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【コミック第2巻 発売中】外れスキル『コンビニ』で最強の勇者に成り上がる! ~異世界でコンビニ生活を満喫しつつ、オレを追放したクラスメイトを見返す事にしました~  作者: こたつ猫
第8章 ドリシア王国編

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第七十八話 天から降りてくる巨大なアーム


 おいおい。これは一体、どうしたんだよ……?



 俺がコンビニホテルのロビーに着くと、そこに立っていたのはカフェ大好き3人娘達と、コンビニに新たにやって来た紗和乃(さわの)四条(しじょう)の2人組だった。


 両グループは、互いにバチバチと火花を散らしながら睨み合っている。


 うちのカフェ大好き3人娘達は、全員手を前に組んで。メンチを切るように、コンビニに新しくやって来た新参者達を睨みつけていた。


 その様子は(はた)から見ると。何だか、昔懐かしのレディースというか、女番長(スケバン)というか。これじゃまるで『不良3人娘』みたいな構図になってるな。


 もちろん3人と対峙する、紗和乃と四条の2人組も負けていない。


 『ああん、お前らどこ(ちゅう)出身だよ?』と、言わんばかりの迫力で、3人娘達をキツく睨み返していた。


 元々、勝気な性格をしている2人だからな。

 例え地元の先輩不良グループに凄まれたとしても、臆して後ずさるような性格ではないのだろう。



「……えっと、これは一体どういう状況なんだ?」


 俺が、この謎の争いの原因が分かりかねていると、


「あっ、彼方く〜ん! 良かったぁ〜大変なのよっ! 小笠原さん達3人と、紗和(さわ)ちゃん達が揉めているの〜!」


「ああ。両者が一瞬即発の状態になっているのは、見れば分かるけどさ。でも、これは一体何が原因でこうなっちゃったんだ?」


「う〜んと、それがね〜〜……」


 玉木の説明が始まる前に、3人娘達が口喧嘩の口火を切った。


「だーかーらー!! あんたら1軍のメンバーにあげるステーキは無いって言ってるのよ! さくらの作る料理は、私達3軍メンバーの為のディナーなの! お肉が食べたかったらグランデイルの王宮にでも戻って、屋敷の専属コックに作って貰えばいいじゃないの!」


「はあ〜? グランデイルの王宮になんて、今更戻る訳ないでしょう! 一体何を言いたいのよ、あんた達は!」


「1軍の選抜勇者様は、ずーっと王宮で贅沢生活をしてたんでしょうー? それが今更、彼方(かなた)くんのコンビニホテルが豪華で快適だからって、後乗りしてくるのはズルくないー?」


「そうよ〜、そうよ〜! 私達はずっとグランデイル王国の王都に放置されてきたのに。選抜エリートさん達はそんな私達の生活なんてちっとも気にしてなかったんでしょう? 貴族用の豪華な屋敷が与えられてたんだから、ステーキなんて毎日食べれてたんじゃないの?」


「……ハア? さっきから何を変なイチャモンつけてきてんのや! そないな事、うちらが決めた訳ちゃうやんか。選んだグランデイルのあの胸デカ女王様に文句を言いやッ! そんなん気にしてんのは、あんたら3軍の落ちこぼれ軍団だけやで! 嫉妬に狂って脳細胞の隅々までおかしくなったん違うんか?」


「な、なんですってー!? 誰が嫉妬なんてするのよ! 私達はそのおかげで、彼方(かなた)くんと再会出来て快適な居場所を見つけられたのよ! あんた達王宮暮らしの貴族は、さっさと自分達専用の屋敷に帰ればいいじゃないのよー!」



 うん。これは確かに、ちょっとヤバい雰囲気だな。


 何というか、争いの原因の根が深いというか。

 俺が『まぁまぁ、みんな落ち着いて仲良くしようぜ!』ってニコやかに話しかけても、収まりそうにないぞ。



「彼方くん、ホントにごめんねぇ……。私が、紗和乃(さわの)さんと四条(しじょう)さんの分のステーキをちゃんと用意してなかったから、こんな事になってしまってぇ……」



 料理人(クックマスター)の勇者である、琴美(ことみ)さくらが俺に小さく頭を下げて謝ってきた。


 どうやら今回の争いの発端は、さくらがみんなに用意した夕食の牛ヒレ肉のステーキが問題になったらしい。


 さくらは、コンビニに紗和乃や四条が新たに来たことを知らなかったから。いつも通りに、人数分の夕食を作ったのだろう。そして2つ分足りないステーキを巡って、言い争いが起きたという訳か……。


 でも、これは別にさくらが悪い訳じゃない。


 元々、3軍として王都に放り出されてずっと放置されてきたメンバーと。王宮暮らしをしていた1軍や2軍のメンバーとは、精神的な部分でお互いに不満に思う所がかなりあったのだと思う。


 俺も3軍メンバーだったから、よく分かるんだ。


 戦力外だからって理由で、いきなり王宮から追い出された3軍メンバー達はずっと放置状態だったからな。


 1軍や2軍のメンバー達も、勇者育成プログラムでの訓練や勉強があったりしたし。貴族としての仕事もあったから、街にいる3軍メンバー達についてまでは、頭が回らなかったろう。そんなお互いについての心のわだかまりが、ここで一気に噴出してしまったのかもしれない。



「……とりあえず、私達は別に夕食なんて要らないから。お昼に紗希(さき)ちゃんとケーキやハンバーガーとか、沢山日本の懐かしい食べ物を頂いたから、もうお腹いっぱいよ。だからあなた達と争う気なんて全然ないから、もうやめにしましょう!」


「はあ? 何勝手に場を収めようとしているのよ! あんた達、選抜組のメンバーが、コンビニの中で我が物顔で振る舞っているのが腹立つって言っているのよ! ここは3軍の勇者である彼方(かなた)くんのコンビニなんだからね!」


「ああん!? ほな、うちらにここを出てけって言うてんのか? なら魔王は、あんたら3軍の落ちこぼれ軍団が倒してくれるっていうんやな? 能力も何もない役立たずのくせに、困るのはあんたらなん違うか?」


「ハァ? 別にいいわよ! 魔王も私達でちゃんと倒してあげるから! 何か勘違いをしてるみたいだけど、私達はもう選抜メンバー様の力なんて必要としてないの! 自分達が3軍より優れた能力を持つエリートだと、まだ勘違いしてるみたいなら、実力の差を思い知らせてあげてもいいのよ!」



 ぬいぐるみの勇者の小笠原麻衣子(おがさわらまいこ)の周囲に、武装した小型のぬいぐるみ軍団が召喚される。

 鋭い銀製のフォークを手にした、可愛い外見のクマのぬいぐるみ達が、一斉に紗和乃(さわの)達の周囲を取り囲んだ。



「なんや、なんや? このちっさいぬいぐるみ達は! そっちがやろうってんなら、うちも本気で暴れてもいいんやでッ!」

 


 四条が両手を広げて、戦闘準備に入る。


 おそらく自身の身を守る巨大な防壁を、ホテルのロビーに作り上げるつもりなのだろう。


「待って、四条(しじょう)さん! ここで私達が争っても何もならないわ。紗希(さき)ちゃんから、彼方君がこれまで経験をしてきた異世界での話を聞いたでしょう? 今、私達がすべき事は、今後の異世界での行動方針を決める事が最優先なのよ! 魔王軍への対策もとりつつ、グランデイル王国からの干渉にも備えないといけない。私達は今、仲間内で争っている場合じゃないわ!」



 紗和乃(さわの)がそう叫ぶが、火がついてまった小笠原と四条の争いは、もう収まりそうもない。


 他のメンバーは紗和乃の説得もあり。少しは落ち着いてきたようだ。だが、お互いに拳を振り上げた状態になっている小笠原と四条だけは、まだ互いに睨み合ったままだ。


 このホテルには今、トロイヤの街の人達も宿泊している。だからここで2人を争わせる訳にはいかないだろう。


 コンビニを管理する責任者として。ここは何としても2人のクラスメイト達の争いを、止めないといけないな。



「――おい、お前達いったんやめるんだ! ここで能力を使って争う事は、絶対にこの俺が許さないからな!」



 俺が力強く叫んでも、2人は一歩も譲ろうとはしなかった。

 ジリジリと間合いを詰めて、そして、今にも取っ組み合いのバトルが始まりそうという、その時に……。



 ””ウイーーーーーン!””


 

 コンビニホテルの天井から突然、銀色の謎の巨大『アーム』が出現して、それが、ゆっくりと真下に向けて降下してきた。



「――えっ? 一体何なのよコレ?」


「なんや、なんや!? どないなってるんや?」



 天井から突然現れた巨大なアームは、そのまま小笠原と四条の2人の体を『ガシッ』と、その大きなアームでキャッチする。



 ””ウイーーーーーン””


 そしてそのまま2人の体を掴んだまま、天井に向かって、まるで魚を釣り上げるように。ゆっくりと両者の体を引っ張り上げていった。


 巨大アームに掴まれた2人は、天井に吸い込まれるようにしてどこかに消えてしまう。

 俺達が気付いた時には、小笠原も四条も、2人を連れ去った巨大な銀色のアームも、何も残ってなかった。


 元通りになったホテルの白い天井が、ただそこにあるだけだ。



「……小笠原達は、どこに行ってしまったんだ?」


 何が起きたのか分からずに、目を瞬きさせていた俺は、すぐに我に返って2人の安否を心配する。



 すると、後方から女性の声が聞こえてきた。


「――心配しないで下さい、総支配人(グランドマスター)様。お二人には少しだけ頭を冷やしていただく為に、温泉施設の『超冷え冷え水風呂』の中に強制的に転移をして頂きました」



 俺達の後ろから、レイチェルさんが姿を現した。


 そうか、ホテルの中はレイチェルさんが直接管理をしている場所だ。


 トロイヤの街の人も現在、多数宿泊をしているこのホテルの中で、管理者であるレイチェルさんがこんな騒動を黙って見ている筈がない。


 騒ぎを起こした2人を強制的に、地下3階の温泉施設に移動させ。めっちゃ冷たい事で有名な『超冷え冷え水風呂』の中に叩き落としたという訳か。


 ……でもアレ? コンビニの地下階層に、瞬時に移動させるような強制転移装置なんてあったのかな?



「ふふ。総支配人様。今、お二人を移動させたのは私の能力ではありませんよ? 実はクレーンゲームの勇者である秋山早苗(あきやまさなえ)様の力をお借りしたのです」


「えっ、今のアームは……秋山の能力なんですか?」


 俺が驚いてレイチェルさんを見つめると。レイチェルさんの後ろから、控えめに顔を下げながらクレーンゲームの勇者である秋山早苗(あきやまさなえ)が出てきた。


「秋山様はホテルに宿泊されているお客様にクレーンゲームを提供する事で、自身の能力をアップさせる事に成功しました。今はレベル5にまで急成長をされています」


「レベル5だって? そいつは凄いな……! たった3〜4日程度でそこまで一気にレベルが上がるなんて。魔物と直接バトルをした訳じゃないのに、その急成長ぶりは本当に凄いと思う!」



 秋山は表情を赤くして、更に顔を下に俯かせる。


 その両手はレイチェルさんの腕をしっかりと握っていて、心酔しているレイチェルさんをお母さんのように慕っているのが分かった。


 どうやら今回レベルが上がったのは、秋山だけではないらしい。


 地下1階の倉庫で、臨時のレストランを手伝っていた撮影者(フォトグラフ)の勇者、藤堂はじめ。料理人(クックマスター)の勇者である琴美さくらも、能力が大幅にレベルアップしたらしい。



 その内訳は、大体こんな感じだった。

 


秋山早苗(あきやまさなえ)――レベル5


『クレーンゲーム』の勇者。


ゲームセンターにある、クレーンゲームを出して遊ぶ事が出来る能力。

巨大なアームを空から出現させて――目の前の人物、物を掴み上げて、遠くの場所に強制的に転移させる事が可能。また、同じように遠くの場所にいる人物、物を強制的にアームで掴み上げて、自分の目の前に移動させる事も可能。アームは最大3本まで同時に出現させる事が出来る。



琴美(ことみ)さくら――レベル5


料理人(クックマスター)』の勇者。


料理に天才的な才能を発揮する能力。

異世界の勇者限定で、その料理を食べた者にバフ効果を与える事が可能。それがどういった効果があるのかは完全にランダムである為、不明。

異世界の勇者以外の者がその料理を食べた場合、あまりの美味しさに発狂寸前に感動させる事が可能。

その料理を食べ続けたいという中毒症状にさせる事も可能で、数週間食べ続けた者を、自分の意のままに操れる下僕(しもべ)とする事も可能。――ただし、その効果は料理人が意識的にそういう味付けをした場合のみ。普段の料理に、その効果が自動的に付いている訳ではない。



藤堂(どうどう)はじめ――レベル5


撮影者(フォトグラフ)』の勇者。


目の前にある景色を、1枚の写真にしてその場で口からプリントアウトする事が可能。1日にプリントアウト出来る枚数は200枚まで。

夜であっても、両目を自動で光らせてフラッシュ撮影が可能。

遠距離にいる敵の姿を念写の形で撮影する事も出来る。

また、近距離にいる敵をフラッシュ撮影する事で、軽く弾き飛ばす事も可能。連続フラッシュをすれば、周囲の敵の集団をまとめて弾き飛ばせる。



 レイチェルさんが教えてくれた3人の成長した能力は、かなり役に立ちそうな能力ばかりだった。



 特にクレーンゲームの能力者である秋山の能力は、それがどこまで遠距離に、アームを出現させられるかにもよるが。ある意味『瞬間移動』を可能に出来る能力でもある。


 敵に襲われた味方を、コンビニの地下に移動させる事も出来るし。コンビニホテルにいる仲間を敵の目の前に瞬時に移動させる事も出来るだろう。


 そして撮影者の藤堂の能力も、念写の距離によっては、コンビニの周囲に迫る敵の索敵手段としても有用になる。


 さくらの料理のバフの効果はまだ不明だが、能力が上がるのなら、食べ続けた方が良いだろう。


 でも味付けによっては、食べた人達を料理の虜にさせてやがては洗脳して操る事も出来る……って、結構怖い能力だよな。もしどこかの王宮で料理人として雇われたら、その国の上層部を完全に乗っ取って操る事も出来そうだ。


 まあ、さくらの性格じゃ。絶対にそんな事はしないだろうけどな。



 結局、ロビーでの騒動は一応、収まりはしたんだけど……。

 元々、3軍の勇者であったメンバーと。1軍や2軍のメンバーであり、王宮暮らしをしていた紗和乃や四条達との確執はまだまだ続きそうな気配がある。



 1軍といえば、玉木だって本当は選抜1軍メンバーなんだけどな。


 玉木は勇者育成プログラムをサボって、ずっと3軍メンバーと一緒にコンビニの中で寝ていたような奴だから。みんなにとっての親しみ度が違うのかもしれない。


 まあ、その玉木はいまだに暗殺者(アサシン)の能力がレベル2のままだ。

 とうとう、うちのコンビニメンバーの中で最もレベルが低い勇者に玉木はなってしまったんだが……。もうそれについては俺も、みんなもあまり触れないようにしている。


 玉木はそこにいてくれるだけで、みんなに愛されるイメージキャラクターみたいな所が有るし。そういった明るい面のおかげで、助かっている部分も多くある。


 でもこれはおそらくなんだが、玉木はその能力の性質上。きっと『誰か』を暗殺しないと、能力のレベルが上がらないんじゃないのかな?


 いつかはそんな機会も来るのかもしれないけれど、魔物ではなく、『人間』を殺さないとレベルアップしない能力だとしたら、心の優しい玉木には一番難しい事だと思う。


 本人も普段は明るく振る舞っているけれど。周りがどんどんレベルアップをしている訳だから、あまりその事を深く気にしないでいてくれると良いんだけどな。



 そして、新しくコンビニに紗和乃(さわの)達がやって来て大きく変わった事がある。



 それは紗和乃によるリーダーシップの発揮だ。

 元々、紗和乃はクラスの影の委員長と呼ばれていた。


 女子達の人気だけで委員長になった倉持とは違い。紗和乃は全体を冷静に見渡せて、指示も飛ばせる強力なリーダーシップのある奴だ。ダメなものはダメと言う事が出来るし。冷静に今、何をすべきかをちゃんと判断して、自分から率先して行動の出来る貴重な存在でもある。


 紗和乃はコンビニに来て、温泉に浸かりながら玉木の話を聞き。異世界で俺達が過ごして来た経緯を知ると――。


 すぐにその日から、全員に指示を飛ばし始めた。



「――話は全部、紗希(さき)ちゃんから聞いたわ。みんな聞いて! 今日からコンビニの外への無断外出は禁止よ。そして彼方(かなた)くんは、すぐにでもククリアさんを探して会談の続きをする事。今は異世界に関して、得られる情報は全て吸収しておいた方が良いと思うの」


「ええーーっ! 外出禁止ってどうしてよ? まだトロイヤの街のカフェを全部制覇してないのにーー!」


「カフェ巡りは、安全が確保されるまでは我慢して。いい? コンビニの外にはグランデイルの兵隊が混ざっているかもしれないし、魔王軍の者だって人間に化けている可能性があるのよ? 実際にそれで、コンビニの中に侵入をされて、大変な事になった事もあるのでしょう?」


「ううっ……」


 そう言われてしまうと、みんなも言い返せない。


 いくらコンビニの入り口に、今は『ゲート』を設けているとしても。コンビニの外に出てしまったら、危険がいっぱいあるのは確かな訳だし。



「この世界の過去に来ていた勇者が『魔王』になっているという話は、みんなも聞いたでしょう? そしてドリシア王国の女王の話によると、女神教徒がこの世界で暗躍をしている可能性が高い。彼らの目的はまだ完全には分かっていないけど、私達が分散して行動してたら、拉致されたり、暗殺されてしまう事だって十分にあり得るのよ!」


「………ひぃっ!」


 さくらと秋山が、小さく悲鳴を上げて顔を俯かせる。


 紗和乃達にこれまでの経緯を話す上で、俺はいい機会だと思ったので、数日前にククリアと話した内容もみんなには伝えていた。

 それを全て聞いた紗和乃は、夕食後に全員をホテルのロビーに再集合させて、今回の緊急ミーティングという流れになったのだ。



「そ、そんな恐ろしい事をいきなりされてしまうなんて、本当に起こり得るの?」


「ええ。全然あり得るわね。むしろ、それだけで済むならまだ良いけど。女神教徒達に恐ろしい拷問を加えられて、なぶり殺される事も十分にあり得るってみんなには理解して欲しいの。もしかしたら今、この瞬間にも。ここにいないクラスメイトの誰かが彼らに捕まって、殺されているのかもしれないのよ」



 紗和乃は、コンビニを取り巻く現在の状況を分析して――全員にもっと真剣に行動をするべきだと説明した。


 まあ、紗和乃の言っている事はもっともだ。


 本当にクラスの誰にも犠牲を出したくないのなら、俺達はもっと慎重に行動をしないといけないからな。


「まずは情報の収集が1番ね。そして各自のレベルアップ。自分の身を自分で守れるメンバーと、そうでないメンバーとをちゃんと区分けましょう。敵と戦う能力のないメンバーは、必ず他の戦闘が出来る仲間とペアになって行動をする事。そして可能な限りコンビニの守護騎士である、アイリーンさんと一緒に行動をして! 現在のコンビニの最大戦力であるアイリーンさんと一緒なら、敵も迂闊に手は出せないはずだから」


紗和(さわ)ちゃん〜〜! じゃ、じゃあ……明日からのコンビニの営業はいったん止めた方良いのかな〜〜?」


 玉木が不安そうに、紗和乃(さわの)に尋ねる。


「ううん。紗希(さき)ちゃん、大丈夫よ! トロイヤの街でのコンビニの営業はククリアさんが許してくれた期限ギリギリまでは行いましょう。まずは私達にとっての最大の情報源である、ククリアさんと交渉する事が最優先だから」



 紗和乃はそうニッコリと笑って話すと、親友である玉木を安心させるようにその頭を撫でる。


 そして、みんなの方に向き直ると。これからのコンビニメンバーの活動方針を説明した。


「みんなはコンビニの営業をこのまま続けつつ、コンビニの外への外出は控えるようにする事。そして彼方(かなた)くんは全力でククリアさんを見つけ出して会談の続きをする事。そしてその時に、もし可能なら魔王軍のリーダーである黒魔龍公爵(ブラックサーペント)と話せるかどうかも聞いて欲しいの。女神教徒と魔王軍の両方と戦う事はかなり厳しいわ。だから、紫魔龍公爵パープルインテリジェンスの記憶があるククリアさんに、魔王軍との外交ルートを探って欲しいの」


「分かった。俺はまずククリアを見つけ出して、すぐに会談の続きをする事にするよ。そして魔王軍と交渉が出来るのかも、その時に聞いてみる」



 俺が紗和乃(さわの)にそう返事をした、その時だった。



 俺のスマートウォッチに地上のアイリーンから、連絡のメールが入る。



『――店長! コンビニに来客がいらしています。いかが致しますか?』


「来客だって? こんな時間に一体誰だろう……?」


 俺がスマートウォッチの画面を注視すると。

 アイリーンのメッセージには、深夜にコンビニに訪れた、思いがけない来客の名前が記されていた。



『ハイ。ドリシア王国の女王、ククリア様がコンビニの入り口にいらっしゃっています』


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外れスキルコンビニ
外れスキルコンビニ、コミック第1巻、2巻発売中です☆ ぜひお読み頂けると嬉しいです!
― 新着の感想 ―
[一言] クレ―ンゲ―ムの景品玩具が本物になって キャラ人形でヒ―ロ―や魔法少女やロボット出したり 乗り物や銃を出せてもいい 食べ物を出せてもいい
[一言] 景品を出せないならクレ―ンゲームじゃないだろ
[気になる点] 小笠原と四条の二人だけではなく、 3人娘の2人   野々原有紀 ・ 藤枝みゆき 1軍の紗和乃も、一緒に水風呂に入れてもよかったのではと思ってしまう。 紗和乃が、リーダーシップを発揮…
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