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第三百三十九話 白い軍勢の乱入


 『結界師(ディフェンサー)』の名取(なとり)が女神の泉の周囲に張ってくれた防御結界を、一撃で破壊してしまったライオン巨人。


 その正体は、身長が5メートルはある巨大なライオン頭の巨人と成り果てた、夜月皇帝(ナイト・エンペラー)ことミュラハイトだ。



「……ミュラハイトの野郎、何て凄まじい破壊力持っていやがるんだよッ!」


 まさか夜月皇帝(ナイト・エンペラー)ミュラハイトが、こんな想定外な切り札を隠し持っているとは思わなかった。

 仮想夢の時は、一度もそんな裏技は出してこなかったくせに。本番でいきなり隠し技を出してくるなんて、想定外にも程があるぞ。



『グオオオオオーーーーーーン!!!』


 大地を全速力で駆けてきたライオン巨人が、今度は渾身の右ストレートを俺に向けて放ってくる。


 クソッ……思ったよりも、ずっと速いな。単に図体(ずうたい)がデカくなっただけじゃなく、その身体能力や攻撃力まで数段レベルアップをしていやがるのかよ!


「クッ………!!」


 俺はとっさに、コウモリのように伸ばした黒いロングコートで自分の体を包み込む。


 そしてライオン巨人が放つ、メガトンパンチをロングコートを硬化させて防いでみせた。


 かろうじて、致命傷は避ける事が出来たけれど……。それでも、木製バットで思いっきり強く打ち返されたテニスボールのように。俺の体は地面に何度もバウンドをしながら、遠くの大地に叩きつけられてしまう。



「やっべぇ……! これはマジで、凄まじい威力だぞ。まともに喰らったら骨がボキボキに砕けちまう!」



 パンチの威力だけなら、砂漠の魔王モンスーンのメガトンパンチに匹敵するくらいの破壊力があるな。


 ミュラハイトの野郎……本当に、正真正銘の最終手段に打って出てきたらしい。


 目の前にいるライオン巨人には、理性があるようには見えない。つまりはもう、ミュラハイトは『元の人間』の状態に戻る気が無いんだ。

 おそらく、このまま一生ただ暴れ回るだけの理性の無い巨人として、この世界に存在し続けるつもりらしい。



 例えそんなバケモノに成り果てたとしても、敵にみすみすやられるよりはマシだっていうのかよ……。


 元々、女神の泉を70年近くもの年月をかけて、研究し続けてきたミュラハイトの事だ。

 一般の人々を女神の泉に放り込み。屈強なライオン兵の軍団を作り上げる事の他にも、自身の身体能力を大幅にグレードアップさせる事の出来る、秘密の研究も進めていたのだろう。



 ただし、その秘術を使用すれば。自我を永遠に失う暴走モンスターに成り果ててしまう。


 そうだとしても、自分が『面白ければ』それで良い。


 この世界で先に暗躍していた、女神教の魔女達や。グランデイルの白アリの女王に一泡を吹かせる事ができて。歴史の表舞台に上がり、名を残す事が出来るのなら、それでもミュラハイト自身は満足なんだ。


「つまり今のミュラハイトは、まさに観劇の舞台上に土足で上がり込み。歴史の表舞台で自分の望み通り、好き勝手に大暴れをしている迷惑客って訳なのかよ。とんだクソ野郎だな、マジでどうかしていやがる!」



 先ほどの強烈なパンチの後遺症で、軽い脳震盪(のうしんとう)を起こして、まだ地面の上で寝込んでいた俺に向けて。


 ライオン巨人は容赦なく、頭上からボクサーのように。左右の腕を交互に振り下ろして殴りかかってきた。


 たまらず俺は空中にジャンプをして。ライオン巨人の猛攻から離れて、いったん奴から距離を取る事にする。



 例えミュラハイトが自分の体を犠牲にして。

 永遠に暴れ回る理性の無い巨人と成り果ててまで、この世界で暴れようとしているのだとしても。



 俺は、そんな狂人野郎なんかに負けてやる訳にはいかないんだ! コンビニの勇者の肩には、守るべき大切な仲間達の命が乗っかっているんだからな。



 それに……正直に言って、もう時間が無い。


 俺にとって本当の意味での『悪魔』は、もうすぐここに戻ってきてしまうからだ。


 その悪魔のヤバさに比べれば、目の前のライオン巨人の存在なんか大した事は無い。


 『虚無の魔王のアリス』は、絶対に俺達を皆殺しにしようと、怒りに満ち溢れてここに戻ってくるだろう。


 そして、俺がどんなに仲間の命乞いをしようと。

 アリスはお構いなしに、ザクザクと包丁を突き立てて、コンビニメンバー全員を無差別に殺害しようとしてくるに違いない。



「――フィート、少しだけ俺から離れていてくれ! 俺は今からライオン巨人と全力で殴り合いをする。そばにいて、激しい戦闘に巻き込まれたら大変だからな!」


 小さな猫の姿に変身しているフィートが、念話で俺の脳に返事を返してきた。


『あいよ〜、なのにゃ〜! あたいは適当に大好きお兄さんの近くをウロチョロと逃げ回っているから、遠慮なくあたいの両親の(かたき)をやっちゃってくれなのにゃ〜!』


「おう、任せてくれ! フィートの両親の仇は、俺が絶対にとってやる! コンビニの勇者は魔法が使えない代わりに、肉弾戦が得意なパワー脳筋型の勇者だって事を見せてやる。あんな図体がデカいだけの、筋肉巨人に絶対に負けないって事を約束してやるぜ!」



 小さなもふもふ猫のフィートが、片目でウィンクをして。俺とミュラハイトのいる場所から離れていった。



「ふぅ、後は……ここからどうするかだよな」


 フィートには余裕の返事をしたものの。


 俺は既にさっき、両肩に浮かぶ守護衛星から『セルリアン・ツインレーザー砲』を発射したばかりだ。


 エネルギーの再装填(さいそうてん)が済むまで。しばらくの間は肉弾戦をしながら、アイツをみんなのいる女神の泉から、遠ざけていくしかないだろう。


 つまりは割と本気で、あのライオン巨人と正面から肉弾戦で俺はブチ当たらないといけない訳だ。


 大地に激しい振動を響かせて。

 全速力で走りながら、巨大な(こぶし)を振り上げて殴りかかってくるライオン巨人。


 俺はそのギリギリのタイミングで、自らの体を横に逸らして敵の攻撃をかわす。

 

 そして、ライオン巨人の拳を回避した勢いをそのままに。空中で高速回転をして。

 渾身のカウンター回し蹴りを、ミュラハイトの顔に向けて決めてやった。



 コンビニの勇者の本気の蹴りを喰らったライオン巨人は、サッカーボールのように遠くに弾き飛ばされていく。


 身体差は、数倍以上はあるけれど。俺の蹴りは、鋼鉄のような筋肉で武装したライオン巨人にも、どうやらクリティカルヒットを決めてやる事が出来たようだ。



「よし、やれるぞ! 接近してからの肉弾戦なら、今の俺の脚力と、あのライオン巨人の力はほぼ互角だ!」


 あとは、どっちの耐久度が優るかな訳だが……。


 俺は切り札のツインレーザー砲のエネルギーが、チャージされるまでの時間を耐えきれば良い。


 そして、少しでも必殺のレーザー砲の威力を上げる為に。いったん女神の泉から遠くに離れて、アイツを森の奥にまで誘導しなければならないだろう。



「――ククリア、ミズガルド、後は頼むぞ! 俺が戻ってくるまでの間、女神の泉を必ず守り通してくれ!」


 再びむくりと起き上がり。こちらに向けて全力で走り寄ってきてライオン巨人に、再度カウンターの回し蹴りを決めて。

 俺はさらに森の奥へと、ライオン巨人の巨体を思いっきり蹴り飛ばしてやった。


「お任せ下さい! コンビニの勇者殿。女神の泉はボク達が死守してみせます! 出来るだけ敵の残存兵力も減らしておきますので、コンビニの勇者殿は安心して、夜月皇帝(ナイト・エンペラー)を仕留める事だけに集中をして下さい!」


「頼む! 俺が戻るまで、ティーナの事を頼んだぜ!」


 俺はもふもふ猫のフィートを連れて。ライオン巨人と肉弾戦をしながら、少しずつ泉から遠くの場所へと巨人を誘導していく。


 女神の泉から離れれば、ツインレーザー砲は本来の威力を取り戻す。そうしたら、すぐにでもミュラハイトの野郎を吹き飛ばして、みんなの元に戻るんだ。



 俺はスマートウォッチの小さな画面をチラ見して、現在の時間を確認した。


 アリスがコンビニ支店のカプセルごと、遠くの空にミサイルと一緒に飛ばされてからもう――約10分くらの時間が経ったのか……。


 早く、ここから離脱をしないと。


 虚無の魔王が森に戻ってきてしまう。今の俺達の力だけでは、絶対にアリスに勝てないのは知っている。



 そう、奇跡的に……。他のコンビニの守護者達がここにやって来てくれるなんていう、そんな一発逆転のミラクルでも起きない限りはな。



「ミュラハイト、悪いが俺は本気でいかせて貰うぞ! 俺達の未来の運命を変える為にも。ここで、これ以上の時間をロスする訳には絶対にいかないからなッ!」


 俺は最大の力を込めた、渾身のかかと落としを、ライオン巨人の頭に向けて喰らわせてやった。



「グオオオオーーーーーーーン!!」


 頭の皮膚に俺の強烈な蹴りがめり込み。

 痛みで激しい咆哮を上げる、ライオン巨人。


 

 早く、早く、ミュラハイトを倒して、みんなの元に戻るんだ……!

 

 虚無の魔王がここに戻ってくるよりも先に、俺は必ずコイツを仕留めてみせるッ!!




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 コンビニの勇者の彼方(かなた)が、ライオン巨人となったミュラハイトを森の奥へ引き連れていった後。


 『結界師(ディフェンサー)』の勇者である、名取の結界が壊された女神の泉の周囲には……。

 合計で100体を超える巨大土竜(ビッグモール)達が、泉を守る守護神のように、周囲をぐるりと取り囲んでいた。



 ククリアの指示に従う武装した巨大モグラ達は、ライオン兵の侵入を1匹たりとも許しはしない。


 近づいてくる敵を、巨大な爪で引き裂き。

 その体を真っ二つにして、外へと弾き返していく。


 ビッグモール達が整列をしている列の、わずかな隙間からは、『不死者(エターナル)』の勇者である倉持(くらもち)が上級魔法で敵に攻撃を加えていく。


「僕も美雪さん同様に、女神の泉に入ってレベルが大幅に上昇しているからね。さっそく習得したばかりの魔法を試させて貰うよ! 上級魔法『四重奏火炎球カルテット・ファイアーボール』!」



 魔力を大量に消耗して休んでいる名取に代わって。


 覚えたての上級魔法を繰り出す倉持が、迫り来るライオン兵達に強力な火炎球で攻撃して、敵の接近を遠ざけていた。


 彼方が最も信頼をしている赤い騎士のミズガルドも、泉のそばに近づくライオン兵達を、順番に白銀の剣で切り裂いていく。


 ミズガルドは彼方(かなた)の言いつけ通り。泉の中で待機をしているティーナと、冬馬このはを守る事だけに意識を全集中させているようだった。



「ドリシア王国の女王よ、現在の戦況はどうだ?」


 ミズガルドは白銀の剣を振るいながら。

 無数の巨大モグラ達を操る、紫色の髪をした幼い少女のククリアに対して呼びかけた。


「ハイ、皇帝陛下。予想よりも遥かに、こちらの陣営が優勢のようです」


 ククリアは、巨大モグラの肩に乗りながら。現在の女神の泉の戦況を、冷静にそう分析してみせる。


「コンビニの勇者殿が夜月皇帝(ナイト・エンペラー)を仕留めれば、もちろんライオン兵達は散り散りになって逃げていくでしょう。ですが、その結果を待たずとも。このままいけば、ボク達の戦力だけで敵を殲滅出来てしまうかもしれません」



 ククリアの戦況分析を聞いたミズガルドは、安心をして小さな吐息を漏らす。


「そうか、それは実に良き事であるな……。私は少しでも彼方(かなた)の負担を減らしてあげたいと思っているの。あの人はいつも無理をし過ぎてしまうから。もし私達だけの力だけで敵を打ち倒せるのなら、それにこした事はないわ。頑張りましょうね、ククリアさん! ……じゃなくて、ドリシア王国の女王よ!」


 ミズガルドの話す言葉には、皇帝としての威厳を保った口調と。愛する彼方を心配する1人の女性としての口調が混ざり合っている事に、思わずククリアは苦笑してしまう。


 もういっその事、ミズガルド本来の口調のままでも良いのにと、ククリアには思えてしまう。


 いつかこの世界が平和になった時には、皇帝ミズガルドは、きっとコンビニの勇者の良き親友として。

 共にこの世界を導く指導者として、人々を良き方向に導いてくれるのは間違いないだろう。


 そんな平和な時代を迎える為にも。

 ククリアも女神の泉の戦いで勝利をする為に、全力を尽くそうと改めて心に誓った。



 泉の周辺には、コンビニの勇者が残してくれたコンビニ軍が多数存在している。


 空を無数に飛び回るドローンによるミサイル攻撃と、機械兵であるコンビニガード達による突撃は、確実にライオン兵達を追い詰めていた。


 そして最大戦力である、ビッグモール達による攻撃で、ライオン兵の数は確実に減少していっている。



 このままなら、女神の泉を死守する役目は無事に果たせそうだ。


 既に女神の泉に水が満杯に満たされてから、10分程の時間が経過している。



 あと少しで、女神の泉は奇跡の力を取り戻す。


 そうなれば、ククリアにとっての念願でもある『動物園の魔王』冬馬このはが、ついに目を覚ます。


 もし、動物園の魔王である冬馬このはがコンビニチームの仲間になってくれれば……。最強のコンビニの勇者と、最強も魔王の夢のタッグが実現する事になる。



 そうなれば、きっと全ての敵対勢力とも対等に戦えるはずだ。


 そして太古の昔から禁断の地に潜んでいた、あのコンビニの大魔王をも打ち倒せるかもしれない。



 あと少しだ……。

 あと少しで、全ての目的は叶う。



 その時――。


 共に女神の泉を守る為に戦っていた、皇帝ミズガルドとククリアの目に……驚愕の光景が映り込む。


 ちょうどミズガルド達の正面に、無数のライオン兵が一ヶ所に集まり。集団でスクラムを組むようにして、こちらに突進を開始してきていたのだ。



「まさか奴ら、こちらの防御陣を突き崩す為に。集団で一点突破を目指すつもりなのか……?」


「陛下、あの攻撃はマズイです! ここには夜月皇帝(ナイト・エンペラー)がいないので、敵の司令系統は崩壊していると思っていましたが……。まさか、ライオン兵達が連携をして泉に攻撃を加えようとしてくるなんて思いませんでした!」



 数百を超えるライオン兵が密集陣形を組み。

 一斉に女神の泉に対して、突進を仕掛けてくる。


 ククリアは、100体の巨大モグラ達を女神の泉をぐるりと囲むように整列させている。だからその防御壁の一点を突破しようと、1ヶ所だけを集中攻撃されたらひとたまりもないだろう。


「ドリシア王国の女王よ、ここは必ず我らの力で守りきって見せるぞ! 覚悟は良いか!」


「ハイ、陛下! ボク達が突破されてしまったら、無防備なティーナさんや、このは様が危険に晒されてしまいます。何としても、敵の攻撃から女神の泉を守り抜きましょう!」



 ククリアとミズガルドが覚悟を決めて。

 密集陣形を組み、怒涛の勢いでこちらに突進してきてライオン兵達の塊に向かって対峙する。



 すると――。ククリアとミズガルドにとって、再度予想外な出来事が目の前で起きた。



 ””ズドドドーーーーーーーーン!!!””


 正面からスクラムを組んで、突進してきたいたライオン兵団が、突然大きな爆発を起こして吹き飛んだのだ。


 数百近いライオン兵が密集していた(かたまり)は、巨大な炎によって焼かれ。女神の泉に迫ってきていたライオン兵達は散り散りになって逃走を開始していく。



「何だ、あの爆発は!? 一体、何が起きたのだ?」


 ミズガルドが剣を構えて正面方向を警戒する。


 例え何が起きようと、彼方が大切にしているティーナだけは命にかえても守り切ろうと、ミズガルドは心に誓っていた。


 それが、自分の愛する者を一途に想う。騎士としての忠義であり、使命なのだから。



 黒い煙と爆炎の向こうから、ゆっくりとククリアとミズガルドの前に姿を現したのは――。


 真っ赤な薔薇色のドレスを身にまとった、妖艶な女性だった。


 その女の容姿は、ククリアもミズガルドも共に見覚えがある。考えつく限りにおいて、最も出会いたくない、最悪な人物がここに登場してしまった事だけは間違いなかった。



「なっ……!? あの女はまさか、グランデイルのロジエッタなのか? なぜ、あの女がここに?」


 しかも薔薇の魔女であるロジエッタの後ろには、悪夢のような恐ろしい光景が広がっていた。


 数千人を超えるグランデイル軍の最精鋭部隊。上級魔法と、卓越した剣技を使いこなす白蟻魔法戦士隊(ホワイト・アンツ)が、ロジエッタの後方には無数に控えていたのだ。


 そして更に上空には、合計50隻を超えるグランデイル軍の飛行竜戦艦バトル・ドラゴンシップが、こちらに向けてゆっくりと飛んできている。



「あらぁ〜あらぁ〜! 皇帝陛下も、ドリシア王国のククリアちゃんも勢揃いしているの〜? しかもここにはコンビニの勇者もいるのでしょう? 凄いじゃない〜! まさにオールスター勢揃いって感じよね〜!」


 妖艶な薔薇のドレスに、厚化粧を顔に塗りたくったロジエッタが高らかに笑う。


 おおよそ、古代から神秘的な美しさ保ち続けてきたこの迷いの森に。ロジエッタは最もふさわしくない品格を持った人物である事は間違いなかった。


「う〜ん、と〜っても素敵っ! ここでまとめて全員を始末してあげれば、帝国もドリシア王国も、コンビニ共和国も、一気に崩壊させる事が出来そうね〜! だってそれぞれの国の指導者をみんな殺してあげる事が出来るのだもの〜! ねぇ〜? 大クルセイス女王陛下!」



 ロジエッタの放った言葉に、ミズガルドも、ククリアも。その場で体を震わせてギョッとする。


 まさか……ここに。あのグランデイル女王のクルセイスが直接来ているというのか。


 ロジエッタの後方。数千を超える白蟻魔法戦士隊(ホワイト・アンツ)の先頭に、1人だけ白馬の馬にまたがった女がいた。


 グランデイル王国が誇る最精鋭の大軍を、ここに引き連れてきたのは……なんと女王のクルセイス自身だったのだ。


 グランデイル軍の親衛隊であり、1人1人が最強の力を持つと言われている、白蟻魔法戦士隊(ホワイト・アンツ)

 それを数千、あるいは1万人を超える規模の大兵力でクルセイスはここに引き連れてきている。


 それはまさに、現在のグランデイル王国が所有する最強最大の大兵団を集結させたと言えるだろう。



 女神の泉の前に立つ、ククリアとミズガルドの姿を見つけたクルセイスは……。

 まるで妖怪のようにニヤリと、ヨダレを垂らすような怪しい笑みを浮かべ。白馬の上で1人で笑っていた。


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