第45話 今後の予定
「感謝する。ムクノキと言ったか」
「感謝するのは俺じゃなくてハムにしてやってくれ」
「むっ。それもそうだな。ハムよ。呪いを解いてくれて感謝するぞ」
「きゅっきゅっ~」
ハムはドラゴンの周りをくるくる回っていた。
「呪いは解けたんだろ? これからどうするんだ?」
「ようやくこれで自由になった。一旦ドラゴンの里の方へと帰ってみる事にするさ」
それはそれでどんな所か気になるが、万が一襲われたら即死ぬから何も言わないでおくか。
「そうか。気を付けて行けよ」
「うむ。本当に助かった。何かお礼がしたい。落ち着いた時、また来る事を約束しよう」
また来る? ドラゴンで来る? それはそれでここ以外で来られたら大変な事になりそうだな。
「来るのはいいんだが、俺はここにいつもいる訳じゃない。街に居る場合もある。街で見つけて俺のところに来る時はかならず獣人になってから来てくれよ」
「ふむ? ずっとここにおるわけじゃないのか? あぁ。転移か」
「そうだ。昨日見せただろ? あれだよ」
俺はこのブラックドラゴンに転移のスキルを所持している事を伝えていた。なんせ戦っている最中に、この家からいきなり人間が出てきたんだ。
ブラックドラゴンもどうやってきたのか気になっていたらしく、聞かれたんだよな。
「ま、ちょいちょいここには戻ってるし、誰もいないわけでもないがな。子フェンリルが常時3匹はここに残ってる」
「では、用事がある時はフェンリル達に伝えておく事にしよう」
「了解」
そういうとブラックドラゴンはドラゴンに戻りドラゴンの里へと帰っていった。
「ドラゴンって実際飛んでる訳じゃなかったんだなぁ」
俺はボソリと呟いた。
「そりゃそうじゃろ。あんな巨体が飛べる訳なかろう」
ヴァイスは当たり前な事を言うなと言わんばかりの顔で突っ込んできた。魔浮遊か。俺も覚えられるかな。今度教えてもらおうかな。
「主よ。ここでずっと地球のご飯を楽しめるのもいいんじゃが、これからどうするつもりじゃ?」
「ウェスリーのレベルだったらここではもう大丈夫そうだな」
「ビシバシ鍛えてやったからのぅ。安心していいと思うがの」
「ムクノキさん、旅に出ちゃうんですかー! 自分はずっとここで開拓するって事です?」
ウェスリーがそう言ってきた。
うーん。ぶっちゃけずっとここに居ても居なくてもいいんだよな。でもまぁ一人でずっと開拓し続けるのもしんどいだろうな。
「いや、何か用があれば転移で戻ってこれるからその時は一緒に来てもらう事になるかな」
「わかりました。その時は精一杯頑張りますね。その変わり地球産のご飯を沢山置いておいてください!」
地球の飯の虜になったウェスリー君がいた。あれから毎日のようにみんなにせがまれた。チャーハン、ピザ、パン各種、デザート……。おかげで大量に仕入れたのにかなりの量がなくなってしまっていた。あっちに戻ったら砂金を売り払ってお金を調達しておくか。土曜の夕方だからまだ売りに走れば間に合うだろう。
「さて、これからの予定だが、四大都市巡りの続きをしようかと思っている」
「四大都市巡り? あぁ、だからドワーフの街に居たんですか」
「そうだ。ドワーフの街には行くつもりはなかったがな」
「そうなると、ヴェントの街かザイリアの街ですね」
ウェスリー曰く、ヴェントの街はここから西にかなりの距離を進んだ場所らしい。道中にアゴスの村に寄るといいと言ってきた。
「アゴスの村には何があるんだ?」
「規模は小さいですが休憩所として人気で、そこではまかないも出るらしいんですよ。ザイリアは自分にはどういう場所か知りませんね」
「じゃ、とりあえずヴェントにするか」
「アズレールから行くのと、カバナルから行くの、どっちが早い?」
「どっちも変わらないと思いますね。アズレールからだと休憩場所がないので、結局アゴスの村に集まるんですよ」
「ならカバナルに転移してそこから行く事にするか」
「あ、ちなみにどんな街なんだ?」
「四大都市の割に治安が少し悪い場所です。孤児が多いので孤児院もあったり」
ウェスリー、ドワーフの街から出た事ないのに以外と知識があるのね。と思っていると
「これでもドワーフの皆さんからいろいろな話は聞いてますからね」
ということだった。そしてこの何日かでスキルにも少し変化があった。ボボンの実がプリンのおかげで家に大量にあるので、何気にそれでドラゴンの治療中は水分補給をしていたのだが、こうなっていた。
名前:村木京介
職業:冒険者【暗殺者を極めしテイマー】
称号:暗殺者を極めし者(能力微上昇補正)
装備:風の精霊のお護り、砂の精霊のお護り、投げナイフ(10本)
LV:34
HP:212 MP:116
ATK:184 DEF:99 MAG:83 SPD:101
スキル一覧
鑑定 アイテム袋(時間ストップ無限収納) 夜目 不眠不休 テイマー 火魔法(種火、火球) オートマップ 無限異世界ボックス 能力3倍強化 暗殺者(隠密 気配遮断 気配察知 痛覚遮断 鷹の目 状態異常無効 超再生 転移:消費MP30) 剣術 体術 盾術 影移動 マップ共有 風遮断
名前:プリン(クイーンスライム)
職業:京介の従魔
LV:37
HP:200 MP:84
ATK:129 DEF:77 MAG:56 SPD:155
スキル一覧
物理無効 触手 回復魔法 変化 能力3倍強化 硬化 水魔法 影潜・影移動 分裂
名前:ヴァイス(フェンリル)
職業:京介の従魔
LV:62
HP:489 MP:216
ATK:217 DEF:140 MAG:114 SPD:369
スキル一覧
魔法反射 切り裂く 風魔法 変化 疾走 能力3倍強化 風の加護 影潜み・影移動
子フェンリル
職業:京介の従魔
LV:41
HP:249 MP:78
ATK:189 DEF:108 MAG:99 SPD:206
スキル一覧
魔法威力軽減 切り裂く 風魔法(風の刃) 疾走 影潜み・影移動 能力2倍強化
名前:ウェスリー
職業:建築士
LV:16
HP:186 MP:0
ATK:99 DEF:62 MAG:0 SPD:33
スキル一覧
斧術 棒術 建築 開拓 能力2倍強化
名前:ハム
職業:京介の従魔
LV:5
HP:21 MP:7
ATK:24 DEF:10 MAG:6 SPD:43
スキル一覧
捕食 配下強化 支援魔法 能力2倍強化
素晴らしくやばい事になってしまっていた。ATKが最近では伸びなくなっていたので、限界値だと思っていたが、まさか3倍になるとは。しかも子フェンリルとハムにも強化スキルは生えていた。
ハムは飲み始め?だからなのか、ATKが4日分、つまりは4上昇していた。
ステータス確認はこれくらいにしておくか。準備をしたらヴェントの街へ出発だ。ヴェントの街の精霊はどんな精霊なのだろうか。俺は思いをはせながらカバナルの街から少し離れた場所へと転移した。
メンバーはヴァイス、プリン,、ハムと影にいる子フェンリル10匹だ。




