第百六十九話 砂漠の魔物軍団 VS コンビニ軍団
大地を激しく揺らす、大きな地震の後で。
地面の下から突然、飛び出て来た巨大な黒ヘビに。モンスーンはその体ごと一口で丸飲みにされてしまう。
そう……元、天気の勇者であるモンスーンは、この俺に勝つ事は決して出来ないはずなんだ。それは、なぜならば――。
「――俺はこの世界全てを過去に支配した、古代の魔王『コンビニの大魔王』と、同じ能力を持つ異世界の勇者なんだぜ? 魔王領の中で女神教の魔女達に怯えて、他の野良魔王と同盟を組んでこっそりと隠れ住んでいるような格下の臆病者に、この俺が負ける訳ないだろうがッ! 分かったか、モンスーンーーッ!!」
大昔にこの世界全てを支配したといわれる、伝説の大魔王。
過去にこの世界に異世界の勇者として召喚され。あの女神教をも圧倒し、世界中から大魔王として恐れられたという伝説的な存在だ。
その大魔王が持っていたという能力、それは『コンビニ』だった事はもう間違いない。
この状況下でなら、さすがに俺だって認めざる得ないさ。
だって、今回レベルアップした俺に追加された新能力を見ただろう?
あの古代の地竜『カディス』が、コンビニを守る守護獣として俺のコンビニ設備のラインナップの中に、しれっと加わってたんだぜ?
おまけに魔王の谷で黒い墓所を守っていた、あの『黒ヘビ』まで新しいコンビニの守護獣として追加されていた。
今回加わったカディスや黒ヘビも。コンビニ本店に加わったという表記があったので、どうやらコンビニ共和国内のコンビニ本店でしか、呼び出せない仕組みになっているらしい。
だけど、黒ヘビについては……。
地中を恐ろしい速さで高速移動出来る事を、俺は魔王の谷の底で身をもって体験していた。だからその特性については、よーく知っている。
黒ヘビはさらに、次元や異空間を飛び越えて。別次元へと空間移動をする事も出来る。
だから、足の遅いカディスとは違って。黒ヘビだけでもこの場に何とか呼び出せないものかと――俺は、実は緑の神官ソシエラと戦っていた時から、心の中で黒ヘビに俺の元に来るようにと強く念じ続けていた。
黒ヘビに関しては、どうやらスマートウォッチで操作をするとか、そういった機械的な指示を与える必要はないらしい。
ただ――主人である、コンビニ店長の呼びかけを感知して。
遠いコンビニ共和国から、ひたすら地中を真っ直ぐに突き進み。この魔王領にまで、全速力で向かって来てくれたみたいだ。
そして、ついさっき。俺は黒ヘビがこの場に到着してくれたのが分かったので、切り札として黒ヘビを地中の中にこっそり待機させていた。
そして、モンスーンの体を一口で丸飲みさせる機会をずっと伺っていたという訳だ。
まさに、俺の『黒ヘビ危機一髪』作戦は大成功と言ってもいいな。
それにしてもまさか、あの魔王の谷の底で。俺とティーナを危機に陥れた『黒ヘビ』を、自由に操る事が出来るようになるなんてな……。
まだ外に出してないから分からないけれど。今回新たにコンビニに加わった新施設。『コンビニコンサートホール』は、きっと魔王の谷の底にあった、あの黒い墓所なんだと思うぜ。
……という事は、やっぱりあそこを守っていた機械兵達は、コンビニガード達だったのか。
ただ、過去の伝説の大魔王の能力が、本当に『コンビニ』だったとして。
俺には、まだ分からない疑問が1つだけある。
それは、過去にこの世界全てを支配したという大魔王は、本当に『俺』だったのか? という点についてだ。
全く同じ能力を持った別の勇者が、この世界の過去に召喚をされた可能性だってあるかもしれない。
それに関してはデータが全く無いから、検証しようがない。召喚された異世界の勇者に、能力被りがいなかったのかどうかなんて、俺には確かめる術がないからな。
だけど、困った事に。この世界には『枢機卿』という、もう1人の『玉木』が存在している。
その事はまだ、決して確定項ではない。
あの黒いモザイクの女が、たまたま俺の事を見て『彼方くん』と呼んだだけなのかもしれない。
でも、あの女神教のリーダー格である枢機卿がもし……。この世界の過去に召喚をされてきた――『玉木紗希』なのだとしたら……。
やはり、過去に召喚されたコンビニの魔王というのは……『秋ノ瀬彼方』だった――という事になるんじゃないだろうか?
俺達、元2年3組のメンバーは、この世界の過去に一度、全員……召喚された事があったのか?
でも、それならば――なぜ、同じ事がもう一度この世界で起きたのだろう?
それとも、コンビニで発注出来る雑誌や、ホテルの中で見たテレビ番組のように。微妙に少しだけ異なった並行世界のような場所から、俺や玉木と名前は一緒だけれど……。
似たような能力を持った存在である、『ほぼ同一人物』が、この世界にたまたま召喚をされてきたという事なのだろうか?
仮にそうだとしても。なぜそんな天文学的な確率でしか起こり得ないような奇跡が今回起きてしまったのか。
なぜ、『秋ノ瀬彼方』という人物が2回も、この世界に召喚をされてしまったのかが……全くの謎だ。
もしかしたら、そこには何かしらの人為的な操作みたいものが影で渦巻いていたりするのだろうか――?
それに、その推測を否定する要素もまだある。
魔王の谷の底で、墓所を守っていた黒い騎士は恐らく……。コンビニの魔王を守っていたコンビニの守護騎士、『アイリーン』だったのだろう。
でも、あの魔王の谷を守っていたアイリーンと思われる騎士は……『俺』の事に全く気付いていないみたいだったぞ?
それどころか、自分と同じ姿をしている青い鎧を着たアイリーンがもう1人存在していたのに……なぜ、何も気付かなかったのだろうか?
うちのアイリーンは青い髪をしているが。魔王の谷の墓所を守っていた黒い騎士は、赤い髪をしていたような気がする。顔に仮面を被っていたので、その素顔を見る事は出来なかったけれど……。
本当にあの黒い騎士は、俺達の知っているアイリーンと同じ存在だったのだろうか?
もし違うのなら。過去にこの世界に呼び出されたコンビニの魔王は……やっぱり、秋ノ瀬彼方ではなかったという事なのか?
そうすると、今度は枢機卿の存在がよく分からなくなってくる。
俺の事を『彼方くん』と呼んできた、女神教のリーダー格であり、玉木と同じ声で話しかけてくる黒い髪の女性。
クソッ……、全く訳が分からないぞッ!
何かを少しだけ分かったような気がしても。やっぱりこの世界には、俺の知らない秘密がまだまだ多過ぎる。
でも、大昔の伝説の大魔王が持っていたという能力。それが『コンビニ』であった――という事だけは、もう間違いないはずなんだ。
そして、その力を操れる『コンビニの勇者』である俺なら……。砂漠の魔王であるモンスーンにも負けたりはしないだろう。最低でも互角以上の戦いは出来るはずだと、ここは信じたい所だ。
地中からから飛び出してきた黒ヘビが、モンスーンの体を一気に丸飲みにした後――。
その巨体を大地の上で、ウナギのようにバタバタとくねらせながら暴れさせていた。
すると、今度は黒ヘビの大きな口の内側から。突然、黄金色の眩しい光が溢れ出してくる――。
「うぉぉらああああぁぁぁぁあああーーーっ!!!」
右手を高らかに、天に向けて振り上げて。
上半身が裸で、筋肉隆々な肉体美をしているモンスーンが……。巨大な黒ヘビの口を、横から突き破るかのようにして中から飛び出てきた。
クソッ、やっぱりか! さすがに黒ヘビに食べられて、すぐに死ぬような可愛いらしい奴じゃないよな、アイツは……!
それに元々、自身の体を守る強力なシールドを持っているような奴だからな。これぐらいでアッサリと息絶える事は無いのだろう。
「こおおぉの野郎ぉぉぉおっ!! 許さんぞっ! 絶対にぶちのめしてやるぜえええええぇぇぇーーーっ!!」
モンスーンはそのまま拳を大きく振り上げて。
地面の上を這っている黒ヘビを、一気に始末しようとする。
なので俺は、慌てて黒ヘビに向けて呼びかける。
「黒ヘビよーーーッ!! いったん地中に隠れろッ! そして異空間に逃げ込み、その姿を隠せッ!!」
”――ドゴッ!!”
”――バギッ!!”
”――ズゴゴッ!!”
モンスーンが地面の中に慌てて潜り込んだ黒ヘビを始末しようと。幻想の森の大地に向けて、強力な拳による打撃を何発も連続で繰り出していく。
おかげで幻想の森の大地には、無数の大穴が大量に量産されていく。
……バーカッ!!
そんなもぐら叩きみたいに、地面に大穴を何度も掘った所で、うちの黒ヘビを仕留める事は出来ないぜ!
なにせうちの黒ヘビは、異空間を飛び越えて移動する事も出来るんだからな。貴重な俺の戦力を、そんなに簡単にお前なんかに殺らせてたまるかよ!
しばらくして、大地に大穴を開け続ける生産性皆無なゲームにも飽きたのか。
モンスーンが呼吸を乱しながら、やっと俺の方にゆっくりと向き直る。
その顔には、無数の血管が浮き出ていて。今までに見た事のないような、怒りの表情が浮かんでいた。
「おいっ!! てめええぇぇぇ!! さっき聞き捨てならねえ事を俺に言わなかったか!? まさか、俺様がお前に『絶対に勝てない』だなんて……くだらない妄言を吐いたりはしなかっただろうなあああぁぁ!?」
「妄言じゃない。全て事実だぞ、モンスーン。ついでにその『理由』もちゃんとお前に話してやったんだが……。黒ヘビに丸飲みにされて、口の中で唾液まみれになっていたお前には、その部分は聞き取れなかったのかもしれないな。もしそうなら、もう一度俺がお前に丁寧に教えてやってもいんだぜ?」
「いらねええぇぇよぉぉおおおお!! このクソ雑魚がぁぁああっ!!」
モンスーンが凄い速さで、俺の目の前にまで迫ってくる。
そのまま勢いを付けて、全力の右ストレートを俺にかましてきたが――俺はその一撃を硬化させたロングコートで華麗にさばき、横に受け流した。
剛腕から繰り出されたパンチの勢いで、後方に10メートルくらいは弾き飛ばされたけどな。
だが、これくらいならもう……どうって事はない。
俺が平気な顔をして自身の攻撃を防いだのが、より気に食わなかったんだろうな。
モンスーンの奴……更に、顔を牛みたい硬直させて、鼻息を荒げてやがる。
「てめええぇぇ! さっき伝説の大魔王と『同じ能力』を持っているとか抜かしやがったなあぁぁぁ!! それは、本当なのかよぉぉおおお!?」
脳筋パワー男のモンスーンに、指差しされながら尋ねられた俺は。平然とした顔で質問に答えてやった。
「ああ……それは本当だぜ? 俺自身、あまり認めたくはなかったんだけどな。さっき地面から出てきて、お前をパクリと飲み込んだのは大昔のコンビニの大魔王が、自身の墓を守られせていた古代の守護獣なのさ。それを俺は自由に操る事が出来る。他にも数々の証拠はあるんだが……。これから俺に倒されてしまうお前には、もう関係ない事だよな。自分のこれまでの行いを悔いて、泣いて俺に謝罪するのなら今のうちだぞ?」
俺は真顔でモンスーンに指摘してやったのに。
モンスーンは両手で腹を押さえながら、大笑いを始めやがった。
「はーーはっはっはっはぁぁあああ!! バーカ!! だーれがお前みたいに、ひ弱なアリ野郎に頭なんて下げるかよおおおぉぉぉ!!」
どうでも良いけど、コイツは本当に声の大きな奴だな……。 それでいてミュージカル俳優のように声が遠くまでよく通るし。声もまあまあの美声だから、少しだけムカつくんだよな。
「お前が本当に伝説の大魔王と同じ能力を持つ勇者だというのなら、俺にとっては好都合じゃないかよおおおおおぉぉぉっ!! つまりはお前を倒せば、俺は――あの伝説の大魔王をも超える能力の持ち主だと証明されるって訳じゃねえかあああぉぁっ!! なおさら、楽しくなってきやがったぜええええぇぇっ!!」
モンスーンが両手を左右に大きく広げて。
それぞれの手のひらの中に、黄金色の光を凝縮させ始めた。
………!?
マズイ、またあの小太陽を大爆発させる大技を出すつもりなのか?
クソッ……!! そうはさせるかよッ!
「――コンビニ支店3号店、4号店! 5連装式ガトリングショック砲――砲撃開始ッ!」
モンスーンの立つ場所に向けて。左右それぞれ異なる方向から、コンビニの屋上にあるガトリング射撃が、モンスーンに向けて一斉放出される。
”ズドドドドドドドドドドドドドドド――!!”
”ズドドドドドドドドドドドドドドド――!!”
「ちいいぃぃぃいいっ!! ああっ、めんどくせえなああぁぁーーっ!!」
既に構えていた『灼熱太陽爆発』の体勢を崩して。
モンスーンは慌てて両手を体に押し当てて。全身を包みこむ金色の球体シールドを展開すると、ガトリング砲の激しいショック弾の雨をバリアーで防いだ。
だが……コンビニの勇者の攻撃はもちろん、それだけでは終わらない。
なにせ俺のコンビニ店長服の自動防御機能は全て、本日分はもう完全に使い切ってしまったからな。
モンスーンの強力な破壊力をもつ攻撃を食らったら、一発で俺は終わってしまう。
だから、そうはさせない為にも。俺に出来る事は――1つしかないない。
それは……。
「いくぞおおおおーーッ!! 無限にコンビニの攻撃を畳み掛けてやるぜーーッ!! コンビニの勇者の『無限の能力』をなめんなよおおおぉぉーーーッ!!」
黒ヘビがモンスーンの体を丸飲みにしてくれていた間に。
既に2つのコンビニ支店からは、合計300体を超えるコンビニガード達がボウガンを持って外に出撃済みだ。コンビニから外に飛び出た機械兵達は、この幻想の森の中の木々に隠れるようにして分散配置させている。
そして、上空にはコンビニの屋上から離陸をした――150機を超える攻撃ドローン部隊が、空の上に等間隔に隊列を整えながら待機していた。
コンビニ支店の屋上には、強力な火力を誇る2門の5連装ガトリングショック砲が、2店舗分で合計4門。
幻想の森の大地に立つ砂漠の魔王に向けて。凄まじい火力で集中砲火を繰り返し。
赤い閃光弾を、無限に魔王の体に向けて砲撃し続けていく。
これにはたまらず……モンスーンも。
自身を守るシールドを展開しつつ。後方に大ジャンプを繰り返しながら、いったん俺から距離を取ろうとした。
逃走をする砂漠の魔王の体に目掛けて。
今度は上空のドローン部隊が、一斉に小型ミサイルを発射させる。
”ドシューーーーーーーーッ!!”
無数の白い白煙の糸を引きながら。合計で50発を超えるミサイル群が、モンスーン目掛けて一斉に発射された。
そして、森の木陰に潜んだコンビニガード達も。
逃走するモンスーンの体に向けて、無数のボウガンの矢を次々と連続で射出させていく。
既にこの森の中には、無数のコンビニ軍団が潜んでいるからな。
砂漠の魔王を休ませるような時間は絶対に与えないぜ!
ひたすらに攻撃を繰り返して、モンスーンが防戦一方になるように畳み掛けてやる!
「こ、この野郎おおおぉぉぉおお!! ちょこまかちょこまかと、小賢しいぞおおおぉぉぉぉーーーっ!!!」
モンスーンがいったんその場に立ち止まり。右手を勢いよく天に向かって突き上げた。
「『暴風嵐乱陣』ーーーッ!! この世全ての理を無視して乱れ吹き荒れろ! そして鬱陶しい小蝿共を全て吹き飛ばせぇぇええ!! 破壊と創生の嵐よおおおぉぉ!!!」
モンスーンの全身から黒い暴風雨が吹き荒れる。
凄まじい勢いを持った黒い嵐によって、モンスーンの上空に浮かんでいたドローン部隊――数十機と。
近くの木陰に潜んでいたコンビニガード達が、一斉に吹き飛ばされた。
黒い嵐に巻き込まれたコンビニ兵団は、次々と激しい暴風雨の圧力によって、爆破されていく。
やがて、森の中には数十を超える爆発音が連続で鳴り響き。
黒い嵐がやっと収まった頃には……。
魔王モンスーンの体には、無数のボウガンの矢が突き刺さっている姿が確認出来た。
24時間、自動展開するシールドではなく。手動で張らなくてはならないバリアーである以上――モンスーンに攻撃のタイミングを与えないくらいに、こちらから攻撃を畳み掛け続けていけば……。
なんとか、奴にダメージを与えられると思った俺の作戦はどうやら成功したようだな。
ついでに攻撃だけじゃなくて。奴にはあの『回復効果のある雨』を降らせる時間だって与えてやらないぜ。
このまま一気に仕留めて。
砂漠の魔王を完全にこの世から葬ってやる。
先ほどまで、やかましいくらいに怒鳴り声をあげていたモンスーンが……。
今は、不思議なくらいに静かに沈黙していた。
どうしたんだ、あの野郎……? 脳筋パワータイプのくせに、急にしおらしくなりやがって。見ているこっちが、何だか少し不安になるじゃないかよ。
モンスーンは自身の体に刺さっている、無数のボウガンの矢を抜こうともせずに。
そのまま静かに目を閉じて。
天に向かって両手を広げながら、大きな声で叫び声を上げた。
「『無限乾燥砂漠領域』ーーー!! この世全ての理を超越して、無限に広がり続けるが良い!! 無限砂漠よおおおぉぉぉっ!!」
大きな轟音と地響きが鳴り響き。
砂漠の魔王、モンスーンの立つ背後に……黄色い巨大な『砂漠地帯』が突如広がり始める。
それまで幻想の森の茶色い地面に覆われていた土地が。今度は、あっという間に広大な砂漠地帯へと変貌を遂げていく。
「なっ………!? 何なんだよ、これは………!?」
モンスーンの背後には、半径500メートル範囲の広大な砂漠のサークルが生み出された。
そして、その黄色い砂漠の大地からは……。
次々と巨大な黄色いサソリの大群が、砂の中から這い出るようにして生み出されていく。
俺にとってはもう、よく見慣れてしまったサソリの大群だけど。既に1000体を超える黄色いサソリの大群がモンスーンの背後に出現しているのは間違いなかった。しかもその数は、現在進行形で増殖し続けていやがる。
「……おいおい、男なら1対1で勝負をするのが、筋だったんじゃなかったのかよ? お前の後ろでガサガサとひしめいているその黄色いサソリの群れは、まさか援軍のうちには入らないって言うんじゃないだろうな?」
「うるせえええぇぇぇっ!!! そういうてめえこそ、さっきからこっそりと機械の兵隊やら、空を飛ぶ気色の悪い小さな機械を、無限に増やし続けているじゃねえかよおおぉぉ!! 自分の事は棚に上げて、対等な立場にしたら文句を言ってくるなんて、本当にふざけた野郎だぜえええぇぇっ!!」
あ……バレてたのか……!
俺はこうして、モンスーンと会話をしているこの瞬間も。
コンビニ支店3号店と4号店から、出せる限りの兵力を次々と出撃をさせて。コンビニ軍団の戦力増強を行い続けていた。
「……まあ、いいッ! 今からは俺様も手加減をせずに、本気でお前と戦う事に決めたんだ! こっちも持てる戦力は全て使わせてもらうからなああぁぁぁ! お前の『無限』と、俺の『無限』。どちらが先に尽きるのか、これからたっぷりと試させて貰う事にするぞおおおぉぉぉっ!!」
砂漠の魔王の背後から、1000体を超える黄色いサソリの大群が、一斉に俺に目掛けて前進を開始する。
対する俺も、すかさず上空に待機をさせているドローン部隊に爆撃開始の指示をする。
既に背後の森に待機させているコンビニガード軍団の総数は、500体は超えている。
モンスーンのサソリ軍団がここに押し寄せてくる前に、ドローンとコンビニガード達の兵力で敵を圧倒してみせるさ!
「――よーし、やってやろうじゃないか!! 無敵の力を持つ俺のコンビニ軍団を舐めんなよ!! ひ弱な砂漠のサソリの群れなんて、一瞬にして蹴散らしてやるから覚悟しろよ、モンスーーーン!!」