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第40話 小動物

主人公視点に戻ります。

俺が帰れなくなって既に15日、俺はどうする事も出来なく、仕事もあまり手がつけられないでいた。だが、やらない訳にはいかない。俺は何とか奮起しながらも仕事をこなしていた。


「今日も仕事終了。電話は! かかってきてないか……」


俺は最近のルーティーンアニメ【異世界生活 俺はこの世界でチートを使って無双する】を視聴しながら帰宅する。いつもなら楽しみながらの帰宅なはずなのに、そうはならなかった。内容もあまり入ってこないでいた。


「まだかなぁ……ヴァイス、プリン、ウェスリー、フェルイチ、フェルニ、フェルミ、フェルヨ、フェルゴ、フェル……子フェンリル達」


子フェンリルは割愛だ! な、名前は覚えているぞ! え? 名前が覚えられないおじさんが覚えてる訳ないだと? うるせぃ。覚える時に濁点がみえてないんだよ。多分。


「約束してなきゃ、別にどうのこうのはなかったんだがなー。約束しちゃってるからなー。でもヴァイスの事だから気づいてそうな気はするがなぁ」


と考えてるうちにあっという間に家に到着。


「ただいまー」


俺は着替えを済ませ席に着いた。


「いただいきます。なぁちょっといいか?」


「ん? なに?」


俺は妻にこういった。


「友人がその日の集合時間になっても来なくて約束を破った。お前はその友人に対してどう思う?」


「何かあったの? って電話をかけるわね」


「電話をかけれない、メールが送れない状態だったらどうする?」


「何か来れない理由があったのかもしれないからその子と会った時に聞いてみる? かしらね」


まぁそうだろうな。なら大丈夫か。あいつらなら。


「どうしたの? 変よ?」


「あぁ。いや、なんでもない」


そしてその日はそのまま何事もなく終わった。



**



16日目、朝方、車でいつものように会社に向かい駐車場に着いた時、神様から電話がかかってきた。


「もしもし!! 神様!!!!! 治りましたか!?」


「あ、もしもし! 今シルビアから電話があってね、もうちょっと時間がかかりそうって連絡があったわ。でも治らない事はないから後数日待ってくれって~☆」


「ホントですか! 一ヶ月とか一年先じゃなくて良かったです!」


「ごめんね~☆ 治る目処がついたみたいでさ~☆ 前に一回治してるじゃん?だからどの程度で治るか解るんだってさ~☆ そゆ事で~まだ治ってなくてごめんね~」


「あ、大丈夫です。では」


やった! 後少しで戻れる事が確定だ! かもしれないだのたらればだので少し不安だったが、これで安心できる。そうと決まればすぐ行けるように準備をしなくてはならんな。といっても今日も仕事だが。


落ちた気分も少しは晴れた感じがしたのであった。そして出社し、いつものように仕事をこなす。昼に入り、休憩時間になり一室にて昼食を取る。その一室では何名かその場にいたが、たまたま同僚と二人っきりになる。

俺は少し思っていた事を同僚に話をする事にした。


「なぁ檜垣。ちょっと聞きたい事あるんだがいいか?」


「ん? めずらしいですね。村木さん。なんすか?」


「いやな。もし異世界があったとして、その異世界である人が地球の食料がとても美味しいと言っている。でもその人は獣人や魔物だとする。檜垣だったら地球のお土産として何持っていく?」


「変な事いいますね。俺なら獣人と魔物なら基本肉を食べてるでしょうから、味がついた食べ物にします。そうですね。ビーフジャーキーとか?」


おぉ! ビーフジャーキーがあったか! 早速帰りに買っておこう。


「にしても異世界っすか。異世界といえば、【異世界でスキル使えたんだから、地球に戻ってこれたらこれたで、スキル使えんじゃね? これチートなんじゃ?】のアニメ続編でないっすかねー?」


「あぁ、あれ、確かにおもしろかったな」


「そうっすよ。転移で学校の屋上に行って登校したり、悪党を退治したり、能力が高いもんだから運動会や陸上なんてもはやチート級なもんだから優勝しまくるってやつですよ。スキルがあれば誰でも地球にきたら無双できちゃいますもん」


「あれは人間性でるよなー。あーしたいこーしたいがやりたい放題できるもんな」


「もし俺が転生や転移なんてして異世界行ったとしてっすよ? 戻ってきたら間違いなくスキルテストしますもん」


……そういや、そこら辺、神様に聞いてなかったな。檜垣、いい事言った! また電話するのもあれか。テストしてみよう。


「おーい。そろそろ仕事だぞー」


おっと! 同期の仲間に呼ばれ俺達は解散したのであった。



**



仕事終わりの夕方、俺は会社を出て早速試してみる事にした。


「唯一つかえる火魔法……は、ここじゃまずいな。つかスキル自体、何があったかな。全部覚えきれんのよ。オートマップは視界にマップがないから、有効化されてはいない。気配察知や遮断系も、使えてたら会社内を把握出来てるだろうから、これも有効化されてないだろうな」


後は転移とか? 転移も試しにしてみたが、やはり有効化されてはいない。檜垣君、世の中そこまで甘くないみたいだよ。


「超再生は試したくないしなー。後なんかスキルあったかな? 剣術やら体術はよくわからんだろうからパスだな。後あるのは職業なのか、スキルなのかわからんテイマーか」


俺はスーパーでビーフジャーキーを大量に買い込んだ後、その足でペットショップへ行った。


「まぁ無駄だとは思うけど、試すのは別に悪い事でもなんでもないからいいだろう」


ペットショップで俺は物色をする事にした。犬、猫、オウム、インコ、モルモット、ウサギ。


「ウサギは角うさぎを思い出すから却下だな。犬と猫は我が家が黙ってないだろうから却下。とりあえずハムスターを見てみるか」


俺はハムスターが売っている場所へと向かった。一匹ずつ見ていく。どれも自由気ままに遊んでいたり、寝てるようだ。

そこにふと気になる茶色のどこにでもいるような色に黒いギザギザ模様があるハムスターがこっちをみていた。


「お前は色が綺麗だな」


俺は、じーっとそのハムスターを見ていた。すると


【ハムスターを獣魔にしますか? YES/NO 】


「は!?????」


マテマテマテ! マジで! 俺はびっくりしすぎて神様に電話をしてしまっていた。


「はいはーい☆ まだ治ってないよー? どったのー?」


「あ、神様。今ペットショップにいるんですけど、その一匹が従魔にしますか?とか出てきたんですけど、これ、どういう事ですか?」


「あぁ…それね。ちょっと試験的にこっちの動物をあっちの世界に送れないか治ったらテストしようとしてたのよね☆ それの不具合かしら? まぁ丁度いいわ。そのハムスターを従魔にして買っちゃいなさい! 飼っちゃいなさい! 治ったらその子と一緒に転移してみるのよ! いい?」


「かっちゃいなさいを二回言わないでください。わかりました。それと神様、電話ついでにスキルは地球で使えるんですか?」


「異世界ボックスだけしか指定してないわよ☆ テイマーはテストがてらの不具合でしょうね。ペットと来たいっていう人もいそうだからね☆ ついでにそこも治しておこうかしらね。それにしても地球のファンタジーアニメは勉強になるわー☆」


アニメであるな。【異世界にペットと来ました。ペットが有能すぎて離れられません】みたいな題名だったような気がする。


「異世界アニメは是非全部観てください! 面白いものばかりですよ!」


「了解だよー☆ テイマーの件は治り次第修復するから今回だけだからねー☆ 転移の際もその子となら大丈夫なはずだよー☆」


俺は電話を切った。


「お前。俺と一緒に来るか?」


「きゅっきゅっ♪」


……ぐは! 即座に俺はYESと念じた。


そのハムスターのウンウンという動きに俺は一瞬でやられてしまった。それよりもなんで言葉理解してんの! 俺はハムスターを購入し従魔にしたのであった。


三連休、皆さんゆっくり出来ましたか? 本日から更新再会です。

祝日がありましたので、少し多めの文章です。

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