第百六十八話 兆し
眩しい黄金色の閃光が炸裂する。
俺の前に出現した金色の大きな球体は――砂漠の魔王モンスーンの叫び声と共に。一気に巨大な『大爆発』を大地に引き起こした。
”ドゴーーーーーーーーン!!”
耳の鼓膜を突き破る勢いで鳴り響く、巨大な轟音。
周囲にある全てのものを、一瞬にして焼き尽くす。灼熱の閃光が俺の体を包み込む。
コンビニ店長専用のロングコートが俺の体を守る為に。大きなマントのように左右に広がり、防御壁を形成した。
……だが、それでもコートの先の部分から、じわじわと生地が高熱によって溶かされていくのが分かる。
灼熱の小太陽が大爆発を起こした、その圧倒的な熱量に……。黒いロングコートの防衛能力は、耐える事が出来ない。
俺の体は、そのまま金色の熱源によって焼き尽くされ。
体も、意識も……その全てが、太陽が爆発をした高熱によって、ゆっくりと溶かされていく感覚を感じる。
俺の血管。脳細胞。体の細胞組織――。
全てが溶かされていき。人が人として存在する為に必要な構成物の全てと、その思考力さえも……徐々に失われていく。
もはや意識さえも……完全に停止をして。
全てが眩いばかりに煌めく、太陽の高熱によって溶かされて。溶け合い、混ざり合っていく。
消えゆく俺の意識は――ただぼんやりと、『ある事』だけを真剣に思い出そうとしていた……。
それは――。
(……コンビニ店長専用服の緊急防御機能は、あと何回作動出来るんだっけ……?)
自身の前に、巨大な小太陽を作り出し。
それを丸ごと一気に大爆発させるという、とんでもない規模の大技を放ったモンスーン。
コンビニの勇者が高熱によって溶かされ、消失した事を確認すると。右手を高らかに頭上に振り上げて、ニヤリと勝利の笑みを浮かべた。
「はっはっはあああああぁぁぁぁーーーーっ!! 俺様の『灼熱太陽爆発』を食らって蒸発をしなかった奴は、今までに1人もいないんだぜえええぇぇぇーーっ!! あの不気味なモザイク女の枢機卿でさえ、俺との直接対決は避けて、距離を置くくらいだからなあああぁぁぁ!! 異世界に来たばかりの新参ひよっこ勇者なんて、ひとたまりもないだろうよおおおぉぉぉ!!」
俺は最高に上機嫌なドヤ顔を決めてるマッチョ男に、背後から涼しい声でツッコミを入れてやる事にする。
「……まあ、普通だったらそうなんだろうな。あんなに凄いぶっ飛んだ攻撃をまともに食らって生きていられるのは、不死の能力を持つ、妖怪倉持か。あとはチート防御性能を持っている、この俺くらいだろうからな!」
「なあにいいいぃぃ――!!!?」
天気の魔王であるモンスーンが、初めて大きな目を思いっきり見開いて。信じられないものを見たという、驚愕の表情を浮かべて俺のいる方向に向き直った。
よし、今が唯一のチャンスだぞ!
コイツに奇襲が出来るのは、おそらくこれが最初で最後のチャンスかもしれない。
コンビニ店長専用服の自動防御機能は、今のでもう……3回分全てを使い切ってしまった。
だから、ここで俺が新たに習得をした最新の攻撃を――全力で奴にぶち込むしかない。そして、死ぬ気で畳み掛けるんだッ!
例えそれが不意打ちだったとしても、今……ここで、砂漠の魔王を倒さないと――。
モンスーンに勝つチャンスは、もう2度と俺には巡ってこないかもしれないからな。
「うおおおおおおぉぉぉーーー!!! くたばれえええぇぇ!! 必殺、『青双龍波動砲』ーーーッ!!」
とりあえず俺の肩から発射される青いレーザーに、新しい中二病っぽい呼び名を付けてみたぜ。
……まあ、技の名前なんてものは何でも良いんだ。俺が自分で自分の技の名前が呼びやすければそれでいい!
一瞬だけ……。
俺が生きていた事に驚き、虚をつかれるモンスーン。
目の前に、一気に走り込んできた俺の攻撃への対処が出来ずに。自分の身を守るバリアーの展開に遅れてしまう。
そして、その油断した隙をついて。俺の肩から真っ直ぐに照射された2本の青いレーザーは、モンスーンの両手を一気に切断し、そのまま切り落とした。
「ぐぅおおおおおおおおぉぉぉーーーーッ!?!?」
「よしっ、そのままくたばりやがれーーーッ! モンスーンッ!!」
”――プスッ……”
俺は畳み掛けるようにして、セルリアン・ツインレーザーを連射させて。一気にモンスーンの首を落としてやろうと試みるが……。
残念ながら、青いレーザーは発射されなかった。
――チッ!
どうやら俺のツインレーザーには連射性能はないらしいな。一度発射したレーザーを、すぐに再放出する事が出来ないのかよ。
よーし、それならロングコートを黒マントを刃物のように鋭く硬化をさせて。
野郎の体を、長ネギみたいに。首から足まで、綺麗に輪切りにしてやるまでだ!!
コンビニ店長専用服の自動防衛機能によって守られた俺の体は……。先ほどの凄まじい爆発によって溶かされたであろう、コンビニ店長専用のロングコートや。肩の上に浮かぶ2機の守護衛星さえも、ちゃんと元通りに復元させてくれていた。
だから俺は、俺が今持っている最大火力の攻撃を全て、目の前のモンスーンに向けて繰り出す事が出来る。
空中で体をくるりと回転させて。飛び蹴りのような姿勢から、モンスーンの体に向けて勢いよく伸びていく黒いロングコート。
「ちいいいぃぃぃ!! あぁぁーーっ、めんどくせぇぇなああああぁぁぁぁ!!」
両手を失っているモンスーンの体の周りに、再び黄金色の球体シールドが展開される。
長さ5メートルにまで伸縮をした俺のロングコートが、鋭利な刃物となって砂漠の魔王の体に一斉に襲いかかる――。
だが、その全ての攻撃が……モンスーンの体を包む光のシールドによって弾かれてしまった。
クソッ……!! まだだ――!
ここでもっとコイツに、ダメージを与えておかないと。
もう俺には、後が無いからな――……って、うあああぁッ!?
モンスーンの体の周りから、突然――竜巻のような暴風雨が吹き荒れる。
『『暴風嵐乱陣』ーーッ!! この世全ての理を無視して、乱れ吹き荒れろ! 破壊と創生の嵐よおおおぉぉぉっ!!」
発生した黒い竜巻によって、俺はモンスーンの周囲に近づく事が出来なくなる。
むしろ、激しい暴風によってどんどん体は引き剥がされていく。これじゃあ、奴に接近するのはとても無理だ。このままだと、暴風で全身が吹き飛ばされてしまう……!
圧倒的な勢力を誇る巨大竜巻によって。俺の体は20メートルほど後方にまで、一気に吹き飛ばされてしまった。
空中で体を回転させて。なんとか大地に着地を決めた俺は……。竜巻の中心部で、再び青い光の雨を浴びているモンスーンの姿を見て、戦慄する。
「――『慈愛の回復雨』!」
セルリアン・ツインレーザーによって切断されたモンスーンの両手が……みるみるうちに復元してしまう。
これで奴が受けたダメージは、ゼロになってしまった訳か……。
もう、本日3回目のコンビニ店長専用服のチート防御機能を使い切ってしまったというのに。全く持ってこいつは、本当に絶望的に状況になっちまったな……。
俺の文字通り命をかけた奇襲による反撃は、全くの無駄になってしまったっていうのかよ……クソッ!
天から降り注ぐ、青い光のシャワーを浴びて。
復元した自身の手を見つめながら。まるでシャワールームで気持ちの良い朝シャンをした後のように、爽やかな笑顔でモンスーンが俺に笑いかけてくる。
そして青い光のシャワーが止むと。今度は……途端に、俺に向けてまた大声を上げながら、怒鳴り散らしてきやがった。
「おいいいいぃぃいい!! てめええええぇぇぇーーッ!! 何で俺の『灼熱太陽爆発』を食らって、ケロリと生きていやがるんだよッ!! てめえ、何かチート能力を使いやがったな! 異世界の勇者のくせに汚ねえぞ!! ふざけんなよ、てめええええぇぇーーッ!!」
存在自体がチートの塊である。異世界の勇者に対して、今更そんな事を言われても困る。
むしろお前の方が……チート能力を最大限にレベルアップさせて、更に上限突破のカンストまでして。この世界のチート中の最大チートの存在である、不老の『魔王』にまで上り詰めたクソ野郎じゃないかよ!
俺には次に打つ手がなかなか思い浮かばず、その場で必死に思考を巡らしていると――。
「店長ーーーッ!! ご無事ですかーーッ!!」
俺とモンスーンが対峙をしているこの場に。
青い長い髪をなびかせた、救いの女神が救援に駆けつけてくれた。
「アイリーン、良かった……! 無事だったんだな!」
「ハイ、先ほどの凄まじい地震の後……。念の為、いったんティーナ様や皆様を、コンビニ支店1号店の地下シェルターの中に避難をさせてから、ここにやって参りました。遅れてしまい大変申し訳ありません。そして、店長――。あそこに立っている金髪の男は、もしかして……?」
黄金剣を抜刀して戦闘態勢を整えるアイリーンに、俺はすぐに返事を返してやる。
「――ああ。アイツが『灼熱砂漠』の魔王、モンスーンだ! 他に奴に仕える2名の神官も他にいたんだが、そいつらは今はどこかに行ってしまったみたいだけどな」
「あの男が……、砂漠の魔王……」
アイリーンもこの世界で初めて見る『魔王』に驚きの表情を浮かべている。
剣を構えながらも、その姿をマジマジと見つめて観察しようとしていた。
まあ、見た目はたしかに普通の人間なんだけどな。
背中から黒い翼が生えているだとか、頭から2本の巻き角が生えているとかは……全然無いな。
どちらかと言うと、ハリウッド映画に出るてくる筋肉ムキムキでマッチョな俳優さんみたいな雰囲気を出していると思う。
それこそあのモンスーンに、黒いサングラスをかけさせて。『アイル・ビー・バック!』とか言わせたら、絶対に似合いそうなキャラだしな。
「おいおいおいぃぃぃーー!? 俺達の殺し合いに自分の守護者を参加せるつもりかよぉーー!? 男同士サシでやるのが良いって俺はさっき言ったよなあああぁぁ? 俺だって自分の所の守護者を2人とも、ここから遠ざけてるんだぜえええぇぇ? てめえだけ戦いに援軍を混ぜるのは、汚くねぇかああああああッ!?」
「何を言うか、この魔王め――!! 私はコンビニの勇者である店長をお守りする役目を持つ、コンビニの守護騎士なのだぞ!! 店長を守る為に戦うのは、私の存在理由そのものだ! ましてや相手が強敵の魔王ともなれば、私は絶対にここから退く訳にはいかないッ!!」
アイリーンが黄金剣をモンスーンに向けて。
高らかに宣言をした。
いや、マジでうちの姫騎士様は頼もしいよな……!
おまけに美人で、スタイルも良いし。俺なんかに仕えるのは勿体ないくらいの有能で忠実な騎士ではあるんだけど……。
俺は、目の前で俺を庇うようにして立っている青い姫騎士に、小声でそっと話しかけた。
「……アイリーン、すまない。いったん、コンビニ支店1号店に戻って、みんなを安全な場所にまで避難をさせてきてくれないか……?」
俺がまさかアイリーンを遠ざけるような事を指示してくるとは思わなかったのだろう。
アイリーンは心底、心外そうな顔をして目を見開く。
「なっ……!? て、店長……!? それは一体、どういう事ですか? 相手はあの魔王なのですよ? 私がここを離れてしまったら……店長はお1人で魔王と戦う事になるのですよ……!」
「――分かってる! 俺1人では到底アイツには勝てない事は知っているさ。それは、俺が1番よく分かっているんだ。だからこそなんだよ、アイリーン! コンビニ支店1号店に残るティーナ達を、この幻想の森から遥か遠くの安全な場所にまで誘導してきて欲しいんだ。そしてそれが終わったら、すぐにまたここに俺を助けに戻って来てくれ! それまでは全力で俺がアイツをここで食い止めるからさ」
「……店長……」
俺は動揺しているアイリーンに、細かい内容の指示を与える。
モンスーンは強すぎるから、俺1人では絶対に勝てない事。
そして、これから俺は……コンビニが持つ全ての能力を全解放して奴に挑むから。その大規模な戦いに巻き込まれないように。まだ森の中にいるティーナ達を、遠くにまで避難させて来て欲しい事。
……そうだな。出来るならコンビニの追跡装置を使って、マイラ村に残っている、雪咲が守っているコンビニ支店2号店の場所にまで移動させて。
そこで雪咲と合流するように、ティーナ達に伝えてくれると嬉しい。
「そしてそれが終わったら……すぐにまた、ここに戻って来てくれ! アイツは今までこの世界で俺が出会った敵の中でも、最強に強い。俺一人で勝つのは、かなり厳しいと思う。だから頼んだぞ、アイリーン! 本当はコンビニ支店1号店と電話やメールで連絡を取りたかったんたけど……。どうやら、この森の中の電波状況は最悪な状態になっているみたいだからな。みんなと連絡を取って、森から避難させる役をして欲しい!」
「分かりました。ですが、店長……。ティーナ様や皆様を安全な場所まで避難させる途中で。もし、店長の身に危険があると私が判断をしたら……。私はすぐにでもここに引き返して来ますからね。どうか、無理だけは絶対にしないで下さいね!」
「了解だ、俺に任せておけって! コンビニの勇者は基本安全なコンビニに隠れて、敵から逃げ回るのが常に基本スタイルだ。だから、いざとなったら飛行ドローンに飛び乗って、大急ぎで空を飛びながら逃げ出すつもりだから、安心してくれ!」
アイリーンは心配そうな顔を浮かべて、しばらくじっと俺の顔を見つめ続けた。
俺が大きくレベルアップして。今の俺なら1人でも簡単には負けない強さを持っている事をアイリーンは理解はしている。
たけど、きっと俺がもう……。コンビニ店長専用服の防御機能を全て使い切ってしまっている事にも気付いているんだろう。
アイリーンは俺が発する電波を、遠くに居ても感知出来る能力があるみたいだしな。
……だが、俺の直接の指示を守護者として背く事も出来ないのだろう。
コンビニの勇者に仕える守護者は、俺から発せられた指示を無視する事は出来ない仕組みになっているみたいだからな。
「――店長、どうかご武運を! 絶対に私は、ここにすぐに戻って参りますから。それまではどうか耐え抜いていて下さいね!」
アイリーンが大地を大きく蹴って。
大きく空を跳躍しながら、後方へと消えていく。
そんな俺達の様子を、遠くから黙って見ていたモンスーンが突然……大笑いを始めた。
「はっはっはああぁぁーーーー!! いいぞ、コンビニの勇者よ!! それでこそ異世界の勇者だぜえええぇぇぇ!! やっぱ男なら1対1で勝負をするべきだよなあああぁぁ!! 例えそれが、勝てないと分かっている相手を前にしたとしてもよおおおおぉぉぉ!!」
腕を組んで高らかに笑う筋肉男に。
俺も腕を組んで仁王立ちになり。大声で出して高らかにモンスーンに向けて笑い返してやった。
「ハッハッハーーー!! そうだよなぁーー? 不老の寿命を持って、長い年月を生きているくせに。この世界の事をな〜〜んにも知らない無知な砂漠の魔王には分からないよなーー? お前には、俺を絶対に倒す事が出来ないという明確な『理由』がなーー?」
余裕の表情で笑っていたモンスーンが、急に口を閉ざしてムスッとする。
そして、大きな青い目を細めて俺の事を睨みつけてきた。
ホントに分かりやすい奴だよな。プライドを傷付けられてご機嫌が斜めになったって顔がバレバレだぜ。
「お前………今、俺に何て言いやがったんだ? まさか、俺様がお前には勝てないなんて、つまらない戯言をほざいたんじゃないよなあああぁぁぁあ!?」
「……頭の悪いお前には、まだ分からないだろうけどな? 俺にはお前が俺に絶対に勝てない理由を、明確に説明する事が出来るんだよ。どうだ、それを知りたいか? 砂漠の魔王が、この俺には決して勝てないという『絶対の理由』をなぁ? 今からそれを、俺が直接お前の体に教え込んでやるぜぇぇえ!!」
「て、てめええええええええぇぇぇぇーーーーッ!! ふざけやがって、死にやがれええええええええッ!!!」
怒りで我を忘れたモンスーンが、全速力で猛牛のように猪突猛進をしてくる。
俺は、すかさず手に隠していた2つのカプセルを。
左右それぞれ30メートルほどの位置に向けて同時に放り投げた。
「――――なっ!?」
驚いたモンスーンに向かって、俺は大きな声で叫び声を上げる。
「出でよーーーッ!! コンビニ支店3号店、4号店よーーーッ!!!」
直線上で向かい合う俺とモンスーンを挟むようにして。
左右それぞれ30メートルほど離れた位置に、同時に巨大なコンビニが出現をする。
そしてコンビニの屋上に備えられた、5連装式自動ガトリングショック砲がその照準を、砂漠の魔王――モンスーンの体に向けて固定する。
突然の状況の変化が分からずに……。モンスーンがいったん俺への突進を停止して。
その場で立ち止まり、周囲を警戒して様子を伺い始めた。
森に出現した2つのコンビニからは、次々と攻撃ドローン部隊が屋上から空へと離陸を始め。
その入り口からは、ボウガンを持った機械兵であるコンビニガード達が、一斉に店の外へと出撃を開始していく。
そして、その直後に……。
モンスーンの立っている周りの大地が、大きな振動を開始して激しく揺れ始めた。
突然発生した大地震に、モンスーンは訳が分からずにキョロキョロと顔を左右に振って驚いている。
――さあ、今から見せてやるぜ!
コンビニの勇者が持つ――その究極の能力の『真髄』って奴をなぁぁぁッ!!
”ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――”
大きな振動は、森の大地を揺らし続け。
震度4くらいはありそうな、激しく揺れる大地の下から――。
大きな『黒い獣』を、突如としてこの場に出現させた。
「出でよーーーッ!! コンビニの勇者を守る守護獣、『黒ヘビ』よーーーッ!! 己の強さを高めるだけの歪んだ欲求に堕ちた、元『天気の勇者』を――。その大きな口で丸飲みにしてしまうがいい――ッ!」
大地を引き裂くようにして森に出現したのは、全身が黒い色に染まった――巨大な黒ヘビだ。
その全長は15メートルは軽く超えている。
コンビニの能力を持つ者だけが呼び出せる、知性を持った太古の巨大生物。
突然、地中から大口を開けて這い出て来た黒ヘビに。
そのままなす術もなく、丸飲みにされてしまったモンスーンが……絶叫をする。
「うおおおおおおおおおぉぉぉぉーーー!?!?」
俺は、次々と森に展開していく無限のコンビニ軍団を操りながら。
元、天気の勇者でもある砂漠の魔王に――俺には『絶対に勝てない』というその理由を、改めて説明してやる事にした。
「よく聞けよ、モンスーン! お前が憧れを抱いているという、大昔にこの世界全てを支配したという大魔王――。その最強の大魔王が持っていた能力は、俺と同じ『コンビニ』だったんだぜ? お前のショボい天気の能力なんかで、この世界の全てを統べる事の出来る俺の最強能力……『コンビニ』に勝てると思うなよッ!!」