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異世界への招待状 おじさんはそれなりにがんばる  作者: りのぺろ
第四章 四大都市カバナルの街
34/65

第34話 新たな仲間

次の日、また次の日と時間が流れていく。俺は毎日庭で素振りをしていた。


「主よ。剣速がかなりよくなってきておるように見えるぞ」


「そうか? まぁといってもまだ数日しか経ってないからそこまで変わらんだろ」


今日もがんばって素振りだ! ふん! ふん! ボボン水も最近は毎日飲んで力は上がってるぞ!


「お前さん、また朝から素振りしとるのか。そんなにワシに作って欲しいのか?」


「いや、なんというか、やる事がないので始めたというか…外に出たら出たで、あちこちから声がかかっちゃうので大変なんですよ」


「なるほどの。そういうことか」


そして素振りが終わった俺はヴァイスと木剣で稽古をする。


コン! カン! コン! カン! 


「まっすぐ振り下ろすんじゃ。刃をブレさせないようにじゃぞ」


中々剣筋が上達しない俺にボルガンさんが横やりを入れてきた。


ブォン! ブン! ブン! ブン!


ヴァイスに余計当たんねぇー!


ゴン!


「いってえええええー!!」


ヴァイスに脳天を剣でどつかれた


「それに集中しすぎてまったく当たっとらんぞ」


くそぅ。俺には剣の才能なんぞないんだ。そもそもあったら剣道の道にいってらぁ!


このままでは悔しいので俺は目をつむり剣道の構えをとる。

目を閉じ集中。大声とともにヴァイスにむかって剣を振る!


「めぇええーーーーーーーん!」


スカッ……


「主よ。なんだそのメン? というのは?」


ぐぬぬ! うるせいやい。疲れたからもうやめだ。


「休憩―!」


「休憩なのぉ~♪ 遊ぶのぉ~♪」


プリンと少しだけ遊んでやる。


「そういえばお前さん、国王様からの褒美は何にするのか決まったのか?」


「あぁ。建築、家を建てられる人を仲間にしたいから建てられる人、あわよくば開拓も出来る人が欲しいって感じかな」


「じゃが、仲間というのはどういうことじゃ?」


「ちょっとした秘密が俺達にはあってな。それを絶対的に守る事ができる人物じゃないといけないんだよ」


「なるほどな。お前さんの従魔、ヴァイスと言ったか? フェンリルじゃからか?」


「それもあるが、それ以外もかな」


ボルガンさんは不思議に思いながらも引き下がってくれたようだ。


「おぉーい。ボルガンさん!」


するとそこへ一人の兵士らしきドワーフがやってきた。


「なんじゃ! 大声を出さんでもきこえとるゎい」


「地下採掘場のサンドワーム討伐が確認されましたので、ムクノキさんという方を国王の所へ呼んできてくれんか?」


「わかった! わかったから大声を出すな! ったくあいつは」


そういうと兵士は敬礼をして去っていった。


「地下採掘場が元に戻って良かったですね」


「あぁ。知らず知らずとはいえ、助かったのは事実じゃ。それじゃ、国王の所へ向かうかの? とはいってもここは地下じゃ。城なんてもんはない。ただ少し大きな家に向かうだけじゃがの」


そして俺達はその国王がいる所へと向かった。



**



ここか。さすがに地下だからなのか、ボルガンの言う通りそこら辺よりも少し大きい家って感じ程度だ。家に入った俺達は扉の前にいた。


「入れ!」


「失礼します」


中に入ると威厳がありそうな顔立ちに髭はボルガンさんよりさらに長いドワーフがいた。


「国王のワドリーだ。サンドワームをここに来るまでの間、倒してくれたそうじゃな。あらためて感謝する」


「ムクノキです。サンドワームの件は襲ってくる魔物を倒していただけだったもので」


「はっはっは。あんな大量にいたサンドワームを3人だけで倒すとは恐れ入る。しかも調べたところ、数匹しかおらんくなっておったぞ」


「まだ多少はいたんですね」


「依頼しておったわけでもないんだから気にする事はない。さて、褒美を取らせると伝えておったはずだが、決まったかな?」


「はい。ドワーフで建築が出来る方で開拓に詳しい人いませんか?」


「ほぅ? いるにはいるぞ? しかしなぜだ?」


「拠点がそろそろ欲しいと思いまして。ただなにもない所に作るつもりなんですよ」


「なるほどな。移住もしなくてはならないか。丁度いいやつがおる。夜までにボルガンの所に向かわせてやろう。褒美はそれだけでいいのか?」


「はい。特に欲しいものはないんですよ」


「あいわかった。これ以上はなにも言うまい。なにか困った事があれば頼るといい」


「ありがとうございます」


そして俺達はあっさりと褒美を受け取った?のであった。



**



そしてその日の夜、ボルガンさん宅にて


「ボルガンさんのオタクですかー? たのもー!」


「なんじゃ? お前さんか? ムクノキについていくのは」


「おー! ほんとに来てくれたんですね!」


「はじめまして。俺はウェスリーといいます」


「ムクノキです。建築士さんですね? 開拓もできますかね?」


ちょっと若そうなドワーフだ。髭はどのドワーフも健在なんだな。


「一からはしたことがないんで探りながらですがそれでもよければ! 自分、ドワーフの街から出た事がないんですよ」


「なるほど。まぁ一からするなんて普通はないから、当然か」


「そうなんです! もうワクワクがとまらなくて!」


あー。森で帰る事が出来なくなってしまうんだが、黙っててもいいのだろうか。悩ましい。


「建築場所、えーっと俺達の拠点が森のちょっと奥になるんです。それでここに帰ることはできなくなるかもしれないんですが、大丈夫ですかね?」


「大丈夫ですよ! 自分一人身なので」


そう、なのか? なら大丈夫か? うん大丈夫な事にしとこう。


「じゃあ、移動準備も兼ねていつ頃向かいますかね?」


「荷物は全て持ってきました! いつでも大丈夫です!」


と、自分の背丈に見合わない荷物が部屋に置かれていた。


「これまた大量ですね。わかりました。それじゃ、明日にでも向かいますか」


「なら明日、ワシが地上への道の案内してやるわい。なぁにそんなに歩く事はない。螺旋状になっておるからの」


転移して戻れるなんて今は言わない方がいいだろう。俺は了承してその日は眠りにつくことにした。



**



そして次の日の朝、ボルガンさんについて行く事半日。


「ここじゃ、ここから螺旋状に一本道になっておる」


「わかりました。ボルガンさんありがとうございます。これ、お礼のお酒です」


「おぉ! 酒か! これは見たことないな。帰って飲むことにしよう」


俺はこっそりボルガンさんに異世界産のお酒をわたした。


「お礼なんで気にしなくていいですよ」


「じゃあな! 気を付けて帰るんじゃぞ!」


そしてボルガンさんと別れた俺達はようやく地上へと出れたのであった。新たな仲間ウェスリーを迎えて……

ちょっといろいろと端折りすぎたかな? 仲間を早く増やしたくて……

来週からようやく地上へと戻ります。皆さん、よい週末を!


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