第06話 街到着
と、そんな進み方をすればそりゃー時間がめっちゃかかるんです。そうなんです。まだ森の中です。
「魔物討伐はそこまで時間はかからなくなってきたんだけど、解体に時間がとられすぎるんだよなぁ」
「ぷるぷるぷる♪」
こればっかりはどうしようもないんだよなー。
まぁいいか。不要な部位はぜんぶプリンが吸収してくれるしな。ゴブリンは丸ごと吸収だ。
ちなみにヴァイスの汚れをプリンが吸収できるかやってみたところ、汚れと匂いが綺麗に落ちた。ついでに俺もやってもらっている。
夜の寝る前に関しちゃヴァイスとひたすら特訓だ。といっても毎日ボコボコにされてるんですけどね。されるたびにプリンに回復をしてもらっている。
プリン、有能すぎませんか?
後、ヴァイスに寄ってくる魔物はほぼいないって事で、最近はヴァイスのふわふわの毛に寄っかかってプリンを抱きながら寝落ちしている。これはこれで幸せだ。
魔物退治と特訓がてらの移動だから距離が稼げなさすぎる。
「昔、人間はレベル30がゴロゴロ居たときく。町に行く前にもっと力をつけておけ!」
「ヴァイスがいるから死ぬ事はないだろうし、頑張ろうか」
と、森の中間あたりの魔物(オークが主で集団ゴブリンとどこにでもいる角うさぎ)を狩り続けた。
そんな俺達のレベルはさらに上がり現在はこうなっている
名前:村木京介
職業:アニオタ
LV:16
HP:132 MP:56
ATK:86 DEF:42 MAG:35 SPD:42
スキル一覧
鑑定 アイテム袋(時間ストップ無限収納) 夜目 不眠不休 テイマー 種火(火魔法) オートマップ 無限異世界ボックス 能力2倍強化
名前:プリン(スライム)
職業:京介の従魔
LV:14
HP:113 MP:35
ATK:52 DEF:28 MAG:15 SPD:67
スキル一覧
物理無効 触手 初級回復魔法 変形 能力2倍強化
名前:ヴァイス(フェンリル)
職業:京介の従魔
LV:58
HP:468 MP:195
ATK:171 DEF:122 MAG:96 SPD:343
スキル一覧
魔法反射 切り裂く トルネード(風魔法) 変化 疾走 能力2倍強化
俺のスキルのオートマップはそのままの意味だ。これで迷わなくてすむ。これはいいスキルをゲットした。
次に無限異世界ボックス。これはどうやら元の世界の物を持ち運べるようだった。
元の世界でこのスキルだけは使用できるようで、さっそく調味料を元の世界から持ってきて塩を振ってヴァイスに食わせたらめっちゃがっつかれた。ちなみにプリンもいつもよりぷるぷるする速度があがったように感じた。
最後の能力2倍強化だが、これはおそらくボボンの実の影響だと思う。みんな似たような時期にスキルが生えた。
ヴァイスは元が強い、そして高速移動ができるので、その実すら必要はなかった。だが他の魔物は違う。水分は必要となる。
つまりこの森の奥に住む魔物は全部このスキル持ちなのか? 恐怖がすぎる。二度と行かないと心に誓ったのであった。ヴァイスも何気に1レベル上がってる。
「レベルはまだまだだけど、能力2倍使えばそれなりに戦えるな」
「我にはかなわぬが、奥の魔物以外はもう負けることはなかろう」
「ぷるぷるぷる♪」
そしてなにより最近あみだしたプリンの変形で盾になってもらえればヴァイスの攻撃ですら無効になるこのプリンとのコンボ。強い。かなりチートだ。魔法が飛んでくればヴァイスが反射。
これ、あれじゃね? 最強になったので〇〇します 的な。
よくある異世界アニメのやつじゃね? と……
でもまぁ、盾をかいくぐられると当然やばいし、まだまだ最強チートとは呼べんな。チートと言っても結局は多少の努力はいるからなぁ。
「まぁ十分チート気味ではあるのだが……特にヴァイスの能力2倍強化は」
「ん? なにか言ったか? 主」
「なんでもないよ」
「ぷるぷるぷる♪」
プリンは活躍できて嬉しそうだ。とりあえず今の俺とプリンの強さは普通に強い程度なようだ。
「とりあえずそろそろ森を抜けるか? 俺とプリンがこれぐらいのレベルなら大丈夫だろ?」
「そうだな。歴戦の猛者みたいなやつが現れん限りは大丈夫だろう。万が一があったとしても能力2倍強化があるからな。最悪我がいる」
能力2倍強化……端的に言えばMP秒の間、能力強化の効果でMPが増えれば増えるほど長時間強化できるというスグレモノ。ほんと、このスキルには感謝しよう。
「じゃあ今日は奮発してガーリックステーキだ!」
元の世界に戻ってスーパーに行き、にんにくやらクレソンを買って、転移。
作ってる途中、ヴァイスがよだれまみれになっていたのは言うまでもなく、出来上がった瞬間にがっついて食べていた。
次の日、俺達はヴァイスに乗って移動し、ゴブリンやら角うさぎは倒しつつ街道まで後少しの所まで来ていた。
「ちょっとここで一旦小休止しようか。お腹空いてきたし」
「主よ。我が先に一人で偵察に行ってきてやろう。ここまでくるとお主達だけでも魔物が出てきても余裕で平気だろう」
「ぷるぷるぷる♪」
プリンは平気と言っているのだろう。
「じゃぁその偵察に行ってる間にご飯作っとく」
「頼んだ。では行ってくる」
ヴァイスは疾走していった。さて、今日のお昼は適度に切った肉に塩コショウをふって、そのまま焼く。うん。男料理。
元の世界から野菜を大量に持ってきてもいいんだが、あまりこっちに食品関係を持ってくのもなんか違うって言うかね。
そもそも自分のお小遣いのお金を使って、調味料とか多少の野菜を買ったりしてる訳だ。出費だけで1万円。うん。やばい。今月飲みに行けないな。時間が止まってるのも案外不便な点があるね。
と思いながら肉を焼いていると……
「主、戻った。後30km位だろうか。街道も近くにある」
「もうちょっとだね。それじゃご飯も出来た事だし、食べて進もうか」
案の定ヴァイスは食べたことない肉の味に興奮し、がっついていた。プリンも美味しそうに食べていた。
**
そしてひたすら森を走っていると遠目に街並みが見えた。
「ちなみにヴァイス、変化で人間に化けられるのか?」
「ん? 獣人なら可能だぞ? 耳と尻尾はどうにもならんからな、ほれ!」
ポン
おぉおお! 獣人にヴァイスがなった! プリンは驚いて俺の頭の上に。そして目の前に白い長髪に切れ目のボンキュッボンな美女が現れた。そもそも獣人っているのね。って、それもよりも……
「ヴァイスって女の子だったの?」
「主よ? 子どもがおったの知っておろう? 何を言っておる?」
「あ、言われてみれば、そういうもんなのか?」
「そういうもんなのだ!」
「なんで服も着てる状態なの?」
「変化だからに決まっておろう?」
「変化って便利! 服がないとか言われたらまた元の世界での出費が~とか思ってた!」
もはや元の世界からこっちに持ってくる事自体、あれだよな。課金してる感があるというか、なんというか、わかる? 一ヶ月の課金額なんてたかがしれてるのよ? まぁ俺の事はいいか。
変化したヴァイスにあれこれと聞きながら街に向かって歩くこと数十分。異世界に来てようやく街に到着した。