物理攻撃力が1プラスされると思い込んでしまっており、確かめることをしなくなっている冒険者が多いはずです。


 ちなみに、同じアイテムを二個身につけても、効果は一個分しかありません。要するに、『白いブレスレット:攻』を二個身につけても、物理攻撃力は1しかプラスされません。


「そういえば、私達以外は『白いブレスレット』を一個しか身につけてないね~」


 片腕で一つだけ有効になるようなので、私達は左右で違う種類を身につけています。

 中級ダンジョンに行くような方が一個しか身につけていないのは、『白いブレスレット』に種類があると知らないからだと思います。

 まあ、なかには戦う時に邪魔だから身につけてない人もいるかもしれませんが、それは例外とします。


 とりあえず『白いブレスレット』についての話はここまでとし、今日の予定を二人と軽く話し合うことにします。


「ボスについての情報は何かあった?」


 私から尋ねると、シェイラがよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに胸を張って答えてくれました。


「初級ダンジョンのボスはミニドラゴンで、私達と同じくらいの大きさらしいよ。翼で飛ぶことも無いらしいから、気を付けるのは炎のブレスくらいらしいよ!」


「炎のブレスは全体攻撃かな?」

「ああ、全体攻撃だと言っていたな」


 私の質問にジンが答えてくれました。


「戦闘開始でいきなりブレス攻撃されるらしいけど、それさえしのげたら何とかなりそうだよ。サラサのコールドの魔法が弱点になるらしいしね!」


 シェイラの話を聞いていると、なんとか倒せそうな気持ちになるから不思議です。肝心なブレスをしのぐ方法がまだ見つかっていないのに……。

 炎……? そういえば最近いいアイテムを買い取っていました!


 早速いいアイテムがあることを伝えようとしたのですが、別のお客さんが来られたので、また後で伝えることにします。


「あ、お客さん来たね」

「閉店前にまた来るから、続きはその時に」


 シェイラとジンはそう言い帰っていきました。



◇◇◇



 昼食後、防具屋のご主人が『魔物の皮』を持って来られました。


「おい、なんでこんなに皮を小さく切り刻んでんだ!」


 店に入って来るなり、私に怒ったように尋ねられます。

 そんなこと私に聞かれても困ります!


「私が切った訳では無く、ダンジョンで手に入った時、すでにその大きさなんです!」


 私もついつい防具屋のご主人に負けないような声で答えてしまいました。


「! そうか……すまない」


 どうやら自分の勘違いに気付いて下さったようでなによりです。


「皮は全部この大きさの物しかないのか?」


 ありません! ときつく言ってしまうところでした。

 危ない危ない。これでは商売人失格です。


「ダンジョンで手に入る『魔物の皮』は、全て同じ大きさです」


 私がそう答えると、防具屋のご主人はがっくりと肩を落とされました。

 いったいどうしたのでしょうか?


「もったいない……ドラゴンの皮なのに……」


 え? ドラゴン?


「あの、ドラゴンの皮なのですか?」

「知らずに売っていたのか? これはおそらく、ドラゴンが脱皮した後の皮だ」


 何やらまた新事実が……。


「仕方ない、補強用に使うか。これでいいから売ってくれ」


 使い道はあるようなので一安心です。

 値段が安いので、お詫びも兼ねて百個買って下さるそうです。


「すまなかったな、また買いにくるよ」

「いえ、こちらこそ失礼しました。今後ともよろしくお願いします」


 防具屋のご主人は、謝りながら帰られました。


 どうやら職人として材料を無駄にするのが許せなかっただけのようで、誤解が解けた後はとてもいい方でした。



 さて、これで一つはっきりしたことがあります。

 ダンジョンで魔物達を倒した後に手に入るアイテムは、魔物達の体の一部では無いということです。


 スケルトンを倒した時に『魔物の皮』が手に入ってしまったのも、そもそも戦っている魔物達とは関係ないアイテムだったからなのでしょう。

 私が思うに、スケルトン達に持たせるアイテムを間違えていただけではないでしょうか?


 今すぐ真相を確かめに行きたい!

 気になる~!

 よし、明日の開店前に聞きに行こう!


 明日ゴブさんに聞きに行くと決めたことで、少し気分が落ち着きました。

 それにしても……ドラゴンの脱皮した皮とは、初級ダンジョンのボスの基になったドラゴンが脱皮した皮なのでしょうか?


 ああ~気になる!





更新が遅くなりすみません。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ブクマ、評価して下さった方ありがとうございます。

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