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第三百三十三話 カエルの森の異変


 コンビニ支店1号店は、帝国領を南下する長い旅路を終え。ようやく迷いの森の入り口付近に到着をした。


 森に降り立ったコンビニメンバー達は、神秘的な森の美しさに見惚れて……思わず感嘆の声を漏らす。



「ここが伝承にある、伝説の『迷いの森』なのですね。本当にとても美しい所ですね……」



 ティーナが、息を飲むような美しい森の光景を見て。両目を潤ませながらその場で深いため息をつく。


 それほどまでに迷いの森は美しく。そして多くの人々を魅了する、太古の時代から続く荘厳で神秘的な雰囲気を保ち続けていた。



 そして、迷いの森には決して忘れてはいけない、もう一つの大きな『特徴』がある。


 

 それは――、



 ”ゲコゲコゲコゲコゲコゲコ”

 ”ゲコゲコゲコゲコゲコゲコ”

 ”ゲコゲコゲコゲコゲコゲコ”

 ”ゲコゲコゲコゲコゲコゲコ”

 ”ゲコゲコゲコゲコゲコゲコ”



 神々しい程に美しい、森の景色とは対照的に。


 森の入り口付近には、辺り一面に溢れかえっている緑色のカエル達の大合唱が鳴り響き。耳を塞ぎたくなる程に、騒々しいものだった。


 森の地面には、緑色の絨毯(じゅうたん)が敷かれていると思えるくらいにカエル達が群がっている。


 そう――ここはまさに、無数のカエル達が生息する、カエルの楽園(パラダイス)と化していた。



「うっひゃ〜、なのにゃ〜! 大好きお兄さんが言ってた通り、森の入り口付近はカエルさん達でいっぱいなのにゃ〜!」


 もふもふ娘のフィートが、猫耳を立てながら驚きの声をあげる。他のメンバー達も、あまりにも多過ぎるカエルの群れの光景に、言葉を失っているようだった。



 森の中をゆっくりと前に進んでいくコンビニメンバー達。ピョンピョンと飛び跳ねるカエル達を避けながら歩くのは、至難の(わざ)だ。

 だが……彼方は、全員に決してカエルを踏まないようにと注意する。その為、コンビニメンバー達はゆっくりと慎重に足を進めていく事しか出来なかった。



 この迷いの森に到着する前に、彼方はメンバー全員に今回の女神の泉での『作戦』についてを話していた。


 彼方は敵である、夜月皇帝(ナイト・エンペラー)ミュラハイトの特性と、その戦力についてもあらかじめ全員に共有している。


「コンビニの勇者殿……。つまり今回は、夜月皇帝ミュラハイトが、女神の泉にやってくる前の早朝の時間帯に。まだ警備が手薄な女神の泉を、先にボク達の手で奪い取ろうというのですね?」


 先頭を歩いていたククリアが、彼方に問いかける。


「ああ、そうだ。だから早朝にここに辿り着けるように、道を急いだからな。途中、道具とかを揃える為に少しだけ寄り道もしたけど、何とかここまで最短の道を通って辿り着けたと思う」


 もちろん想定外の事が起きた時のプランも、彼方はみんなに説明をしていた。

 そしてその時は各自でそれぞれ判断をして。最終的な目標を達成する為に、作戦通りに動いて欲しいとお願いをしている。



 彼方の言葉を聞いたコンビニメンバー達が、全員同時に顔を縦に振って頷く。その顔には、どことなく緊張感が漂っていた。



 そう――ここはもう既に『決戦の地』なのだ。


 数の上では明らかに劣勢なコンビニチームが、数千のライオン兵を従える夜月皇帝をここで打ち負かし。女神の泉を自分達の手中に収めないといけない。



「――ん? どうしたんだ……ミズガルド?」


 彼方は、ククリアと一緒に先頭を歩いていたミズガルドが、ぶるぶると体を震わせている事に気付いた。


「彼方、お、お願い……私の手を離さないでっ!!」


 ぎゅ〜っと、彼方の手を強く握りしめるミズガルド。


 その様子から、どうやらミズガルドはカエルが苦手らしい事が分かった。全身から大量の冷や汗を流して、顔が真っ青になっている。


「そうか。ミズガルドは爬虫類系が苦手だったのか。その様子じゃ、ここを歩くのはキツそうだよな」


 彼方にとっては、この迷いの森の入り口付近に来るのは、これが通算で『3回目』になる。


 だが、ここにミズガルドを一緒に連れてきたのは、今回が初めての事だった。

 だからミズガルドが予想外にも、カエル恐怖症を発症した事に驚きつつも。臨機応変に対応しようと考えを巡らす。


 そしてミズガルドには、いったんコンビニの中に戻って休んでいて貰おう……と、彼方がそう考えた、ちょうどその時。



 ――ピョン! と、一匹のカエルがミズガルドの頭に上に飛び乗った。



「はううぅぅぅ〜〜っ!?」


 自身の頭上に乗ったカエルにショックを受けて。

 その場で意識を失って、卒倒してしまうミズガルド。


 倒れるミズガルドの体を慌てて、彼方が両手で抱きしめて受け止める。

 どうやらミズガルドは、ここまでが限界らしい。


 彼方は倒れたミズガルドの体を、慎重にククリアに預けると。その場で後方に振り返り、みんなに向けて大きな声で呼びかけた。



「よーし。ここからは俺1人で森の入り口に向かう事にするよ。そしてカエルの妖精の『コウペイ』に会ってくる。みんなはこの辺りでいったん待機していてくれ」


 無数のカエル達が溢れている森の入り口付近に、コンビニメンバー達を残し。彼方は単独で不老のカエルであるコウペイに会いに行く事を宣言した。


「本当にそんなオッサン姿の妖精さんが、こんな所にいるのかにゃ〜? いまいちあたいには信じられないのにゃ〜!」


「大丈夫、コウペイは必ずここにいるから。でもコウペイの姿はなぜか俺にしか見えないんだ。女神の泉に向かうにはどうしてもコウペイから『カエルの粉』を貰う必要がある。だから俺は今からコウペイを探しに行ってくるよ!」



 自身満々な表情で、みんなに手を振る彼方。


 森の中を進む彼方には自信があった。


 なにせ今までに2回もここで、黄色いカエルの妖精のコウペイと彼方は出会っている。

 顔はカエル。だけど体は人間のオッサン姿という、不思議な外見をしたコウペイとの再会を、実は彼方は心の底から楽しみにしていた。


 この森で1万年近い時を生きてきたコウペイは、太古の時代から生存している歴史の生き証人だ。


 そしてこの世界で『女神』として人々に崇められているアスティアの素性を知る、唯一の存在でもある。


 仮想夢の中でも、コウペイからアスティアに関する貴重な情報を聞く事が出来た彼方は、今回もコウペイに出会ったら、色々と聞いてみたいと思っていた事が山ほどあった。


 だからここに来て、再びコウペイと話したいと彼方は強く願っていたのだ。



 森の入り口付近をキョロキョロと見回す彼方。


 今まで通りなら、この辺りでコウペイは地面に寝そべっていた。そして『ペィペィペィ……』と、おおよそカエルらしからぬ謎の声で鳴いているはずだった。



 でも、おかしい……。


 しばらく森の入り口付近を歩き回っても。彼方はカエルの妖精のコウペイの姿を見つけ出す事が、全然出来なかった。

 

「アレ? どうして、コウペイがいないんだろう?」



 次第に首筋から冷や汗を流して、焦りだす彼方。



「えっ、えっ……本当にどうしていないんだよ!? 早く女神の泉に行かないといけないのに、このままじゃ、夜月皇帝が女神の泉に到着してしまうぞ……!」


 一人で焦る彼方をよそに、カエルの妖精のコウペイは一向に見つからない。


「そ……そんな……っ!!」


 しばらく辺りをくまなく歩き続けた彼方は……。やがて、何かを諦めたように。ガクッと肩を落として、その場に座り込んだ。



 森の入り口付近に待機していたコンビニメンバー達は、まるで幽霊と遭遇したかのように、顔を真っ青にした彼方がこちらに戻ってきたのを確認して驚く。


「……ど、とうされました? 彼方様!」


「大好きお兄さんの顔が、イカの刺身みたいに青白くなっているのにゃ〜! きっと森に住まう怖い幽霊に生気を吸い取られてしまったに違いないのにゃ〜!」


 彼方の事を心配して、そばに駆け寄るティーナや、フィート達。そんなコンビニメンバー達に、彼方は泣きそうな声でボソッ、と小さく呟いた。


「みんな、すまない……。どうしてもコウペイの姿が見つからないんだ。みんなもコウペイを探すのを手伝ってくれないかな?」


 涙目になったコンビニの勇者が、深々と頭を下げる。


 その様子を見て。メンバー達全員がお互いの顔を見合わせて、心配をする。


「ですが……コンビニの勇者殿。コンビニの勇者殿の話だと、カエルの妖精のコウペイ殿は、ボク達には姿を見る事が出来ないという話ではなかったのですか?」


「うん。確かにそうなんだけどさ……。まさか俺もコウペイの姿が見えなくなっているなんて思わなかったんだ。だけど女神の泉に向かうには、どうしてもコウペイに会う必要がある。だから何としても、ここで探し出さないといけないんだ」


 彼方は、不老のカエルである『コウペイ』の特徴をみんなにもう一度伝える。そして、精霊姿のコウペイは見つからなかったけれど。もしかしたら、『普通のカエル』の姿でここに無数にいるカエル達の中に紛れている可能性もあるから、協力して探して欲しいとみんなに頭を下げて頼み込んだ。


「……ええっ、こんなにいっぱいいるカエルさん達の中から探し出すのかにゃ〜!? そんなの絶対に無理なのにゃ〜!」


「何か探す際の、大きな手掛かりとなるものはあるのかい? 彼方くん」


 安全に憔悴しきって落ち込んでいる彼方に、倉持が問いかけた。


「コウペイは『ゲコゲコ』じゃなくて、『ペィペィ』と鳴く。あと、外見が黄色い。だから黄色くて変なオッサン声で鳴いているカエルを見つけ出せば、それがコウペイだと思う」


「んにゃ〜! それだけじゃ難しいのにゃ〜! こんな無数にいるカエルの中から、鳴き声だけで聞き分けるのは無理なのにゃ〜! 黄色いカエルだっていっぱいいるのに〜!」


「確かに、それだけでは難しいね。森の落ちている落ち葉の中から、お目当ての葉っぱを探し出すくらいの超難易度があるのは間違いないね」


「……と、とにかくコウペイさんを探しましょう! 今はやるしかないです!」


 ティーナが彼方を元気付けるように。大きな声でみんなに向けて頑張りましょう、と声を上げた。


 その声に後押されたのか、諦めモード全開だったフィートや、倉持達も。コウペイを探し出す事に改めて同意してくれる。


「ありがとう、みんな……! でも、決してカエルを踏んだりはしないでくれ。ここにいるカエルはみんなコウペイの友達なんだ。だから、慎重に探して欲しい」


「うひぃぃ〜! うっかり踏んじゃいそうだにゃ〜! やっぱりこんなの無理なのにゃ〜〜!!」


「フィートさん、頑張りましょう! 私もコンビニの勇者様の為に、頑張って黄色いカエルさんを探してみます!」


 泣き言を言うフィートを、アリスが笑顔で励ました。


 そしてコンビニメンバー達は手分けをして、みんなでカエルの妖精のコウペイを探す事にする。



 ここにいるカエル達は、一体何匹いるのだろう?


 下手をすると数万匹以上はいるのかもしれない。


 これは時間がかかりそうだ……と、全員が覚悟を決めて。腕まくりをして取りかかる。

 コウペイの存在を知っているのは彼方だけだ。だから本当にいるのかどうかさえ疑わしいカエルの妖精を、みんなは決して彼方を疑う事なく。心の底から彼方を信頼して、一生懸命に探し続ける。



 その時、ククリアが彼方に後方から声をかけてきた。


「コンビニの勇者殿……。ボクは今からコンビニ支店に戻って、ドローンを操作して、上空からもコウペイ殿を探してみます。よろしいでしょうか?」


 片目を閉じて。彼方にウインクで合図を送るククリア。


 そんなククリアの顔を見て。彼方は無言で頷き、深々と頭を下げてお願いするポーズをとった。



 ここに早く来たのは、夜月皇帝がやって来る前に、女神の泉に到着をして。まだ警備が手薄な女神の泉を先に奪いとる為だった。


 それが、不老のカエルのコウペイに出会い。女神の泉に向かう為に必要な『カエルの粉』をかけて貰うという大前提が崩れ去り。

 流石の彼方も、深く落ち込んでいるようだった。


 今まで仮想夢の中でここを訪れた時は、すぐにコウペイに出会えたのに。どうして、今回はコウペイがいないのだろうか?


 仮想夢は現実世界をリアルに再現し、未来をシュミレート体験出来る夢ではなかったのか。彼方にとっては、あまりにも予想外過ぎる、コウペイと出会えない……という選択肢に、ただただ困惑する事しか出来ない。


 なにか、コウペイと出会う為の必要条件となるフラグを立て損なったのだろうか? それともここに早く来すぎたのか? 

 もうしばらく時間が経てば、コウペイはいつも通り地面に寝転がっていて、『ペィペィペィ』と鳴き声を聞かせてくれるのだろうか……?



 彼方達がカエルの妖精のコウペイを探し始めてから。

 


 約2時間ほどの時間が、経過をすると――。



「――み、見つけました! 彼方様、『ペィペィ』と鳴く黄色いカエルさんがここにいました!」



 ティーナが大きな声を上げて、彼方に呼びかけてきた。


「えっ、本当か!? コウペイがいたのか!?」


「ティーナたん、さすがなのにゃ〜!! 凄いのにゃ〜!」


 森の入り口付近で、手分けをしてカエルの妖精を探していたメンバー達全員がティーナの元に集まってきた。


 ティーナの足元には、確かに黄色の色をした他のカエルよりも少しだけ体格の大きいカエルが地面に寝そべっている。


 そして、その黄色いカエルに。そっと全員が耳を近づけてみると――。



「ペィペィペィペィ……」


「ああ〜〜っ、確かにペィペィペィと変な声で鳴いているのにゃ〜!」


 フィートが驚きの声を上げる。


 彼方はティーナの足元にいる黄色いカエルに向かって座り込み。ゆっくりと体を近づけて、そのカエルに話しかけてみた。


「コウペイ……俺の言葉が分かるか? 俺はコンビニの勇者の彼方(かなた)というんだ」


 彼方に声をかけられた黄色いカエルは、まるで人間の言葉が分かるかのように。彼方の方に向き直り。

 『ペィペィ』と鳴くのをやめて、彼方の目を真っ直ぐに見つめ返してきた。


「……コウペイ、君がこの森の中で1万年以上も生き続けてきた事を俺は知っている。『最初の勇者(ファースト・ナイト)』から奇跡の力を授かったアスティアの足元にいた君は、その時にアスティアと同じ不老の力を授かったんだ。そして今は、この世界で女神と呼ばれているアスティアと共に、この森の中で暮らしていた事も知っている」


「………ペィペィ」


 黄色いカエルは、人間の言葉を話さなかった。


 だがその様子は、明らかに彼方の言葉を理解していて。『その通りだ』と返事をするかのように、鳴き声を返してくれていた。


「君は今……70年前からこの森に出没し。女神の泉を荒らしている1人の男の事で困っている事も俺は知っている。だから、どうか俺に力を貸して欲しいんだ! 君の持つ『カエルの粉』を俺達にかけて欲しい。俺達は必ずアスティアと最初の勇者の想い出の地でもあるこの森を、その男から取り戻してみせるから……!」



「………………」


 無言で、彼方の目を見つめ続ける黄色いカエル。


 そしてゆっくりと。彼方の周りにいる他のコンビニメンバー達全員を見回し。やがて何かに納得したように、何度も瞬きを繰り返し始めた。


「ペィペィ、ペィペィ!」


 黄色いカエルはその場でジャンプをして。彼方達全員の真上に飛び上がると。


 体から光り輝く『黄金の粉』を撒き散らし始めた。



「――コンビニの勇者殿、コウペイ殿は見つかったのですか……?」


 遅れてやってきたククリアが、やっと体調の回復したミズガルドを引き連れて戻って来た。

 そして彼女達も、黄色いカエルのコウペイが上空から振り撒く、黄金の粉を無事に浴びる事が出来た。



 彼方達の周囲を何度も飛び跳ねて。ビックリするくらい、大量の黄金の粉を振りかけ続けてくれるコウペイ。


「キレイなのにゃ〜。まるで黄金の風の中に、包みこまれているような幻想的な光景なのにゃ〜!」


 もふもふ娘のフィートが、あまりにも幻想的な光景に感動して感嘆の声を漏らす。

 フィートだけじゃない。ティーナも、アリスも、そして倉持達も……上空から降って来る黄金の粉の美しさに感動しているようだった。



 そんな中で、コンビニの勇者の彼方だけは……。


 目から大粒の涙を流して、自分達の周りを飛び跳ねるコウペイの姿を地上から見つめ続けている。



「ありがとう、コウペイ。本当にありがとう……」



 彼方はコウペイに深く深く頭を下げた。


 仮想夢の中では、人間の体を持って彼方の前に現れたコウペイ。

 もしかしてあの姿は……夢の中だけでしか見られない、『奇跡』だったのかもしれない。


 もう夢から覚めて。現実世界に戻ってきた彼方には、人間の言葉を話す、あの姿のコウペイと会話をかわす事は出来なかったけれど……。



 やっぱり、コウペイは確かにここにいてくれたんだ。


 会話は出来なくても、その意思にちゃんと触れる事が出来た。



 今から1万年以上も前の大昔に、ここで女神アスティアと最初の勇者が一緒に過ごしていた光景を近くからずっと見ていた、一匹の黄色いカエル。


 そのカエルは、たまたま最初の勇者がアスティアに『不老の力』を授けた時に、アスティアの足元にいて。

 永遠に死なない不老の力を偶然、アスティアと一緒に手に入れてしまった。


 仮想夢の中のように、今のコウペイは人間の言葉を話してくれたりはしなかったけど……。


 コウペイは確かにここにずっといて。女神アスティアの生きてきたこの世界の歴史を、ずっと森の中から見守り続けてくれたのかもしれない。


 その事を知っている彼方は、不老の力をアスティアと共に授かってしまった一匹のカエルの数奇な運命を思い、思わず涙を流してしまう。



 だからこそ、今度こそ夜月皇帝ミュラハイトをこの手で倒し。この森に平穏を取り戻す。

 そしていつか女神アスティアとも出会い、彼女がこの世界で生き続ける目的を知りたいと……心から願うのだった。



 カエルの粉を浴びた彼方達は、森の入り口からゆっくりとコンビニ支店1号店と共に森の中心部に向けて歩き出す。

 


 目指す目的地は――『女神の泉』だ。


 だいぶ、時間をロスしてしまった。もう間に合わないかもしれないけれど、夜月皇帝の戦力が全て揃う前に、何とか女神の泉に辿り着かなければない。



 彼方達の後ろ姿を見送るコウペイと、その周りのカエル達が一斉にゲコゲコゲコと鳴き始めた。



 たくさんのカエル達の大合唱に見送られて、コンビニメンバー達は全員で女神の泉を目指す。



 そして、おそらくそこで……。夜月皇帝との戦いに最後の決着がつくのは間違いない。


 コンビニメンバー達は、それぞれの意思と願いを持って。決戦の場である、女神の泉へと向かっていった。


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