表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミック第2巻 発売中】外れスキル『コンビニ』で最強の勇者に成り上がる! ~異世界でコンビニ生活を満喫しつつ、オレを追放したクラスメイトを見返す事にしました~  作者: こたつ猫
第23章 巨大移動要塞コンビニ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

442/449

第四百四十二話 巨大移動要塞コンビニ


 グランデイル王都の西側に広がる空を、飛行ドローンに乗って猛スピードで突き進んでいく。



 カディナの街に早く向かわなければという、焦りは確かにある。でも、それ以上に……今の俺の思考は、不思議なくらいに冷静さを取り戻し。

 巨大移動要塞であるコンビニにどう対処すべきかという事に、脳がフル回転しながら作戦を()っていた。



 もしこのまま、移動する巨大コンビニに追いついたとしても。当然、俺の力だけではあのレイチェルに勝てない。


 こちらの戦力の中で今現在、一番の頼りの(つな)となるのは……チョコミントの騎士のパティだけだろう。



 パティは三色団子(さんしょくだんご)の槍で、あの魔王アリスの体を易々(やすやす)と貫通する事が出来たほどの最強の騎士だ。


 唯一の欠点は、その稼働時間の短さだろうか。体内に蓄積されたチョコミント成分が無くなってしまうと、パティはすぐに行動不能になって引き篭もってしまう。


 だから、そのパティの特性を活かした上で。いかに、あの灰色ドレスのレイチェルに一点突破の超火力攻撃を加えられるか……という事が重要になるはずだ。



「でも問題なのは、そんなチョコミントの騎士のパティの特性を、敵側のレイチェルはもちろん全て知り尽くしているという事だな……」


 コンビニの守護者達のリーダーであるレイチェルは、味方の守護者の能力を完全に把握している。

 むしろ、俺達以上に詳しいと言っていい。なにせレベル99を超える、コンビニの大魔王に太古の昔から仕えているような存在なんだからな。



「クソッ……! 考えれば考えるほどに、今回の作戦は無謀を極めているな。やはり、女神教の枢機卿すうききょうが加勢に来てくれないと、全く勝てる見込みが思い浮かばない。最悪、それが無理だというのなら。俺は最も得意とする、コンビニの勇者の誇る最強の『必殺技』をレイチェルの前で披露するしかないのかもしれない」



 まぁ、その技だけは出来れば披露はしたくないなら、ギリギリの最後にまでとっておく事にしよう。


 女神教の枢機卿(すうきききょう)は、いや……過去の玉木は本当に来てくれるだろうか? その事だけが今の俺にとっては、唯一の懸念(けねん)事項でもあった。


「……あれだけコンビニの中で、ポテトチップスやら、昆布おにぎりを食い散らかしていったんだ。コーラなんて、ペットボトル2本分も飲んでいったんだぞ? 無料(タダ)食いの無銭飲食で逃亡するなんて、マジで許さないからな! コンビニ店長として、楽屋に連れ込んで。一生コンビニで働く事に同意させる、終身雇用契約者にサインをさせて、俺の側でずっとこき使ってやるから覚悟しろよな!」



 飛行ドローンの上で、強く拳を握り締めながら強く決意を固めていた俺は……。急にある事を思い出して、思わず後悔の大声を上げてしまう。

 

「しまった……! せめて巨大コンビニが王都を襲わずに、西に進路を変えた事だけでも、女神教の連中には伝えておくべきだったかもしれない!」



 グランデイル王都の住人達を避難させているティーナにも、連絡を取りたい所だったけれど。

 万が一にも、巨大コンビニがまた気まぐれに進路を変える可能性がある事を考えると。王都の住人達には、あのまま一時的に街から避難して貰った方が良い気がする。


 けれど、ただでさえ全く音沙汰(おとさた)が無い女神教の連中が、ますます俺達の救援に来てくれる可能性が減少してしまう気がして……。

 俺の心は更に、不安の底へと沈んでしまいそうだった。



 もしかしてグランデイル王都に、巨大コンビニが攻めてこない事を知った女神教は、それが好都合だといわんばかりに。俺達のピンチを見て見ぬふりするのだろうか?


 分からない……。でも今は、その事を深く考えている時間が残されていないのも確かだった。


 もう、やり直しは効かないんだ。なぜなら今は、仮想夢(かそうむ)世界じゃ無いのだから。


 このセーブボタンの無い過酷な現実世界で、必死に考え抜いて、地の底で足掻き回るしかない。

 どうすればみんなが犠牲にならずに、そしてこの世界をより良い方向に導けるのかを、与えられた条件の中で必死に探し出すしかないんだ。



 幾つもの白い雲の群れを突き抜けて、ひたすらに前に向かって飛行ドローンを進めていくと。


 俺の視界の正面には――とうとう、移動要塞である『巨大コンビニ』見えてきた。


 

 巨大コンビニは、まるで大きな蜘蛛(くも)のように。左右にそれぞれ4本付いている長い脚を器用に動かしながら、大地の上を素早く移動している。


 その速度は、時速50キロくらいは軽く出ているようにも見えた。



「相変わらずの、馬鹿デカさだな……。俺のコンビニも、いつかレベル99を超えたりでもしたら。あんなショッピングモールみたいな巨大な建物に進化するのかと思うと、マジでゾッとするな」



 当たり前だけど、日本にあるショッピングモールの建物には『長い(あし)』なんて生えていない。

 そんな大前提さえ、訳が分からなくなるくらいに常識の範疇(はんちゅう)を遥かに飛び越えて。俺の目の前には、巨大コンビニが8本の脚を動かしながら、ズシンズシンと大地に音を立てて前に進んでいる光景が見えていた。



「――よし、まずは巨大コンビニの進行をここで食い止めてみせるぞ!」



 後方から巨大コンビニの後を追いかけた俺は、敵に俺達が接近している事を気付かれないように。

 低空飛行をしながら、先回りし。巨大コンビニの進行方向の前方に広がっている『ソラディスの森』の中に、いったん不時着をした。


 そして飛行ドローンから地上に降りて、すぐにコンビニ支店1号店を出現させ。地下シェルターに待機して貰っていた玉木、紗和乃(さわの)、フィート、パティの4人に店の外に出てきて貰う。



「にゃにゃにゃ、にゃ〜〜んなのにゃ〜!? あの超馬鹿デッカいコンビニは〜〜っ!? しかも横から脚がいっぱい生えてて、コンビニが蜘蛛(くも)みたいに地上を歩いているのにゃ〜! 超、気持ち悪いのにゃ〜〜!」


 コンビニから森の中に出てきたもふもふ猫娘のフィートが、驚愕の光景を見て。思わず尻尾をぶるぶると震わせながら絶叫する。


 フィートだけじゃない、玉木も、そしていつもは冷静な紗和乃(さわの)も。あまりにも規格外過ぎる光景を見て。全身を硬直させながら言葉を失っているようだった。


 まぁ、無理もないよな。今回のメンバーの中でアイリーンを除けば、他のみんなは、あの巨大コンビニを見るのは初めての事になる訳だしな。


 何だかもう、異世界の謎設定に慣れすぎてしまった感があるけれど。……普通、コンビニって勝手に一人で歩き出さないものなんだぞ。おまけにあんなに巨大な、山みたいな大きさは絶対に無いからな。



 以前に見た動物園の魔王である、マコマコ【冬馬このは】が出現させていた『浮遊動物園』にも度肝(どぎも)を抜かされた事があったけど。


 巨大移動要塞となったコンビニの大きさは、それを遥かに上回る凄まじい規模がある。


 いつか日本に戻る事があったら、『異世界のコンビニって脚が生えてて動き回るんだ。おまけにイオ◯モールよりも大きいんだよ!』って、うちの母さんと父さんに聞かせてやりたいくらいだぜ。


「まぁ、多分……絶対に信じて貰えないだろうけどな」


「か、か、彼方(かなた)く〜〜ん! あんなに巨大なコンビニが存在してるって事は、きっと中で扱っている商品の昆布おにぎりも特大キングサイズで、一生かけても食べきれないくらいの量があったりするのかな〜〜!? どうしよう、私……ちゃんと最後まで食べ切れるか不安だよ〜!」


「落ち着くんだ、玉木。いったん深呼吸をしろ! 現実逃避するにはまだ早いぞ。俺達はあの巨大コンビニと今から戦うんだからな!」



 動揺しまくって、よく分からない事を呟いている玉木の心のケアは、親友の紗和乃(さわの)に任せる事にする。


 俺はすぐにみんなに指示を飛ばして、作戦行動に移る事にした。



「まずは、あの巨大コンビニの足を止めたい! パティは俺のサポートをして欲しいから一緒に来てくれ! 紗和乃(さわの)達はソラディスの森の中に隠れながら、遠距離攻撃をしてくれ。コンビニの中にいると敵の集中攻撃を受ける可能性があるから、森の中に隠れて、息を潜めるようにゲリラ戦法で俺の援護を頼む!」


「分かったわ! 紗希(さき)ちゃんと、フィートさんと一緒に、私達は森の奥に潜む事にするわ。彼方(かなた)くんも絶対に無理はしないでね!」


「おう、任せてくれ! 大丈夫、俺じゃ敵のレイチェルに勝てない事は、この身にしみて知っているからな。無鉄砲に突っ込むような下手なマネは絶対にしないさ!」



 玉木達と別れた俺は、飛行ドローンにパティを一緒に乗せて。再び上空へと飛び立っていく。



 そして正面からこちらに迫ってくる巨大コンビニの、真下に潜り込むようにして低空飛行で接近していった。

 


「まずは、その長い脚を破壊させて貰うぞ! これでも()らいやがれーーッ! 『青双龍波動砲セルリアン・ツインレーザー』ーーッ!!」



 ドローンの上から、最大出力を込めたツインレーザー砲を放ち。巨大コンビニの正面右方向に付いている、合計で8本ある脚の一つに、レーザー砲を直撃させる。



 ””ズドドドーーーーーーーン!!!””



 凄まじい大爆発音と共に、長さ50メートル近くある巨大コンビニの脚の一つが真っ二つに切断され。豪快に地面に崩れ落ちていった。



「よし、やったぞ! 巨大コンビニの本体部分には、バリアーが張ってあるけれど。左右に付いている長い脚には、どうやらバリアーは無いみたいだな!」


 仮想夢(かそうむ)の中で、白アリの女王リルティアーナと巨大コンビニが直接戦っていた時に――。

 無数の白アリ兵達が放つ魔法攻撃を、巨大コンビニは周囲に張られている『見えないバリアー』で全て防いでしまっていた。


 だから今回も、もしあの8本の長い脚にまでバリアーが付いていたら。俺のツインレーザー砲を直撃させても、防がれてしまう可能性があるんじゃないかと不安だったけど……。上手くいって、マジでホッとしたぜ。


 この調子でどんどん敵の移動手段である長い脚を、ぶち壊していってやるからな!



「――パティ! 進行方向右側面の脚に集中攻撃を加えるんだ! 左側に付いてる脚は全部無視して構わない。右側の脚にだけお前の全力攻撃を喰らわせてやってくれ!」


「了解なのですぅ〜、コンビニマスター様☆ さぁ、さぁ、甘〜いプリンの海で、幸せな気持ちになりながら(おぼ)れちゃいなさい〜! 必殺の『焦がしキャラメルプリン』ですぅ〜〜☆」



 俺の背後に立っているパティが、飛行ドローンの上から巨大な『キャラメルプリン』を、移動要塞であるコンビニに向けて放った。


 高熱の溶岩のように、ドロドロの液体と化した焦がしプリンは、巨大コンビニの右側面の脚に命中すると。

 何と、合計で2本もの長い脚を一気に溶解させて。元の原型が分からなくなるくらいに、ドロドロに巨大コンビニの脚を溶かしてしまう。



「うおおっ!? 流石はコンビニのニート騎士、パティ様だぜーーッ! ここぞという時に役立つ有能っぷりが、マジで半端ないなーーッ!!」


「ニート騎士じゃなくて、パティめはコンビニスイーツの神☆ですぅ、コンビニマスター様ぁ〜! 何人(なんびと)たりとも聖なるコンビニスイーツ(しん)である、このパティめの甘くとろけるような攻撃を止める事は出来ないんですぅ〜☆」



 ””ズシーーーーーン”


 合計で3本の長い脚を破壊された巨大コンビニが、とうとう進行を止めて。その場で立ち止まった。


 当然だ。その巨体を支えていた8本の長い脚のうち、片側の脚だけが集中的に破壊されて。脚の数は5本に減ってしまったんだからな。


 しかも右側面に付いている4本の脚に対して、巨大コンビニの左側面には現在1本しか脚は残っていない。


 4本と1本の組み合わせじゃ、今までみたいに前方に進む事は困難だろう。むしろ必死にその超巨大な重量を支えているのが、やっとな状態になっている。


 これだけバランスを崩してやったんだ。巨大コンビニは、今までみたいに器用に歩き回る事は不可能になっていた。



 いきなりの奇襲には大成功したものの。もちろん、巨大コンビニがこのまま大人しくしている訳がない。


 左側面に付いた最後の脚が破壊されるのを防ぐ為に、無数の小型ドローンと黒いアパッチヘリの大部隊が空に出撃してきて。俺とパティの乗っている飛行ドローンの後を、必死に追いかけてきやがった。



「敵さんが、わんさかとおいでなさったぞ! パティ、こっちの弾薬とチョコミント成分の補充は大丈夫か?」


 背中に立っているパティは、大きなリュックサックを背負いながら三色団子の槍を空中で構える。


 大量消費してしまったエネルギーをすぐに補給出来るように、パティはリュックサックの中にチョコミント味のパンを大量に詰めて。攻撃をするたびにそれを食べては、燃料補給をしながら戦ってくれていた。



「ハァ〜ィ☆ コンビニマスター〜さまぁ〜! もぐもぐぅ。バティめは、お腹いっぷぁいにチョコミントパンを食べながら戦っとぅえいるのでぇ〜! 栄養補充は常に十分なのどぅえすぅ〜! もぐもぐ、もぐもぐぅ〜☆」


 

 巨大コンビニから出撃してきた小型ドローンの部隊の数は、数千機を超えている。

 それらが一斉にミサイルを放ちながら、俺の操る飛行ドローンに目掛けて攻撃を加えてきた。


 対するうちの頼れるパティは、口の中でモゴモゴとチョコミント味のパンを限界まで積め込みなから。鋭い目つきで、こちらに迫り来る小型ミサイルの群れに狙いを付けると――。


 敵の数を遥かに上回る、大量の『三色団子のミサイル』を空中に連続で放ち、敵の攻撃を全て迎撃していく。



 ””ズドドドーーーーーーン!!””

 ””ズドドドーーーーーーン!!””

 ””ズドドドーーーーーーン!!””



 白い無数の糸を引くようにして、パティから放たられた三色団子ミサイルが――まるで、花火大会のように。

 空中で無数の連鎖大爆発を引き起こして、轟音と鮮やかな炎の光を巻き散らした。


 巨大コンビニから出撃してきたドローン部隊によるミサイル攻撃は、それを上回る量で放たれたパティの迎撃ミサイルによって全て撃墜されたらしい。



「す、すげーーッ!? 何かこんなミサイルがめっちゃ糸を引いて爆発しまくるロボットアニメの戦闘シーンを、俺は見た事がある気がするぞ! パティ、お前って本当に何でも出来る万能騎士だったんだな!?」


「モゴモゴ、あったり前なのどぅえ〜〜す! このパティめは、どんなに強大な敵でも無自覚にあっさりと撃破出来ちゃう、万能騎士なんどぅえすからぁ〜〜☆ モゴモゴ、モゴモゴぉ〜」



 チョコミント味パンを夢中で食べるパティの大活躍によって。巨大コンビニの上空で展開されたミサイルバトルは、どうやらこちらが優勢に進んでいるようだ。


 だけど、もちろんこのまま手をこまねいている訳にはいかない。


 地上の森の中に待機させているコンビニ支店1号店からも、俺はスマートウォッチの遠隔操作で無数のドローン部隊を出撃させる事にする。


 既に空中では、敵の巨大コンビニ陣営のドローン部隊と。俺が森から出撃させた味方のドローン部隊とが、激しい航空バトルを繰り広げていた。


 そして時折、森の中から凄まじい数を誇る『光の矢』が放たれて。巨大コンビニを防衛している黒いアパッチヘリの防衛部隊を次々と撃墜してくれているのが見えた。


 おそらくあの光は、森の中に隠れている『狙撃手(アーチャー)』の紗和乃(さわの)がこちらを援護してくれているのだろう。



 よし、ここが最大のチャンスだぞ! (たた)みかけるように攻撃を加えて、一気に巨大コンビニを落としてやる!



「――パティ! もう一度、上空を旋回して巨大コンビニの真下に潜り込む。そうしたら、敵の右側面に残っている最後の『(あし)』を破壊してくれ! そうすれば巨大コンビニはバランスを失って地上に倒れ込むはずだ!」


「了解なのですぅ〜! コンビニマスター様☆ パティめに任せるのですぅ〜〜!」



 再び三色団子の槍を構えて、準備万端になったパティを連れて。俺は巨大コンビニの真上に飛行ドローンを上昇させて、空中で大きく旋回を始める。


 そして一気に真下に降下して、敵の右側面に残された最後の脚を破壊しようと猛スピードで前進を開始した。



「うおおおォォーーッ!! いっくぞォォーーッ!!」



 その時だった――。


 こちらに向けて迫ってくる、敵のドローン部隊による無数のミサイル攻撃に混ざって。

 後方から凄まじいスピードで追いかけてきていた『白い手』の存在を、俺とパティは見落としてしまっていた。



「――なっ!? これは、まさか……!?」


 巨大コンビニの屋上から伸びてきた、白く細い人間の手は、『ガシッ』と俺達の乗る飛行ドローンの一部を力強く掴み上げると。


 そのまま凄まじい力で、魚を釣り上げるかのように伸縮して。俺達を巨大コンビニの屋上の中心部に向けて、強制的に引っ張っていく。



「うおぉああぁァァーーー!?!?」


「コンビニマスター様ーーーっ!?」



 ”ドゴーーーーーン!!!”



 大きな爆発音と共に――俺は、頭を押さえながら。硬いコンクリートの床の上でゆっくりと体を起こした。


 どうやら、俺の乗っていた飛行ドローンは墜落をして。巨大コンビニの屋上に落とされてしまったらしい。



 墜落の衝撃で、まだ痛みの残る後頭部を手でさすっている俺の耳元に。

 この世で最も残忍で、恐ろしさと優しさの両方を含んでいるよく聞き慣れた声がすぐ近くから聞こえてきた。



「――待っていましたよ、新しい彼方(かなた)様。私の操るコンビニに直接乗り込んで来るなんて、本当に驚きましたけど。ウフフ……」



 顔を上げた、すぐ目の前には……。


 ピンク色の髪を伸ばし、灰色のドレスを着たコンビニの守護者――レイチェルが、ニコニコといつもの業務スマイルを浮かべながら、そこに立っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外れスキルコンビニ
外れスキルコンビニ、コミック第1巻、2巻発売中です☆ ぜひお読み頂けると嬉しいです!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ