第三百八十話 帰ってきた水無月の正体
「――何だって、水無月が!? それは本当なのかよ、雪咲?」
『うん。間違いないわ! 今、杉田くんが急いで、コンビニ本店に水無月くんの体を運んでいるの。うちは正門ゲートの管理者だから、ここに残るけど……。彼方くんも、すぐに杉田くんを迎えに行って欲しいの!』
雪咲の言葉を聞いた俺の頭の中は、一瞬……真っ白になってしまった。
あの水無月が、生きていただって?
――そんな、バカな!?
俺は確かにあの時、見たんだ。
ミランダ領の戦場で、戦車隊の砲撃を受けて。粉々に吹き飛ばされてしまった水無月の体を……。
今でもその事を思い出すと、吐きそうになるし。夜な夜な眠りにつくと、死んだ水無月の顔と、その時の凄惨な光景が鮮明に思い出されてうなされる事だってある。
それくらいに、あの事件は……俺の心の中に強烈な後悔と自責の念を残し。水無月の死は、永遠に消えない心のトラウマにもなっていた。
その水無月がまさか、生きていただなんて……。
――いや、それは絶対にあり得ない!
俺だけならともかく、あの時は一緒にいたクラスメイトの香苗美花も水無月の死を確認している。
確かに俺達は、死んだ水無月の死体を回収した訳ではなかったさ。あの時は、状況が切迫していたからな。
でも、決して水無月の死が……俺の妄想や幻想でない事だけは断言出来るんだ。
「……雪咲、水無月の様子はどうなんだ? 意識はしっかりしているのか?」
俺からの問いかけに、トランシーバー越しに聞こえてきた雪咲の声は、かなり狼狽えている様子だった。
『ううん。水無月くんは、まだ意識が朦朧としているみたいで、私達の事もあまりよく憶えていなかったの』
「そうか……。それじゃあ、水無月の体には外傷はあったのか? 何か怪我をしていたのか?」
『特に、外傷は無かったみたいだけど……。どうして、その事が気になるの、彼方くん?』
雪咲は、死亡していたクラスメイトが生きていたニュースを素直には喜ばずに。逆に訝しむ様子をみせている俺に、少しだけ戸惑っているようだった。
『槍使い』の勇者の水無月洋平は確かに死亡している。
俺がすぐ側で見ていたし。あの時、俺と一緒にその光景を目撃した香苗は、帝国の帝都に残してきたから、今ここにいる訳では居ないけれど。
それだけは……絶対に間違いないはずなんだ。
でも、あの時に水無月と同じように。戦車隊の砲撃を受けた金森準が、実は生きていたという実例もあった。
もちろん金森自身は無傷ではなく、グランデイルのクルセイスによって、強制的に魔物と融合させられて。醜悪な魔物の姿へと体の下半身を変化させ。人間と魔物の融合体となって延命していたという話を俺は聞いている。
だからもしも、その時と同じパターンなら。
水無月の体は、レイチェルさんの作った監視装置ゲートに引っかかり。『魔物』として認定されるはずなんだ。
つまり、グランデイルのクルセイスによって肉体を改造され。魔物と融合した体で水無月がここに戻ってきた……という可能性は低いだろう。
「か、彼方くん……。水無月くんが本当に、生きていたの〜?」
後方に控えていた玉木が、今にも泣き出しそうな顔で俺の方を見つめている。
トランシーバーから流れてきた雪咲の声が聞こえた玉木も、激しく動揺をしていた。
心の優しい玉木は、クラスメイト想いだからな。もし、水無月が本当に生きていたのなら。すぐにでもここから駆け出して、水無月を迎えに行きたいくらいなのだろう。
……でも、今はそれを必死に我慢して。
事態の対応と判断を、コンビニチームのリーダーである俺に全て委ねているようだった。
俺は改めて、レイチェルさんの方に向き直り。
レイチェルさんが作成した監視装置ゲートについて、尋ねてみる事にした。
「レイチェルさん……。共和国の外壁を囲んでいるその監視装置ゲートは、コンビニに悪意を持つ人間や、女神教の関係者。あるいは魔物の類いが侵入すれば、すぐに分かる仕組みになっているんですよね?」
「ハイ。その通りです、総支配人様。もし、敷地内に魔物が侵入をすれば、すぐに警報音が鳴り響く事でしょう。例外はコンビニの守護者など、コンビニ関係者の侵入のみとなります」
レイチェルさんの説明を改めて聞いた俺は、小さな吐息を漏らして悩み込む。
じゃあ水無月は、本当に生きていた……のか?
その時、俺の脳裏には……帰りのヘリの窓に、一瞬だけ映り込んだ『叙事詩』の勇者の朝霧の顔が思い浮かんだ。
いいや、違うな。
これはきっと……罠だ。
脳裏の中で、ある恐ろしい発想が思いつき。
その『答え』が導き出す、最悪な未来の結末を想像して――俺の全身は身震いを起こして恐怖する。
「総支配人様、どうされましたか?」
「レイチェルさん。もし、俺が今……頭の中で考えている一つの『仮定』が正解だったとしたら。コンビニ共和国にとって、一番『最悪な敵』の侵入を許してしまったかもしれません……」
そう……考えられる限りにおいて。
最も凶悪で凶暴な破壊力を持つ悪魔が、この街の中に侵入してしまった事だけは間違いないだろう。
「え、え、どういう事なのよ? 彼方くん〜!?」
玉木や、ティーナも。そしてレイチェルさんも。
ここにいるみんなが、固唾を飲んで、俺の様子に注目をする。
俺は脳裏に浮かんだ恐ろしい事実を、みんなにも説明する事にした。
「――きっと、北の禁断の地に潜む。太古の昔にこの世界を支配した、コンビニの大魔王に仕える『第4番目の守護者』が、水無月の姿に化けて共和国に侵入してきたんだと思います」
ミランダの地で、俺は確かに水無月が死んだ姿を目撃している。
もし水無月が、タコ足人間と化したという金森と同じように。グランデイルのクルセイスによって、魔物と体を融合させれて、強制的に生かされていたのなら……。
きっとレイチェルさんの作った結界にも、反応しているはずなんだ。
でも、その警報音が鳴らなかったのだから。
水無月は魔物となって、生き延びた訳ではない。
そして上半身が吹き飛ばされた人間が……土から勝手に蘇り。ノコノコとゾンビのように、俺達の元に舞い戻ってくるなんて、ホラー映画のような出来事は現実では絶対に起こり得ない。
そもそも水無月が死んだ時には、まだコンビニ共和国は出来ていなかったんだからな。
それなのに、この場所を死んだ水無月が知っていて。正確に俺達の元に帰ってきた事も、よくよく考えればあまりにも不自然過ぎる。
つまり外見だけは、水無月の姿をした『別の何か』が今……コンビニ共和国の中に侵入してきている事になる。
しかもそいつは、レイチェルさんの使った監視装置には反応せず。コンビニの関係者と認識された状態で、結界内に入ってきた。
そんな事が可能なのは……きっとうちの『パティ』くらいだろう。
自由に姿を変えて、他者に成りきる事の出来るコンビニの第4番目の守護者。過去のコンビニの大魔王に仕えていた方の、最強のチョコミントカラーの騎士が……水無月に姿を変えて、共和国に来訪してしまったんだ。
「――なるほど。その可能性は大いにあり得ますね。いえ、むしろ総支配人様のお考えが正しいでしょう。私の作った監視装置は、『コンビニの守護者』には適用されません。もし、敵陣営に所属しているパティが姿を変えて侵入してきたのなら、警報音は鳴らないはずです」
虚無の魔王との戦いで、新たに仲間になった共和国陣営のパティは、まだコンビニ支店のカプセル中に残ったままだった。
だからレイチェルさんとパティは、お互いにまだ顔合わせをした訳ではなかったけど。既にレイチェルさんは、新しい守護者であるパティの能力や、その特性についてを熟知しているようだった。
守護者達のリーダーでもあるレイチェルさんは、やはり個々の守護者達の能力を全て知っているという訳らしい。
「彼方様、それでは私達の味方ではない――コンビニ共和国に悪意を持つ、もう1人のパティさんの方が街の中に侵入してしまったという事なのですか?」
ティーナが心配そうな声で、俺にそう問いかけてくる。
「ああ……。そういう事になるな。今この瞬間にも、街に住む人々が全員殺害されてしまいかねない程の、最悪な危機が訪れているのは間違いないだろうな」
下手をすると……。過去にコンビニ本店の地下階層に侵入してきた事のある、動物園の魔王配下の緑魔龍公爵の時よりも、今回は遥かにやばい惨劇が引き起こされてしまう可能性があるぞ。
俺の脳裏には、魔王領で出会ったあの灰色ドレスを着た、もう1人のレイチェルさんの姿が思い浮かぶ。
彼女は、人間の命をゴミのように扱い。
巨大コンビニにぶら下げた袋に、無理やり押し込めていた1000人近い無抵抗な人々を、一瞬にして地面に叩き落として惨殺をした。
あの残虐な悪魔である、サイコパスverのレイチェルさんに仕える、コンビニの大魔王配下の最強の『チョコミント色の騎士』が今、ここにやって来ているんだ。
パティが持つ攻撃能力の高さは、俺がよく知っている。
コンビニスイーツの神でもあるパティは、たった一人で敵の軍勢を殲滅出来る程の力を持った最強の騎士だ。
あの虚無の魔王と同化していた、魔王シエルスタの本体である『アリス』を、三色団子の槍で一撃で葬り去ったくらいだからな。
つまりは魔王クラスの力を持った敵が、共和国に既に侵入しているという訳だ。それは女神教の魔女がここにやって来る事よりも、遥かに恐ろしい事実だった。
だから俺は、あまりの恐怖に……ブルブルと全身が震え上がってしまう。
もし、たった今この瞬間にも――。
敵のパティが、巨大プリンを大量に空から落とす攻撃を街の中でしかけてきたら……。そして全てを溶かす、灼熱の焦がしプリンの液体を、共和国の街の中で洪水のように流してきたら。
共和国内にいる住民は一瞬にして皆殺しにされて、全滅してしまう。まさに地獄の光景が作り上げられてしまう事になる。
ほんの数秒先に、爆破ボタンが押されてしまう寸前の核爆弾が、共和国に入り込んだようなものだ。
今ここで会話をしているこの瞬間にも、爆弾のスイッチが入れられて。街の中では、最悪な惨劇が引き起こされているかもしれない。
しかも、そんな狂気の行動を引き起こす動機が――コンビニの大魔王に仕えるチョコミントの騎士にはある。
禁断の地に潜んでいる灰色ドレスのレイチェルさんからすれば、俺の心を絶望させて。復讐に狂わせて、一気に『魔王化』を促進させた方が、都合が良いだろうからな。
魔王となり、不老の寿命を手に入れた俺の体を欲している禁断の地の奴らには、その『動機』がある。
「か、か、彼方くん〜! どうしよう……! みんなが殺されちゃうなんて、絶対に嫌だよ〜!」
「彼方様……」
泣きそうな声で、悲鳴を上げる玉木。ティーナも体を震わせて怯えていた。
俺からの詳細な説明を聞き。レイチェルさんも、今がコンビニ共和国にとって緊急事態である事を把握する。
「――総支配人様、事態は一刻を争います。私はすぐに共和国防衛の為の準備に取り掛かります。コンビニ支店1号店のカプセルを、私に預けて頂いても良いでしょうか?」
「コンビニ支店1号店のカプセルをですか? 分かりました」
俺はレイチェルさんに言われた通りに、コンビニ支店1号店のカプセルを手渡す事にする。するとレイチェルさんは手に持っていたトランシーバーを床に置き。
すぐにエレベーターの方に向かって行った。
「総支配人様は、すぐにでも杉田様を迎えに行って下さい。決して敵に怪しまれないように、水無月様の姿をしている敵の前では、自然に振る舞って頂けると助かります」
「……分かりました。すぐに向かう事にします!」
レイチェルさんはエレベーターの中に乗り込むと。
急いで下の階に向かって降りていった。
すると――。レイチェルさんが部屋に残していったトランシーバーから、正門ゲートにいる雪咲の声が再び聞こえてきた。
『ザザーーッ……ザー、ザー。彼方くん、うちはどうすれば良いの? 街のみんなにも今、彼方くん達が話していた内容を伝えに行った方が良いのかな?」
新しい守護者であるパティの件を含め。雪咲は俺とレイチェルさんの会話の、全ての詳細を理解出来た訳ではなかったようだが……。
街に入ってきた水無月は、どうやら偽物で。共和国にとってめちゃくちゃ危険な存在であるという事は理解出来たらしい。
「――いや、雪咲はそのまま正門ゲートで待機しててくれ。俺達が話した内容も、まだ誰にも伝えないで欲しい」
「でも、でも……彼方くん! 街が危険に晒されているのなら、すぐにでも街に住んでいる人々を避難させた方が良いんじゃないの〜?」
不安そうな声で、玉木が俺に話しかけてくる。
「確かに玉木の言う通りだと思う。でもここで街の人達に事実を伝えて。敵の正体に俺達が気付いている事を、侵入した水無月には悟られたくないんだ……」
今この瞬間にも、敵のパティが街を破壊して。
住人の大量虐殺をしでかす可能性がある以上――。本当はすぐにでも、街の住人達の避難を進めるべきだろう。
でも、その点については……きっと俺とレイチェルさんの思考は一致していると思う。
今は少しでも、敵を刺激したらダメなんだ。
もしも、敵が俺達の不意をついて。街を真っ先にを破壊しようとする意図があるなら、共和国に侵入した時点ですぐにそれを行っていただろう。
だが、まだ侵入した水無月は破壊行動をしていない。
それが意味する事は――おそらく敵は俺の目の前で。 俺が最も絶望するであろう、絶好のタイミングでそれを行い。街が破壊される恐怖の瞬間を、俺に見せつけようとしているに違いない。
少なくとも向こうのパティの狙いは、この『俺』なのは間違いないだろうからな。
俺はレイチェルさんに言われた通りに、死んだ水無月の姿に化けている敵陣営のパティを迎えに行く事にした。
「玉木、ティーナ、2人はレイチェルさんの指示に従って行動をしてくれ。俺もスマートウォッチで、レイチェルさんと連絡を取りながら行動をする。今は一刻を争う事態だからな、2人とも用心しておいてくれ!」
「分かったわ〜、彼方くん!」
「了解です、彼方様!」
心配そうに俺の事を見つめる、玉木とティーナの2人をコンビニに残して。
俺は杉田が運んでいるという、水無月を直接迎えに行く事にした。
急がないと、共和国が本当に滅ぼされてしまう。
あの時、ヘリの中で朝霧の顔を見れた事に……俺は心の底から感謝する。
もし、共和国に真っ直ぐに帰らずに。あのままアッサム要塞に寄り道をしていたら……。
今頃、この街は侵入してきた最強の力を持つチョコミントの騎士に、全てを破壊されてしまっていたかもしれないからな。
「――朝霧。今回もマジで助かったぜ! 今度もし、お前にまた会う事が出来たなら。俺の物語のファンで、メタ視点の読者であるお前に……物語の主人公である俺が、お前が着ているダッサい黄色ドレスに直接サインを書き込んでやるからな! 楽しみにしておいてくれよな!」
俺は大勢の人々で賑わっている、街の大通りを抜けて。真っ直ぐに杉田のいる方向に向けて走っていった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「――水無月、大丈夫か? もう、歩けそうか?」
「ああ……すまないな。少しだけ体が自由に動かせるようになったみたいだから、もう、大丈夫だ!」
白い担架の上に乗せられて運ばれていた水無月は、その場でゆっくりと自分の体を起こすと。
共和国の生活担当大臣でもある、杉田の肩に自分の腕を乗せて。懐かしいクラスメイトと共に、ゆっくりと一緒に街の中を歩き始めた。
「水無月……さっき、アパッチヘリがコンビニ本店の近くに不時着したのが見えたからな。きっと彼方の奴はもう、街に戻ってきているぞ。だから、すぐに彼方に会う事が出来るからな」
「彼方が、戻ってきている……? それは良かった。俺も久しぶりに彼方に会えるのが本当に楽しみだよ」
長旅の疲労で、顔色がやつれているように見えた水無月が、少しだけ笑ったように見えた。
そんな水無月の照れ顔が見れて、思わず杉田も安心をして笑顔になる。
「おう、もう少しでコンビニ本店に辿り着くからな。ところで、水無月? お前……俺達の事をどれだけ憶えているんだ? さっきは、俺や雪咲の事をすぐに思い出せなかったみたいだけど……?」
杉田が不思議そうに、そう問いかけると。
水無月は、顔を斜めに傾けながら少し考え込み。小声で杉田に返答をした。
「そうだな……。俺はまだ記憶が少し曖昧なんだが。副委員長の玉木や、新井涼香、それと佐伯と松木田、四条京子の事なら、よく憶えているぞ。みんなはちゃんと無事でいるのかな?」
「えっ……? そ、そうだな! 四条なんかは、今朝も俺は会ったけど。めっちゃ元気そうにしていたぜ。あいつは今は、コンビニ共和国の建設大臣をしているからな。まあ、俺の次くらいに忙しい立場になっているしな!」
杉田は思わず、額から大量の冷や汗を流してしまう。
記憶がまだ曖昧だという水無月が、よく憶えていると告げてきたクラスメイトの名前は……。
現在では、玉木と四条の2人しか生き残っていなかったからだ。
それ以外のメンバーは、ミランダ領攻略戦の前に。グランデイル王国のクルセイスによって、殺害されてしまっている元2軍のメンバーの名前が多く含まれていた。
でも……どうして? 水無月は既に死亡している新井や松木田の事を、よく憶えていると言ったのだろうか?
杉田には、その事が不思議に感じられた。
グランデイルの王都にいた時も、水無月は玉木と一緒に、よく3軍メンバーが集まっている彼方のコンビニに顔を出していた。
学校でもサッカー部の副主将をしていた水無月は、松木田や佐伯達と、それほど仲が良かったようには見えなかったけれど……。
――そうだ! 確かクラスの新井涼香は、水無月の事がずっと好きで。いつもクラスの中で、水無月に積極的に話しかけていた事を杉田は思い出した。
もしあの新井涼香が、今も生きていてくれたなら。
きっと水無月が生きていた事を、心の底から喜んだんだろうな……。
クラスメイトの水無月に肩を貸して、街の大通りを一緒に歩いていた杉田は――。
通りの向かう側から、こちらに向けて手を振っている……ある人物から大声で呼びかけられた。
「おーーい、杉田! 待っていたぜ! 水無月の様子はどうだ、無事なのかー?」
街の大通りの向かう側に立っていたのは、2人がよく見知っている人物だった。
彼は、このコンビニ共和国の建国者でもあり。現在は異世界に召喚されたクラスメイト達のリーダーでもある、コンビニの勇者の――秋ノ瀬彼方であった。
久しぶり再会した彼方の元気そうな顔を見て。
彼の親友である杉田は、ホッとして安堵の笑顔を見せる。
そして、杉田の肩に掴まっている水無月も――。視界にコンビニの勇者の姿が映り込み。口元を大きく歪ませて、その場でニヤリと笑うのだった。