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第百四十六話 砂漠の聖なる神官


「勇者様、さあ、こちらにいらして下さい!」



 魔王領の中で出会った少女。ターニャに手を引かれて、俺は再び灼熱砂漠の上を歩き出す。


「えっと……ターニャ。すまない。君にちょっとだけ聞きたい事があるんだけど、良いかな?」



 俺の手をグイグイと引いていくターニャに、俺は慌てて声をかけた。


 ターニャの住んでいるマイラ村に行く前に。俺には、色々と聞きたい事もあったからな。


「はい、勇者様……何でしょう? 私に答えられる事でしたら何でもお答えを致します!」


 ターニャは、俺の手を引く速度を少しだけ緩めてくれた。


 2人でゆっくりとマイラ村に向かって歩きながら、俺はこの魔王領について、そして広大な砂漠について。

 聞きたかった事を、色々とターニャに尋ねてみる事にする。


「ありがとう。まずはなんだが……ターニャは俺が『異世界から来た勇者』だと聞いて、とても喜んでいたみたいだけれど……。やっぱりターニャの生まれたマイラ村にも、女神教の信仰があったりするのかな?」


 異世界の勇者が魔王を倒して、世界を平和に導いてくれるというのは、女神教の信仰によって広められた教義のはずだ。


 異世界の勇者がいずれ魔王になるという、都合の悪い部分はカットされたお飾りの教義ではあるが。その考え方がターニャの住むマイラ村にも浸透をしているというのなら……。


 そこにも、女神教の影響力が伸びている可能性は十分にあるだろう。


「――女神教? 初めて聞いた言葉です。少なくても私が生まれ育ったマイラ村では、そのような言葉は一度も聞いた事がありません」


「女神教が存在しない? ――ええっと、俺の知っているこの世界で暮らす街の人々は、たしか『アスティア』っていう女神様を信仰している人が多かったみたいなんだけど。ターニャの村では女神アスティアの存在は、誰にも知られていないという事なのかな?」



 綺麗な黒髪をした少女ターニャは、困ったように首を横に(かし)げると……。


「すいません……。その『アスティア』という名前の方の事は、私にはよく分かりません。私は生まれた時からこの広大な砂漠の中でずっと生きてきましたので、砂漠の外にある街の事はよくは分からないのです。ですが、私が暮らす砂漠の村々では、そのようなお名前の方は一度も聞いた事がありませんでした」


「そうか。女神アスティアの存在は、ここでは信仰の対象として崇められている訳ではないという訳なのか。でも、じゃあどうして異世界の勇者の事は知っていたんだ? ターニャの暮らしていたマイラ村では、異世界の勇者は一体どういう存在として知れ渡っているんだ?」


 俺が疑問に思った事をそのままターニャに聞いてみると、


「――ハイ。異世界の勇者様の名は、私の父や母や祖母。そして親戚の皆様や、村の年寄りの方々にまでよく知れ渡っています。砂漠に住み、砂漠の神様の僅かな恵みだけを頼りに生きている私達の過酷な境遇を(あわ)れみ。いつかこの土地から救い出して下さると語り継がれている、伝説の救世主様です。私たちはいつか現れるであろう、異世界の勇者様の伝説を心の希望にして、この過酷な地で生き続けてきたのです」



 ターニャが俺を見つめる眼差しには、尊敬や期待の色が深く込められている。


 その度合いは、俺が初めてティーナと森で出会った時よりも遥かに強いものだ。



 異世界の勇者が、砂漠の民を過酷な境遇から救い出してくれる……か。


 この土地では、異世界の勇者の存在について。魔王領の東側に住む人間領の世界とは少し違った解釈になっているんだな。


 異世界の勇者は魔王を倒し、魔物の脅威から世界を守ってくれる存在ではなく。過酷な砂漠の中で暮らす人々を、いつか助け出してくれる救世主として、語り継がれているようだ。



 この辺りの微妙な解釈の差は、一体何なんだろうな?


 ターニャの暮らすマイラ村の人々は、女神教の存在を全く知らないという事だし。だとしたら、誰が異世界の勇者の伝説を伝えたのだろう?


「……ターニャは自分の事を、神様に捧げる『聖なる供物(くもつ)』って呼んでいたけど。それは一体、どういう意味なんだ?」


 俺は一番聞きたかった質問を、改めてターニャに聞いてみる。


 ――聖なる供物(くもつ)。よく分からない表現になっているけど。要するに生贄(いけにえ)の事だよな?


 あんな砂漠のど真ん中の遺跡の上で。子供も含めて男女10人ほどが目隠しをされて。

 砂漠の中から湧き出て来た、高さ10メートルほどもある3つ目の巨人達に食わせるだなんて……。悪趣味にも程があるぞ。


 まあ、俺達の元いた世界だって……大昔には太陽の祭壇の上で、生贄の心臓をナイフで抉り出したりするような残酷な儀式が行われていたみたいだしな。


 ここが中世色の強い異世界である事。まして、この世界の中でもほとんど孤立をしていて、外界と全く交流の無い魔王領の中である事を考えれば……。


 そんな野蛮な生贄の儀式なんかが、まだ平気な顔で行われていたとしても、おかしくはないのかもしれないけどな。


「私達、砂漠に住まう合計10の村々の民は……。水も食料も何も無いこの砂漠の土地で。砂漠の神――モンスーン様が与えて下さる僅かな恵みだけを頼りに生きているんです。砂漠に唯一、雨を降らせて下さるモンスーン様のお怒りに触れれば、私たち砂漠の民はもう、生きてはいけません。私たちは常に神様の従順な(しもべ)でなければいけないのです。……ですので、それがどんなに理不尽で。かつ残酷な命令であったとしても。私たちは生きる為に神様の指示に従うしかないのです」



 ターニャは目に涙を浮かべながら。この砂漠に住まう人々の過酷な境遇を俺に話してくれた。



 ターニャの話によると、砂漠には合計で約10個の村々が存在をしているらしい。


 そして、そこに住まう人々は定期的に訪れる砂漠の神様、モンスーンの配下である『神官』達の命令を絶対に守るという厳しい戒律が課されているという。


 砂漠に(めぐみ)の雨を降らしてくれるのは、唯一神『モンスーン』のみであり。

 神とその配下である神官達に歯向かう事は、自分達の死を意味する事に繋がってしまう。


 神官達は、毎年10の村々からそれぞれ『聖なる供物(くもつ)』……という名目で、生贄を差し出す事を要求してくる。

 そしてその哀れな生贄達を、砂漠に住む巨大な魔物達の餌として食わせる事をルールとしているようだ。



 今年はその生贄にマイラ村からは、まだ幼いターニャが選ばれた。


 ちょうど俺達は、生贄としてターニャが茶色い巨人達に食われそうになっていた現場に、偶然遭遇をした――という事のようだった。


 まあ……実際にあの時、3つ目の巨人達から救い出せたのはマイラ村のターニャだけだったからな。


 俺は他の9つの村から差し出された生贄達を救う事は出来なかった……クソッ!


 俺がターニャの話を聞いてイラつく原因は、生贄を全員救い出せなかったから、という事だけではない。



 ターニャの話に出てきた砂漠の神様――モンスーンとか言う野郎の名前に俺は心当たりがあったからだ。


 たしか、エルフ族のエストリアが俺に話してくれた魔王領に住まうという3人の魔王達の話……。



  暗黒渓谷(ダークバレー)のシエルスタ。


  灼熱砂漠(ファイアーデザート)のモンスーン。


  虚無(アビス)のカステリナ。



 モンスーンといえば、それら3人の『忘却の魔王ロード・オブ・オブビリオン』と呼ばれている奴らの1人じゃないかよ。


 魔王のくせに、何が『砂漠の神様』だ。

 ここで暮らす人々に自分の事を神様扱いさせて。好き勝手に振る舞っていると思うと、反吐(へど)が出る。


 元は異世界から召喚された勇者のくせに。


 異世界で神様ごっこをなんかして。人々から生贄を差し出させている野郎なんて、まだ会ってもいないがきっとロクでもない奴に違いない。

 ……まあ、もしかしたら野郎じゃなくて、女の可能性もあるかもしれないけどさ。


「ターニャ……。辛い話をさせてごめんな。でも、もう大丈夫だぞ。異世界の勇者である、この俺――『コンビニの勇者』がここに来たからには全部安心してくれていい。俺が全て解決をして、ターニャの村の人々も全部救ってやるからな!」



 俺が力強く頷いて。ターニャに向かって安心していいんだよ……と、微笑みながらウインクをすると――。


 黒髪の少女ターニャは心底嬉しそうに、俺の体に力強く抱きついてきた。


 うん。我ながらカッコ付け過ぎているとは思うけどな。

 本当は俺達コンビニチームの基本戦略としては、面倒臭そうな3人の野良魔王達とは、積極的には関わらない方針だったんだが。


 まあ、既にターニャを生贄の祭壇から救い出すという形で関わってしまっている以上……。


 そのイカれ神様気取り野郎のモンスーンとは、これから何らかの形で対峙(たいじ)せざるを得ないだろう。



 少なくてもターニャ達、砂漠の民の過去な運命は俺の『コンビニ』で救い出す事が出来る。


 それこそ無限に飲料水のペットボトルを振る舞う事も出来るし。美味しい鮭おにぎりや、ちょっと刺激が強いかもだけど――コーラや、ブラックコーヒーだって大量に振る舞う事が出来るぞ。

 砂漠のど真ん中に無限に氷を並べてやる事だって、俺のコンビニの能力なら可能だからな。


 アパッチヘリをコンビニ共和国からここに連れて来れば。ターニャ達砂漠の民も、み〜んなまとめてコンビニ共和国に連れて行って、コンビニマンションに住んで貰ってもいいじゃないか。


 その辺は、レイチェルさんにお願いをすれば万事上手く取り計らってくれるだろうからな。


 だが……俺が、神殿に捧げられた生贄に勝手に救い出した事で。

 

 砂漠の魔王――モンスーンとの対決がもし避けられないと言うのなら……。

 俺もここで覚悟を決めないといけないだろう。



 俺が決意を固めながら、ターニャと砂漠の上を真っ直ぐに歩いていると……。



「お母さん、お父さんー! 私だよーー!! ターニャだよ!」


 マイラ村に到着したターニャが、村の入り口に自分の両親の姿を見つけて嬉しそうに駆け出して行く。



「ターニャ!? どうして!? ああ、何て事なのかしら……!」


「ターニャ!! また、生きてお前に会えるなんて……!」



 ターニャのご両親達が、目から大粒の涙を流して。駆け寄って来た自分の娘を強く抱きしめる。


 ターニャも嗚咽(おえつ)を漏らしながらその場で泣きじゃくり。親子3人で、人目もはばからずに身を寄せ合いながら号泣を繰り返していた。


 そんな様子を見て、マイラ村の人々が次々と村の中から飛び出てきて、村の入り口付近に集まってくる。


「ターニャじゃないか!? どうしてここにいるんだ?」


「これは一体どうした事か……り聖なる供物(くもつ)であるターニャが、生きてこの村に戻ってきてしまうとは……」



 感動で涙を流しているターニャの両親とは違い。


 村の入り口に集まってきたマイラ村の人々は、全員が真っ青な表情を浮かべている。


 その顔色には、ターニャが最初に恐れていた通り。生贄であるターニャがここに無事に戻ってきてしまった事で。これからどのような災いがこの村に降りかかるのだろうか……と、神様の激しい怒りに怯える様子が見てとれた。



「ターニャ! お前はなぜここに戻ってきたんだ!! お前には聖なる供物(くもつ)としての役割があったであろう! それをお前は、ちゃんと(まっと)うしなかったというのか!!」


「そうだ!! お前がまだ生きていたら……神官様が、きっとお怒りなるに違いない! そうしたら、我々の村には罰として数ヶ月以上も雨を降らして頂けないのかもしれないのだぞ! これ以上、(めぐみ)の雨を止められたしまったら……。我々は全員、ここで枯れ果てて死んでしまうしかないというのに……!」



 無事に生きて戻ってきたターニャに対して。


 口々に、罵りの声をあげるマイラ村の人々達。


 その目には同じ村人であるターニャが無事に戻ってきた事を、喜ぶような余裕は微塵も感じられない。

 ただただ、恐怖で怯えている様子しかなかった。


 まるで今すぐにでも「死んでこい!」と言わんばかりの目つきで。ターニャ達親子を、村人達全員が疎外するような様子で冷たく取り囲んでいる。


「おいおいおい……。お前達、同じ村で暮らす女の子が無事に戻って来たんじゃないか! もう少し歓迎の気持ちで迎え入れてやってもいいじゃないかよ! まだ幼いターニャが、どれだけ怖い思いをして。あの神殿の祭壇の上に立っていたと思っているんだ!」


 俺はつい……心の中で思った事を。

 そのまま村人達の前で口に出してしまった。


 これには流石に俺も、しまった……とは思ったさ。


 まあ、これは全部ターニャが心配してた通りさ。村人達だって好き好んで同じ村の仲間を、生贄の犠牲になんて出したかった訳じゃないだろう。


 ……ただ、砂漠の神様とやらの命令には逆らえなかっただけだ。


 そいつに逆らったら、この砂漠で生き残るのに必要な(めぐみ)の雨とやらを降らせて貰えない。

 そうなれば、全員干からびて死んでしまうだけだ。


 いや、神様とやらの罰はそれだけではすまないかもしれないな。


 現在進行形でこの村の人々は、これからどんな恐ろしい罰が村に下るのかと。みんなは、心の底から怯えているだけなんだと思う。



「お前は……一体、何者なのじゃ? 見慣れない格好をしておるようじゃが……」



 マイラ村で一番年長そうなじいさんが、生意気な事を口走った俺に対して尋ねてきた。

 もしかしたら、この人がこの村の村長さんか何かなのかな?


 まあ、現代風の服装である、コンビニの店長服を着ている俺に対して。砂漠の人々が疑問を持つのは当然の事だろう。


 たぶん村人達も、最初はターニャの存在ばかりに気を取られていて。一緒について来ていた俺の事に、あまり気付いていなかったんだと思う。



「――俺か? 俺はだな……」


 俺がマイラ村の村人達に向けて、改めて自分の自己紹介をしようとすると。


 俺が名乗りをあげる、その前に……。



「村長様! そのお方は異世界から来た勇者様なのです! 異世界の勇者様が、とうとう私達の村にやって来てくれたのです! 勇者様はこの村の運命を救って下さると私に強く約束をしてくれました」



 同じ村の人々に白い目で睨まれていたターニャが、大声で全員に向けてそう言い放つ。



「……………」



 マイラ村の全ての人々が一斉に沈黙する。



 それは泣きながら、ターニャを抱きしめているターニャのご両親でさえも一緒だった。



「い、異世界の勇者様……ですと……!?」



 マイラ村の人々が全員で、俺の方に向き直り。

 驚きの声をあげようとしていた、ちょうどそのタイミングで――。



 村の入り口には俺達とは違う、『別の来訪者達』が突然、後方からゾロゾロとやって来た……。



 村の入り口に集結していた村人達に向けて。やって来た来訪者達は、高らかな声で呼びかける。



「――聞くが良い!! 砂漠に住まう哀れな家畜共よ!! 我が主人(あるじ)である砂漠の神、モンスーン様の尊い戒律を破り。この村から捧げられた聖なる供物(くもつ)が、何者かの妨害を受けて神殿から逃げ出したという報告がさきほど入った。モンスーン様の深き慈悲により、この砂漠で(せい)を受けているそのご恩を忘れ。神に歯向かうが如きその傲慢(ごうまん)なる振る舞い! 我々神官は、決して看過する事は出来ぬ!」


 村の入り口には、黄色い巨大なサソリの魔物達を引き連れている、青色の神父服を着た男が1人立っていた。


 その青い服装の男の姿を見た、村の人達は……。


 一斉に砂の上に。土下座をするような姿勢で、男の前に慌ててひれ伏していく。



「ははーーっ、青の神官メフィスト様! どうか、どうか……この村に神のご慈悲を……!!」


 先程、俺に話しかけてきたこの村の村長さんが、砂の上に自分の頭を埋めてしまうほどに深く頭を下げて。青い神父服の男に対して、必死に許しを乞い始めた。



「――ならぬ!! 砂漠の神の戒律は絶対である! ワタシは聖なる神官として、このマイラ村に厳罰を加える為にここにやって来たのだ。今よりこの村に住まう全ての家畜達は、全員残さず火炙(ひあぶ)りの刑に処する。そしてその焼け焦げた死体を、他の村の入り口に10日間(さら)す事にする! 偉大なる神――モンスーン様の戒律を破る事が、どれだけ重罪なのかを、砂漠に住む全ての村々の家畜共に強く知らしめてやるのだ!」


 砂漠に頭を埋めながら、深くひれ伏しているマイラ村の村長さんと。村人達全員が、一斉に大きな悲鳴をあげる。


 そして、全身を震わせながら両手で懇願するように、


「……お願いでございます……! お願いでございます……! どうか……私達に神のご慈悲を……!」


 と、悲痛な声で懇願していた。

 そんな村人達の願いを聞き届ける事なく。青い神父服の男は、汚いモノを見るような目つきで『プツ……!』と、唾を吐き捨てる。


「ならぬ! この小汚い家畜共が! この聖なる砂漠の地に住まわせて貰っている大恩を忘れて、戒律を破った自分達の愚かさを恥じるが良いわ! ワタシ達神官は、偉大なるモンスーン様からお前達の生死に関わる全ての権利を………」


「えーと、ちょっとお取込みの所いいですかねー?」


 俺は気持ちよく、悪のお代官ごっこに夢中になっていた青色の神官さんの所にそっと近寄って。


 その頭を、後ろからポンポンと優しく叩いてやった。



 俺が背後まで回り込んでいる事に全く気付いていなかった、神父が慌ててこちらに振り返る。



「なっ………き、貴様は誰だ……!?」


 頭を子供のように、俺にポンポンされた青い神官さんが驚きの声を上げた。



 いや、むしろ驚いたのは俺の方なんだけどな……。


 こんだけ堂々とそばに近寄っていってるのに。全然こっちの存在に気付いてくれないんだもん。

 よっぽど自分の自慢の演説に夢中になっていて、(えつ)に浸っていたんだろうな……とは思うけどさ。


 そういう悪役のセリフって、結構喋ってて気持ち良かったりするものなのかな? 俺は演劇の才能とかないから、あんまり役者さんの気持ちが分からなかったりするんだけど。



 俺は偉そうな神官さんに、『誰だ?』と尋ねられたので。


 仕方なく、自己紹介をしてやる事にする。



「――俺か? 俺は異世界からやって来たコンビニの勇者さ! そして今からお前のその頭をぶっ飛ばしてやる『正義の味方』って訳だな!」


「………はぁ!?」


 事態が飲み込めず。頭にハテナマークを大量に浮かべている青い神官に、俺は分かりやすい肉体言語で教えてやる事にした。


 左手で青い神官の頭を思いっきり掴んで……。


 そのまま――渾身の力で右ストレートパンチを連続で顔に食らわせてやる事にする。



「おらぁ〜〜、歯を食いしばれよッ!! この変態悪代官野郎がーーッ!!」



 ”ボカボカ、ボキボキーーーーッ!!”



 ()って〜〜……!

 ちょっとやり過ぎて、こいつの歯の何本かはへし折っちゃったかもしれないな……。


 以前に水道ホース野郎の金森を殴り倒した時より、俺は更に自分の(こぶし)に強い威力を込めて。



 マイラ村の村人達全員が見守る、目の前で――。



 青い服装の神官野郎を、10メートルくらいは後方に。思いっきり強く殴り飛ばしてやった。



 あ〜〜何か、超気持ちいいな〜!

 久しぶりに俺、ちょっと清々(せいせい)した気分になったぜ。


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→返信→ 正確には「小説を聞こう」のアプリの音声朗読で聞いてるので、読んでないけどね(笑) はい♡ あくまで私個人の意見ですが、この作品は充分にアニメ化狙えるのでは? ...と思う程、私的には面白…
バスタオル( ゜∀゜)・∵ブハッ!! バスタオルぐるぐる巻きに吹きました(笑) 素敵な小説いつもありがとうございます♡ 楽しく読ませて頂いております♡ この作品素敵過ぎるので、早くアニメ化して欲しい…
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