漆黒の涙と闇魔法
皆さんこんにちは一宮誠也です。
いやー、熱いですねー熱い熱い。
あ、そうそう、皆さんに見せたい物があったんですよ。
なんと、初公開!私の今のステータス!
いやー楽しみですねー。
はい、準備ができました。
それではーどうぞ!
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一宮 誠也 Lv.12 16歳 男 冒険者
攻撃 36 [+10]
物理防御 36[+15]
魔法防御 36 [+5]
素早さ 36 [+5]
魔力 120[+10]
経験値 60
装備 ロングソード
スモールシールド
革の鎧
所持金 2650S
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いやー、我ながら成長したなーと思うんですよねー。
レベル1の時なんか魔力だけ10で他全て3だったからなー。
あ、そうそう。
レベルアップしていて気づいたんですけどどうやら魔力以外はレベルの3倍の数値みたいですねー。
まぁ、なぜか魔力だけは10倍ですけど…
みんなそうなんですかね?
いやー、1人だとわからないですね!
あ、これもついでに教えときましょう!
所持金のSはこの世界の単位で、セイントって読むみたいです。
いやー何かかっこいいですよねー笑
ちなみに、1Sを円で表示すると10円です。
だから今の所持金は26500円!
地球にいた頃はこんな大金持ったことなかったよ!
悪いか!
…ふう。少し熱くなってしまいましたね。
あ、じゃあ次に暗黒竜君のステータスを見せましょう!
何故、暗黒竜のステータスがわかったかって?
いやー実はですね、スキルの索敵のおかげなんですよねー。
索敵の効果がなかなかチートだったんですよ!
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スキル 索敵
発動条件 異世界召喚
効果 索敵スキル使用者は周囲に魔力を 持 つ生物がいる場合にはその生物の居 る場所やステータスを知ることがで きる。(ただし効果範囲は20m)
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ね?チートでしょ?
というわけで暗黒竜君のステータスがわかるわけですよ。
では、お待たせしました。
暗黒竜君のステータスです。どうぞ!
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暗黒竜ブラックドラゴン Lv.230 300歳 ♀
攻撃 2300
物理防御 2300
魔法防御 2300
素早さ 1150
魔力 4600
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絶対勝てないでしょ!
なんだよ全てが1000オーバーって!
それにレベル!ありえない!死んじゃう!
あと名前!今気づいたけど、単純すぎるだろ!まんまじゃないか!
あと、メスだったのかよ!きづかなかったわ!
はぁー、もう色々とカオスですね笑
…え?「あつい」の使い方間違ってないかって?え?喋り方も違うし何かキャラ変わってませんかって?
いやいや、だってさ、暗黒竜ちゃんの素晴らしい炎のせいで周囲の木が燃え盛っていてさ、とにかく熱いんだって。
それにこんなことになりゃ、キャラも変わっちゃうよ。
そう、今の俺の状況みたいに、周囲は炎が燃え盛っていて逃げられず、さらに端の方に追いやられて後ろは炎、さらに暗黒竜ちゃんが迫ってくるような絶体絶命の大ピンチになればキャラも変るよ!
クールで居られるかってんだよ!
ちなみに、暗黒竜が復活してから1分後の出来事である。
やばい。
正直相当やばい。
ヤバすぎて冷静になってきたわ。
どのくらいやばいかというと、街中をどうみても40すぎの人が、ゴスロリみたいな派手派手な服を着ていたのを発見したときぐらいやばい(※実体験です)
そんなことを考えているうちにも暗黒竜は誠也に迫ってきている。
いくら考えても逃げる方法など浮かばない
正直もう助からない。
1人でもなんとかなると思っていてすぐにピンチに陥るなんて。
情けない。
本当に情けない。
暗黒竜が目の前まで迫っていた。
何をしてももう無駄だ。
死ぬだけだ…
暗黒竜が口を開いた。
誠也は死を思い浮かべ、無駄だとわかっていながらも目を閉じた。
ガチッ
暗黒竜の歯が噛み合う音が鳴り響く。
訪れる一瞬の静寂。
暗黒竜は、誠也の頭の手前で口を閉じていた。
「ん?あれ?生きてる」
自分がまだ生きてることに驚き、さらに暗黒竜が目の前で口を閉じているのを見てさらに驚く。
「何故、殺されなかったんだ?」
そう思いながら、暗黒竜と目を合わせる。
またも訪れる一瞬の静寂。
暗黒竜の瞳の色が一瞬穏やかな色になったように見える。
そして暗黒竜は誠也に伝える。
今まで誰かに伝えたかったコトバ。
操られ、世界を滅ぼしかけた時でも伝えたかったコトバ。
「助けて…」
と。
誠也はまたしても驚く。
暗黒竜から伝えられたコトバに。
そのコトバを聞いたときに心に流れてきた何か暖かいものに。
あぁ、お前も1人で苦しんでいたんだな。
小学生の頃の俺のように。
そしてその流れは、やがて大きくなっていき、誠也の心を満たしていく。
この時誠也に新たな感情が芽生える。
今まで経験したことがない感情。
助けたい。
こいつを助けたい。
暗黒竜の瞳はまた紅の色に戻る。
そしてまた、誠也に襲いかかる。
だが誠也は、たとえ自分が死にそうな状況でも暗黒竜を助けたいと願う。
助けたい
こいつを助けたい!
その時だった。
頭の中にあるコトバが流れてくる。
今まで経験したことがない感じだった。
まるで、先ほど自分に芽生えた新たなる感情のように。
そして誠也は、そのコトバを無意識的に、暗黒竜に伝えるかのようにして口を開いた。
「…レイン・リバーシ!」
そのコトバと同時に黒い魔力の塊が暗黒竜に向かって放たれた。
すると一瞬のうちに黒い魔力の塊は暗黒竜を覆い、そして輝き出す。
だが、誠也は魔力がなくなり、眩しい光を感じながらも徐々に意識が薄れていった。
□
眩しい。
日の光が眩しい。
そして暖かい。
何かに包まれているような感じがする。
ふわふわだー気持ちーなー…
ん?ふわふわ?
なんだろう。
この胸がときめく感触は…
慌てて飛び起きる誠也。
「なっ!?」
驚くのも当然である。
なぜなら全裸の少女が、誠也の隣に寝ているからである。
さらに驚くことに、その少女は誠也でも思わず見惚れてしまうほどの美少女であったのだ。
「このこは、誰なんだろう。あ、あと暗黒竜はどこに!?」
ピクッ
大声を出したからか、美少女が目を覚ました。
「んー?もーあさー?」
美少女が身体を起こす。
目をゴシゴシしている。
その姿を可愛いと思い、ずっと見続けていた。
すると美少女と目が合う。
美少女は目を見開きながらこっちを見ている
「あ、ちが、見てなんか…『助けてくれて、ありがとーなのー!』って、うわぁっぷ!」
美少女が抱きついてきた。
待ってまだ心の準備が…と心にもないことを考えていると美少女の言った言葉にふと疑問を感じた。
「え?助けた?」
「うん!ありがとうなの!」
美少女に抱きつかれている。
身体にかかる感触に、顔を真っ赤にする誠也。
今まで1人で過ごしてきたということは、当然女子との関わりも少ない。いや、ないと言っていいくらいだ。
だからこそ、人一倍恥ずかしいと感じるのだ。
んなことはいいんだよ。
問題は美少女が発した言葉である。
聞き間違いでなければ美少女はこう言ったはずだ。
助けてくれてありがとうと。
俺が助けようと思ったのは、今までで暗黒竜に対してだけだ。
美少女がなにか違うことで俺に助けられたと思っているのでなければ、可能性は1つしかない。
「もしかして、暗黒竜か!?」
「うん!そうなの!」
だが目の前にいる美少女は肌の色も髪の色も真っ白で、暗黒竜の面影が一切なかった。
日の光が当たる。
暖かい。
心も身体もだ。
美少女が暗黒竜らしい。
誠に信じられないが、本当ならば、俺は暗黒竜を助けられたんだな、と、そう思っていた。
まさかのドラゴンが美少女になっちゃいました!驚きましたか?
…え?ありきたり?
まさかー笑
では、次回は「反転とドラゴンな少女」
です!
よろしくお願いします!