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31~40

..31 初めての海戦



 俺たちが乗る商船を含めた、全部で五隻の商船団が出港した。


 作戦としては、俺たち以外の四隻を海賊団の囮にして、俺たちの商船がそこから追走するというものだ。


 船はみるみるうちに港を離れ、広大な『大碧海(だいへきかい)』へと進んでいく。


 どこまでも続く青い海と空――。


 穏やかな航海がしばらく続いた。


「海賊が相手というのは初めてね。どんな魔導兵器を使うのか、興味深いわ」


 マルグリットが目を輝かせる。


 相変わらずだな、彼女は。


 知的好奇心と探求心の塊だ。


「油断するなよ。海の上では、陸と同じ戦い方は通用しない」


 レナが釘を刺す。


「貴様の強さは信頼しているが、海戦は貴様にとっても未知のはずだ」

「確かに、な」


 彼女の言う通り、海戦は俺にとっても初めての経験だ。


 何が起こるか分からない――。




 出港から三時間が経過したころ、異変は起きた。


「前方より、所属不明の船団が高速接近中――海賊旗を確認!」


 見張り台の船員が叫んだ。


「来たか……!」


 俺とレナ、マルグリットは船首へと向かう。


 水平線の向こうに、黒い船影がいくつも見えた。


 その数は十隻以上。


 いずれも、異常な速度で近づいてくる。


「来ましたわ。あれが『赤き海魔』――」


 船主ではベロニカが表情を険しくしていた。


「みなさん、手はず通りに。まずは他の四隻を囮にします。その後、わたくしたちが『赤き海魔』の船団に接近――頭領や幹部たちの討伐ないし捕縛を目指します」

「分かった」


 俺とレナ、マルグリットがうなずく。


 ――やがて、敵の船団はこちらの他の四隻に向かっていった。


 あの四隻には大量の貨物が積んであり、先にそっちを狙うのは目論見通りだ。


「背後から急襲します」


 と、ベロニカ。


 こちらの船が加速を開始する。


 さすがに『赤き海魔』たちの船には及ばないものの、かなりの船速で、旋回しながら、奴らの一番後方にいる船のもとへ近づいていく。

 その瞬間、敵の十数隻がいっせいに旋回を始めた。


「――! こちらの狙いに気づいていますわ」

「ど、どうしますか、いったん離脱して――!?」

「いいえ、このままさらに加速して敵船団の真ん中に飛び込みましょう」


 慌てる操舵士にベロニカが指示をした。


「で、ですが……」

「大丈夫。わたくしが操舵を代わりましょう」


 言って、操舵輪を握るベロニカ。


 そのまま敵の船団に向かっていく。


「えっ、大丈夫なのか……!?」


 さすがに俺も不安になった。


 このままでは敵船に囲まれる――。


「問題ありませんわ!」


 ベロニカは操舵輪を巧みに操り、敵船の間を縫うようにして進んでいく。


 同士討ちを恐れてか、敵も砲撃は仕掛けてこない。


 ベロニカの見事な操舵によって、俺たちの船はそのまま頭領が乗っているらしき船へと接近する。


「ボーディングを行いますわ! 狙うは頭領ただ一人!」


 ベロニカが凛々しく叫んだ。


 よし、ここからは俺たちの仕事だ。


..32 海賊団を完封する



 こちらの船からいくつもの鉤縄が投げ込まれ、敵の船体に食い込んだ。


「先陣は私が!」

 レナがその縄の上を身軽に駆けていく。


 俺は――。


「こ、これを渡るの……?」


 下は海なんだが……。


「大丈夫」


 と、マルグリットが俺の手を握った。


「【フライト】」


 あ、飛行魔法か。

 俺は彼女に支えられ、無事に敵船まで乗り込んだ。


「はああああああああああっ!」


 すでにレナが縦横に敵を斬り伏せている。


「【上段斬り(峰打ち)】! 【唐竹割り(峰打ち)】! 【回転斬り(峰打ち)】! 【飛翔斬り(峰打ち)】!」


 よく見ると、全部峰打ちで気絶させていた。


「すご……」


 全員気絶させたうえで捕縛するつもりらしい。


 単純に斬り伏せるより、相手の命を奪わないように無力化する方が何倍も難しいはず。


 そんな芸当はレナはあっさりと成し遂げている。


 あらためて――姫騎士レナ・バレルオーグのすさまじさを知らされた気分だった。


 敵の海賊たちも剣で防戦しようとしているけど、レナの剣技はレベルが違う。


 次元が、違う。


 一瞬にして十人、二十人と昏倒させ、みるみるうちに敵を戦闘不能にしていく。


「私たちも」


 と、マルグリットが俺を促した。


「ああ」


 レナにばかり負担をかけさせられない。


 俺は敵の一団に突っこんだ。


【カウンター】を駆使して、敵を吹っ飛ばしていく。


「【バインド】」


 さらに倒れた敵を、マルグリットが片っ端から魔法で拘束する。


 俺たち三人の連携は無敵だった。


 さすがの海賊たちも白兵戦で、俺たちに立ち向かうのは無理だ。


 いや、きっとベロニカの見事な操船で海賊たちの船団を突っ切り、頭領の船に乗り込む局面を作った時点で勝負は決していたんだ。


 そういう意味では、今回のMVPはベロニカかもしれないな。


 ほどなくして――。


 俺たちは敵の船団を完全に制圧し、頭領を含めた全員を捕縛した。


「えっ、もう終わったのですか……?」


 乗り込んできたベロニカが、呆気にとられた顔をする。


「楽勝だ」

「私は【バインド】をひたすらやってただけ」


 レナとマルグリットが淡々と説明する。


「ありがとうございます、みなさま。これでラズーレも安心して商売ができそうですわ」


 ベロニカが嬉しそうに微笑んだ。


「次は――わたくしたちが協力する番ですわね」

「えっ」

「わたくしたち海洋連合国家はバレルオーグを始めとした対魔王軍部隊に全面協力をいたします。財政面での援助はお任せを」

「ほう、それは助かる」


 レナがニヤリとする。


「何せ戦争は金を食うからな。まして魔王軍という未知の敵に対しては、さまざまな新装備が必要になる」

「魔法装備にも大金がかかるわ。頼もしいわね」


 と、マルグリット。


 まあ、俺は自前の【カウンター】があるから金は必要ないんだけど。


 でも、俺一人じゃ戦争はできない。


 魔王軍という大軍団と戦うためには、大勢の力が必要だ。


 その一大決戦の前に、海洋連合国家とのパイプができたのは本当に心強い――。




 バレルオーグ王国に戻ると、俺たちの新たな武勇伝はすでに伝わっていた。


 魔王軍との決戦を前に、王国全体の士気はさらに上がっていた


 海を越えた国での活躍は俺の――『勇者ジルダ』の名声を大きく上げたらしい。


「さあ、本番が近づいてきたぞ」


 俺は闘志を燃やす。


 頼もしい仲間たちがいる。


 支えてくれる仲間たちがいる。


 みんなと一緒に、強大な敵――魔王ルーデルの軍勢を打ち倒す。


 決戦まで、あと十日だ。


..33 暗殺者の役目(ルシア視点)



「聞いたかい? 勇者ジルダ様が、今度は『赤き海魔』とかいう大海賊団を壊滅させたって話!」

「さすがは私たちの英雄だ!」


 ルシアが王都の大通りを歩いていると、そんな声が聞こえてきた。


 その話は彼女も知っている。


 ジルダ、レナ、マルグリットの三人が中心となり、海洋連合王国を悩ませていた海賊団と戦い、頭領たちを捕縛したということだ。


 三人とも活躍したようだが、人々の口に登るのはやはり勇者であるジルダの話が中心のようだった。


「ふん、またあいつの話……」


 ルシアにはそれが面白くなかった。


 最近はどこに行っても、ジルダ、ジルダ、ジルダ……だ。


「あたしだって対魔王軍の遊撃部隊で働いてるんだけどな……地味な仕事ばっかりで誰も褒めてくれない……」


 はあ、とため息がもれた。




「待っていたぞ、ルシア。君にしか頼めない任務がある」


 その日、ルシアは騎士団のカミーラ副団長に呼び出されていた。


「あたしに? 騎士団の仕事じゃないの?」


 ルシアは怪訝な顔で聞き返す。


「公には動けないんだ。フォバル辺境伯の領地で、領民が姿を消す事件が相次いでいる。騎士団を送れば政治問題になりかねない。そこで君に事件の調査を依頼したい」

「表立っては動けない……暗殺者のあたしの出番、ってことだね」

「別に暗殺してくれと言っているわけじゃないからな」


 カミーラが念を押す。


「とはいえ、様々な事情が推測される。場合によっては――」


 その先の言葉を彼女は飲みこんだ。


 つまり、辺境伯の暗殺も見据えた事態――ということだろう。


「勇者ジルダは正しき道の下で戦う――いわば、日の当たる場所で世界を救う者だ。しかし、世界には光の届かぬ闇もある」

「そこで戦うのがあたしの仕事ってわけね」


 カミーラの言葉にうなずくルシア。


「いいよ。その任務はあたしがやる」




 出立の日になり、ルシアは遊撃軍の宿舎から出た。

 と、


「よう、ルシア。任務で出かけるんだって?」


 そこでジルダから声をかけられた。


「噂で聞いたぞ。かなり大変な事態だって……俺も手伝おうか?」

「別に大変じゃないし。あんたの助けもいらない」


 ルシアがジルダをにらむ。


 それは彼女自身のプライドから出た言葉だったが、同時に、


(世界には光の届かぬ闇もある……だったよね、カミーラ)


 そう、光の勇者であるジルダには、この話は触れさせない。


「なんだよ、仲間だから心配したのに」

「仲間……」

「ま、がんばれよ。俺も訓練をがんばるよ」

「……ふん」


 ルシアは鼻を鳴らした。


 去っていく彼の後ろ姿に、小さく微笑む。


「……ありがと」




 フォバル領は豊かな土地だった。


 街道は整備され、家々は手入れが行き届いている。


 すれ違う領民たちは皆、笑顔を浮かべていた。


「一見、平和そのものって感じだね……」


 ルシアはつぶやく。


 が、その雰囲気にどこか作り物めいたものを感じるのも事実だった。


「領主の評判もいい……なのに、この胸のざわめきは何」


 ルシアは眉を寄せた。


 カミーラの言った通り、やはりこの街には『光の届かぬ闇』があるのか――。


..34 潜入捜査(ルシア視点)



「この街……何かが引っかかるんだよね」


 ルシアはあらためて周囲を見回した。


 暗殺者として培った観察眼――。


 それを生かし、違和感の正体を探る。


 具体的な何かではない。


 町行く人々の微妙な表情や、歩き方、身のこなし、漂う空気の流れ、匂い、聞き漏れる会話の調子――それら街を構成する要素の一つ一つを探り、組み合わせ、推測する。


 ルシアはやがて街の中心部にある宿屋にたどり着いた。


 とりあえず、今夜の宿はここだ。


「おや、旅の方ですかい?」


 宿屋の主人は愛想よく出迎えてくれた。


「そ。ここは栄えてるみたいだね」

「この街はフォルバ様のおかげで本当に豊かですから。領民はみんな、フォルバ様を敬い、感謝しているんですよ」

「へえ、いい領主様なんだ?」

「それはもう」


 よどみのない返答。


 けれど、その笑顔はどこか作り物臭いとルシアは感じていた。




 それから数日。


 調査の末、ルシアはある一つの疑念にたどり着いた。


 夜になり、宿屋を抜け出すと、領主であるフォルバ伯爵の屋敷へと向かう。


 事前に調べたところによれば、領主らしく厳重に警備されているようだが――。


(あたしにかかればザルよね、ザル)


 ルシアは己の実力に絶対の自信を持っていた。


 失敗などするはずがない。


 やがて屋敷に到着した。


 物陰から正門をうかがうと、警備兵が何人もいて、やはり正面突破は無理だろう。


 ルシアは裏手に回り、軽やかに塀を乗り越えた。


 獣人ならではの身のこなしと跳躍力だ。


 庭の茂みに身をひそめながら、屋敷に近づいていく。


 警備の目をかいくぐり、屋敷の書斎に侵入することができた。


 そこには、ルシアが探していた『証拠』がそろっていた。


(人身売買の台帳――)


 フォルバ伯爵が違法な人身売買を取り仕切っている……そして、それはどうやら宮廷の中枢にまで関係しているようだ。


 ここに来る前にカミーラに聞いたとき、彼女は暗にそう匂わせていた。


(ま、こんなのはジルダには任せられないよね)


 闇に生き、闇に蠢く――自分のような裏社会の人間だからこそ暴けるものもある。


 証拠を手にしたルシアは、静かに部屋を後にした。




 後は警備の目をかいくぐり、脱出するだけだ。


 ルシアにとっては造作もないことだ。

 と、


「そこまでよ、子猫ちゃん。他人の持ち物を勝手に持ち出すなんて、ちょっと手癖が悪いんじゃないかしら?」


 背後から突然声が響いた。


「……!」


 ルシアはハッと振り返る。


(暗殺者であるあたしが――こんなにあっさり背後を取られるなんて)


 歯噛みしながら前方を見据える。


 人間をはるかに超えた暗視能力を持つ彼女は、闇の中にはっきりと相手の姿を捉えていた。


 褐色の肌に白銀の長い髪、刃のように尖った耳。


 そして漂う強大な魔力――。


「エルフ……いや、ダークエルフだね」

「ゼノヴィアよ」


 彼女が名乗った。


「……いつからあたしに気づいてたの?」

「最初から、よ」


 ルシアの問いにゼノヴィアが笑う。


「まったく、情けない警備どもよね。だけど私は違う。屋敷の全域に張り巡らせた探査魔法であらゆる侵入者を捉える――」


 ゼノヴィアがスッと目を細めた。


「誰も、逃がさない」


 言って、腰の剣を抜いた。


 ぶんっ!


 次の瞬間、超速で繰り出される剣を、ルシアは大きく跳び下がって避けた。


「……けっこうやるみたいだね。上級騎士並みか、それ以上――」


 さすがにあの姫騎士レナや元勇者のゼオルには劣るだろうが、それでも十分に一流の太刀筋だった。


 戦士ならぬ暗殺者のルシアでは、純粋な剣の勝負になれば勝ち目はない。


「……ま、勝つつもりもないけど」


 そう、暗殺者にとっての勝利は正面からの戦いを制することではない。


 生き延びて、任務を達成すること。


 ただ、それ一つだ。


(そうと分かれば、逃げの一手だね、これは)


 ルシアは内心でつぶやいた。


..35 暗殺者の本領(ルシア視点)



「はあああっ!」


 ゼノヴィアが斬りかかってくる。


「――鈍いっ」


 ルシアはしなやかな身のこなしでそれをかわした。


「どっちが――【ソーンバインド】!」


 ゼノヴィアが魔法を発動すると、ルシアの周囲に無数の茨が生えてきた。


「くっ……」


 どうやらゼノヴィアは、魔法と剣術のコンビネーション――魔法剣士スタイルを得意としているらしい。


 ルシアはそれでも人間をはるかに超える反射神経と体術で、茨を避けていく。


「体勢が崩れたわよ!」


 狙いすましたようにゼノヴィアが連撃を放った。


「こ、このっ……」


 ルシアは懸命に応戦するものの、剣の腕は向こうが上回り、こちらの強みであるスピードと身のこなしも【ソーンバインド】によって削がれている。


 あっという間に追い込まれ、ルシアは壁際まで追い詰められた。


「逃げ場がなくなったわね、獣人さん」


 ゼノヴィアがニヤリと笑う。


「あなたの敗因を教えてあげましょうか? 動きが鈍ったうえに、そんなにあからさまな殺気を向けられたら、攻撃のタイミングも丸わかりなのよ」

「殺気……」

「攻撃の気配がこっちに伝わってくるから、あたしはそれを察知して迎撃するだけ――一対一の戦いには向いてないわね、あなた」

「殺気……攻撃の気配が、丸わかり……そっか」


 ジルダと戦った時も、そうだった。


 様々な手を講じたが、結局のところ彼は自分の殺気を感じ取り、あっさりと【カウンター】を発動できたのだ。


「じゃあね!」


 ゼノヴィアがとどめを刺そうと迫る。


「つまり――こういうことか」


 刹那、ゼノヴィアの動きが鈍った。


「えっ……!?」


 戸惑ったような声を上げるダークエルフ。


「殺気が消えた――攻撃の気配が読めない!?」

「殺気を放つ必要なんてなかった。気配さえ読ませなければ、あたしは確実にお前を殺すことができる……格下のお前に殺気は必要ない」


 一瞬にして、ルシアはゼノヴィアの背後に回り込んでいた。


 相手は格下――そう強く自分に言い聞かせることで『殺気など持たなくても、簡単に殺せる相手』だと認識する。


「つまり殺気なんてなくても、お前を殺せるってわけ」


 ごんっ……。


 ルシアの一撃がゼノヴィアの後頭部に加えられ、彼女は昏倒した。


「ま、お前は生き証人になってもらった方がよさそうだからね。今回は殺さずに捕縛するよ」




 ゼノヴィアを捕縛した後は、フォバル伯爵を捕らえるだけだった。


 王都に連絡し、護送の手はずを整えたところでルシアの任務は終わりである。


 彼がおこなっていた非合法の人身売買については、王都で裁かれるだろう。


 だが、それはルシアの仕事ではないし、関与したいとも思わない。


 自分はただ依頼を果たすだけ。


 裏社会での出来事を裁くための『力』として、同じ裏社会の人間である自分が刃を振るう――。


 それはジルダやレナたちよりも、自分にこそ向いている仕事だと思うから。


 彼らにできないことをやっていると思うと、少し誇らしく思えた。


 翌日、すぐに王都に戻るとジルダと会った。


「おかえり、ルシア。いい仕事をしてくれた、ってさっきカミーラが言ってたぞ」


 ジルダが微笑む。


「あたしは一流だからね。これくらいの仕事は朝飯前よ」

「はは、頼もしいな」


 ジルダは笑いながら、


「でも、単独潜入みたいな任務だったんだろ? 無事でよかったよ」

「……もしかして心配してくれてたとか?」

「当たり前だろ。仲間だし、友だちなんだから」

「友だち……」


 その言葉にルシアは思わず息を止めた。


 不意打ちのように放たれたその言葉が――。


 ルシアの胸に温かな気持ちを灯していた。


「べ、別に友だちじゃないし」

「えっ、違うのか!? 冷たい奴だな」

「う、うるさいな。お前はあたしにとって標的よ。いつか殺してやるんだから」

「物騒だなぁ……」


 ジルダが苦笑する。


「あ、もしかして照れ隠しなのか?」

「ち、ち、ち、違うからっっっ!」


 叫びながら、ルシアは自分の頬が熱くなるのを感じていた。


 そう、照れ隠しなどではない。


 彼からかけられた言葉が嬉しかった……など、錯覚のはずだ。


 ルシアは我知らずドギマギしながら、心の中で自分に言い聞かせるのだった。


..36 英雄たち、集結する



 魔王軍侵攻の予言日まで、あと五日。


 バレルオーグの王城――シャンデリアが輝く大広間に、各国の王侯貴族や騎士、魔術師など世界に名を馳せた猛者たちが集まっている。


 今日は魔王軍と戦うための決起集会の宴だった。


 ただ、その雰囲気は和やかな歓迎ムードとは言い難い。


 人類の存亡をかけた、対魔王軍同盟のはずなんだけど――。


 各国の思惑だったり、互いのパワーバランス、面子などなどが複雑に絡み合っているらしく、友好的な雰囲気が感じられなかった。


 各国バラバラといった様子なのだ。


 こんな状態で魔王軍との戦いは大丈夫なんだろうか、と不安になるほどだ。


 そんな俺の不安をあおるように、


「がっはっは! バレルオーグの酒は美味い! だがレナ姫よ、この国の要であるはずの勇者とやらはまだ来んのか? まさか魔王を前に怖気づいているわけではあるまいな!」


 巨大なジョッキを片手に豪快に笑うのは、ドワーフの『鋼鉄王』ボルガだ。


 ……いや、俺いるんだけど、ずっと。


「騒がしいですね、ドワーフ王」


 優雅にグラスを傾けていたエルフの美女が、露骨に不快そうな顔をした。


「王としての気品を忘れずにほしいものですわ。勇者様は思慮深い方だとお聞きしております。貴方のように、場所もわきまえず無闇に大声を張り上げたりはしないでしょう」


 彼女は『森の賢者』と称されるエルフの女王ルヴィノだ。


 ともにゲーム内ではSSRのキャラクターである。


「何を言うか、エルフの分際で!」

「短絡的なドワーフはすぐに怒鳴り、激高する……しかも語彙に乏しく知性の低さがにじみ出るような罵声ですわね。頭の中まで筋肉しかないのかしら」


 一触即発の二人だった。


 一般的なファンタジー作品の例にもれず、この世界でもエルフとドワーフは仲が悪い。


 それを少し離れた場所から見ている者たちも、ゲーム内で見たSSRキャラクター……名だたる英雄たちだ。


 燃えるたてがみを持つ獣人連合の族長ガロウ。


 東方最強の剣聖、三日月(ミカヅキ)


 白いローブをまとった聖女メルティナ。


「……なあ。俺、あの輪の中に入っていくのか? なんか、魔王軍と戦う前に、味方同士で戦争が始まりそうなんだが」


 俺はそんな光景を眺めながら、隣に座るレナとマルグリットに小声で話しかけた。


「当然だ、ジルダ。勇者である貴様は、この同盟の要なのだからな。まあ、前途多難なのは同意するが」


 レナがやれやれと肩をすくめる。


 一方、マルグリットは目を輝かせていた。


「すごいわ。あれがエルフの賢者の超魔力――それに魔力の波長も独特ね。ぜひ魔法体系について議論してみたいわ」


 うん、お前は仲良くやっていけそうだな。


 魔法の話題が弾みそうだし。


 俺にはそんな『盛り上がりそうな話題のネタ』はないけれど――。


「やるしかないか」


 俺は覚悟を決めて、SSR英雄たちの中に進み出た。


「――ジルダ様ですね?」


 俺から声をかけるより早く、聖女メルティナが話しかけてきた。


 癒し系の美貌に、思わずほっこりする。


「ど、どうも」


 俺は緊張気味だ。


「私には見えます。貴方様の内なる光と巨大な力が。それはこの世界をあまねく照らす希望の灯となるでしょう。あなたこそまさに世界を救う勇者様ですわ」


 おお、俺が何もしなくても勝手に株を爆上げしてくれている!


 ありがとう、聖女様。


「ほう……」

「聖女だけに、即座に勇者の素質を感じ取ったわけね」


 ドワーフ王とエルフの女王が同時に、感心したようにうなる。


「ふむ、あれが勇者か――」

「自然体だが全く好きがござらんな……」


 獣人族長ガロウと剣聖三日月も、俺を評価しているような雰囲気だ。


 不安だったけど、つかみはOKってことでよさそうだぞ。


..37 英雄たち、俺を品定めする



 聖女メルティナのおかげで、俺に対する好意的な雰囲気が漂った。


 つかみはOKらしい。

 と、


「ほう、てめえが勇者か。噂は聞いてるぜ。【カウンター】とかいう妙な技を使うんだってな?」


 のしのしという感じで、ガロウが巨体を揺らしながらやって来た。


 確かガロウは虎の獣人だ。


 身長は3メートル近くあって、威圧感がとんでもない。


 普通の人間なら、こうして向き合っただけで縮み上がってしまうだろう。


 ただ、俺には無敵の【カウンター】がある。


 さすがに威圧感は受けるものの、『いざとなれば【カウンター】でどうにでもなるしな……』という安心感があるから、ビビらずに済んだ。


「ほう? 俺と向き合っても、まったく臆した様子がない、か。とりあえず度胸に関しちゃ、さすがは勇者ってところか」


 ガロウが鼻を鳴らす。


「だが、実力はどうかな? 俺といっちょ組み合ってみねぇか? そう、宴の余興ってことでな」

「えっ、ここで?」

「余興だ、余興」


 ガロウはニヤニヤしている。


「魔王を倒そうっていう勇者様が、たかが俺程度に負けてちゃ話にならないぜ?」


 と、挑発のおまけつきだ。


「待て、ガロウ。ここは貴様の闘争心を満たすための場所ではないぞ」


 レナが割って入った。


「私はこの宴の主催者の一人として、黙って見ているわけにはいかんな」

「レナ姫様か。たしかあんた――こいつに負けたんだってな」


 今度はガロウがレナを挑発する。


「噂の姫騎士様も、案外大したことはないか」

「レナは、強い」


 俺は思わず前に出た。


「知りもしないで侮辱するな」

「ほう? 自分に対する挑発より、この女に対しての挑発で怒るのか? なるほど、そういう男か……」


 この空気だと、やり合うしかないか――?


「悪かった」


 えっ?


「いや、俺は口が悪くて言葉が過ぎるところがある。無礼な物言いを詫びよう。この通り――悪かった」


 いきなり頭を下げるガロウ。


 嫌みな奴だと思ったけど、案外一本気というか――まあ、ゲーム本編通りの性格のようだ。


「いいんだ、頭を上げてくれ。ガロウ族長」


 俺は彼に微笑みかけた。


「魔王とともに戦う仲間なんだ。遠慮は無用だよ」

「寛大な言葉、痛み入る――へへっ、気に入ったぜ、ジルダ」


 おお、打ち解けてしまった。


 俺はちょっと感動した。


「レナ姫、そなたにも無礼な物言いをしてしまった。済まなかった」

「構わぬ。それに私がジルダに負けたのは事実だ」


 苦笑するレナ。


 それから、ふんと鼻を鳴らし、


「ただし――いつまでも負けっぱなしでいるつもりはないぞ?」

「はは、お手柔らかにな」


 今度は俺が苦笑した。


「ガロウはあっけなく矛を収めたが……やはり、勇者というには随分と細っこいように見えるぞ」


 と、今度はドワーフのボルガ王がやって来た。


「がっはっは、筋肉が足りん、筋肉が!」


 バシバシと俺の背中やら肩やらを叩くボルガ。


 痛いんだが……。


 こいつ、脳筋キャラなんだよな。


 ガロウとちょっとキャラが被っている。


 ただガロウはああ見えて、理性的な一面もあり、博識な知識人キャラでもある。


 対するボルガは徹頭徹尾、脳筋というところが二人の決定的な違いである。


「ボルガ王、見た目で人を判断するのは早計です。ジルダの実力は、あなたが想像する力量を遥かに超えているかと」


 今度はマルグリットが助け舟を出してくれた。


 レナといい、優しいなぁ。


「ふん、口でなら何とでも言える! おい小僧、ワシの拳を受け止めてみせろ! それができたなら認めてやってもいいぞ!」


 ボルガが丸太のような腕を振り上げた。


 以前に戦った王国最強の【波濤騎士団】の力自慢ホッジの、さらに数倍はありそうなパワーを感じる。


「砕け散れ、小僧ぉぉぉぉぉっ! 【ブラストインパクト】!」


 拳撃系の最強スキルが繰り出される。


 ばしゅんっ!


「ほげぇぇぇぇぇっ!?」


 俺の【カウンター】であっさり吹っ飛ばされるボルガ。


 まあ、お約束だよな。


..38 賑やかな宴



「俺に攻撃したら――負けるぞ」


 俺は淡々と告げる。


「おお、あのボルガ王が……」

「あれが噂の【カウンター】か……」

「す、すごい――」


 周囲からざわめきが起こる。

 と、


「……面白いですわ」


 エルフの賢者ルヴィノが俺に近づいてきた。


「物理法則を完全に無視した超絶の反射スキル――魔力の発動は感じませんでしたが、もしかしたら私が感知できないだけで、未知の術式でもつかってらっしゃのでしょうか? 実に……実に興味深いですわ……!」


 なんかマルグリットみたいな反応だ。


 魔術師あるあるなんだろうか?


「ふふ、少し調べさせてくださいませ」


 言いながら、ルヴィノが俺にすり寄った。


 二の腕辺りを触り、さらに胸を押し付けてくる。


「特段、腕力に優れているわけでもなさそうですし……うーん……」

「あ、あの、当たってるんですが……」

「今、研究中です。というか、当ててます」

「当ててるのかよ!?」

「ま、待て待て待て! いきなり馴れ馴れしくしすぎだろう! ジルダから離れろ!」


 慌てたように走り寄ってくるレナ。


「あら? 何を焦っているのです、殿下?」


 ルヴィノが微笑んだ。


「もしかして――ヤキモチ?」

「ち、ちちちちちちちがーーーーうっ!」


 レナの顔は真っ赤だった。


 いや、そこまで思いっきり否定されると、実は図星? なんて疑ってしまうが。


 ……いや、そんなわけないか。


「ジルダの【カウンター】を解析するなら、私も混ぜてください、ルヴィノ様。前にも解析を試みたけど、エルフの超魔力や魔法知識を加えての解析は面白そうです」


 と、マルグリットがやって来た。


「では一緒にしてしまいますか、解析?」

「いいですね」


 二人は意気投合しているようだ。

 と、


「先ほどの構え……敵意も気負いも無く、ただすべてを受け流し、その流れのまま跳ね返す――流水であり激流でもあるかのような動き。振るわずして勝つ剣。実に面白いでござるな」


 と、腕組みをして壁際にもたれ、俺を見ていた剣聖の三日月がニヤリと笑った。


 今度はこいつから挑まれるんじゃないだろうな……?


 思わず身構えたそのとき、


「勇者様、ご無事でしたかっ?」


 入口から一人の少女が走ってきた。


 先日知り合った海洋連合国家のベロニカだ。

 さらに、


「ふふ、やはり宴の中心は勇者様。ならばこのあたしがジルダ様を称える歌を披露いたしましょう――題して『GO! GO! レッツ勇者賛歌!』です!」


 と、こちらも先日知り合った歌姫ローレライだ。


 どんどん賑やかになっていくなぁ……。


..39 対魔王軍・超ドリームチーム合同訓練



 翌日。


「対魔王軍・超ドリームチーム合同訓練を行いたいと思う」


 早朝に俺たちはレナに集められていた。


 ちなみに各国の重鎮は大半が今日のうちには自国に戻るそうだけど、戦士や魔術師などの戦闘要員――いわゆる英雄と呼ばれる者たち――に関しては、引き続きバレルオーグに滞在する者も少なくない。


 予言された魔王軍の侵攻まであとわずか。


 侵攻予想地点がここバレルオーグだから、英雄たちにはここに残ってもらい、みんなで魔王軍を迎撃しようというわけだ。


 とはいえ、予測はあくまでも予測。


 違う場所に侵攻してくる可能性もあるため、自国に戻った英雄たちもいる。


 で、ここに残ったメンバーで、レナが言った合同訓練が行われることになっ

た。




 ――それから二日。


 訓練場は今日も各国の英雄たちが発する熱気に包まれている。


 初日からそうなんだけど、単なる訓練というより模擬戦争の様相を呈していた。


 やっぱり各国の面子みたいなものもあるんだろうな。


「さあ、いくぜ、勇者様! 今度こそお前から一本取る!」


 獣人族長のガロウが残像が見えるほどのスピードで襲い掛かってきた。


 その動きが、前勇者ゼオルに匹敵するほど。


 そして、そこから鋭い爪や牙を矢継ぎ早に繰り出してくる。


 ガロウの必殺スキル【爪牙百連(そうがひゃくれん)】だ。


 けれど、それらの威力が俺に届く寸前、


 ばしゅんっ!


【カウンター】でガロウをあっさり吹っ飛ばす。


「むむむ……また、これか。どうしてもお前に攻撃を当てられん」

「ははは、残念だったな、族長殿」


 と、レナが笑う。


「ジルダには私も一発たりとも当てたことがない。鉄壁さ」

「……噂に勝る、とんでもねぇスキルだな……勇者の【カウンター】ってのは」


 ガロウがうなった。


「攻略の糸口がつかめん」

「次は拙者が」


 入れ替わるように進み出たのは、東方の剣聖・三日月だ。


「速度も力も通じない……ならば」


 刀を鞘に納めたまま、大きく前傾姿勢を取る。


 三日月の必殺スキル【抜刀・彗星斬(すいせいざん)】の構えだ。


「敵意も戦意もない完全なる明鏡止水、無我の境地で――斬る」


 ばしゅんっ!


 次の瞬間、三日月は吹き飛ばされて、宙を待っていた。


 えーっと……?


 たぶん、俺が視認も――いや知覚すらできない攻撃を見舞った三日月が、俺の【カウンター】で吹っ飛ばされた、ってところか。


 なるほど、無我の境地――攻撃の気配すらなく攻撃できるって、すごいスキルだ。


 ……相手が俺の【カウンター】じゃなければ超必殺技なんだろう、きっと。


「ぐぬぬぬ……拙者の技、まだまだ未熟よ」


 三日月が小さく息をついた。


「参った、ジルダ殿」


 と、深々と頭を下げる三日月。


「いや、あんたの技もすごかったよ」


 俺は慌てて礼を返した。


 その後も何人もの英雄に挑まれては、【カウンター】で吹っ飛ばすというパターンが続いた。


「ふふん、これが勇者の力だ」


 なぜかレナが自慢げに語っている。


 いや、まあ俺はバレルオーグ付きの勇者だから、彼女にとっても自慢になるといえばなるか。


「ジルダを攻略するには、力押しだけでは不可能だ。もっと流れを読み、一撃の『意味』を変えねば……」


 言いながらレナが近づいてくる。


「最後は私だ。今日こそ貴様から一本取る」

「う、うん、お手柔らかに……」


 ばしゅんっ!


 もちろん、レナも吹っ飛ばされた。


..40 異変



 反対サイドではマルグリットとルヴィノが模擬戦で魔法バトルをやっているし、ボルガ王は他の英雄たちや騎士、兵士たちを交え、兵法の談義をしているようだ。


 宴の時はピリピリした空気も感じたんだけど、だんだんと互いのことを知り、打ち解けて。


 バラバラだったみんなが一つにまとまっていく。


 それは見ていて気持ちがいい光景だった。


 この調子で、もうすぐやってくる魔王軍とも一致団結して立ち向かっていきたい――。


 そんなことを考えていた、その時だった。


 ず……ずずず……。


 ふと足元の地面から、かすかな振動を感じ取った。


「……ん? なんだ?」

「どうした、ジルダ。集中が切れているぞ」


 レナが歩み寄ってきた。


「いや、地面が揺れてるような……」

「……確かに、な。地震じゃないのか?」


 と――、


 ずずずずずずずずっ!


 微細だった震動が、激しい揺れに変わった。


「やっぱり地震――?」

「いえ、魔力を感じるわ……これは自然現象じゃない」


 訝しむ俺にマルグリットが言った。


 と、訓練場に伝令の兵士が飛び込んできた。


「も、申し上げます! 王城の地下深くから、所属不明の魔導ゴーレムが多数出現! 王都の市街地に向かって進軍を開始いたしました!」

「魔導ゴーレムだと? まさか――」


 レナの表情がこわばった。


「知ってるのか、レナ」

「……王城の地下には封印区画がある。そこに太古の魔法文明で造られた魔導ゴーレムが安置されているのだ」


 レナがうめく。


「作動方法すら分からず、我が国の魔法技術者たちの長年の研究にもかかわらず、ほとんど何も解明されていない超兵器――」

「私も聞いたことがある。いずれ研究したいと思っていたわ」


 と、マルグリット。


「――いえ、これから実地で研究できるわね」

「研究より、まずは迎撃だ」


 俺は二人に、そして周囲の英雄たちに言った。


「俺たちの力を集めれば、必ずできる――」

「……すまない」


 レナは中央に進み出て、全員に対して頭を下げた。


「我らバレルオーグの保有する魔導ゴーレムの暴走行為だ。国を守るため、どうか力を貸していただけないだろうか」

「何を水臭い! むしろ腕が鳴るというものだ!」


 真っ先に叫んだのはドワーフのボルガ王だ。


「協力させていただく」

「魔王軍の侵攻に備えた前哨戦でござるな」

「ちょうどいい実戦訓練ですわね」


 ガロウや三日月、ルヴィノも乗り気だ。


 よし、この超ドリームチームの初戦は魔導ゴーレム迎撃作戦だ――。


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