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異世界への招待状 おじさんはそれなりにがんばる  作者: りのぺろ
第六章 四大都市ヴェントの街
54/65

第53話 トーナメント第1試合第1回戦

そして翌日、俺達はトーナメント出場選手控室に居た。


「皆様、本日はトーナメント戦です。第1回戦、第2試合まで行います。思う存分に楽しんでいってください!!」


割れんばかりの拍手と声援が送られる。昨日にも増してすごい人と熱気だ。それだけ皆が楽しみにしているのだろう。


「それでは第1回戦を始めます! Dランク冒険者ムクノキ選手 対 ヴェント騎士団副団長ギャレン選手」


拍手と歓声が沸き起こる。俺は闘技場へと足を踏み出した。


「がんばるんじゃぞ」


「いってらっしゃ~い♪」


俺はギャレンと対峙する。いちお、鑑定しておくか。


「鑑定」



名前:ギャレン(男性)

職業:騎士団副団長【剣士】

LV:10

HP:89 MP:12

ATK:68 DEF:28 MAG:5 SPD:20

スキル一覧

剣術 大剣術 身体強化(中)



ふむ。最初の頃に出会ったエリンと同等か。いや、身体強化が中だから、実質はそれ以上といったところかな。


「よろしく頼む」


「あぁ。D級でよくここまでこれたもんだが、勝つのは俺だ」


「それはどうだろうね?」


長髪騎士が挑発気味に言ってきたので、俺はそのまま返事を返す。


「それでは第1回戦、第1試合、初め!」


ギャレンは剣を振りかぶって俺に襲いかかる! 大ぶりだが速い! 俺は即座にスキル【隠密】を発動。前に出る寸前に3倍を一瞬だけさらに発動させる。

高速で迫ってくる俺にギャレンは身構える。俺はそのまま剣ふるう。


ギィン!


「なかなか速いな」


「あなたこそ」


そのまま俺はギャレンと剣で攻防を繰り広げる。3分程経った時、ギャレンの動きが鈍った。おそらくスキルの能力強化が切れたのだろう。

俺は気配遮断を追加で発動、ギャレンは気配が一瞬消えた事に動揺。その瞬間、後ろへ移動し、背中へ蹴りをいれる。ギャレンは踏ん張る事が出来ずに、吹き飛ばされ、そのまま場外へ。


「ギャレン選手、場外! ムクノキ選手の勝利です!」


「まさか最初から全力でいって負けるとはな」


「いやいや、なかなか手強かったです」


ギャレンと俺はそのまま退場。俺は一回戦を突破したのだった。



**



「それでは第1回戦、第2試合を行います!」


「この試合はどっちが勝つかな? 鑑定しておこうか」



名前:コーラム(男性)

職業:宮廷魔法師【魔法使い】

LV:9

HP:63 MP:30

ATK:27 DEF:17 MAG:28 SPD:16

スキル一覧

火魔法 土魔法 水魔法 魔法消費半減



名前:極マッチョ(男性)

職業:冒険者【武道家】

LV:9

HP:96 MP:0

ATK:63 DEF:19 MAG:0 SPD:16

スキル一覧

武術 身体強化(筋肉)



宮廷魔法師はさすがだな。いろいろな魔法を使う事が出来るみたいだ。しかも魔法消費半減スキルがある。なにあれ? ほしいんだが。それよりも、もう一人の方が気になってしまった。


「極マッチョて⋯⋯名前じゃないんだが⋯⋯しかもスキルも身体強化(筋肉)って何よ!」


冒険者ギルドに居たゴリマッチョより強いマッチョだった。


身体強化きんにく? なんじゃそのスキルは?」


「いや、あのマッチョのスキルにそう書いてあるんだもんよ」


「筋肉は裏切らない~?」


プリンさんや? なぜその励ましの言葉を知ってるんだい?


「初め!」


おっと。試合が始まったようだ。コーラムは始まったと同時に土魔法でマッチョの周りを壁で囲む。時間を稼いでいる間、すかさず魔力を練った。マッチョはどうするのか、俺は鷹の目スキルを使って上空で見る。脳筋なのか、マッチョは俺の予想通り、壁にタックルをぶちかまして破壊しようとしていた。3回目の破壊でようやく壊れた壁から出たマッチョ。目の前には出てくる所を見計らっていたコーラム。


「火球!」


「うぉおおおお!」


コーラムの放った魔法がマッチョに直撃。そのまま倒れるかと思いきや、身体強化(筋肉)を発動して堪えた。どうやらこのスキル、一時的に皮膚や筋肉が強化される変わりに、動けなくなってしまうスキルのようだ。


「あぶねえなぁ」


「やりますねえ」


コーラムは後ろへ下がりつつ、土魔法のストーンバレット?というらしい。それを何発もマッチョに向かって発動をする。小石マシンガンみたいなもんだな。


「きかねえよ!」


マッチョは強化スキルを発動。それを狙っていたコーラル。


「そのスキル、持続時間は何秒ですか? 5秒くらいじゃありませんかね?」


「!!」


コーラルは「ニヤリ」とした後、火魔法の火球を発動。硬直が解けた瞬間を狙われたマッチョは、その火球をモロに顔面に直撃!

次から次へと飛んでくる火球に、マッチョは耐えきれずその場へ倒れた。


「極マッチョ選手、場外! コーラル選手の勝利です!」


⋯⋯司会者も極マッチョって言うの? まぁいいけど。


「なかなか見応えあるなぁ」


「そうじゃのぅ。マッチョは先手を取られてしまわなければ、まだ勝ち筋はあったんじゃがの」


こうして、第1回戦第2試合は終了した。



**



第1回戦第3試合は、騎士団団長とB級冒険者の対戦だ。


「鑑定」



名前:エリオット(男性)

職業:騎士団団長【剣士】

LV:11

HP:101 MP:19

ATK:76 DEF:32 MAG:9 SPD:26

スキル一覧

剣術 大剣術 身体強化(強) 再生(微)



名前:ジャミン(男性)

職業:冒険者【斧使い】

LV:8

HP:82 MP:0

ATK:52 DEF:36 MAG:0 SPD:19

スキル一覧

斧術 身体強化(中)



エリオット団長は大剣、ジャミンは斧といった感じだ。これまた迫力のある、試合が繰り広げられた。

ひたすら切り合う、ただそれだけであった。

血しぶきが飛び交う中、全力の大剣と斧が交差、ジャミンの斧を持つ握力が、少しずつ、なくなってしまっていたのか、斧が後方に吹き飛んで勝敗は決まった。試合終了となる。


「鑑定結果と比べても、やっぱりそうなるか」


「B級に騎士団の団長がやられる訳にはいかんじゃろうのぅ」


え? 俺と対戦して団長が負けちゃってたらどうなっちゃうんだ? そこは気にするなと言う事か? 副団長大丈夫かな?


「ジャミン選手、ギブアップ! エリオット選手の勝利です!」



**



第1回戦第4試合は、プリンとC級冒険者の対戦だ。


「プリン、がんばれよ!」


「負けるんじゃないぞ?」


「がんばるのぉ~♪」


対戦相手はあの選手か。一応、鑑定しておくか。



名前:パッサ(女性)

職業:冒険者【料理人】

LV:7

HP:66 MP:18

ATK:32 DEF:16 MAG:12 SPD:16

スキル一覧

催眠術 包丁術 旨味強化


んん? 料理人? なんでトーナメントまで上がって来れたんだ? と思っていると試合の開始となった。


「それでは第1回戦、第4試合を行います! 開始!」


プリンは対戦相手を見るやいなや、こう言った。


「あれぇ~? 昨日の予選の試合に居た人~?」


「そうですよ? トーナメントに出る気はなかったんですよ。そもそも私、料理人ですし。この街に住んでいる人は出ないとダメみたいなんですよ」


「へぇ~大変なんだねぇ?」


「戦う前にプリンちゃん、ちょっとコレ見てくれない?」


すると何かの糸に吊るした硬貨を見せる。ん? あれって⋯⋯地球でもよくある⋯⋯


「あっ! 催眠術だ! プリン! 見続けるな!」


「主よ。時、既に遅しじゃ」


「ぐぅぅぅ~♪」


プリンは寝ていた。そしてパッサはプリンを抱えて、そのまま場外へ優しく降ろす。


「プリン選手、場外! パッサ選手の勝利です!」


勝敗が決まった後、プリンはパッサの指を鳴らす音ですぐに目を覚まし、負けた事を悟ったプリンはうつむきながらこっちに帰ってきた。


「眠らされたぁ~」


半泣きのプリン。頭を撫でてやる。


「しょうがないさ。相手の方が一枚、上手うわてだったって事だ」


「そうじゃのぅ。プリンの純粋さ、ゆえの弱点を突かれたという所かのぅ」


「プリンちゃん! ごめんねー!」


パッサは平謝りしていた。プリンはふるふると首を振っていたのであった。それにしても、こういう勝ち方もあるんだな。



トーナメント表

         |

    ┌────┴────┐

    |         |

 ┏━━┴──┐   ┏━━┴──┐

 ┃     |   ┃     |

 ┃   ┏━┴┓  ┃   ┏━┴┓

 ┃   ┃  ┃  ┃   ┃  ┃

┏┛┐ ┏┛┐ ┃ ┏┛┐ ┌┗┓ ┃

┃ │ ┃ │ ┃ ┃ │ │ ┃ ┃

ム ギ コ 極 ヴ エ ジ プ パ D

ク ャ | マ ァ リ ャ リ ッ 級

ノ レ ラ ッ イ オ ミ ン サ 冒

キ ン ム チ ス ッ ン     険

      ョ   ト       者

---------------------------------------------------------------

本日の残り試合のスケジュール

第2試合1回戦【コーラム選手 対 ヴァイス 選手】

第2試合2回戦【パッサ 選手 対 D級冒険者選手】

---------------------------------------------------------------

キリがいいところまでひたすら書いてたらちょっと長くなった?

と思いきや、ステータスの表記やトーナメント表があるおかげで、省いたら、そんな事もなかった事実に驚愕。おかしいなぁ⋯⋯

ちょっと体調を崩してしまっているので、更新がおそらく落ちます。ご了承ください

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