星空散歩
青黄色(青みがかった黄色)
使い古したモッズコートを羽織り、お気に入りのドゴールキャップを被る。物が散乱した机の上、灯りのついていないカンテラを少々乱暴に掴んだ。何かが倒れるような音がしたが気にしない。灯りを吹き消して玄関へ向かう。ハイカットスニーカーを両足に突っかけて、ひとりの少年は扉を開いた。目の前には今日も変わらず星と闇だけの世界が広がる。三日月の家を出て、靴のつま先を鳴らした。
さあ、今日も散歩に出かけよう。
丁度降ってきた星を掴んで、カンテラの中に放り込んだ。頼りない、青黄色の光が灯る。目にかかる前髪を手で払って、少年は先を見た。灯りのついたカンテラを胸元辺りまで持ち上げて歩き出す。何気なくズボンのポケットを探れば、指先に当たる丸い物。取り出してみればそれは棒付きキャンディーで、包装を破り口に入れた。
辺り一面、星の海。漂う星屑が時々体に当たっては砕け、欠片は砂のように散る。どこまで続いているのか分からない、長い永い宇宙の旅路。立ち止まってみれば、どちらが前なのか見当もつかない。それでも少年はまた歩き出した。
今日はどこまで行こうか。
カンテラって何故か知らないけど好きなんですよね。