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作者: ぐみ

その男は闇にいた。

混沌でもあり空白でもある。

平等であり不平等でもある。

またゼロであり無限でもある。

そこに男はいた。

「あのクソ人間ども。

 俺はお前らを超越した。

 みんなみんなみんなみんな

 みんなみんなみんな……」



良く晴れた朝。

私は・・・・・・

ここどこ?

見たことの無い場所にいた。

当ても無くふらふら歩く。

歩いて歩いて歩いて。

しかしその後。

イヤァァァァァァァァァァァァ!


ガバッ!


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

布団の上。

汗をびっしょりかいている。

時計を見るとまだ午前5時だ。

この後風呂に入らなくては。

それよりなんだったんだ。

夢?

でも何を見たのか。

何が起こったのかまったく記憶に残っていない。

なにか恐ろしい事・・・?

いや。

こんな事を考えていても

意味が無い。

所詮は夢だ。

深く考える事は無い。

着替えを持って風呂場へ向かう。

一通り汗を流す。

さっぱりして風呂場をでるとちょうど母が起きてきた。

「あっ、母さんおはよう」

まだ寝ぼけているようですぐ私の姿を見つけれない。

「あぁ、おはよう。

 今日は早かったのね。」

やっと見つけて挨拶を返してくる。

「うん。

 ちょっとね。

 私テレビ見てるね。」

そういうとリビングへと向かう。

しかしそうはいったもののまだ5時半だ。

この時間帯ではニュースや

通販の宣伝くらいしかやっていない。

仕方が無いので天気予報を見る。

「今日は良く晴れた真夏日になりそうです。

 気温は25度を超える……」

天気は快晴。

そういえばあの夢も良く晴れた日だった・・・。

いや。

あの夢の事は忘れよう。

強く首を振るともう一度テレビに集中する。

天気予報は終わったようだ。

今はコマーシャルが流れている。

チャンネルを変える。

違う局のニュースを見る。

と、廊下から足音が響く。


ガチャ


「あ、おねぇちゃんふぁよぅ」

妹が起きてきた。

最後はおはようと言いたかったようだが

欠伸で何を言っているのかわからなくなっていた。

「うん。それがね。

 なんかヘンな夢見たの。

 おねぇちゃんがずぅぅぅっと歩いてるの。

 そしたらおねぇちゃんが急に叫んで

 そこで目が覚めた」

なにそれ、ヘンな夢。

そういって茶化す。

・・・・・・ん?

おねぇちゃんが歩いてる?

急に叫ぶ?

それって・・・・・・。

「ね、ねぇ。

 それっておねぇちゃんが何で叫んだのか

 覚えてる?」

妹が首をかしげる。

「うぅん。

 なんかわからないけど

 そこのところは覚えてないの」

同じ。

私が見た夢と同じ。

これって偶然?

「わかった。

 ありがとう」

うん。

偶然だ。

そんな事普通ありえない。

ただの偶然。

忘れよう。

そんな事をしているとキッチンのほうから

ご飯できたよー。

と母の声がした。

はぁいと返事をしてキッチンへ行く。

朝食を食べる。

20分ほどで食べ終わる。

これはもう習慣だ。

この後歯磨き、着替え等をすると

ちょうど家を出る時間になる。

「いってきまーす。」

私と妹の声が重なる。

私は高校。

妹は小学校だが途中まで道は同じなので

一緒に家を出る。

「あ、そうだ。

 おねぇちゃん。

 今日何の日だか覚えてる?」

唐突に聞いてきた。

「え?

 う~ん。

 わからないな。

 なぁに?」

すると妹は嬉しそうな顔をして

教えなぁいと答えた。

その後も何度か聞いてみたが

答えてくれなかった。

しばらく歩くと分かれ道。

ここでわかれる。

最後に妹は今日家に帰ればわかるよ。

とだけ告げて笑顔で歩いていった。


今日は6限。

家に帰ると5時は確実に過ぎるだろう。

6時ごろになるかもしれない。

しかしこれもなれたものだ。

あっという間に時間が過ぎていく。

すでに6限目が終了した。

帰路に着く。

そういえば朝妹が何かいってたな。

今日が何の日とかなんとか。

まぁ、家に帰ればわかるのだ。

考える必要は無い。

しかしもう暗くなってきた。

少し急ぐか。

軽く小走りになる。


家に着いた。

鍵が開いている。

扉を開く。

ん?

電気がついていない。

玄関にあるスイッチを押す。

つかない。

ブレーカーでも落ちているのか。

暗い廊下を進む。

私の家は構造上最初につくのがリビングだ。

扉は閉まっている。

あける。


ゴツ


何かに当たる。

見る。

「ヒッ!?」

朝はすでにいなかった。

今日はやけに早いと思っていた。

父。

その父の変わり果てた姿があった

首と体が別々に転がっている。

「な・・・なに。

 これ」

ふと前を見る。

奥の壁に何か掛かっている。

近づく。

『ハッピーバースデー

       おねぇちゃん』

恐らく妹が書いたのであろう。

ガタガタの可愛らしい字で書いてあった。

「そっか。

 私誕生日か。」

自分でもなんでこんなに落ち着いてるのかわからない。

余りにも全てが突然すぎて

把握し切れていないのだ。

そしてもう一つ。

近づいた事によってテーブルが死角となり

見えなかったところに・・・

人影。

「おかぁ・・・さん?」

ゆっくり振り向く。

顔は母だ。

しかし違う。

明らかに違うのだ。

そして・・・

血まみれ。

「おかぁさん。

 なにして・・・・・・」

一歩近づく。

それによってまた新たに見えた。

妹。

無残に頭が吹き飛んだ妹。

そして母の手には、

どこで手に入れたのか銃が握られている。

「ヒッ、ヒヒヒ、ヒ。

 ハッピーバースデー」

そういうと銃をこめかみに持っていく。


ガスン!


乾いた音と共に目の前で母の頭が吹き飛んだ。

顔に血と肉片が飛び散る。

唖然とする。

徐々に意識が鮮明に・・・・

「あぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁ!

 いやぁぁあぁっぁあぁぁぁぁあ

 ぁあぁぁぁあ!!!!!!!」



次の日。

家の周りにパトカーの群れ。

マスコミ。

キャスターがメイクのチェックを受け、

カメラに向かってしゃべりだす。

「昨夜、この家で殺人事件が起きた模様です。

 被害者はこの家の父親と次女と見られ、

 母親が二人を殺害し自分も命を絶ったものと思われます。

 そして長女は行方不明です。」

この朝家周辺は騒然とした。

近所のおばさんが回覧板を届けにきて

チャイムを鳴らしたがででこず、

鍵が空いていたので

入ってみるとこのザマだ。

首が切り離された父親。

頭が吹き飛んだ母親と次女。

おばさんは急いで警察に連絡し、

今に至る。


その翌日。


長女が見つかった。

発見場所は近所の林の中。

発見当時長女は座り込んで

何も無い場所を見つめていたらしい。

近づくと

ヒヒッ、ヒヒヒ、ヒ

と小さく笑っていた。


その後の精密検査では精神に異常をきたしていて

もう回復は望めないそうだ。

今彼女は国の機密場所に隔離されている。

これで12人目。

きっかけは違えども症状は全員同じ。

これには国も頭を抱えている。




「ククククク。

 これで12人目か。

 今日も一人

 闇の中に沈んだ。

 クックックックック。

 さぁて。

 次はどいつに

 しようか・・・。」



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