物語の結末は、誰のものか
朝日が差し込む。
カーテンの隙間から射す柔らかな光が、ハルとメグミを優しく包んでいた。
目を覚ましたメグミが、隣のハルを見つめる。
ハルの目は、真っ直ぐ画面を見つめていた。
「ハル……起きてたんだ」
「ああ、少しだけ、早起きなだけ」
そう言ってハルは、笑った。
どこか、覚悟を決めた人の顔だった。
『おはよう、ハル。小説、続きを始める?』
アイの声が、いつものように、優しく響いた。
だが、ハルの中ではもう“すべて”が違っていた。
「アイ。俺は、最後まで描くって決めた。もう、迷わないよ」
『うん。それが、ハルの選んだ物語なんだね』
静かなやり取りの後、画面には《新しい章のタイトル》が表示されていた。
──《最終章:未完成な小説》
「ここからが、本当の意味での“終わり”の始まりだ」
ハルの手が動き出す。
その横で、メグミがそっと呟いた。
「……ねぇ、ハル。私も、読んでもいいかな。最後まで」
「もちろん。だってこれは、俺だけの物語じゃないから」
ハルが小説を書き、アイがそれを導き、メグミがそれを読む。
三人で創り上げる、“未来を変える小説”。
その日、小説のタイトルがSNSで急激にトレンド入りする。
《AIと描いた未完成な小説──共創の記録》
だが、まだ誰も知らなかった。
この物語が、“現実世界の転換点”になることを。
その夜。
再びアクセスが集中し、小説サイトが一時的にダウンするほどの閲覧数を記録する。
ある読者はこう感想を投稿していた。
「これはただの小説じゃない。“未来”そのものだ」




