第二十六話 カディスとの戦い③
地上より高い場所から周囲を見下ろせる、物見矢倉。
その上に立ち、俺は静かに前方を注視した。
辺りは既に深い夜の闇に包まれている。
だが……眩いばかりに輝くコンビニの明かりと、コンビニの周囲に設置した無数の松明の明かりのおかげで、遠い先の景色まで俺は見通す事が出来た。
矢倉のすぐ正面に見えるのは、コンビニだ。
そしてその更に前方には……コンビニに向けて再突進を開始した巨大生物、太古の地竜『カディス』の姿が見えている。
「よーし! そのままもう一度、コンビニに突っ込んで来いよ、カディス!!」
俺は今か今かと、絶好のタイミングを窺う。
カディスの襲撃前に、コンビニの後方約25メートル程の場所に、物見矢倉をみんなと一緒に建てておいた。
矢倉はよく、昔のお城の正面入り口付近に建てられていて。高い場所から周囲を警戒したり、攻めてきた敵兵を、上から弓で射る為に使う高床式の建物だ。
俺が今いるこの矢倉は、日中にザリル達と急ピッチで作り上げた簡易版の建物だからな。
だから見た目は、お世辞にも立派とは言えない。
でも、木材を幾つも固定して繋いで、何とかそれらしい建物には仕上げたつもりだ。
矢倉の高さは、地上から約10メートル位はある。
だから俺は今、矢倉の上に立ちながらコンビニの周囲全体を一度に見渡す事が出来た。
怒りに身を任せた地竜カディスは、こちらに向けて再突進を開始した。
全速力で走るカディスの直線上には――俺のコンビニがある。
カディスの奴、今度こそコンビニを一撃で破壊してやろうと完全に頭に血が上っているようだな。
周囲の様子など全く気にとめる様子もなく、一点集中で、こちらに向けて猛突進をして来ているぞ。
(よーし、あと少しだ………!)
俺は心の中でカウントダウンを開始する。
最初からコンビニだけでカディスを食い止められるだなんて、これっぽっちも思ってはいない。
……って言うか、まずそれは無理だろう。
そもそも大きさからして、向こうの方が大きいんだ。コンビニのコンクリートの外壁がいくら頑丈といっても、太古の昔から恐れられた地竜の突進を防ぐなんて、それは到底無理な話ってもんだ。
でも、足止めくらいなら出来るはずなんだ。
その証拠に、カディスは今までカディナの街を囲っている巨大な外壁を一度も突破していない。
もちろん全力でぶつかれば壁を壊す事も出来たかもしれないが、そこまでの労力をかけるつもりも無かったのだろう。
頑丈な壁をわざわざ崩さなくても、周囲の壁外区には十分なエサがあるんだからな。そっちで暴れていれば、十分小腹を満たす事が出来たはずだ。
だから、コンビニの近代的な硬いコンクリートの外壁。そして周囲に設置した強化ステンレスパイプシャッターがあれば、カディスの突進にもある程度は耐えられると、俺はそう考えた。
もちろんずっとは防げないさ。何度か全力で体当たりをされれば、コンビニはバラバラに壊されてしまうだろう。
……だけど、たったの一度だけでいいんだ。
一度だけでも、コンビニでカディスの全力の突進を食い止められれば……。
そしてそれで、カディスが怒りで我を忘れて、周囲への警戒を怠るような状況が作れれば。
それが、今回の俺の作戦の狙いだった。
最初は上手くいくかヒヤヒヤしたけどな。
特にコンビニが持ち堪えられるかなんて、実際に試してみなければ誰にも分からないし。
でもギリギリだったが、コンビニはカディスの突進にも何とか耐えてくれた。
だから、これで全てが上手くいくはずだ!
ただ正面から待ち構えるだけなら、カディスが罠の存在にすぐに気付いてしまうかもしれないし。罠にかかったとしても、そのまますぐに出てきてしまう可能性もあった。
カディスが『コンビニを壊す事』だけに執着し、冷静な判断を失っている今だからこそ――絶好のチャンスなんだ!
カディスは突然、お目当てのコンビニが目の前の視界から消えれば確実に混乱し、油断を作る事が出来るだろう。
そのわずかな隙に、俺がすかさず攻撃をしかける。
全力で突進をしてきたカディスが――。
すでに壊れかけの半壊状態であるコンビニに、正面から体当たりを食らわそうとする。
巨大地竜の体がコンビニにぶち当たる、まさにその寸前で……俺は大声で叫んだ。
「よーーしッ、今だッ!! 俺のコンビニよ、消えろーーーッ!!」
俺は自身の能力『コンビニ』を使い。
目の前に建っていたコンビニの建物を。
一瞬にして、カディスの目の前から――『消した』。
突然、目の前にあったはずのコンビニが消失した事に。目を見開いて驚くカディス。
カディスはそのまま少しだけ失速をしつつも、前方に向かって突き進み続け――。
俺が立っている物見矢倉の、正面にまで躍り出た。
そして――。
“ドシャーーーーーーーーン!!!!”
目前に作られた『巨大な落とし穴』に、盛大に引っかかった。
『″ウオオォォーーーンン!?!?!?″』
カディスは自分の置かれた状況が一瞬、理解が出来ずに瞬きを繰り返しながら混乱する。
まあ、それはそうだろうな。
いきなりお目当てのコンビニが、目の前から消えたんだ。しかもその先に、巨大な落とし穴の罠が待ち構えているとは、まさか思ってもいなかっただろうよ。
カディスが落ちた落とし穴は、日が沈むまでにザリルの部下達や壁外区の若い男達と、みんなで協力をして作りあげたものだ。
直径はおおよそ25メートル。
深さは、約8メートルといった所だ。
本当は、もうちょっとだけ深さが欲しかったんだけど。街のみんなと必死に頑張って、今回はこれが限界だった。
横幅はともかく、深さは明らかに足りていない。
それでも、壁外区の若い男達が1000人近くも集まって手伝ってくれたんだ。時間も全然無い中で、これだけ大きい穴が作れたんだから十分だろう。
落とし穴にハマった地竜カディスは、その全身がすっぽり穴にハマっているというよりは、ちょうど風呂で半身浴をしているくらいの状態だろうか?
……いや、下手をすると少し深めの足湯に腰まで浸っているくらいの感覚でしかないかもしれない。
カディスの上半身は、落とし穴に完全には入り切らずに、少しだけ地上に飛び出してしまっている。
おそらく時間さえあれば、すぐにでも穴から這い出てしまうだろう。
でも、一瞬でも混乱をして。その巨体の身動きが取れなくなっている状態が作れたなら、それで今回の作戦は成功なんだ。
元々、落とし穴なんかでカディスを倒せるなんて思ってない。
そんなんでどうにか出来るのなら、過去に何度でもそんな試みは行われてきたはずだ。
カディスはその見た目からは想像も出来ないくらいの脚力がある。ジャンプこそしないが、相当な深さの穴に落ちたとしても、自力でそこから這い出る事も簡単に出来るのだろう。
――だが、今回は俺がそうはさせない。
この穴からもう、二度と出て来れないように、俺が今からカディスの上に重い『蓋』をしてやるからだ!
「これでも食らいやがれーーッ! カディス――!!」
俺は矢倉の上から、目の前で落とし穴にハマっているカディスの上空目掛けて。真上からジャンプをする。
そして、そのまま空中で俺は高らかに叫ぶ!!
「出でよーーーッ!! 俺の『コンビニ』ーーッ!!」
空中から勢いよくダイブをして。
風を切りながら降下する、俺の目の前の空間には、
巨大な『コンビニ』が突如、空中に出現をした。
カディスの頭上の空間にいきなり現れたコンビニは、そのまま落とし穴にハマっている、カディスの頭上にめがけて――。
重力の法則に則り、勢いを増して猛スピードで降下していく。
そして……。
″ドガシャーーーーーーーーン!!!!!″
凄まじい破壊音と共に、カディスの頭上にそれはダイレクトに直撃した!
外から見れば、それは落とし穴にハマったカディスの頭上に、巨大な蓋が落ちた様に見えたかもしれない。
鉄筋コンクリートの外壁で作られたコンビニの総重量は、一体どれくらいあるんだろうな?
もちろん正確には計れないだろうが、おおよそ50トン近くの重量はあるはずだ。そんな超重量級の建造物が空中に出現し、しかも真上から落下してきて頭の上に直撃したんだ。
いくら巨大生物のカディスといえども、この重量級の建物落下の一撃に、耐えられるはずもない。
『“ウゴァァァァァァァァアアアーーーー!!!“』
カディスの悲鳴にも似た雄叫びが、コンビニ落下の衝撃の凄まじさを物語る。
俺は自分の能力である『コンビニ』が、一体どういう原理で、俺の目の前に出現しているのかを、過去に一度だけ疑問に思った事があった。
俺がコンビニを出したいと念じると、いつも俺のすぐ目の前にコンビニの建物は出現してくれる。
――だが、ある時俺がコンビニをいつものように目の前に出した時、僅かな振動と、砂ぼこりが周囲に出たのを感じた時があった。
その時は、その違和感を単なる気のせいかと、あまり気にしなかったんだけどな。後で色々と試した時に、俺なりに分かった事もあった。
俺がコンビニを出現させると、俺の『すぐ目の前の空間』にコンビニは現れる。
だけどもし、俺の目の前の空間に何も無い時――例えば俺が少し高い位置で、ジャンプをしながらコンビニを目の前に出現させたりしたら……。
コンビニはルール通り『俺の目の前の空間』にそのまま出現し、少し高い空中から、地面に向けて落下をする事が分かった。
もちろん巨大な建造物が、突然地面に落下するんだ。
僅かな高さからでも、相当な衝撃と、激しい揺れが周囲に走る事になる。
俺はこの『コンビニ出現の法則』を何かの機会に利用できないかと、ずっと考えていた。
なんて言ったって、俺は戦闘手段を何も持たない無能な勇者だからな。ちょっとでも戦いに使えそうなアイデアは、ちゃんとメモをして覚えておくものさ。
でも、実際の戦闘ではまず使えないだろうという事も分かっていた。だって考えてもみろよ?
敵の目の前で、コンビニを空中から落とすような高さまでいきなりジャンプするなんて、まず出来っこない。
俺に忍者のような身体能力でもあれば別だけどな。
それが可能になるとしたら、運良く敵が、俺よりも真下の空間にじっとしていてくれて。更にそこに目掛けて、俺が高い位置からジャンプをして、コンビニを空中から真下に落とす……という謎のシチュエーションを作らなければならなかった。
まあ、普通の状態なら、そんなタイミングはまず作れないだろう。
だから、このアイデアはきっと一生使う事なく終わるんだろうなって俺は思っていた。
カディスという巨大な地竜が、この地に襲ってくるという情報を、みんなから聞くその時まではな……。
巨大なコンビニの落下という衝撃を、真上からまともに受けて、昏倒するカディス。
だが、カディスもその体の頑丈さで世に知られた太古の巨大生物だ。伊達に『地竜』だなんて格好いい名前を名乗っている訳ではない。
落とし穴に体の半分近くが埋まり。更にその上から、超重量級の重しが乗っかっている状況にも関わらず、まだ完全にその巨体が潰された訳ではなかった。
カディスの上に乗っかっているコンビニの建物は、衝撃であちこちに亀裂が入り、今にも倒壊しそうな状況だ。だが、カディスはその重みにも何とか耐えている。
全身でその重みに耐え、4本の足全てに力を入れて穴から何とか這い出ようと試みている。
恐らく、もしこのままの状態だったなら、カディスは自力で落とし穴の外に脱出する事も出来ただろう。
50トン近い重りが上から乗っかっているってのに、全く何て凄まじい化け物なんだ……としか言いようがない。
――だが、この状況さえも俺にとっては全て想定通りだ。
まあ、たった一回コンビニを上からぶつけたくらいじゃ、流石にくたばったりはしないよな。そんなんじゃ、太古の魔物を名乗る資格もないぜ。
俺は飛び降りた地面の上を、急いで振り返り。再び梯子を使って矢倉の上に登り始める。
矢倉から飛び降りた地面の上には、予め俺が飛び降りやすいように、コンビニのトイレットペーパーを大量に集めたクッションシートの様な場所を作っておいた。
だから10メートルの高さがある、高い矢倉の上から俺が飛び降りても、体には怪我一つない。
再び矢倉の上に登った俺は、頭上から、目の前でコンビニの重みに耐え苦しんでいるカディスを見下ろす。
そして、能力を使ってカディスの上に乗っているコンビニをまた、目の前から『消失』させた。
……もちろん苦しんでるカディスを、楽にしてやる為なんかじゃないぞ?
ここは一気に畳み掛けて、とどめを刺す為に俺はコンビニを再び消したんだからな!
「うおおおおおっっーー!! もう一度行くぞッ!! 出でよッ!! 俺のコンビニィィィーーーッ!!」
再び俺はカディスの頭上目掛けて。矢倉の上から空中ダイブを再開する。
そして俺はカディスの頭上の空間に、コンビニの建物をもう一度出現させて――。
脳天直撃の巨大ハンマーを再度、炸裂させてやった。
カディスの頭上に現れる50トン級の巨大建造物。
先程の衝撃で全身がフラフラな状態になっている地竜の頭に、もう一度ダメ押しの一撃を浴びせる。
『″グゴアアアアァァギギギィィィィーーー!!″』
頭上から巨大なハンマーを喰らう衝撃を、もう一度味わったカディスが、あまりの痛みで悶絶する。
落とし穴の中で尻尾を振り回して、足をバタバタとさせながらのたうち回る。
再びのしかかったコンビニの重みと、カディス自身の重量で。落とし穴の底の地面は更にめり込み、カディスの体を地中深くに埋め込んでいく。
これはトンカチで何度も先端を叩きつけて、重い杭を地面に打ちこんでいく行為に似ているな。
「……へへっ、まだまだこんなもんで終わりだと思うなよ? 俺はお前が完全にノックダウンするまで、このハンマー打ち込み作業を何回でも繰り返してやる! 例えそれが数十回でも、数百回でもだ! お前の頭上に俺のコンビニハンマーを何度でもぶちかまし続けてやる!」
もう俺のテンションは完全に最高潮だ!
アドレナリン全開。全身の隅々の血管に血流が高速で行き渡り、最高に気分はハイって奴だぜ。
だってそうだろう?
あの戦闘には全く役立たずと言われたコンビニの勇者が、今、魔物を初めて仕留めようとしてるんだぜ?
しかもただの魔物じゃない。太古の昔から人々に恐れられていた『伝説の地竜』をだ。
「……こんなの、当然テンションも爆上がりに決まってるだろ!」
もちろん俺も、ただ一人で勝手に興奮している訳じゃないさ。
カディスの強さと頑丈さは、コンビニの屋上で身に染みて分かっているからな。こんな化け物に少しでも隙を見せたら、逆にこっちが返り討ちにされちまう。
だから、この瞬間を逃す訳には絶対にいかないんだ。
今は、どんなに息が切れようが……。
どんなに疲れていようが。俺は何度でもカディスの頭上に、コンビニを落とし続けないといけない。
俺が唯一出来る、攻撃手段。
コンビニの勇者が繰り出せる、唯一の必殺技。
「そう、この『無限もぐら叩き』でなーーーッ!!」
”ズドーーーーーーーーン!!!”
「……ハァ……ハァ…………!」
……もう矢倉の上から飛び降りて、コンビニをカディスにぶつけ、再び登るという作業を、俺は何度繰り返したのだろうか?
(……5回か、それとも、もう7回以上か……?)
俺はもう完全に無意識な状態で、ひたすらに矢倉を駆け上り続けていた。
だから、今のカディスの様子が全く分からない。
少しでも油断をしたらカディスが、穴から這い出てしまうかもしれない。その恐怖が俺にはあったから、ただひたすらにコンビニを使った、無限もぐら叩きを繰り返すしかなかった。
復讐に怒り狂ったカディスに、みんなが殺されてしまう。
その最悪の想像を振り払うように、俺はただただ必死だった。無我夢中で俺は矢倉に登っては、飛び降りての作業を繰り返す。
けれど、人間の体力には当然限界がある。
もう何度目なのかは全く憶えていないが……俺が矢倉を駆け上ろうとした時、とっさに足に力が入らずそのまま後方によろけてしまった。
情けなく、尻から地面に倒れ込む俺。
完全に体力の限界だ。
息が切れて、足にもう力が入らない。
もう、その場で立ち上がる事さえ出来そうにない。
そんな俺のもとに、全速力でティーナが駆け寄ってきた。
「――彼方様! 大丈夫ですか?」
「ティーナ……? カ…カディスは……どうした? 奴はまだ、死んでいないのか?」
地面に倒れ込んだ俺の頭を、優しく介抱するようにティーナが支えてくれる。
心なしかその眼差しには、穏やかな笑みが含まれているように俺には感じられた。
「彼方様……本当にお疲れ様でした。どうぞ、ゆっくりと休んでください。彼方様は今、本当に偉大な功績を成し遂げられたのですから」
俺はティーナに促されて、地面に倒れながらカディスがハマっている大きな落とし穴の底を覗いてみる。
やけに周囲はシーンと、静まり返っていた。
物音が何も聞こえてこない。
耳の奥を軽く小指で掃除をしてみたが、別に中に土が詰まっている訳でもないな。
あれだけ大きな巨体が、痛みで穴の中をのたうち回っているのなら、もっと大きな音が聞こえても良いはずなんだが。
でも、その音が何も聞こえない……。
遠くから様子を見守っているはずのザリル達や、玉木も、静かにこちらの様子を窺っているようだった。
俺は仕方なく、恐る恐るカディスが埋まっている大穴の様子を探ってみる事にした。
ゆっくりと、だが慎重に。ティーナに支えられながら歩き、穴の真上から中の様子を覗き見る。
太古の昔からこの地で猛威を奮っていたと言う伝説の地竜――カディス。
その巨体が、落とし穴の中で小さくうずくまっている。
大きなその瞳は閉じられていて、全身はピクリとも動いていない。
何度も俺のコンビニが頭上からのしかかったからだろうか? その全身は見るも無残なくらいに、ボロボロな状態になっていた。
元々、体の半分くらいまでしか入らなかったはずの落とし穴の中に、今はカディスの全身がすっぽりと収まっている。
きっと重量級のコンクリート建造物に何度も打ち付けられ、その巨体は縮んで潰されてしまったのだろう。
今のカディスの様子を見れば――。
……そう。
それは、きっと誰にでも分かっただろう。
太古の昔からこの地に存在する地竜。
伝説のその竜はもう決して、この世界で目を覚ます事が無いのだという事が――。
「これで、全部終わった……のか?」
俺は安堵して、その場で天を仰ぎながら再び横になる。
矢倉の上から何度も地上に向けてダイブして、また登ってはそれを繰り返す――という行為をずっとし続けてたからな。
流石に俺だって疲れたさ。
だから今は、少しだけ休ませてくれ……。
だが、どうやらそれは許して貰えないらしい。
俺がゆっくりとその場で横になったのを見て。
周囲で息を潜めていた連中が、一斉に大歓声を上げたからだ。
『うおおおおおおおぉぉぉっ!!! あのカディスを倒したぞーーーっ!! 壁外区の女神様が、地竜を倒して下さったぞおおぉぉーーー!!!』
みんながこちらに、駆けてくる足音が聞こえる。
俺はあまりの疲労で、意識を失う寸前の状態で……。
ふとある事を思い出し、それを呟いてからその場で気を失ってしまった。
「えーと……? 何でコンビニのレベルアップ音がしないんだよ? こんなに凄いボス級モンスターを倒したのに!? いやいや、こういう時は空気を読まずにいつも勝手に頭の中で鳴り響いてたじゃんかよ! おい、流石にそれは無いだろう〜! マジでこの異世界のクソ仕様、何とかしてくれよ〜〜!」




