第21話 四大都市アズレールの街探索と風の精霊
北の街アズレール。街に入る前にヴァイスは獣人化し俺達は街中へと入った。特に門番の前で止められる事もなかった。街並みはキリスの街とさほど変わりはないが、人と土地の数は3倍以上ではないだろうか。ちょっとした大都会だなーと呟いたら
「ここは四大都市の一つ、アズレール。商人と冒険者の街だよ。当たり前じゃないか」
と見知らぬお兄ちゃんに突っ込まれてしまった。解せぬ。というか、四大都市なのね、ここ。勉強になります。俺はその兄ちゃんに突っ込まれついでに冒険者ギルドの場所を教えてもらい、そこに向かう事にした。
「そういや、ヴァイス。この世界の種族はどれくらいいるんだ?」
「人間が一番多いのぅ。どこにでもおる。後は我のような獣人や魔族といったところかの」
ほぅほぅ。今更って感もない事もないが、自分が強くなるのに必死すぎたから、しょうがない。
「エルフやドワーフはいないのか?」
「昔はいたんじゃが、今はどうなんかのぅ。我は森にほとんどいたからわからぬの」
そりゃそうか。あんまり関わってないような事言っていたもんな。奴隷とか、もしかしてあるのかな? ちょっと気になる。
「おっと、話してたら冒険者ギルドに着いたようだ」
ここの冒険者ギルドはキリスの街より大きいギルドで受付が3つもあった。ちなみにキリスの冒険者ギルドは2つだ。夕方だったのか冒険者は少なく俺達は並ばずに済んだ。
「あら? はじめましてですかね? アズレール冒険者ギルドの受付嬢をしていますミュリといいます。よろしくお願いします。本日はどのようなご要件ですか?」
「俺はEランク冒険者でテイマーのムクノキです。キリスの街からやってきました。今日からお世話になると思います。地図が欲しいのとここにくる道中で魔物がたまってるんだ。ついでに魔物を売りさばきたい」
「地図ですか。こちらになります。えーっと魔物ですね。魔物はあちらでどうぞ」
俺はいつものように魔物を目立たない程度売りさばいた。売ったのはオークやゴブリン、キラーアントだ。ゴブリンジェネラルだのキングはこのランクで出すのは早い気がしている。
ちなみにゴブリンは耳だけなのは価値がないから討伐の確認のみになっている。それと冒険者も俺と同じようなアイテム袋は持っているぞ。時間停止や無制限ではないがな。そこのアドバンテージはでかいと俺は思っている。
オークは普通に肉も食えるので人気の魔物だ。俺は見ただけで最初の頃は気持ち悪かったが最近は見慣れてそうでもなくなってしまった。慣れって怖い。
なんにせよ俺はまだEランクだからな。売りさばく魔物は慎重に。これは絶対だ。そしてお金を受け取った後、俺達は地図に記された宿の場所へと向かった。
「主よ。この街の食事は美味しいだろうか?」
「キリスの街より大きいから、少し期待はしちゃうよな。それはわかる。宿までの道中に屋台があったら、買い込んでおくか」
「ぷるぷるぷる♪」
プリンも嬉しそうだ。プリンはヴァイスに抱かれてぷるぷると忙しなく動いていた。
そして屋台で串焼きや野菜スープ、果物のジュースを買いながらベンチに座り食べていた。
「なかなかの味だが、やはり地球のとは比べ物にならんの。野菜スープは味が薄すぎだ」
「まぁこの世界は魔物がいるから、食はそこまで発展していないんだろう。野菜スープは失敗だな。ほら、これで味変だ」
俺はヴァイスとプリンにこっそりコーンポタージュの缶を渡した。自販機で見つけたらつい買っちゃうよね。
「くっはー! 美味い! やっぱり地球のはいい! このコーンポタージュ缶は最高じゃ!」
「ぷるぷるぷる♪」
ちなみにプリンは缶ごと体内へ吸収し、食べている。
「ヴァイス。ここでそんなおっきい声を出すな。バレたら面倒くさいだろが! やっぱり街で出すのは危険だな」
すると……
「じゅるるるる」
ん? なんだ? 周りをきょろきょろしても誰もいない。
「あれ? おっかしいなー? どこにも居ない……」
「じゅるるるる」
まただ。どこだ? もしかして……俺は上を向いた。するとそこには小さな女の子が浮いていた。その子はふわふわとヴァイスとプリンが食べているコンポタを見てよだれを垂らしていた。
「ヴァイス、プリン。この子見えるか?」
「ん? どこだ?」
「ぷるぷるぷる?」
どうやら見えていないようだ。プリンはめちゃくちゃ平べったくなった。いや、なぜそんなに平べったくなる必要ある!?
「見えてないのか? ここに浮いてるちっさい女の子がいるんだよ」
「浮いてる? あぁそういう事か。主よ。それは風の精霊だな。基本姿は現す事はないのぅ。我は
風の加護、なんてスキルがあるが、精霊の加護等ではないからのぅ」
「なんで俺は見えてるんだ?」
「わからんが、単にコーンポタージュがあまりにも美味しそうに見えたから欲したのではないか?」
おぉう。そんな事で出てくるんかい。まぁ害はなさそうだ。俺はコーンポタージュ缶を空けて精霊に渡してやる。
「ここの住人にその缶の存在がバレるのは非常にまずい。精霊さん。俺の影に隠れてからそれ飲んでくれる?」
「こくこくこく!!!!!!」
精霊さんは俺の影に隠れてコンポタ缶を、満面の笑みを浮かべで味わいながら飲み干した。ちなみにヴァイスとプリンには缶が浮いて中身が消えて見えているようだ。とてもシュールだな。そして俺に缶を渡した後、ふっと消えていったのだった。
「なんかよくわからんまま消えていったが、みんな満足してくれたようでなにより!」
食べ終わった俺達は宿へと向かい、1週間分をいつものように支払い部屋を取った。そしてボボン水を飲み干し、俺達はいつものようにヴァイスを背にプリンを抱き、そのまま眠りについた。
名前:村木京介
職業:冒険者【暗殺者を極めしテイマー】
称号:暗殺者を極めし者(能力微上昇補正)
LV:31
HP:198 MP:103
ATK:170 DEF:94 MAG:77 SPD:92
スキル一覧
鑑定 アイテム袋(時間ストップ無限収納) 夜目 不眠不休 テイマー 火球(火魔法) オートマップ 無限異世界ボックス 能力2倍強化 暗殺者(隠密 気配遮断 気配察知 痛覚遮断 鷹の目 状態異常無効 超再生 転移:消費MP30) 剣術 体術 盾術 影移動
名前:プリン(スライム)
職業:京介の従魔
LV:30
HP:176 MP:68
ATK:111 DEF:66 MAG:42 SPD:139
スキル一覧
物理無効 触手 初級回復魔法 変形 能力2倍強化 硬化 ウォーターガン(水魔法)
名前:ヴァイス(フェンリル)
職業:京介の従魔
LV:60
HP:478 MP:208
ATK:204 DEF:132 MAG:103 SPD:354
スキル一覧
魔法反射 切り裂く トルネード(風魔法) 変化 疾走 能力2倍強化 風の加護




