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第20話 子フェンリル隊出動

祝 PV1000 超えました。皆さん読んでくださりありがとうございます。

俺は、どうしようか考えた。どの程度いるのかわからんし、俺達だけじゃ、さすがに無理がある。どうしたもんかな。


「なんかいい案がないか、ヴァイス?」


「ぷるぷるぷる!」


おっ? プリンがヴァイスに向かって、ぷるるんとしてらっしゃる。これは貴重だ。写真に収めたいレベルである。


「ほう? うーむ。なるほどのぅ。でもそれだと……ふむ」


「なんて言ってるんだ? ヴァイス」


「端的に言えば、我の子をここまで転移させ、魔物を殲滅させればいいんじゃないか? という事じゃのぅ」


「え? 子フェンリル達、そんなに強いのか?」


「主よ。我の子は、どこに住んでいる? 森の奥近くだぞ? ここいらにおる魔物なんぞ、容易いであろうよ」


あ、言われてみれば確かに……あんなとこ住んでるんだから、いかに子フェンリルと言えど、そりゃそうか。


「それはそれで、森の方が危険になるんじゃないのか?」


「そうじゃのう。半日程度、居なくとも変わらんな。見回りする程度しかしとらんからのぅ」


「ヴァイスは、子フェンリルを外に出す事は大丈夫なのか?」


「我の子も強くなっておるからな」


なら、その案でいくか。俺達は野営地のちょっと離れた場所へ行き、誰にも見られていない事を確認し、転移で森にやってきた。


「おぉ! 我が子よ。元気にしておったかの?」


「怪我もなく元気そうだな。子フェンリル達。頼みがあるんだが聞いてくれるか?」


子フェンリルはヴァイスから離れたと思ったらこっちにきて、座って尻尾を振りながら、じっとこっちを見てきた。


「うぉ。すげー統率力だな。あのな、今ある場所でな、魔物がいっぱいいて街に行きたくても行けない人達がいるんだ。困ってるんだ。魔物をやっつけてくれないか? 俺が転移して送ってやるから、半日でいいんだ。俺に時間をくれないか?」


「我が戻ってきたのは、まぁそういう事だ。我が子達よ。修業の成果を見せる時だ!」


「「「「「ワオーン!」」」」」


子フェンリルは、俺に抱きついてきた。これは任せろって事だよな。助かった。さすがにいくら強くても、1人じゃ限界があるからな。


「ありがとう! また時間がある時に、地球の肉料理食わしてあげるな!」


「主、我にも当然、食わしてくれるんだろうの?」


「勿論だ。それと子フェンリル達は、テイムしてる事にしてておいてくれよ」


俺はヴァイス、プリン、子フェンリル達と共に、野営地へと転移した。そして野営地へ少し歩いて戻り、商人の様な人にこう言った。


「あのー? すいません。俺、テイマーなんです。で、この子達は俺の従魔でして、ちょっと強いので、この近辺の魔物を倒しまわってもいいですかね?」


「え? この魔物ってまさか……はっ! いえ。そ、それでしたらお願いします。この事は誰にも言いません。いえ、信じてくれません」


「????????」


俺はよくわからなかったが、とりあえずは大丈夫なようだ。


「よーし。みんな、周りに魔物がいるのがわかるか? わかる、みたいだな。じゃ、半日程度、動き回って、歯向かってくる魔物は倒しながら、遊んでやってくれ。合図はヴァイスがするみたいだから、合図が聞こえたら、戻ってくるんだぞ?」


「「「「「ワォン」」」」」


「それじゃ、よろしく頼む! もし怪我したら戻って来いよ? プリンが治療するからな?」


そして子フェンリル達は、その野営地周りの魔物を一匹残らず、駆逐していったのであった。


「多分、これである程度大丈夫、だと思いますので、今のうちに寝ておきましょうか」


俺は商人の様な人にそう言い、いつものようにヴァイスを背にプリンを抱き、ボスココの調理済みの料理を、ヴァイスとプリンで堪能した後、野営地の端っこの方で、眠りについた。もちろんボボン水を飲んだぞ。



**



その日の夜、遠吠えがあちこちで聞こえたそうだ。朝になり、俺は起きて朝食を食べていると、子フェンリルが一匹、二匹……とタイミングを図ったように、帰ってきた。ヴァイスが合図を出していたようだ。


「おおぅ。さすがに獣臭と血の匂いがすごいな。プリン。一匹ずつ綺麗にしてあげてー!」


「ぷるぷるぷる♪」


夜中、怪我をするフェンリルがいる訳もなく、プリンは元気だ。綺麗になった、子フェンリルの毛並みを堪能した後、たんまりのボスココ料理を、全員に与えてやった。


「主よ。あらかた魔物は、倒したみたいだぞ? 森の魔物より弱すぎて、びっくりしたみたいだ」


「あらぁ。君達、お強いのね。あえて鑑定はしないよ? 自信喪失しそうだもん」


これで先に進めるようになったかな。


「じゃ、ちょっと商人?の人伝えてくるよ。ついでに、子フェンリルも森に戻してくるね。朝食、食べて待ってて」


「わかった。我が子達よ。ご苦労だったな。森に万が一、異変があるかもわからん。戻ったら、早急に調査をしておけ」


そして子フェンリルと共に商人のような人を探し


「あの…魔物は全部片付いたようなので、もう大丈夫ですよ?」


「あぁ!!さすがは……いや、ありとうございます。これは、ほんのお礼です。お受け取りください。」


と、なぜか貴金属をもらった。遠慮するのもあれだし、子フェンリルも頑張ったんだ。貰っておこう。


「俺がやった訳じゃないんですが、ここは受け取っておきます」


「はい。あらためてありがとうございました。それと、私の名をおっしゃっておりませんでしたね。フォークス商会の会長のハーゲンです。もし北の街で何かご入用でしたら、フォークス商会にお越しください。」


「あ、わかりました。俺の名前はムクノキと言います。その際は頼らせてもらいます。それではまた」


俺は、ハーゲンさんと別れた後、少し離れた所で転移をし、森へと戻る。


「みんな、今日はありがとな」


子フェンリルは嬉しそうに尻尾を振った。俺はその様子を見送った後、野営地へ戻った。


「悪い。遅くなった」


「いや、大丈夫だ」


「ぷるぷるぷる♪」


とにもかくにも、これで安心して、先に進めるようになった。俺は、商人より先に野営地を発ち、先へと向かったのだった。

子フェンリルのおかげで魔物がいなかったので、俺とプリンはヴァイスに乗り、誰もいない今のうちに、北の街に疾走することにした。そしてようやく、北の街アズレールの街へと到着した。

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