第27話 四大都市と神様の願い
俺達は冒険者ギルドを出た後、商会へ行きハーゲンさんに魔物を追加で換金してもらっていた。待ってる際にこの世界について話をしてもらった。
この世界には人間、獣人、魔族、エルフ、ドワーフが住んでいて各街にはエルフもドワーフの中には一緒に暮らしている。これはヴァイスから聞いた情報と同じだな。
魔族は魔族大陸というものがあって、そこで魔族は暮らしているらしい。場所はわからないみたいだ。だが魔族は基本魔族大陸から出てこないし、人間の住んでる土地に侵攻してくることもないので、関わる事はほぼないようだ。
そしてここからが重要なのだが、四大都市が存在している。その一つがここ、アズレールの街だ。
四大都市アズレールの街は大陸の南側に位置しているとのこと。
北西に四大都市ヴェントの街、北東に四大都市カバナルの街、そしてさらに北に行くと四大都市ザイリアの街がある。
ハーゲンさんは主にここ、アズレールの街とカバナルの街を行き来しているらしい。
カバナルの街は砂漠の街でそこでも商売をしていると言っていた。ただ、北西のヴェントの街と北のザイリアの街は行った事はないみたいだ。距離もかなり遠いそうで、情報も少ないらしく、申し訳なさそうにしていた。
「カバナルか。暑そうだがそれはそれで行ってみたいが」
「次は砂漠か? 我は暑い場所も平気だがな」
「暑くても平気~♪」
俺以外平気なのね。羨ましい。おっと換金作業が終わったようだ。
「ありがとうございました。ハーゲンさん」
「いえいえ。いつでも来てください。お待ちしておりますよ」
俺は商会を出てブラブラ屋台めぐりをしていると
―――――――――――――――――――――
やっほー! お久しぶりだよー☆ 元気してる
かなー☆ ちょっとこっちから今世界を見てる
んだけどね。なんか魔物がおかしいって精霊か
ら伝言があったんだよー。
それでね。時間ある時でいいから見てまわって
くれないかな? 地図はこっちから送っておく
ねー☆ 管理者(神)より
―――――――――――――――――――――
ポンッ
「お? これが地図か?」
「何だ主? それは? おぉ! こんな精巧な地図が! いつの間に持っていたんだ(たんだぁ~♪)」
「いや、今メールが来てな。精霊から魔物が何か異変が起きている的な伝言があったみたい? で、なのかわからんから見てくれって頼まれてな。それ用の地図的な?」
「ふむ。神の精霊がか。ん? 主よ。それよく見てみると四大都市の街の位置と合致してないか?(ないかぁ~♪)」
「え? あ、本当だ。つまりどっちにせよ見て回る必要があるのか」
四大都市の街に赤い点があるな。でもアズレールの街にだけ点はないぞ。何でだろうか。あの高台で大量に倒した魔物のどれかが原因か? 考えても仕方がないか。とりあえずこの赤い点3つ見て回ればいいのかな。何を見て回るとかわからんが、行ったら指示もらえるのかな? まぁどの道その一つのカバナルの街には行くから構わんが。
「ちょっとあれだな、一旦街を出て森に行くか」
「なぜだ?(なぜだぁ~♪)」
プリン、ヴァイスの真似しちゃ駄目だぞ。脳天チョップするぞ? と視線を見て悟ったのか、プリンは何も言わなくなった。
「んー。いや、一応だな、飲料水。要は飲み物だな。ある程度確保しておいた方がいいかな? と思ってな」
「主よ。転移出来る事を忘れてる訳ではなく? なのか?」
「万が一だよ。いつもの万が一。大事よ。ほんと」
せっかく用意出来るんだし、しない方がもったいない。何かあった時困るのは自分だ。
と思いながらプリンの頭を撫でてやる。
「なになにぃ~♪」
「いや、なんでも。さてっと、それではいつもの森へ行きますかね」
俺達は街を出て誰も居ない事を確認し、転移をして森へと戻ったのであった。
**
「それじゃ、ちょっとだけ現代に戻って飲料でも買ってくるかな。なんか食べて待ってるか? ボスココの、どでかサーモンでも5パック出しておくか」
「わかった。我とプリンはここで待っているからの! もぐもぐ」
「まってるねぇあるじぃ~行ってらっしゃいぃ~♪ もぐもぐ」
ヴァイスとプリンはいち早くかぶりついていた。子フェンリルにもあげてよ! 俺はそのままそっと現代へと一旦帰還した。(ボスココサーモン恐るべし!)
**
「おぉ。ボスココの駐車場だ」
そういえばここで転移したんだった。忘れてたね。つか、あっちいるとこっちの感覚っつーか、記憶が薄れそうだな。
「おっと、そんな事よりもジュースっと。今回もボスココでいいだろう。買い忘れたって感じでとおせるだろ。違和感なしっと」
俺はボスココでジュースを大量に、ボスココの外で売っている食い物を多すぎない程度の5人分を買って車に戻る。
「ふぅ。はぁ。あれだな。年齢が異世界と違うから戻って即買い物行くと疲れる…ちょっとこっちの自分の体力を回復しておかないとしんどいぞ」
というのも、前回は買い物をして、車の中で荷物を異世界ボックスに入れて転移している。ほとんど休みがないのだ。休憩と言えば、神様と話した程度だけだ。その状態でまた買い物に行けば疲れる。だっておじさん体力ないからね。体を動かす事なんて仕事する時だけだからね。
「侮っていた。ジムにでも行って鍛えときゃ良かった……とは思わんな。俺がジムなんて絶対行かんわ。行くぐらいなら、動画サイトのMe Tuneに正式許諾を得て公開してる異世界アニメを視聴する。この動画サイト、広告がめちゃくちゃ多いからな。多くて見る気が失せるんだよ。しかも盛り上がってる所で無駄に広告を入れてくる。見る気失せるからアニメ周回をぶっちゃけあまりしていない。だからジム行くぐらいなら我慢してでもアニメ周回してやる! ジムなんて行かん!!!! なんとしてもだ!!!!」
って、俺は一人で何を言っているんだ。訳わからん。
変な事を考えていたらあっという間に10分経ってしまったではないか。
「休憩するつもりがない休憩をしてしまった。おじあるだな」
「おじある=おじさんあるある って意味だぞ!」
よく言っちゃう「ちょっと休憩……」これはもはや【ちょっとじゃない休憩】になるんだよな。携帯で動画を見だすと駄目ね。【ちょっと=1話分】になっちゃうからね。
脱線した。非常に脱線してしまった。が、休憩にはなった。多分。
気持ちを切り替えよう。ここから移動してスーパーゾオンに行っておくか! 俺は颯爽とゾオンの駐車場まで移動した。朝早いから駐車場もまだ空いてていいな。俺は駐車場に車を止めた。
「忘れ物はないかチェックしてっと。大丈夫だな。現代の俺、疲れなし! 忘れ物もなし! 神様に報告する事もなし! よし、転移!」
俺は森へと転移したのだった。




