第二百八話 第2次アッサム要塞攻略作戦
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「――サステリア様、全軍がアッサム要塞正面の陣地に集結を完了致しました! カルタロス王国陸戦隊5000名、ドリシア王国騎兵団2000名、そしてアルトラス商業連合からの義勇兵3000名。総勢1万名の兵力の戦闘準備が整っております!」
丘の上に建てられた、簡素な白い陣幕。
その中で約20人ほどの『解放軍』の幹部達が、アッサム要塞攻略の作戦会議を行なっていた。
「――分かりました。全軍には、その場で待機をするように伝えて下さい。アッサム要塞攻略の作戦が決まり次第、おって指示を下します」
「ハハーーッ! 畏まりました!」
大陸の中央部に位置する荒野。元々はアルトラス連合領の領土の中であるこの地に難攻不落の要塞――アッサム要塞がある。
歴史上、アッサム要塞は西方3カ国連合のカルツェン王国によって建造をされ、その後……アルトラス商業連合に譲渡された経緯のある、広大な敷地を持つ人工の要塞だ。
おおよそ30年ほど前に、動物園の魔王率いる魔王軍によってアッサム要塞は奪われ――長い間、魔王軍が人間領を攻める拠点として、この要塞は使用されてきた。
しかしその後、グランデイル王国によって召喚された異世界の勇者達の活躍によって、人類は魔王軍からこの要塞を奪還する事に成功したのである。
魔王軍の4魔龍公爵である、赤魔龍公爵がこの地で敗れた事をきっかけに、魔王軍は衰退していき。
異世界の勇者を中心とする人類の反撃が開始された記念すべき場所としても、この地は有名であった。
魔王軍からアッサム要塞を取り戻す、第1次アッサム要塞攻略作戦で手柄を立てた異世界の勇者達は、全員グランデイル王国に所属していた事もあり。
また、当時まだ魔王軍と最前線で戦っていた西方3カ国連合を支援する為にも、奪還したアッサム要塞には東のグランデイル王国軍が常駐して、西方3カ国連合を後方から支援する事となっていた。
……しかし、世界の情勢はこのわずか数ヶ月間の間に、更なる激変を迎えてしまう。
動物園の魔王の守護者である、黒魔龍公爵が率いる魔王軍は、旧ミランダ領での戦いで緑魔龍公爵の戦力を失った。
戦力が大幅に低下した魔王軍は、人間領からの総撤退を開始したのだ。
そのおかげで東の人間領には魔王軍がいなくなり、約100年ぶりの平和な時間が訪れた。
――だが、その束の間の平和は、一瞬にして崩れ去ってしまう。
カルタロス王国によって開かれた世界会議の結果、新たに誕生した『コンビニの魔王』の根拠地を討伐するという目的で、世界各国は討伐軍を南西のエルフ領に向けて派遣した。
世界各地から集結をした世界連合軍は、コンビニ共和国へと攻め入り――そこで歴史上、例のない完全な大敗北を喫してしまう。
その隙をつくようにして、世界征服の野心を剥き出しにしたグランデイル王国が、無防備となった諸外国に対して大規模な軍事侵攻を開始したのである。
グランデイル女王クルセイスによって率いられた侵略軍は、進行途中にあった商業都市国家カディナを軍事占領した。
そして大陸中央部の、アルトラス商業連合に所属する都市をことごとく制圧して、破竹の勢いで侵略軍を世界各地に向けて侵攻させていく。
世界征服にむけて、侵略軍を3つに分けたグランデイル王国軍は、北のルートを進行している北進軍が、西方3カ国連合の1つ――カルツェン王国に攻め入り、その領土の半分以上を軍事制圧した。
南のバーディア帝国に向けて侵攻するグランデイル南進軍は、国境を防衛する帝国の軍勢を蹴散らし。その領土深くに、もの凄い数の大軍を侵攻させている。
そして大陸中央部にある、このアッサム要塞を拠点として動き始めたグランデイル西進軍は、アルトラス商業連合を完全に制圧し。その勢いのまま、西方3カ国連合のドリシア・カルタロス連合軍と軍事衝突した。
あらかじめ、グランデイル王国との戦争に備えていたドリシア王国の精鋭部隊による活躍もあり。
ドリシア・カルタロス連合軍は、国境付近に侵攻してくるグランデイル西進軍を撃退する事に成功する。
その後、頼りにしていたコンビニ共和国からの援軍が駆けつけた連合軍は、侵略者であるグランデイル軍に対して大規模な反転攻勢を開始した。
コンビニ共和国に所属する異世界の勇者達と、強大な力を有するコンビニの守護者の大活躍もあり。ドリシア・カルタロス連合軍は、次々とグランデイル王国によって占領されてしまったアルトラス商業連合の都市群を解放していく。
その反撃のスピードは、まさに疾風迅雷と呼ぶに相応しかった。
解放されたアルトラス商業連合の街や村々は、グランデイル王国軍を追い出したコンビニ共和国に所属する勇者達を、『解放軍』として讃え、熱烈な歓迎をして迎え入れた。
これによってこの世界の人々は、『コンビニの勇者』という名前を再び認知する事になる。今やコンビニの勇者は、この世界を救ってくれる唯一の救世主して、全ての人々に期待される存在となったのだ。
ただ、以前と少しだけ違うのは……。
コンビニの勇者という呼び方は、単体の称号だけではなく。『コンビニの勇者達』という、コンビニ陣営に所属する全ての異世界の勇者達に向けて、期待が込められた呼び方に変わっていた所であろう。
それは女神教の信仰が衰退をして、人々の間から異世界の勇者信仰が弱まっていた事も一因としてある。
なぜなら侵略者であるグランデイル王国軍の先頭に立って、世界の人々を恐怖に陥れているのが、『不死者』の勇者である倉持悠都や、その仲間の勇者達であるという事実があったからだ。
それに対して、コンビニ共和国に所属する異世界の勇者達は、グランデイル軍を率いて数々の悪行を働く邪悪な勇者達とは異なる、正義の勇者達なのである……という区別をつける意味合いもあった。
人々はコンビニ共和国でコンビニの勇者と共に戦う異世界の勇者達こそ、この世界の本当の救世主なのだ、という認識を今は持つようになったのである。
そしてとうとう――。
グランデイル王国軍に占領されたアルトラス連合の各地の街を解放し、連戦連勝を重ねてきた解放軍は……。
グランデイル西進軍の拠点でもある、この『アッサム要塞』にまで到達したのだった。
「――皆様、私達連合軍がグランデイル王国の西進軍を撃退し、敵の本拠地であるアッサム要塞にまで辿り着けたのは……ひとえにコンビニ共和国に所属する異世界の勇者様方の御助力のおかげです。ここまで私達を導いて下さり、本当にありがとうございます」
眼鏡をかけたカルタロス王国の若き女王、サステリア・カルタロスが会議の席から立ち上がる。
そしてこの作戦会議に参加している諸将の前で、深々と頭を下げて、異世界の勇者である3人に対して謝意を示した。
「どうもー、どう致しましてー! 別に私達は異世界の勇者として当然の事をしているだけだから、そんなにお気になさらずにーー!」
コンビニ共和国に所属する3聖姉妹将軍の1人。
『舞踏者』の勇者の藤枝みゆきが、あっけらかんとした態度でそう答えた。
「そうそう。私達はこの世界の為にやるべき事をやってるだけじゃん〜。それって召喚された異世界の勇者としては当然のことだものね〜!」
同じく3聖姉妹将軍の1人。『アイドル』の勇者である野々原有紀が、アイドルスマイルでニコっと笑いながら同意する。
「……問題は、グランデイル西進軍の本拠地であるアッサム要塞を守っているのが、あの霧島だって事よね。今じゃアイツはグランデイル西進軍の中で、『氷結将軍』なんて呼ばれているらしいわよ……。本当におぞましいったらないわ!」
『ぬいぐるみ』の勇者である、小笠原麻衣子が吐き捨てるようにしてそう呟いた。
グランデイル王国軍は、世界征服をする為に侵略軍を3つの兵団に分けている。
北の禁断の地の領域ギリギリのラインを進み、西方3カ国連合の1つ――カルツェン王国領に侵攻しているのが、グランデイル北進軍である。
この北進軍は、『水妖術師』の勇者である金森準が指揮をしていると言われていた。
商業都市国家であるカディナを軍事制圧した際も、水妖術師の勇者である金森は、無抵抗な壁外区の住人達を大量虐殺した事でその悪名を高めている。
そして彼の見た目は、下半身がタコのような8本足の外見をしていると噂され。『グランデイルの悪魔』、あるいは『グランデイルの水蛸』と呼ばれて、人々から恐れられていた。
その金森が率いるグランデイル北進軍は、現在も快進撃を続けている。
西方3カ国連合の同盟を一方的に破棄して、孤立無援の状態に陥っていたカルツェン王国の国土を、既に3分の2近くも軍事制圧したという情報も伝わってきていた。
そして、南のバーディア帝国に侵攻するグランデイル南進軍を指揮しているのが、『不死者』の勇者である倉持悠都と、『結界師』の勇者である名取美雪の2人である。
これまで、大陸で最強の力を持つと噂されていた南の大国、バーディア帝国。
それがグランデイル南進軍の侵攻によって、大苦戦を強いられている……という知らせは、世界中の人々を驚かせた。
眠れる獅子として、大陸最強の兵力を持つと噂されていただけに……。それをあっさりと撃破する、グランデイル王国軍の強さを改めて世界に知らしめる結果となってしまったのである。
倉持が率いるグランデイル南進軍も、既にバーディア帝国の北部の領土を大幅に削り取り。占領した帝国の領土を足がかりとして、一路……帝国の皇帝ミズガルドがいる帝都に向けて前進を続けている。
そして……唯一、グランデイル王国の侵攻に対して、開戦当初から戦闘準備を整えていたドリシア王国軍の対戦相手となったのが――。
『氷術師』の勇者である、霧島正樹が率いるグランデイル王国西進軍である。
グランデイル西進軍は本拠地であるアッサム要塞から出撃して、周辺のアルトラス商業連合の都市や村々を次々と軍事占領していった。
そしてその勢いをそのままに、一気にドリシア・カルタロス連合軍が待ち構える国境付近にまで侵攻し、両軍は激突をした。
その結果は、グランデイル王国への迎撃体制を整えていたドリシア・カルタロス連合軍の大勝利に終わる。
侵攻したグランデイル西進軍は逆に返り討ちを受けて、連合軍に惨敗してしまう形となった。
だが……グランデイル西進軍には、まだ膨大な戦力が残されている。
何とか国境付近で、グランデイル西進軍の侵攻を食い止めた連合軍には、とても反撃に出るような兵力の余裕は残されていなかった。
そんな危機的な状況に駆けつけてきたのが、同盟国である『コンビニ共和国』からの援軍達だ。
ドリシア王国とカルタロス王国の名だたる将軍達が、一堂に顔を揃えているこの作戦会議において。
若い3人の異世界の勇者達が、敬語も使わない無作法な態度を取っていても、会議の参加者達は誰も不快な表情をしない。
それどころか、将軍達は尊敬と畏敬の念をこめて。厚い信頼の眼差しで若い3人娘達の言動を見守っているのである。
「コンビニ共和国から異世界の勇者様方のお力を貸して頂き、本当に我らはこれほど心強い事はありません。此度の第2次アッサム要塞攻略作戦におきましても、皆様方の力だけが我らの唯一の頼りとなりましょう。どうか今後もよろしくお願い申し上げます」
年季を重ねた、たくましい髭を生やしているカルタロス王国の将軍がそうお礼を述べて。
3人の若い異世界の勇者達に深々と頭を下げた。
それに倣って、作戦会議に参加している他の諸将達も、一斉に3人娘達に向けて頭を下げていく。
「ありがとうございます。ですが、そういうのはこの戦いに勝ってからにしましょう。私達はレイチェルさんの指示でここに駆けつけたのです。もしお礼を言うのなら、私達をここに送り出してくれた、コンビニ共和国臨時大統領のレイチェルさんに後で言っておいて下さい」
ぬいぐるみの勇者の小笠原が、『レイチェル』の名前を発すると――。
その名前を聞いた、連合軍のリーダーであるサステリア・カルタロスが突然、椅子から立ち上がり両手を頰につけて歓喜の声を漏らす。
「あああ〜〜っ!! レイチェルお姉様が、この私の為だけに援軍を派遣して下さったのですね……!! 何という幸せなのでしょう! もう、お姉様ったら……私の事が好き過ぎて、放っておけなかったのですね! でも大丈夫ですよ、お姉様。サステリアはいつでも、レイチェルお姉様の為だけを想って生きていますので。この身はもう、お姉様だけに全てを捧げる覚悟なのですから! うふふふ☆」
「………………」
シーンと、会議のテーブルに居並ぶ諸将が一斉に静まり返る。
全く動じていないのは、コンビニ共和国から応援に駆けつけている異世界の勇者のメンバー達だけである。
彼女達は、世界連合軍がコンビニ共和国へと攻め入った際に。コンビニの地下へと連れ去られたカルタロス王国女王のサステリアが……。レイチェルの手によって濃厚で甘美なスイーツ攻めにあっている所を目撃している。
そしてサステリアが身も心も完全に、コンビニの甘いスイーツと、レイチェルに溶けてしまっている事を知っていたからだ。
サステリアは表向きはコンビニ共和国の真実の姿を知り、世界平和の為にコンビニと同盟関係を結んだ事にはなっているのだが……。
「まあ……あの様子じゃ、もしレイチェルさんが世界征服をします、って宣言でもしたら。喜んでレイチェルさんに付き従いそうだよね、サステリアさん……」
「うんうん、まさにレイチェルさん一筋って感じじゃん。でも気持ちはよく分かるわ〜。お気に入りのアイドルグループの中に推しが見つかった時の私も、ちょうどあんな感じになってたもの〜」
そんなざわついた雰囲気になってしまった会議の場で、ただ一人だけ真剣な表情を最初からずっと浮かべている人物がいた。
そしてその人物は、会議の場に参加する全員に対して大声をあげて呼びかける。
「あーーーっ!! もう、うるさいぞーー!! ここは戦場なんだぞ、惚れた腫れたの色恋沙汰なら戦いが全部終わってからやるんだな! まずはあのアッサム要塞を攻略するのが先だろーがよっ!!」
純白の花嫁衣装をまとった騎士。
花嫁騎士のセーリスが、浮ついた心でいる仲間達を一喝する。
セーリスの言葉に我を取り戻した女王のサステリアは、慌てて『す、すいませんでした……』と席に座り。再び女王としての真剣な表情に戻った。
このアッサム要塞攻略の作戦会議が始まって以降、いつにも増して花嫁騎士のセーリスはピリピリとした雰囲気を強めている。
「……ヒソヒソ。セーリスの奴、どうしたんだろうね? いつもより何か機嫌が悪いじゃーん」
「……ヒソヒソヒソ。たぶん、愛しの彼方くんに会えない日がずっと続いているから、禁断症状が出てるんじゃないかなー。セーリスもある意味サステリアさん以上に、推しである彼方くんに夢中な感じがするしー」
「……ヒソヒソヒソヒソ。2人とも、静かに! もしかしたら、セーリスは『あの日』なのかもしれないでしょう? 無限の勇者の守護者だからと言って、見た目は普通の女の子と一緒なんだし、1ヶ月に一度は機嫌の悪い日があってもおかしくはないわ。私、コンビニ共和国から少しだけ生理用品も持ってきているから、後でセーリスに渡しておこうかしら……」
イライライラ。
額に青筋を浮かび上がらせたセーリスが、激昂するように再び大声を上げる。
「ああーーっ、うっせえええええぞぉぉっ!! このおバカ3人娘どもがっ!! こっちは全部聞こえてるんだよ、バーカ!! 守護者の耳は、人間よりも遥かに優れているって事をよーーく覚えておけよなっ!!」
セーリスに叱られて3人娘達は揃って、てへぺろ☆と舌を出す。
ここまで花嫁騎士のセーリスと、3人娘達は共にコンビニ共和国を代表する援軍として戦場で戦い続けてきた。だから彼女達は、お互いに気心が知れた仲間として、厚い信頼関係が結ばれている。
まだコンビニの勇者である秋ノ瀬彼方が、動物園の魔王である冬馬このはを連れてコンビニ共和国に戻ってくるよりも先に……。
レイチェルの指示により、ドリシア・カルタロス連合軍を援護する為にコンビニ共和国から出撃をした4人。
彼女達は装甲車に支援物資を山ほど詰め込み。グランデイル王国の西進軍によって軍事占領された都市や村々を次々に解放していった。
その戦いぶりはまさに、『鬼神』と呼ばれるほどに凄まじかった。
高速スピードで戦場を駆け巡る、『舞踏者』の勇者。
巨大なぬいぐるみの軍団と、小型のぬいぐるみ歩兵団を巧みに操る『ぬいぐるみ』の勇者。
さらには、その2人を援護し、あらゆる敵の攻撃を防ぐ防御結界を張る事の出来る『アイドル』の勇者。
そしてグランデイル軍の中にいる、白い鎧を着た魔法戦士部隊の相手は花嫁騎士のセーリスが行い。
ここまで彼女達は、敵を圧倒的な力でねじ伏せてきたのである。
だから3人娘達にとってもセーリスは、もうクラスメイトの一員のように。信頼出来る仲間として、頼りなる存在となっていた。
「セーリス、さっきからずっと何かにイライラしてるみたいだけど……どうしたの?」
3人娘を代表して、小笠原麻衣子が尋ねてみる。
「ああん? まーな。アタシはコンビニ共和国から援軍がここにやって来るのをまってるのさ。そいつらが来たら、すぐにでも行かないといけない場所があるからな」
「援軍……? 行かないといけない場所?」
セーリスが一体何を話しているか分からない小笠原は、困惑してしまう。
すると……。会議が行われている白い陣幕の中に、カルタロス王国の騎士が突然、飛び込んできた。
「――サステリア様! コンビニ共和国から新たな異世界の勇者様が我らのもとに援軍に来て下さいました!」
「……フン、おっせーな! やっと来やがったのかよ」
セーリスはニヤリと笑ってみせる。
「新たな異世界の勇者ー? 誰なのよー?」
「もしかして彼方くん!? ヤバっ……私、まだ化粧もしてないじゃん! すっぴんのアイドルなんて激ヤバなんですけど……」
3人娘達が緊張した面持ちで見守る中。
第2次アッサム要塞攻略会議の場に入ってきた、コンビニ共和国から駆けつけてきた援軍の勇者達が大声で全員に挨拶をした。
「おいーーっす!! ああ、3人娘達じゃないっすか! 俺っす、桂木っすよーー!! 元気にしてたっすか! コンビニ共和国から支援物資を大量に運んできたから、もう物資面については安心していいっすよ!」
「……それと、桂木くんだけでなく、私もいるから忘れないでね」
そこに、やって来たのは――。
『裁縫師』の勇者である桂木真二と、『射撃手』の勇者である紗和乃・ルーディ・レイリアの2人であった。