第二百一話 アノンの地下迷宮に眠る黒い花嫁
「よーし、そうと決まったら早速行動に移す事にしよう!」
今後のコンビニ共和国の行動方針が決まり。
レイチェルさん、ククリアとの3者会談はいったん終了する事になった。
「……でも、ククリア。俺達と一緒にバーディア帝国に来てくれるのはありがたいんだけど。ドリシア王国を留守にしてしまって本当に大丈夫なのか?」
俺はコンビニ共和国から、帝国領への旅に一緒についてきてくれるというククリアにそう尋ねてみた。
なにせククリアはドリシア王国の女王という立場がある。しかもグランデイル王国の西進軍が、国境付近に押し寄せてきているという危機的な状況で、ドリシア王国を留守にしてしまって大丈夫なのだろうか?
「心配には及びませんよ、コンビニの勇者殿。国境警備軍の指揮はカルタロス王国のサステリア女王様に一任しています。彼女はまだ若いですが、落ち着きがあり、熱意のあるとても真面目な方です。サステリア様は味方の騎士達からの信頼がとても高いので、ボクは安心してお任せ出来ます。それにコンビニ共和国から花嫁騎士のセーリス殿にも来て頂いていますので、ドリシア王国の防衛は大丈夫でしょう!」
ククリアは俺の心配そうな視線に気付いて。自分が帝国に同行したい理由を、追加で話してくれた。
「バーディア帝国に行かれる際には、帝国の皇帝ミズガルド様とコンビニの勇者殿とを繋ぐ、橋渡しの役割をこなす者が必要になるでしょう。その意味では両者と接点のある、このボクは最も適任な役だと思います」
そう言ってククリアは小さな胸を張り。自分がいかに、この任務に適任なのかを説明してくる。
「それに道中の護衛といういう意味でも、ボクは紫魔龍公爵の記憶だけではなく、その戦闘能力の一部も引き継いでいますからね。見た目からは想像しづらいかもしれませんが……このボクも、実戦ではそれなりに役立つと思いますので、どうかご安心して下さい」
そして何より一番の理由としては……と、前置きをした上で。
ククリアは一度、冬馬このはの体が眠るブルークリスタルを遠い眼差しで見つめてから、その口をゆっくりと開いた。
「このは様がもし、女神の泉の中で目を覚ます事が出来たとしたら……。その側には、必ずボクがいた方が良いと思うのです。このは様は人見知りな所があるお方です。メリッサの記憶を持つボクがそばにいた方が、安心して頂けるでしょう。それにラプトル達の事も、このは様にお伝えしないといけないでしょうからね……」
視線を下に落として、ククリアは静かに目を閉じる。
冬馬このはが目を覚ますというのは、魔王軍の4魔龍公爵達全ての悲願だった。だからククリアはその時には、必ず側で見届けたいと決めているのだろう。
ちょうどその時、俺のスマートウォッチに――地上にいる紗和乃からの連絡が入った。
『――もしもし、彼方くん? 私の声が聞こえる?』
「紗和乃か? ああ、聞こえているぞ。俺は今、コンビニの地下4階層の映画館にいるけど、どうしたんだ?」
『もう、全て終わったんだけどね。実はさっき空から飛竜に乗った敵が、コンビニ共和国に攻めてきたのよ!』
「――何だって? 飛竜の部隊がこちらに押し寄せてきたっていうのか!?」
それはきっと、女神教の魔女が率いる飛竜部隊に違いない。
……という事は、浮遊動物園は既に女神教の軍勢に制圧されてしまったか、あるいは空から落とされたという事だろうか。
そうか、ラプトル……。
きっとククリアの言うように。ラプトルは自身の死を引き換えにして、魔王軍の4魔龍公爵としての『最後の任務』を成し遂げてくれたのだろう。
そして女神教の魔女達に『冬馬このは』は死んだと思わせる事にきっと成功したんだ。
でも、その上で魔女達の軍勢がこっちに向かって来たという事は、どういう事なのだろう? もしかして、魔王種子を手に入れられなかった腹いせに、コンビニ共和国にも攻撃にやってきたという事なのだろうか?
「……紗和乃、女神教の魔女達は魔王軍の4魔龍公爵に匹敵するくらいの強さがある。コンビニ共和国の防衛は大丈夫だったのか?」
俺は恐る恐る、紗和乃にそれを尋ねてみた。
『うん、大丈夫よ、心配しないで! コンビニマンションのガトリング砲の一斉射撃を受けて、敵の飛竜部隊はもう撤退をしたから。ただ、残った敵に向かって勝手に桂木くんがアパッチヘリに乗り込んで、追撃しに行ってしまったのよ。幸い、敵は撤退してくれたから良かったけれど。勝手な行動をした桂木くんには後でみっちりと説教をしておいたわ!』
「そうか、それなら良かった……。コンビニ共和国周辺の監視はこれまで以上に強化しておいてくれ。ドローン部隊を等間隔で空中に待機させて、どの方向から敵が来ても分かるようにしておいてくれると助かる」
「分かったわ、私に任せて頂戴!」
紗和乃からの通信は、それで途切れた。
女神教の魔女達が、このコンビニ共和国に対してまた攻撃を仕掛けてくる可能性は否定できない。だから共和国の守りは、今まで以上に、強化しておく必要があるだろう。
それに今後は、俺達異世界の勇者達も、それぞれバラバラにこの世界で行動をとる事になるからな。
全員が誰一人として死なないのが、もちろんベストだ。でもこれからの厳しい戦いは、きっとそうも言っていられないかもしれない。
少なくとも俺は、あの要塞みたいに巨大なコンビニと遭遇をしてまった。
アレと戦いながら、みんなを守り切る……というのはかなり厳しいだろう。もし仮に勝てたとしても、味方に犠牲が出るのは間違いない。だから俺はもう、甘い考えは捨てる事にする。
「レイチェルさん……。あの巨大コンビニを作り出したもう一人の過去の『俺』に、今の俺は本当に勝つ事が出来るしょうか?」
俺を安心させる為に、レイチェルさんはあえていつも以上に爽やかな笑顔で答えてくれた。
「大丈夫ですよ、総支配人様はコンビニの勇者様です。昔から魔王は勇者に倒されると相場が決まっています。ですからご安心して下さい。この私も、もう一人の私に勝てるように全力で頑張らせて頂きますから☆」
レイチェルさんが明るく笑ってくれたので、俺は少しだけ安心する事が出来た。
そうだ、これからは俺は一人だけで戦う訳ではない。レイチェルさんだって同じ姿の自分と……それもレベル100に到達している、コンビニの魔王の守護者と戦わないといけないんだ。
そんな化け物に勝てるかなんて、この世界の誰にだって分かるはずがない。
もう一人の自分と真剣に向き合う事――。その意味では、ちゃんとこの世界の真実を伝えておかないといけない仲間が、もう一人いた事を俺は思い出す。
「……総支配人様、どちらに向かわれるのですか?」
「レイチェルさん、俺……今から玉木の所に行ってきます。帝国領に向かう前に、直接俺の口からアイツに女神教の枢機卿の事についてを話しておきたいんです」
「……分かりました。出発の準備は私がしっかりと整えておきますね」
「ありがとうございます。後の事はよろしくお願いします!」
もちろん玉木だけではない。コンビニ共和国にいるみんなにも全てを伝えないといけないだろう。
コンビニの勇者の『秋ノ瀬彼方』や、『玉木紗希』がこの世界に再び召喚された事にはきっと意味がある。
その秘密を、必ず俺は探し出してみせる。
俺は地下4階層の映画館から、エレベーターを使って上の階へと向かおうとした途中――。
……ふと、ある事を疑問に思った。
「――大昔にこの世界に召喚されたクラスメイトは、俺と玉木以外にもいたのかな? だとしたらそれは、一体誰なんだろう……?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「――さあさあ、佐伯殿に川崎殿! 異世界の勇者様の能力を用いて、この『アノンの地下迷宮』の最深部まで、どんどん進んでいって下され!」
カルツェン王国のグスタフ王に促されて。
『地図探索』の勇者である佐伯小松と、『無線通信』の勇者である川崎亮の2人は――魔王軍によって最初に滅ぼされた国。旧フリーデン王国の領土内にあるアノンの地下迷宮の最深部を進まされていた。
「グ、グスタフ王……! そのように先を急かされては、私達の能力にも限界があります! もう2日以上もまともに寝ていないですし、持参した探索隊の食糧の備蓄も尽きかけています。このままでは探索部隊は飢えて全滅してしまいます! どうか、休息を取らせては貰えないでしょうか!」
アノンの地下迷宮を探索する部隊全員の心情を代弁して、『地図探索』の勇者である佐伯がグスタフ王に懇願した。
だが、それを聞いたグスタフ王は……、
「休息を取るですと!? 世界を平和に導いて下さる異世界の勇者様が、一体何を仰っているのですかッ!? 我がカルツェン王国は今、重大な危機に直面しているのですぞ! この瞬間にも王国の民が、クルセイスの家来達に蹂躙され、虐げられ、辱めを受けているという時に……! 伝説の異世界の勇者様が『休息』を取りたいなどと生ぬるい事を仰るのですか! 我らには一刻の猶予も無いのです! さあ、お二方とも! さっさとその能力を使って、地下迷宮の最深部まで案内して頂こうではないですか!」
真っ赤に目を充血させ、闘牛のように呼吸を荒げたグスタフ王が佐伯達に対して激昂する。
グスタフ王の背後に仕える親衛隊に、鋭い槍を突きつけられ。異世界の勇者である佐伯と川崎は、観念したように再び自分達の能力を使い……アノンの地下迷宮の奥へ奥へと前進していく。
グスタフ王は既にもう正気ではない……。
それは、この地下迷宮の探索チームに加わっている全ての人間が感じ取っていた。
カルツェン王国の王都を出発して、旧フリーデン王国の中にある『アノンの地下迷宮』に向かった探索隊。その人数は総勢で300名。
その中にはカルツェン王国の大貴族として、豪華な屋敷の中で贅沢三昧な生活を営んでいた、佐伯と川崎の2名の異世界の勇者達も含まれている。
佐伯と川崎にとっても、今回のアノンの地下迷宮の探索隊への参加は……あまりにも突然の事で、まさに寝耳に水な話だった。
異世界の勇者達が住まう豪華な屋敷に、いきなり騎士団を引き連れて押し寄せかけてきたグスタフ王の命令のもと。二人は強引に拉致されたも同然の形で、このアノンの地下迷宮への探索部隊に参加させられてしまったのである。
迷宮を探索するグスタフ王の目は、本気だった。
直前にグスタフ王が心から信奉する、女神教のリーダーである枢機卿がカルツェン王国を訪れ。グスタフ王に何か入れ知恵をしたのだ……という噂も囁かれている。
だがそれ以上に、グスタフ王を焦らせていたのは、東のグランデイル王国が派遣した侵略軍の侵攻の早さだ。
グランデイル王国軍は、北の禁断の地に面するギリギリの国境ラインから、一気に主要路を迂回し。西方3カ国連合の1つである、カルツェン王国の領土内に侵入してきた。
コンビニ共和国に肩入れした2国と国交を断絶した事で……。西方3カ国同盟を一方的に解消してしまったカルツェン王国は、カルタロス、ドリシア王国との溝を深めている。
その為、グランデイル軍への備えがまだ整っていなかったカルツェン王国軍は、国境を守る戦いで連戦連敗。
既に国境から王都に至るまでの広範囲な領土を制圧され、国土の3分の1以上がグランデイル軍によって、軍事占領されてしまったのである。
このままのペースでは、カルツェン王国の王都がグランデイル軍に攻め落とされるのも時間の問題だと言われていた。
焦ったグスタフ王は、まだ支度の整っていない異世界の勇者2人を無理矢理に引き連れ。そして強制的に、アノンの地下迷宮の探索を指示したのである。
『地図探索』の能力を持つ勇者である佐伯は、地下迷宮の中を攻略するルートを瞬時に割り出して、地図に描き出していく。
そしてそれを『無線通信』の能力を持つ勇者の川崎に伝えて、川崎は一緒について来ているカルツェン王国軍の騎士達の頭に、テレパシーのような形で言葉を伝えて地下迷宮の探索を進めていた。
だが……古代よりずっと封印をされていた『アノンの地下迷宮』の探索は、非常に困難を極めている。
ひたすら地下へ地下へと進んでいく、巨大迷路のようなアノンの地下迷宮。途中で道は何股にも枝分かれしていて、幾重にも通路が重なり合う複雑な迷宮の構造を成していた。
強力な戦士が自軍に存在しないカルツェン王国の探索部隊は、迷宮に潜む恐ろしい魔物の群れを避け。
毒ガス、落とし穴、無限ループし続ける回廊など、数々のトラップを避けながら、迷宮の最深部を目指して突き進んでいく。
もちろん、そんな危険な道中を……探索部隊が無傷で進めるはずが無い。
地図探索の能力を持つ佐伯の力を持ってしても、読み解けない迷宮のルートは多数あり。最初は300人近くいたカルツェン王国の探索部隊も……既に50人近くにまでその人数は激減していた。
そして探索部隊の人数が減ったのは、アノンの地下迷宮に潜む罠によって、騎士達が犠牲になったという理由だけではなかった。
「グスタフ王様……! どうか、この私にも水を分けて頂けないでしょうか……!」
痩せ細った騎士の1人がすがりつくようにして、グスタフ王の前にひれ伏して懇願をする。
その男の全身は痙攣症状を起こしていて、重度の脱水症状になっているのは誰の目から見ても明らかだった。
目の前に倒れている男の前で、グスタフ王は手にしている水の入った容器をゴクゴクと飲み干すと……。
「――何? そんなに水が欲しいと言うのか? 良かろう、貴様にも水を与えてやろうではないか!」
「あ、ありがとうございます! 我らが聡明なるグスタフ王様っ! …………グフェッ!?」
グスタフ王は自らに仕える騎士に向けて。
突然、剣を横に振り払ってその男の喉を真っ二つに切り裂いたのだ。
「ハッハッハーーッ!! それ、お前の喉にはまだ赤い水が大量に入っておるではないか! その赤い水を存分に自分で飲み干すが良いわッ! ふははははーーッ!」
喉を切り裂かれた騎士はグスタフ王の前で、赤い血飛沫を流しながら絶命する。
その様子を周囲で見ていた騎士達と、佐伯、川崎の両名の勇者はグスタフ王の狂気に恐怖した。
「……はぁ……はぁ、俺達、何でこんな事になっちまったんだろうな……」
川崎が目に汗と涙の両方を溜めながら、ゆっくりと前進していく。
もともと相撲部に所属していた巨漢の川崎の体は、すっかり痩せ細ってしまっていたように佐伯には見えた。
「そうだな……でも、あと少しだ……。あと少しでこの地下迷宮の最深部に辿り着く。もう少しだけ頑張ってくれ、川崎!」
佐伯も川崎と共にゆっくりと迷宮の中を前進しながら、ふと考えてしまう。
今頃、クラスのみんなはどうしているのだろうか……と。
自分達も、もっと早くにカルツェン王国を離脱して、副委員長達のいる所に向かうべきだった。今更ながらにそれを後悔してしまう2人だった。
そしてその事を、誰かに忠告されていたような気がするのに……。なぜか2人にはその人物の事が思い出せないでいた。
「あったぞ……! この扉の向こうだ……! この奥がこの地下迷宮の最深部だぞ……!」
佐伯は最後の力を振り絞り。背後からついてくるグスタフ王と、その配下の騎士達に向かって報告した。
「おおーーーっ!! とうとう着いたのか! でかしたぞ、異世界の勇者達よ! これで我がカルツェン王国は救われる! この奥に眠る伝説の『魔王遺物』を用いれば、憎っくきクルセイスの率いるグランデイル軍を全滅させる事が出来るのだ!! ハーーッハッハッ!! とうとうこのワシがこの世界を救う偉大な王としての役目を果たす事が出来ますぞ、枢機卿様!!」
グスタフ王とその配下達は、目の前に広がる巨大な鉄製の錆びた扉を強引にこじ開けていく。
扉が開いた先には、古代に封印された広大な地下空間が広がっていた。そこはまるで円形の闘技場のような場所になっていて、真ん中部分に黒い大理石の柱のようなものが1本だけ立っている。
「あ、アレが……古代に封印された聖なる兵器、侵略者であるグランデイル軍を全滅させる事の出来る最強の『魔王遺物』なのか!」
闘技場の中心部にそびえ立つ黒い柱の前に、目をキラキラと輝かせたグスタフ王は急いで駆けつける。
そして、その黒い柱の中にあったものを見て………。
目を何度も瞬きさせながら、愕然として。そして深く失望した。
「な、なんなのだ……コレは!? これが本当に聖なる『魔王遺物』だというのか……?」
アノンの地下迷宮の最深部。
闘技場のような円形空間の、真ん中に立っていた黒い柱の中には……。
綺麗な赤い髪を持つ1人の少女が、柱の中に埋め込まれていた。その少女の胸には、青い短剣が突き刺さっている。
柱の少女は、まるで花嫁姿のような綺麗なドレスを着ている。
ただその花嫁ドレスは、真っ黒な色に染まっていた。
遠目に見ても、その黒い花嫁衣装を着た少女が……美少女である事は分かる。
だが……違う。求めていたのは、それではないのだ。
グスタフ王が期待をしていたのは、グランデイル軍を殲滅出来る究極の『兵器』だった。迷宮の奥に眠っている絶世の美少女だとか、おとぎ話に登場するお姫様なんかには全く興味が無い。
この迷宮の奥には、グランデイル軍を撃退する事の出来る、聖なる兵器が封印をされているという話ではなかったのか?
「こ、これは、一体どういう事なのですか……枢機卿様!?」
グスタフ王はすがるようにして、ここにはいない女神教の最高指導者である、枢機卿の名前を叫ぶ。
だが……当然、枢機卿からの返事は返ってはこない。
広い闘技場の中に、グスタフ王の悲痛な叫びがむなしく木霊するのみである。
「……グスタフ王、この石碑の表面に何か文字が書いてありますぞ!」
黒い柱の前に、文字の刻まれている石碑を発見した騎士がそう叫んだ。
慌ててその石碑のもとに駆け寄ったグスタフ王と、その配下の騎士達は、食い入るようにして石碑の文字を読み漁ろうとする。
――そこには、こう書かれていた。
『邪悪なるコンビニの魔王に仕えていた守護者の1人、無敵の防御力を誇る花嫁騎士をこの地に封印します。彼女は決して倒す事の出来ない無敵の戦士であり、その眠りが解かれればこの世界に大きな災いをもたらすでしょう。黒き少女の魂を『地図探索』の能力を持つ、異世界の勇者が作りしこの地下迷宮の奥に捧げます。親愛なる佐伯くんに敬意を込めて。 ――玉木紗希』