第三百四十話 まさかの裏切り者
なぜ、ここにクルセイスがいるのか?
ククリアとミズガルドは共に目を見開き。あり得ない侵入者の登場に、驚愕の表情を浮かべている。
迷いの森には、侵入者を惑わす特別な結界がある。
その為、例え森の中に入ったとしても。中心部にある『女神の泉』には絶対に辿り着けないはずだった。
唯一の例外は、不老カエルのコウペイの粉を浴びた者だけが、森の中心部にある女神の泉へと辿り着く事が出来るというものだったはず。
それなのに……大量の白蟻魔法戦士を引き連れたクルセイスとロジエッタは、2人とも平気な顔をして堂々と女神の泉へ侵入してきていた。
久しぶりに再会した、他国の王族達に挨拶をする為に。グランデイル女王のクルセイスは、王族らしい優雅な仕草で白馬の上から会釈を行う。
「これは、これは……ドリシア王国のククリア女王に、帝国のミズガルド皇帝陛下までいらっしゃるなんて。とっても奇遇ですね! 私もたまたま、この『女神の泉』に用があってやって来たのですけれど。ウフフ……。まさかここでお2人にお会い出来るなんて、夢にも思いませんでしたわ」
『クックック』と、喉を鳴らすような白々しい笑い声をあげるクルセイス。
その様子を見て。ククリアはやっとクルセイスの『真の姿』を見る事が出来て、1人で納得をした。
そして改めて、クルセイスという女性の恐ろしさと不気味さを全身で感じ取っていた。
今まで世界の諸侯や、王族の前に姿を見せていたクルセイスは、やはり真実の彼女の姿では無かった。
真なるクルセイスの本性は、表面的な彼女の表層部分には存在せず。内に秘めた深層意識の底に沈み込み、巧妙に隠されていたのだ。
だから自身の持つ『共有』の能力を用いても、彼女の内面を覗き見る事が出来なかったのだろう。
そしておそらく、クルセイスはその本性を自分の自由な意思で。意識的に隠したり封印したりする事が出来るのだ。
つまり、ここにいるこの不気味で下品な笑い方をする女が『本物』の彼女である事は間違いない。
王族の会議に顔を出している時に見せている、若くて清純なグランデイル女王の姿は、完全なる『ダミー』でしかなかったのだ。
「あらぁ〜あらぁ〜? ククリアちゃんもミズガルド皇帝陛下も顔色が青ざめていて、とっても体調が良くなさそうね〜! まあ、それもそうよねぇ〜。ここにやって来たグランデイル軍の魔法戦士隊の数のあまりの多さに、きっと腰を抜かしてビックリしてるのよねぇ〜? おーっほっほっほっほ〜〜!」
クルセイスの前にいるロジエッタが、薔薇の装飾を施した剣を持ちながら高らかに笑ってみせる。
その笑い声に呼応するように。白馬の上にまたがるクルセイスもまた、愉快そうに笑い声をあげた。
シンクロするように下品に笑い合う2人の女性の様子は、まるで実の姉妹のように見える程だ。
どうやらこの2人の女達は、普段からとても仲が良いらしい。
太古の昔から、この世界で長く生き続けている薔薇の魔女のロジエッタが、どうしてグランデイル王国の女王であるクルセイスに加担しているのか?
その点が、今までずっと謎に包まれた部分であったのだが……。ククリアはその理由の一つを今、ここで理解する事が出来た。
ロジエッタは単にこの世界を滅茶苦茶に崩壊させて、面白くしたいという理由だけでなく。
絶望の沼に落ちた弱者を高圧的に見下し。サディスティックな視線で嘲笑う、この2人の様子を見る限り。クルセイスとロジエッタは本当に気の合う仲間同士なのだという事が、ククリアにはよく分かった。
要するにここにいる2人は、底辺を這いずり回る下賎な者達を高みから見下ろし。面白半分に弄ぶのが本当に大好きな、精神異常者同士なのだろう。
女神の泉に押し寄せてきている、グランデイル軍の白蟻魔法戦士隊の数は5000人を軽く超えている。
上空に浮かぶ飛竜戦艦から落下してきている増援部隊と、森の奥に潜む敵の数も含めると、総勢は1万人を超えるかもしれない。
その数の多さは、今まで世界侵略軍として各国に派遣していた魔法戦士隊の数の比ではなかった。
まさに、クルセイスはグランデイル軍の総力を上げてここにやってきているのだ。
それだけの戦力をなぜ、ここに集結させたのか。
そしてどうやって、女神の泉の場所を特定したのかが謎だった。
そんな疑問顔を浮かべていたククリアに、クルセイスは自ら口を開き。
その『答え』を――ここにいる全員に対して告げてきた。
「よくやりましたね。お手柄ですよ、倉持様! 女神の泉の場所を、私達に正確に情報提供してくれて本当に助かりました」
「えっ……?」
ククリアとミズガルドは、同時に驚きの声を漏らした。
女神の泉の中に入り。冬馬このはの体を大切そうに抱きしめていたティーナも、泉の外にいるクルセイスの声が聞こえて、思わず驚愕の表情を浮かべている。
倉持はつい先ほどまで、魔力を消耗した名取の介抱をしながら。
押し寄せるライオン兵達を退ける為に、みんなと一緒になって戦ってくれていたはずだった。
ミズガルド達が慌てて倉持の方に振り返ると。
そこには既に――倉持と名取の2名の姿はなかった。
女神の泉を死守するコンビニチームの一員であった倉持と名取の2人は、いつの間にかに消え去っていて。
気付いた時には、大軍を引き連れてきたグランデイル軍の陣営の中に混じり。白馬の上にまたがるクルセイスの近くにしれっと立っていた。
そんなコンビニチームにとっては、まさに裏切り者である倉持の頭を……。クルセイスは、まるで飼い猫を可愛がるかのように。右手の指先で優しく、艶かしく撫でていた。
「な、何という恥晒しな……! 貴様達は泉の奇跡の力を利用し、そこにいるクルセイスに付けられた呪いの腕輪を外す事が出来たのであろう! 道中の旅路を我らと一緒に過ごし、幼馴染の親友を裏切り。それでも再びグランデイルの小娘の元につくというのか……! この恩知らず共めッ!!」
皇帝ミズガルドが激昂して、裏切り者の倉持と名取の2人をきつく睨みつける。
激しい非難の言葉を浴びせられた倉持と名取の2名は、無言でただじっとその場に立ち尽くしていた。
そんな倉持の頭を優しく撫でながら。
クルセイスはさも愉快そうに、ミズガルドとククリアに向けて話しかけてくる。
「ウフフ……。そんなに厳しく倉持様を責めないであげて下さいね、皇帝陛下。元々、コンビニの勇者と合流をして。帝国領南部にある『女神の泉』の場所を見つけ出して、私に教えるようにと倉持様に指示をしたのは、この私なのですから」
「何ですって!? では、『不死者』の勇者殿は最初から、わざとコンビニの勇者殿に近づいてきたというのですか?」
ククリアは目を見開いて、目の前にいるクルセイスと倉持達の事を見つめる。
そう――。倉持は、最初からクルセイスによって、コンビニの勇者と合流をして。女神の泉に向かうようにとの指示をクルセイスから受けていたのだ。
クルセイスは『結界師』の勇者である、名取からの報告によって。女神の泉が帝国領南部の迷いの森の中にあるという情報をあらかじめ掴んでいた。
だが……もし、そこに辿り着く事が出来たとしても。強力なライオン兵を量産している夜月皇帝ミュラハイトと正面から戦う事になってしまうのは厄介だった。
そして、遥かなる昔から。迷いの森は侵入者を迷わし、森の中心部には決して辿り着けないと人々の間で噂されていた。
そんな場所に到着をしても、女神の泉に必ず辿り着けるという保証は無い。
もしかしたら、女神アスティアに認められた『聖なる』属性の者にしか、泉には辿り着けないのかもしれない。
グランデイル軍を率いて森に到着したとしても、泉を発見出来ないのであれば意味が無い。それどころか既に女神の泉への進入路を確保し。泉を実効支配している、夜月皇帝の軍団による反撃を喰らい。グランデイル軍に大きな被害が出てしまう事もあり得る。
「おーっほっほっほぉ〜! だからこそ、大クルセイス女王陛下は、コンビニの勇者の幼馴染である不死者の勇者に、彼と交渉をさせて。共に女神の泉に向かうように誘導をさせたのよぉ〜。ねぇ〜、と〜ってもナイスなアイデアでしょう? だって実際にこうしてワタシ達は、女神の泉に辿り着く事が出来たんだものぉ〜!」
真っ赤な薔薇の服を、ゆらゆらと揺らして。
ロジエッタが、身悶えるように自分が仕えるご主人様の頭の良さを褒めちぎる。
その様子はまるで自分の推しメンである、女性アイドルに心酔している、ドルオタのようでもあった。
「だが……この場所をどうやって、グランデイルの小娘に伝えたというのだ? ここには、選ばれし者しか入る事は出来ぬはず。カエルの粉を浴びていないお前達がどうやって、迷いの森の影響を受けずにこの場所を特定する事が出来たというのか?」
――そう。例え女神の泉の位置が分かったとしても。倉持達はどうやってこの場所を、クルセイスに伝えたというのだろう。
その方法が、どうしても皇帝ミズガルドには理解する事が出来なかった。
「――ハッ? もしかして……!?」
ククリアが突然、大きな声を上げる。
そして慌てて泉の周囲をキョロキョロと見回し。
倉持と名取が、泉の場所をクルセイスに伝えた手段の『正体』を発見した。
女神の泉の近くには、先ほど倉持と名取が外した『呪いの腕輪』が……そのまま地面の上に無造作に投げ出されていたのだ。
「ウフフ、そうなのです。その腕輪には、倉持様の位置を私に知らせる位置特定機能の役割が付いていたのです。だから私達は迷いの森で迷う事なく。無事に女神の泉に辿り着く事が出来たという訳なのです。本当にお手柄ですよ、倉持様。後で私がたっぷりと可愛がってあげますね♪」
クルセイスに頭を撫でられている倉持の表情は、真っ青だった。
とても、主人に褒められて喜んでいるような顔色には見えない。さっきから大量の冷や汗が、額からずっと流れ落ちてきている。
「く、クルセイス様……。僕達の目的は果たしましたし、美雪さんも魔力を消耗して、疲れきっております! ですので、この場はいったん僕達は後方に退いてもよろしいでしょうか?」
倉持は許しを請うように。名取と共に、この場から退きたいとクルセイスに対して願い出た。
そんな忠臣である倉持の願いを聞き入れたクルセイスは……。白馬の上に乗りながら、ニコニコと笑顔で彼に対して優しい口調で告げる。
「そうですね。分かりました、結界師の勇者は後方に下がる事を許可しましょう。ですが、倉持様。倉持様にはまだして貰いたいお仕事があります。ですので、倉持様だけはここに残って下さい」
「えっ……!? そんな……!?」
倉持はとっさに、クルセイスに対して拒絶の表情を浮かべてしまった。
それは心底クルセイスの事を嫌っているような、顔色を浮かべてしまったので。倉持は『しまった……』と、慌ててクルセイスに忠誠を尽くす、忠実な家臣としての表情に戻す。
だが、クルセイスは……そんな倉持の内面さえも見越した上で。再び優雅に白馬の上で笑い始めた。
「ウフフフ。そんなに嫌そうな顔をしないで下さいね、倉持様。私からの要望はとっても簡単ですから。倉持様は森の茂みに隠れて、コンビニの勇者がここに戻ってきたら、彼をこっそりと『暗殺』しちゃって下さい。たったそれだけの事で良いのですからね」
「…………!?」
驚愕の表情を浮かべて、全身を硬直させる倉持。
「ここにコンビニの勇者が居ないという事は、おそらく彼は帝国の夜月皇帝と戦っているのでしょう。という事は、純真無垢な彼は、まだ倉持様が裏切り者だという事実を知らないはずです。ですからコンビニの勇者がこの場に戻ってきた瞬間に……後ろから『ザクッ』と、ナイフで心臓を貫いちゃって下さい」
「さすが大クルセイス女王陛下は考える事が素晴らしいですわぁ〜! 信じていた幼馴染に突然裏切られて殺されてしまうなんて……。本当にゾクゾクするシチュエーションだもの〜。ああ、本当に楽しみでアドレナリンが大放出してしまいそう〜! 『えっ、どうしてお前が……』とか、ベタなセリフを残してバタっと倒れ込むコンビニの勇者の表情が早く見たいわぁ〜〜!」
オモチャの倉持を使った面白い余興が見つかり。
ドSのサディスト2人組は、再び声を高らかにあげて笑い合った。
そして、その笑い声を間近で聞きながら。
絶望の顔色を浮かべた倉持は、全身から冷や汗を流しながら……ガクリとその場で膝を落とす。
ククリアは、そんなクルセイス達と倉持とのやり取りを見ていて。
おそらく倉持と名取の2人は、やはり本心からクルセイスに仕えている訳ではないのだろうと、察した。
ここまでの旅の道中で、彼らが言ってきた事は事実なのだろう。
クルセイスを裏切る為に、グランデイル軍の中にも同志を集めている事。そして呪いの腕輪がある以上、クルセイスの支配から逃れる事は出来ない事。
だから倉持と名取は、本心から女神の泉を目指していて。そこで腕輪を外したいと願っていたはず。
始めから騙すつもりであったなら、洞察力の鋭い自分が気付けないはずがない。つまり倉持達の行動の半分以上は、嘘偽りの無い真実だった。
そして、腕輪が外れた以上。出来れば急いでこの場から逃げ出したいというのが……今の倉持の本心なのだと思われる。
しかし、想定したよりも早くにクルセイスが自分達を追ってきてしまった事は、倉持達にとっても想定外な事態だったのかもしれなかった。
「では、期待をしていますよ、倉持様? もし逆らったら分かっていますよね? あなたの代わりに、結界師の勇者をグランデイル城の地下に放り込んであげても良いのですからね? ウフフフ」
「それは……!! 分かりました、コンビニの勇者は必ずこの僕が仕留めてみせます。お任せ下さい……」
倉持は愕然とした面持ちで、ゆっくりとクルセイスの後方に下がっていく。
そして、姿と気配を消して。幼馴染であるコンビニの勇者を暗殺する為のグランデイル軍の伏兵として、森の茂みの中に潜み。身を隠すのであった。
「さぁさぁ〜、サブイベントは無事に終わったから、今度はククリアちゃんと、皇帝陛下を血祭りにあげるメインイベントに移りましょうねぇ〜!」
薔薇色のドレスを着たロジエッタが、ゆっくりとククリア達に向かって歩き出す。
その様子を見て。
皇帝ミズガルドは白銀の剣を構え直し。
ククリアは、自身の操る巨大土竜達の陣形を、対ロジエッタ戦に備えて組み直した。
既に女神の泉を半包囲しているグランデイル軍は、周辺にいるライオン兵達にも、激しい攻撃を加えている。
炎の魔法を操る白い魔法戦士達は、数の力で圧倒し。集団でライオン兵達を追い詰め、次々と打ち倒していっていた。
もはや女神の泉を巡る主導権は、完全にグランデイル軍の手中にあると言っていい。
そんな余裕に満ち溢れた状況で。
ニヤニヤと怪しい笑みを浮かべながら、グランデイル軍の親衛隊長であるロジエッタが、こちらにゆっくりと近づいてくる。
「クッ……ドリシア王国の女王よ。あの女は危険だ。まともにやり合っても勝てる気がしない。それならば、向こうにいるクルセイスを一気に仕留めてしまう方が確実ではないだろうか?」
「いえ、皇帝陛下。それは危険だとボクは思います。コンビニの勇者殿は言っていました。あのクルセイスは、ボク達が思っているよりも遥かに『強い』のだと。彼女には電撃を操る能力があり、近づく者を全て黒焦げにしてしまうほどの実力があるようです」
「なるほど……。それで、あれほど無防備な状態でクルセイスはあそこにいるという訳なのか。敵が一発逆転を狙って、総大将の首を取りにくる事さえ知っていて、余裕で待ち構えているという訳なのか」
ククリアとミズガルドは共に、その場から一歩も動く事が出来なかった。
敵の方が自分達よりも遥かに強い事は知っている。
だが……この場から退く事は出来ない。
後方の女神の泉の中には、ティーナがいる。
そしてティーナに抱きかかえられた、眠り姫の冬馬このはもいる。
無防備な彼女達を守る為にも、ククリアとミズガルドはここで何としても、薔薇の魔女ロジエッタの襲撃を防がないといけないのだ。
「おーーっほっほっほっ〜! さあ、ククリアちゃんに皇帝陛下も、無駄な抵抗はやめてそこで大人しくしていて頂戴ねぇ〜! ワタシが順番にあなた達を殺してあげますからね〜!」
スリットの入った真っ赤なドレスが宙を舞い。
薔薇の飾りの付いた長剣を持ったロジエッタが、飛びかかってくる。
すかさず、ククリアを守る為に。巨大土竜達が集団で鋭い爪を立てて、空から降りてくる薔薇女に突撃していった。
「残念ねぇ〜! コンビニの勇者にも、可愛いククリアちゃんの首が切り落とされる所を見せてあげたかったのに。せめて皇帝陛下だけは、半殺しにしてお楽しみはとっておいてあげるわねぇ〜〜!」
ロジエッタが剣を振るうよりも前に。
巨大なモグラ達は、全員気を失ったかのように。一斉に地面に倒れこんでいく。
大地に倒れたモグラ達の巨大な目からは、赤い流血が滴り落ちていた。
「くっ………!」
ロジエッタは、鏡や光の反射を利用する『能力』を持っているとコンビニの勇者は言っていた。
おそらく、ロジエッタはその能力を用いて。ククリアを守る巨大モグラ達を、無力化させたのかもしれない。
自身の身を守る防壁が全て無くなり。
無防備となった、ククリアの前に。凄まじい速さで薔薇の騎士のロジエッタは切り込んでいく。
「ハイ〜、これでチェックメイトよ〜〜! さようなら、ククリアちゃん〜!」
ロジエッタは薔薇色の剣を、ククリアの頭上から一気に振り下ろした。
”ガキーーーーーン!!!”
薔薇色の真っ赤な長剣は――ククリアの首を切り落とす事はなく。
突然、ククリアの周囲に展開された『銀色のバリアー』によって弾き返された。
「えっ……ちょっと何なのよ、コレは!?」
突然の事態に訳が分からず、困惑するロジエッタ。
そんな薔薇女に、ククリアの前に立つ銀色の髪をした花嫁騎士が、高らかに宣言をする。
「バーーカッ!! チェックメイトされるのは、てめええぇぇの方なんだよ、この厚化粧ババアがよおおおぉぉぉぉーーッ!!」
「な、誰なのよ……!? アンタは……!?」
銀色のシールドに弾かれたロジエッタの体を、今度は青い髪の女騎士が、空中から黄金の剣を両手で構えながら襲いかかる。
「……我らは、コンビニの勇者様にお仕えする守護者です。店長のご友人の方々に危害を加えようとする敵は、私達が排除させて頂きます。――ご覚悟をッ!」
コンビニの守護騎士である、アイリーンが振り下ろした黄金剣が……。
薔薇のドレスを着たロジエッタの体を、見事――真っ二つに切り裂いてみせた。